EDEX'99 電子ディスプレイ展が、パシフィコ横浜で14日から開幕した。EDEXは年1回行なわれる、液晶やプラズマディスプレイなどを中心とした電子ディスプレイの展示会。今年は27社4団体が出展している。
基本的には液晶パネルや、コントローラICなど部品レベルのものがメインで、完成した製品の展示はほとんどない。ただし、これから採用される次世代の技術を見ることができるという意味においては、注目される展示会となっている。
今回は、パソコンに関連する製品を中心にレポートする。
●透過型カラーTFT液晶は、もっと高解像度に、もっと大型に
会場に入って一番最初に目に入るのが、NECのブースにある21.3インチのTFT液晶パネルだ。このパネルは13日に発表されたもので、9月からサンプル出荷される。サイズが大きいだけではなく、解像度も1,600×1,200ドットに対応している。また、視野角も上下左右 各85度と広く、実際に横から覗き込んでも、反対側の端に表示されている文字が難なく読める。
性能的にはCADや3Dグラフィック作成用途に、CRTとの置き換えが可能なレベルにあるが、サンプル価格で98万円という価格が障害になりそうだ。
15.4インチ 1,400×1,050ドット | 30インチ 1,600×1,200ドット |
シャープは、18.1インチ 1,280×1,024ドット表示の広視野角、高速応答モデルを参考出品している。視野角が左右160度、上下160度(従来140度、120度)、応答速度25ms(同 50ms)。サンプル出荷が第4四半期に予定されている。
その他でも、松下が1,280×1,024ドット表示の19インチ、東芝が1,280×1,024ドット表示の18.1インチ、日立が1,280×1,024ドット表示の18インチ液晶パネルをそれぞれ出展している。
【松下】 | 【東芝】 | 【日立】 |
●反射型カラー液晶は一般的に、新たに半透過反射型が登場
反射型カラー液晶は既に一般化しており、各社が出展している。その中でも参考出品ながら、松下が白色度を改善した10.4インチのパネルを搭載したLet's noteを展示しているのが注目される。このパネルの出荷時期や、搭載Let's noteの発売は未定としている。
今回技術的に最も注目されるのが、透過型と反射型の両方の特性を備える半透過反射型カラー液晶だ。反射型はバックライトが不要なことによる省エネや、薄型化に主眼が置かれ、暗いと見えにくいという欠点がある。半透過反射型は明るい場所でも、暗い場所でもハッキリ見えるということが一番のメリットになっている。
シャープは3月に発表した製品を展示したが、4月に発表したエプソンは半透過反射型の展示はなく、同時に発表されたほぼ同じパネルの反射型液晶が展示されていた。その他でも京セラが、透過重視、反射重視、中間に設計したパネル3枚を並べ、用途に合わせて自由に設計出来ることをアピールしていた。京セラではそれ以外にも、パッシブでありながら応答速度4msを実現したカラー液晶も展示している。
シャープの半透過反射型液晶の7インチモデル。 | エプソンは半透過反射型液晶の展示は行なわなず、同仕様の反射型のみの展示となった。 | 京セラブースは、透過重視、反射重視、中間に設計したパネル3枚を並べている。 | 京セラでは、パッシブで応答速度4msを実現したカラー液晶も出展している。画面がブレているのはシャッター速度が遅いせいで、肉眼では高速な動きを確認できる。 |
●プラズマにも、パソコン用大型ディスプレイが登場
富士通のブースでは、25インチ 1,280×1,024ドット表示のパソコン用カラープラズマディスプレイが展示されている。サンプル価格は150万円、製品化は秋頃が予定されている。
PDPはテレビや、ビデオモニタ用としては既に各社から製品化されているが、パソコン用として実用に耐える製品は珍しい。ただ、26万色表示である点や、消費電力が300W以上であることを考えると、まだCRTや液晶と対等に戦えるところまでは来てないようだ。画質は液晶のくっきりした印象とは対照的な、少しにじみのあるようなPDP独特の艶っぽいものだ。
□EDEX'99電子ディスプレイ展のホームページ
http://home.jesa.or.jp/edex99/
('99年4月14日)
[Reported by furukawa@impress.co.jp]