第39回 : PacketOneを認めながらiモードを選んだ理由 |
また、NTT DoCoMoの208シリーズ、および502iシリーズから採用されているハイパートークだが、N502i Hyperを購入して使ってみたところ、以前に利用した時とは異なる感想を持った。「大した違いはない」と思っていたのだが、改めて試してみると充分な音質。ことさら高音質と取り立てる必要はないと思うが、音質のみで否定するほどではない。どうやらチャンネルの混んでいる状況と空いている状況ではビットレートが異なるらしく、状況によって音質が変化するようだ。
■ PacketOneを選ばなかった理由
C302H | PacketOne対応カード |
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しかしPacketOneを選ばなかったのは、スペックではなく運用上の問題だ。
cdmaOneの音質が優れているとは言え、32Kbpsで音声通信を行なうPHSにはとても敵わない。また僕の仕事の範囲は、概ね都内や幕張、川崎、横浜などに限定されており、車で移動しながら電話待ちをするということもない。また地下鉄や地下街にいることも多いから、“話をする”ことに関しては携帯電話よりもPHSの方が都合がいい。
データ通信にしても、やはり同じような理由からPHSを使っている。高速に移動中、メールをチェックしなければならないこともなければ、PHSが使いにくい場所での通信も行なわない。
■ なぜiモードを選ぶのか
N502i Hyper |
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なぜこんなにメール機能にこだわるかというと、僕のiモード利用目的の90%ぐらいは、僕に届いた電子メールを転送することだからだ。iモードメールは全角250文字と、EZ Accessの2,000文字はもちろん、DDIポケットのPメールDX(受信全角約2,500文字、送信全角約1,000文字)の1/10(受信時)にしか過ぎない。しかしメールを自動的に配信してくれる。iモードメールを本格的にコミュニケーション手段として利用するのではなく、電子メールの着信確認プラス内容確認だけに利用しているからiモードを選んだというわけだ。
ライバルのEZ Accessは、着信確認とメールの冒頭100文字をショートメールで送信する機能を持っているのだが、さすがに冒頭100文字では足りないため(相手はショートメールと意識せずに文章を書いている)、自ずとEメールにアクセスするようになる。ところがEメールは数行づつに分割してメールを読む仕様になっているため一覧性が低い。
実際にどのようにメールを送受信するのかは別にして、端末上でページをめくる感覚無くシームレスに長文にもアクセスできればと思うのだが、残念なことに現在の端末はそうなっていない。着信確認の連絡を含め、メールの使い勝手をPacketOne陣営には再考を願いたい。逆にiモード側には、EZ PIMのようなアプリケーションも欲しいと思うのだが、こちらの方はメールよりも重要度が(僕の場合は)低いために目をつぶることにしている。
■ こんな人ならPacketOne
というわけで、逐次メールが届いていないと不安という特殊な人だから、僕はiモードを選んだのだが、世の中にはそうではない人の方が多いかもしれない。また携帯電話自身を情報アクセス端末として、あまり使いたいとは思っていない人もいるだろう。メール以外の機能に関しては、iモードよりPacketOneの方がいいと思うので、PacketOne対応機に心なびいている人はそのまま購入してもいいと思う。
期待の64Kbpsパケット通信は、実際に使ってみると確かに高速。FTPでのダウンロードテストでは64Kbpsフルスピードに近い速度が出ていた。繁華街の回線が混んでいると思われるような場所でも、速度はほとんど変わらない(もちろん本当に混んでくれば速度は落ちるはずなのだが)。
64Kbpsで画像付きのWebページを閲覧していると、すぐに1MB以上の通信量になってしまう(すなわちたくさんのお金がかかる)から、高速だからといってPHSと同じように使えるわけではないが、メールなど通信量の少ないアプリケーションをレスポンシブにしたいならば有効だ。
OutlookやNotesで管理しているスケジュール、アドレス帳、タスクリストを携帯電話で閲覧したい人もPacketOne対応機が適している。iモードからそれらのグループウェアにアクセスする製品もあるが、いずれもサーバサイドにインストールする製品であり、EZ PIMのようにユーザーレベルで同期ソフトを購入して対処できるわけではないからだ。
メール機能以外にも注文を付けるとすると、PacketOne対応機にもNEC製iモード端末のように情報アクセスツールとしての使い勝手を優先したモデル欲しい。EZ Accessで提供されているアプリケーションはサーバー側の機能として提供されているわけだが、それらサービスを快適に利用する道具として、まだPacketOne対応機は今ひとつのように思う。操作性が改善されたN502iを使っていると、これがPacketOneにも対応すればな……と思う。
携帯電話を電話として使わない偏った者の意見かもしれないが、今後携帯電話は音声だけではなく様々な情報の出口として利用の幅が広がっていくと思う。陳腐な言葉だが“マルチメディアな端末”が登場することを願いたい。
[Text by 本田雅一]