制作は英Psygnosys。古くから高い3D技術力を持つことで評価を受けているメーカーなので、ご存じの方も多いだろう。その技術力は本作でもいかんなく発揮され、現在では低スペックなPentium 166MHz以上、Direct3D対応でメモリが4MB以上のビデオカードという動作環境(推奨環境でもPentium II 233MHzとメモリ8MB以上のDirect3D対応ビデオカード)で、炎のゆらめきなど光の効果や、さまざまな3D表現を駆使した緻密な描写を美しく再現している。キャラクタの影のON/OFFなどのオプションも豊富で、使用機種による速度の差も十分に吸収してくれる。遅いマシンでも快適に、速いマシンでは、より緻密な描写を楽しめるように考慮されているというわけだ。
ちなみに、レビュー用のハードにインストールして実行したところ、やたらと速度が遅くて「むむ、看板に偽りあり」と思ったのだけれど、実はこれはビデオカードのドライバの問題だった。筆者と同じ3D BLASTER GeForce(Pro)を使用されている方は、ぜひドライバを最新のものにアップデートすることをお薦めする。現在リリースされている最新版は英語版ではあるけれど動作に問題はないし、他のアプリケーションで発生していたトラブルも解消されるようだ。
● ストーリーは、弟を取り返す冒険の旅……
遠い昔、ドラゴン族と魂の契約を結び闇の組織“ダークユニオン”と戦ったとされる“炎の騎士団”。激しい戦いの末、歴史の中に消え去り、ただの伝説、またはおとぎ話となってしまった平和な時代に、突如としてダークユニオンが復活した。主人公である女剣士リンは、弟デロンとの帰宅途中にダークユニオンに襲撃されてしまう。剣を振るい、何匹かのモンスターを倒したリンだが、不意をつかれて気絶させられてしまい、その間にデロンはいずこかへ連れ去られてしまう。意識を取り戻し、村に戻ったリンの目の前に広がっていたのは、ダークユニオンによって殺戮と略奪の限りを尽くされ、廃墟となった村の姿だった。見せしめに、磔にされた村の司祭アティマーは、リンに炎の騎士団の騎竜であったアーロックを探し出すよう伝え、絶命してしまう。リンは、弟を捜し出すための最後の望みを伝説の中の存在と信じていた赤竜アーロックに託すことになる……。
ヒロインの女戦士リンと、その弟デロン。この後、リンはモンスターの攻撃に気絶。その間に村は破壊し尽くされ、デロンも連れ去られてしまう | 見せしめのため、槍で貫かれたまま生かされた村の司祭アティマー。彼の遺言に従い、リンは炎の騎士団の奉られている祭壇へ向かうこととなる |
水の中を泳ぐこともできる。水面に広がる波紋の表現が美しい |
操作は、デフォルトではマウスとキーボードを併用する。が、これが結構クセモノだ。キーボードの矢印キーで前後左右への移動、マウスで振り向きや視点移動、攻撃などの動作を行なうところまではいいとしよう。問題は“T”でジャンプ、“G”でしゃがみを行なうという点だ。壊れた橋を飛び越えるためには矢印キーの上と“T”、移動しながらの攻撃にはマウスと矢印キー、しゃがみ攻撃は“G”を押しながらマウス操作を行なう。それぞれに手の置き方が全く異なることにお気づきだろうか? 特に、移動しながらしゃがみ攻撃をするのはかなり大変。敵も同じ場所で待ってくれているわけではないので、スムーズに戦えるようになるまではかなり苦労するだろう。たいていのゲームはデフォルトでプレイする筆者も、さすがにキーコンフィグを変更した。フォースフィードバックなどのコントローラにも対応しているので、可能ならこれらのデバイスを使用した方がいいだろう。
アイテムの所持数はサイズに応じて変化する。「DIABLO」などでおなじみのシステムだ |
前述の爆発する樽に限らず、このゲームには即死要素が多い。高いところからの転落、川に流されて岩に激突、様々なトラップ等々、昔ながらの洋ゲーといった作りだ。極端に難しいアクションを求められることは少ないが、死んだらセーブしたところからやり直しになるので、こまめなセーブが求められる。幸い、このゲームにはクイックセーブ機能が搭載されているので、これを有効に活用するといいだろう。ただ、クイックセーブばかりに頼っていると回復薬が足りなくなり抜き差しならない状況に追い込まれたりもするので、折りに触れてきちんとセーブファイルを残していくことを忘れないようにしたい。
ゆっくりと振れる巨大なギロチン。当たっても即死ではないが、大ダメージは免れない | 樽を壊すと、中からアイテムがでてくることもある。細かいことだが、壊れた樽の破片1つ1つにも当たり判定があり、蹴ると転がっていく | ただし、中には爆発するものもあるので要注意。見た目からして違うので、区別はできると思うが、知らないと1度ぐらいは引っかかるかもしれない |
● ネットワーク対戦も用意されている
敵はモンスターのみならず、巨大な昆虫のようなものもいる。まき散らされた体液がキタナイ |
最近のゲームではもはや当然ともいえるネットワークにも対応。この「ドラカン」でも、3種類のネットワーク対戦が可能になっている。リンを操作し、ライバルを倒す“デスマッチ”、アーロックに乗ったリンを操作してライバルと戦う“ドラゴンズデュエル”、そして、マップ上に1匹だけいるアーロックを見つけたプレーヤーだけが、これに乗ることのできる“ドラゴンマスター”。このモードでは、アーロックに乗ることのできたプレーヤーが圧倒的に有利になるので、ライバルへの攻撃だけでなくアーロックをいかに探すかが勝敗を決するカギになるだろう。どのモードも最大8人までのプレイが可能で、制限時間の設定やチーム分けも可能。LANだけでなくインターネットを介しての接続や、mplayer.comを使用した見知らぬユーザーとの戦闘も可能なので、広く楽しむことができる。バトルフィールドも複数用意されているので、マップに習熟したプレーヤーほど優位に立つことができるだろう。
“完全日本語版”のタイトルが示すとおり、テキストや音声によるメッセージは全て日本語化されているので、誰でも自然にプレイすることが可能。ただ、レビューに使用した評価版では、マップ画面での表示が英語のままだった。ここには、次に何をすればいいかが示されるので、行き詰まったときなどには重要なヒントになる。難しい単語は使われていないので、感覚的に理解することはできると思うが、製品版では、ここを含めて完全日本語化されていることに期待したい。
国産のゲームに慣れていると敷居が高く感じるかもしれないが、本来は間口の広いゲームなのだという印象を受けた。最初はとまどうかもしれないが、一度システムに慣れてしまえば、びっくりするぐらいスムーズに進めることができるはず。美しく緻密なグラフィックを堪能しつつ、竜との冒険を楽しもう。
2つの月が輝くウォートックの渓谷。このどこかにアーロックがいるのだろうか? | 条件をクリアすることで、新たな道が開ける。その先に待っているものは…… | マップを開くと、現在地と目的が表示されるようになっている。クリアした目的には打ち消し線が入るので、次に何をすべきかは容易に判断できるだろう |
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