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時代の変化に合わせて、7本のシナリオが用意されている |
国力の増強や軍備の拡大といった経営シミュレーション的な部分を前面に置きながら、その内側にキャラクター同士の関係や会話など、ロールプレイングゲーム的なおもしろさを組み込むことに成功した。だからこそ、登場人物に対して好意や憎しみを感じたり、自分が演じるキャラクターになりきってドラマを楽しむことができるのだろう。たとえば、劉備、関羽、張飛の厚い信頼関係。そこに絡む、諸葛孔明の冷徹な存在。己が君主にさえ心を許さず、自分の信じる道を歩む呂布。乱世に君臨した“冷血な英傑”、曹操。無数の登場人物が織り成す人間関係こそが「三國志」ならではの魅力であり、この作品はゲームであると同時に、プレーヤー自身が創る新しい「三國志演義」そのものなのだ。
好みのキャラクターを作成し、シナリオに登場させることもできるようになった | 演じるキャラクターを選択。歴史に名を残す名君から在野の者まで、選択肢は広い | キャラクターのパラメータの細かさは、さすがコーエー |
シリーズ最新作は、ここが違う!!
最新作「三國志VII」でも、やはりメインとなるのはキャラクター同士の人間関係だ。総勢620名もの登場人物の中から誰を選ぶかで、ゲームの展開は驚くほど変ってしまう。一国を治める君主を演じるなら国政と外交が中心になるはずだが、一介の武将や在野(定まった君主を持たない人物)を演じるなら、自分自身の鍛錬や仕官が中心になるだろう。演じるキャラクターの立場や身分で、生きる目的だけでなく選べるコマンドまで変ってしまうシステムは、ちょっとすごい。
各キャラクターが行なう行動が「戦略コマンド」と「個人コマンド」の2種類に分かれているのも、おもしろい発想だ。「戦略コマンド」というのは軍事や内政など、自分が治める国全体に対して命じるもの。従来の歴史シミュレーションは、これがすべてだったといってもいい。対して「個人コマンド」というのは、公の立場とは別に、自分自身の生き方を決めるための行動だ。能力をアップさせるために鍛錬したり、家臣や他の君主との友好を深めるために手紙や金品を送ったりと、政治とは直接関係のないところで自分自身の生き方を決めることができる。つまり同じキャラクターを選んだとしても、「個人コマンド」の使い方によってゲーム中での人望や交友関係はどんどん変化し、まったく違った結末を迎えることもあるというわけだ。
また「三國志VII」には、漢詩大会や武術大会など多くのイベントが追加され、登場人物の関係もより複雑になった。いつどのような形で報奨を与えたり任官させるかによっても互いの関係が影響を受けるので、その判断はとても難しい。
都市の開発や軍の編制を、各武将に命じる | 地図を見ながら作戦を練る。優秀な参謀が必要だ | コマンド入力や情報の表示は、さらに洗練された |
「作戦画面」の導入で進化した戦闘システム
様々な作戦やワナを仕掛けることができる野戦シーン |
野戦シーンのおもしろさも、格段に増している。旧バージョンでは、最終的には兵士の数……というか物量が勝敗を決めることが多かったが(これは、ある意味では正しい)、「三國志VII」では必ずしも数がすべてとは限らない。指揮する武将の性格や特技によって選べる攻撃パターンも増え、自軍の配置や武将の能力次第では、少ない兵力でも十分互角に戦うことができるだろう。ワナや伏兵を駆使して「三國志演義」そのままの奇策を試すことも不可能ではなく、この手のシミュレーションゲームとしてはかなり自由度が高い戦いを試せるはずだ。
このほか戦闘には、武将同士が直接勝敗を決する「一騎討ち」や、城に篭った敵を叩く「攻城戦」などもあり、戦い方のバリエーションも広い。
戦闘では10万人以上の軍を指揮することができる | 捕えた敵の武将をどのように扱うか、悩むところだ | 武将同士の一騎討ちで雌雄を決する場合もある |
操作系も洗練されて、遊びやすくなった
Q&A形式で学ぶチュートリアル「隠士の教え」 |
一見しただけでは気がつきにくいが、画面のデザインや操作系も、細かいところが改良された。メニュー画面の色づかいが過去のバージョンよりも落ち着いた雰囲気になっているし、その配置も使いやすくデザインされている。処理速度も十分で、筆者が試した環境では、1ターンあたりの待ち時間が長くても5秒程度だった。3Dアクセラレータも必要としないので、解像度さえ問題がなければ、ノートパソコンでも十分楽しめると思う。1シナリオに掛かるプレイ時間は短くても10時間程度必要だが、自分のターンであればいつでもセーブすることができるので、昼休みなどちょっとした時間に楽しむのもまったく苦にならないはずだ。遊び方の基本をまとめた「チュートリアル」のできもよく、過去の作品に親しんだ「三國志」ファンはもちろん、この作品が初めてという歴史シミュレーション初心者でも気軽に楽しめると思う。
ただし、11,800円という価格がちょっと「お高く」感じるのもたしか。歴史シミュレーションプレーヤーのすそ野を広げるためにも、もうチョイお手ごろな値段ならうれしかったのだが……。
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【筆者紹介】
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