Click


第46回 : こんな複合製品なら使ってみたい



 モバイルに関する話題なら、ノートPCから携帯電話まで、なんでも取り上げてしまうという、いささか欲張りな企画でスタートしたこの連載だが、このところずっと携帯電話の話が続いてしまっている。これは意図したものではないが、世の中の携帯電話(というよりもiモード)ブームに対して、サービスや製品を提供する側も敏感に反応しているため、目がそちらに行きがちになってしまうのは避けられない。それほど、iモードの話題は豊富だ。

 しかし、あまりに急激にユーザーが増加したため、人気端末の品薄状況が続き(確認はできないが、人づての話ではメーカーシェアの格差が極端に開かないような調整があるのだという)、iモードの通信インフラはトラブルを多発し、一部の地域会社では通常機種からiモードへの機種変更を一時停止するといった事態にまでなっている。
 これが普通の携帯電話会社なら、企業努力のあまり人気が出過ぎ、あまりの加熱ぶりにインフラ整備ができなかったと同情もしたくなるが、莫大な投資で圧倒的なシェア築いたとなると、もう少し厳しい姿勢で臨んでもらわなければ困る。

 以前、NTTドコモ社内からは「他社が弱すぎるから」、「我々の企業努力の賜」といった発言も聞こえてきたが、同じスタートラインだったならばどうだったかな? と思うこともある(もっともNTTドコモの独占状態に1契約とは言え荷担している私は行動が伴っていないのだが)。NTTドコモに対抗するだけの競争力を持つライバルの登場は、今後の携帯電話(を軸にしたモバイルツール)がより良いものになる上でも必要だ。
 そうした意味で、今後の具体的な事業展開はこれからの話ではあるが、昨年12月に発表され、4月5日に合併が承認されたDDI、KDD、IDO(存続会社はDDI)には期待したいところだ。国内、国際両面のネットワーク基盤が強く、携帯電話市場も持つ新会社の展開を見守りたい。合併により、NTTグループと同じところを走る、というまでには至らないが、普段から「条件が同じなら負けない」と言う意気込みが、来年から始まるIMT-2000など具体的なサービスと製品に乗り移る事を期待しよう。

■ ソニーとPalmの協業の成果?

 昨年末、ソニーがPalm OSを採用したデバイスを開発することを発表したとき、誰がこんなすばらしい製品を想像しただろうか。ソニーのPalmプロダクト開発でリーダーシップを取る南雅文氏は、非常に几帳面でマジメ。それ以前に開発していたNavi'n Youでは、商用パソコンネットを使ってユーザーからのフィードバックに、こまめに対応していくなど非常に好感の持てる人物だった。それだけに、GPSユニットとの連携や、かゆいところに手の届くモノ作りに期待していたのだが、反面あまり突拍子のないものにはならないだろう? とも考えていた。

 ところがMinidisc Community Portalのページに掲載された、MDプレーヤーとMP3/ATRAC3プレーヤー、Palmの複合製品は、その意外性とともに、まさにコレが欲しいと声を上げるほど会心の作だ。Palmとしても、MDレコーダーとしても、MP3プレーヤーとしても使え、コンパクトで価格も安い。しかも、どこにも(あの邪魔な)OpenMG必須との言葉がない。
 今度米国へ仕事に行った時にでも買ってくるつもりなので、そのときに詳細なレポートをお伝えしよう。と最初は思ったのだが、よく見ると様々な部分で疑問に感じる部分が見られる。なにしろ値段が安すぎる上に軽すぎる。著作権管理機能について触れていないのもおかしいし、いくらなんでもTFTカラー液晶はないだろう。

 実はコレ、4月1日に掲載されたエイプリルフールのリーク記事。ページの最後には、しっかりと「Sorry, April Fools! Thanks go to Shawn Lin for the excellent digital darkroom work.」との注意書きがある。写真を注意深く見れば、フォトレタッチの跡が見えるのがわかるだろう。


■ PDAの行き場

 先週、PDAを使わなくなったと書いて、多くの反論が出てくるかとも思ったのだが、同じくPDAを持ち歩かなくなった、もしくは携帯電話だけで済ませたい、という意見はいただいても、将来に渡ってPDA中心で使いたいという人の声が聞こえてこなかった。

 別の雑誌で携帯電話に関するアンケートを採ったところ、比較的モバイルに首を突っ込んでいない人ほどノートPCを持ち歩き、使い込んで長い人ほどなるべく小型の機器だけ、もしくは携帯電話だけで済ますような工夫をしている、といった傾向が見られたという。
 通常、詳しくわからないうちは、運用でなんとかするために勉強するよりも、標準の機能だけでなんとかしようと思うものだ。なるべく装備を軽くしようと思えば、機能も必然的に限られるわけで運用に工夫が必要になる。しかし将来、モバイルでの運用を自然に使いこなせるように小型の機器がこなれてくれば、ライトなユーザーも軽装備へと収斂するのかもしれない。

 PDAに話を戻そう。PDAの役割は、さまざまなアプリケーションの携帯可能なフロントエンドツールとして、情報を持ち歩いたり、あるいは簡便にアクセスしたりするものだと(少なくとも現時点では)思う。機能はなるべくシンプルで、必要な情報を素早く引き出してユーザー自身がフォローしきれない記憶や処理の手伝いをしてくれるものが理想的だと思う。
 しかしシンプルな軽い機能が望みなら、ふだん必ず持ち歩く他のデジタルデバイスがPDAの機能を持っていてくれればそれに越したことはない。iモード電話器がネットにアクセスし、電子メールを受ける機能を持ち、さらにはWebアプリケーションを通じて個人情報の管理を行なえるのであれば、できればPDAを持ちたくないと考える。
 これは携帯電話というデバイスが、日本の(特に若年層の)ユーザーに不可欠なデバイスになっていることと無関係ではない。PDAを持とうと持つまいと、携帯電話は別に持ち歩いているのだから。逆にPDAを持っているから、携帯電話は持たなくてイイや、という人はいないはずだ。

 PDAの行き着く場所は、もしかすると携帯電話と同じように、普段持ち歩くデジタル機器の中にあるのかもしれない。PDA上のアプリケーションが、そのデジタル機器の使い勝手を向上させる働きも兼ねるなら、まさに一石二鳥というわけだ。MP3対応のPalm OS内蔵MDレコーダはただの悪ふざけでしかないが、十分に小型化できるのであれば、こんな複合機種もアリだろう。

□Minidisc Community Portalのホームページ(英文)
http://www.minidisc.org/
□April Foolsネタのページ(英文)
http://www.minidisc.org/mz-r110pda.htm

[Text by 本田雅一]


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当pc-watch-info@impress.co.jp