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● リッジレーサーV
● ストリートファイターEX3
● エターナルリング
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画面は文句なしにキレイ。太陽光がカメラに入ってレンズフレアやハレーションを起こしたり、撮影速度との兼ね合いでタイヤが逆回転しているように見えたり、車のホイールを通してブレーキディスクが熱で赤く発光するのが見えたりと、かなり細かいところまで表現されている。特に背景に関して、遠景までしっかりと描写できているところには、PS2のポテンシャルの高さを感じることができるだろう。ただ、PS2の表現力と実解像度のギャップからくるのか、妙にジャギが目立つような気がした。プレイ中は走ることに専念しているので大して気にはならないのだが、リプレイではかなり目立つ。特に、普段PCのゲームに見慣れているからかもしれないが、残念ながら目を見張るほどの驚きはなかった。それでも、アーケードの「リッジレーサー」そのままの画面が、ようやく家庭で楽しめるようになったという感じは受けた。技術の進歩というのは素晴らしいことだ。
最初に使用できる車体は6種類。ドリフトしやすい3車種と、グリップ走行に重点を置いた3車種で、それぞれにハンドリングや加速性、最高速度などが異なるので、まずは自分の好みにあった車体を探すところから始めることになる。気に入った車が見つかったら、ボディのペイント色などを設定して自分だけの愛車を作り上げることもできる。ちなみにセーブデータには、チーム名とドライバー名も登録され、レースの戦績や走行距離(!)も記録されていく。グランプリに優勝したり、記録を更新したりしていくと、新しい車やエンジンが増えたり、プレイモードやエディット可能な項目が追加されたりと、徐々に新しい要素も追加されていく。コースも逆送コースやミラーコースなどが追加されていくので、長く楽しむことができそうだ。
プレイ感覚は、最近の「レイジレーサー」や「R4」というよりも、アーケードの「レイヴレイサー」に近いという印象を受けた。コースは全体的に幅が広く、厳しいカーブも比較的少な目で、初心者向けに間口を広げた感がある。ただし、CPUが操作するアザーカーの動きはすこぶるイヤらしく、イージーモードでも執拗なチェックを受けることもしばしば。「走ることの楽しさ」の部分はさておき「爽快感」に関しては、残念ながら今回も今ひとつといわざるを得ないようだ。
従来のプレイステーション用のコントロールデバイス「ネジコン」にも対応しているが、注意点がひとつ。ゲームの起動時にネジコンがすでに差し込まれていると、デバイスが正しく認識されずボタンを受け付けてくれないのだ。この場合、一度ネジコンを抜き、差し直せば問題なく使用できるようになる。起動するごとにネジコンの抜き差しをするのが手間にはなるが、レースゲームにおいてはきわめて優秀なデバイスであるネジコンがそのまま使用できるメリットは大きい(註:ネジコンは初期ロット(白)で確認。現在のバージョン(黒)では結果が異なるかもしれません)。
いい点と悪い点がそれぞれに際だって見えてしまった「リッジレーサーV」。リッジ好きにならば文句なく楽しんでもらえるタイトルだけれど、もう少し気分のいいレースができたら、万人にお勧めできたのに、と思う。PS2の可能性を感じることのできる1本であることは間違いないのだが。
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登場キャラクターは初期の状態で15人と、ユーザーによるエディット枠が2名分。オリジナルモードをクリアしていくごとに新キャラクターが追加され、24人+2人が使用可能となる。9×3のキャラ選択枠に26人。もしかしたら、もう一人追加されるのかもしれない。キャラクターは前作までにも登場してきたおなじみのものが多いが、PS2クオリティで生まれ変わったキャラたちは……ちょっとコワイ気もする。モデリングに関しては、ぜひ再考をお願いしたいところだ。
ゲームとしての難易度はかなり低めで、イージーに設定すればボタン連打だけでも勝ち進んでいけるほど。必殺技のタイミングもそれほどシビアではないので、パッドでも操作は難しくない。気軽に楽しみたい人、アーケードではすぐ乱入されて練習もできないという人には、恰好のタイトルといえるのではないだろうか。必殺技やスーパーフィニッシュの画面効果にも磨きが掛かっているので、手軽にハデに戦いたい方にお勧め。
キャラクターエディットは、画面に示された条件をクリアしていくことで経験値を貯め、その経験値と引き替えに必殺技を購入していくことで、さまざまな技が使用できるようになるというもの。購入した技のうち、ゲーム内で使用できる数には制限があるので、どれを選ぶかでプレイヤーごとの性格が現れる。メモリカードにセーブしたデータを持ち寄って対戦することもできるので、どんな技を使ってくるかわからない相手と戦うというスリルも味わうことができるだろう。ただ、エディット可能なキャラが1人だけというのは残念。できないからといってゲーム性に影響を与えるものでは全くないのだけれど、せっかくモーションに制限を受けないポリゴンのゲームなのだから、自分の好きなキャラに好きな技を覚えさせることができたら、もっと楽しかったのではないかと思う。
笑えたのがエンディングで、制作スタッフのテロップが流れている間にもキャラクタの操作ができ、次々に現れる敵を倒していくことができる。エンディングが終わるまでに倒した相手の数も表示されるので、ついつい熱中してしまうわけ。その分、スタッフのテロップには全く目がいかないという(制作サイドから見た)問題点はあるのだけれど、こういうオマケ要素は素直に歓迎したい。
さて、気になったポイントは1つ。先のエンディングのバトルが最たる例なのだけれど、画面内に多くのキャラ(自分含み4名以上)が出ると処理が重くなってしまう。タイミングや相手との間合いが重要な格闘ゲームでは、これはかなり大きい。慣れてくると気にせずプレイできるようにはなるのだけれど、難易度を下げてライトユーザーを取り込もうというスタンスであるのならば、こうした点にも気を配って欲しかった。初心者であればあるほど、こういう所は「しょうがないな」では済まないものなのだから。
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使用できる魔法は、装備した指輪の種類によってさまざまに変化する。同時に装備できる指輪は5個まで。指輪は冒険の中で手に入れたり、素材となる魔法石を使用して自分で新たに製作することも可能だ。倒してモンスターが落とすことのある「魔法石」と呼ばれる宝石を組み合わせ、新しい指輪を作ることで生まれる新しい魔法。これを作る楽しさも「エターナルリング」の大きな魅力になっている。
複雑に入り組んだ迷路の中を冒険していくと、開けることのできない扉にぶつかることもしばしばある。これを開けるために特定の魔法や指輪が必要になることもあり、奥に進むためには謎解きや鍵などのほか、指輪や魔法を駆使する必要があるだろう。天然の洞窟などは曲がり方や上下構造が複雑で、道に迷うこともあるかもしれない。が、このゲームにはオートマッピングの機能などはないので、なんとか自力で脱出しなければならないのだ。昨今のコンシューマゲームには珍しいくらい、ユーザーを冷たく突き放した感のある作りになっているが、そこには「与えられたフィールドの中でどう行動するかはユーザーの自由」という、海外のゲームライクなスタンスが見て取れる。国産ゲームには珍しいタイプなので、国内のユーザー、特に初心者ユーザーにどこまで受け入れられるか、興味深いところだ。
このソフトには、デュアルショック2専用のアナログオプションがついている。さわった感じは従来のデュアルショックと全く同じで、本当にアナログ化されているのかどうか疑問のあったデュアルショック2だけれど、このオプションを有効にして十字キーを軽く押し込むと、たしかに移動速度がゆっくりになる。ああ、本当にアナログなんだ、と妙なところで感動してしまった。ただ、移動速度が最大の状態でも歩いている程度の速度にしかならないのは個人的にどうかと思う。ある指輪を手に入れれば走ることはできるようになるが、それまでは敵の出てこないエリアでも延々と歩き続けなければいけないのは、時として苦痛に感じることもある。オートマッピングの未装備とこの点だけは、不満を感じた部分だ。
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【総評】
どのソフトも長所と短所を持っていて、もろ手を挙げてお勧めするわけにはいかないというのが正直な感想。どれもPS2のクオリティを十分に感じることの出きるものではあるが、おそらくスケジュール進行の都合であろう作り込みの不足を感じる部分もあり、そのあたりは次作以降に期待していきたいと思う。そうした期待の意味も込め、今回は普段よりも辛口のレビューになったが、ゲーム自体がつまらなかったというものは1本もないことを申し添えておこう。それは、すっかり腫れて痛くなってしまった私の左手の親指が、なによりも雄弁に語っている。
【筆者紹介】
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