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Diablo II
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今年こそ発売か、「Diablo II」
【Diablo II】 |
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さて、今回の「Diablo II」は、前作と比較して様々な面でパワーアップが図られている。
■アイテムの増加
「Diablo」の楽しみのひとつに、アイテムの収集があった。「Diablo II」では、その楽しみをさらに深めるため、より多くのアイテムが用意されているという。もちろん、独自のグラフィックを与えられた“ユニークアイテム”も増加している。
■敵モンスターの増加
プレーヤーの行く手を阻むモンスターも、より多彩に。詳しい数はまだ明らかにされていないが、その中には、前作の最後に登場するボスキャラ“Diablo”以上に強力な敵が存在しているかも……。
従来のBattle.netは、あくまで対戦の場を提供するだけであり、各プレーヤーの情報はそれぞれのプレーヤーのパソコン上に記録されていた。それに対し、「Diablo II」の登場と同時に稼働する予定の新しいBattle.netでは、ユーザーの情報、具体的にはそのレベルや装備アイテムのデータを、すべてサーバー側に記録するように変更が加えられる。このシステム変更により、前作で多発したチートコードの使用を防いだり、悪質なPK(プレーヤー・キラー)を排除することが可能になるという。
前作のマルチプレイで、PKのだまし討ちに会い、貴重なアイテムを奪われた経験をお持ちの方も少なくないはず。そうした悪質プレーヤーが排除できるなら、一般のプレーヤーにとって朗報となるだろう。しかし、ひとつ心配なことが。それは、お金の問題だ。プレーヤー情報をサーバー側で管理するタイプのゲームは、「Ultima Online」や「Ever Quest」を始め、ソフトの代金とは別に月々のサーバー使用料がかかるところがほとんど。もしや、Battle.netも有料化するのか、と心配になった人もいるのでは? だが、BLIZZARD ENTERTAINMENT側によると、Battle.netは従来通り無料で運営する、将来的にも有料化するつもりはない、とのこと。そういったサービスも含めてユーザーに還元していきたいということで、ひとまず安心といったところか。
なお、新システムのBattle.netサーバーは、先に触れたように、「Diablo II」の発売と同時に本格運営を開始する予定になっている。最終的には、米国西海岸、同東海岸、ヨーロッパ、そしてアジア、以上4箇所にサーバーを立てる予定だという。
ちょっぴりお茶目な「Diablo II」制作者、Bill Roper氏 |
Watch編集部:ようやく完成が近付きましたが、それにしても時間がかかりましたね。
Bill Roper氏:完成が遅れたことについては、大変すまないと思っています。しかし、中途半端なものを早めに出すよりは、多少リリースが遅れようとも納得いくものを完成させた方が、結局はユーザーのみなさんのためになると考えたんです。
Watch編集部:外野から見ると、こうも寡作だとソフトハウスの運営にも支障を来してしまうのではと、思ってしまいますが。
Bill Roper氏:確かに、もっと短期間に開発を行なうことができればいいんでしょうが……。でも、それなりに完成度の高いものを作れば、ユーザーが支持してくれ、会社の運営もうまくいくものだと思います。実際、「Diablo」は、いま現在でも売れ続けているんですよ。「Diablo II」も、同じように多くのユーザーに支持されることを期待しています。
現在、「Diablo II」は、基本的な開発は完了し、近日中にβテストがスタートする。このテストはクローズドな状態で行なわれるが、数カ月後には、広く一般のユーザーを募って最終的なβテストが開始される予定となっている。テスト参加希望者の募集はBLIZZARD ENTERTAINMENTのホームページで告知されるとのことなので、興味のある方はまめにこのページをチェックしておくようにしよう。
このまま順調にいけば、2000年6月、「Diablo II」はようやくこの世に登場することになる。この作品を心持ちにしている一ユーザーとしては、βテストの段階でなにも問題が生じないことを祈るばかりだ。
「Diablo II」SCREENSHOT |
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システム一新。まったく新しい作品になった「Warcraft III」
【Warcraft III】 |
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もちろん、「Starcraft」は、「Warcraft」シリーズの作品ではない。しかし、リアルタイムシミュレーションである点は同じだし、なによりタイトル名からも同じライン上にある作品であることは明らかだ。実際、「Starcraft」のことを、「Warcraft」宇宙版と評価したメディアも多かった。そんなこんなで、今回の「Warcraft III」は、「Starcraft」のシステムを多少改変したものになるのでは、と予想していたのだが……。
実際に「Warcraft III」の画面を見て驚いた。なにしろ、従来とはまったく違う作品に仕上がっているのだ。まずは、今回入手した画面写真を見てほしい。「Starcraft」を含め、従来の作品は斜め俯瞰の2Dタイプだったが、今回はいきなり3Dになっているではないか。このグラフィックの描画には、BLIZZARD ENTERTAINMENTが独自開発した3Dエンジンが利用されている。拝見したのがまだα版以前の段階だったので実際の動きについては言及は避けるが、完成時には他社の開発した最新3Dエンジンと比較してもまったく遜色ない動きを実現できるという。
さらに、ゲームの進行も、従来とはまったく異なっている。これまでの作品では、種族の指導者であるプレーヤーが、マップ上に存在する各ユニットに同時に指示を与え、戦闘や生産活動を行なっていた。ところが今回の“III”では、“Hero”と呼ばれるキャラクターに率いられたパーティーが複数存在しており、それぞれが与えられたクエストを解いていくというシステムに改められている。各キャラクターはそのクエストを通し、経験値を獲得してレベルアップしたり、レアアイテムを獲得したりするというから、シミュレーションというよりは、むしろRPG的な要素が色濃くなったといえるだろう。ちなみにBLIZZARD ENTERTAINMENTは、このゲームのことを、“Role-Playing Strategy game”、通称“RPS”と呼んでいる。日本のコンシューマーゲーム業界でこの2、3年ブームになっている“シミュレーションRPG”と呼応しているようで面白い。
それにしても、あまりといえばあまりの変りようだ。開発者のロブ・バルドーは、一体どういう考えでこうした変更を断行したのだろうか。
Watch編集部:今回「Warcraft III」のプレビューを見せてもらって、大いに驚きました。これほどまでにシステムを変更したのは、なぜなのでしょうか?
Rob Pardo氏:確かに、「Warcraft III」は、従来の「Warcraft」シリーズとも、「Starcraft」とも異なるシステムを採用しています。これに関しては、異を唱える人もいるでしょう。しかし、私はシリーズというだけで、あまり代わり映えのしない作品を出し続けるというのは感心しません。その時点でより良いと思われるシステムがあれば、それを採用した方が、より面白いゲームを作り上げることができると思います。
Watch編集部:今回の新作は、従来の作品とはまったく異なる作品に見えます。この作品に「Warcraft III」とタイトルを与えると、従来のシリーズに慣れ親しんだユーザーの間で混乱を招くのではないでしょうか?
Rob Pardo氏:その点については、BLIZZARD ENTERTAINMENT社内でも意見が別れました。しかし、オーク対人間の戦いを描くという点において、このソフトはあくまで「Warcraft」シリーズに属する作品なんです。ストーリーも「Warcraft II」の延長線上にありますし。
その他にも、“Demon”とういう新種族が登場したり、多数のノンプレーヤーキャラクター(NPC)が用意されている等、従来とは大きく異なる要素が導入されたこの作品、2000年末発売予定ということで、まだまだ不明な点は多い。だが、発売時には、大きな話題となることは確実だろう。
Rob Pardo氏 | 「Warcraft III」SCREENSHOT |
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BLIZZARD ENTERTAINMENTのアジア戦略
今回、BLIZZARD ENTERTAINMENTの開発陣は、“アジアツアー”と称し、韓国と日本を訪問している。それは、それだけ両国を有望なマーケットとして認識しているからだという。日本での同社の作品の人気はいわずもがなだが、韓国では「Diablo」こそ約2万本程度に留っているものの、「Starcraft」が100万本を越える大ヒットを記録しているのだそうだ。今後も同社としては、このふたつの国をアジアマーケットの拠点と考え、勢力的なプロモーション活動を行なっていくという。もしこの両国で英語圏と同等の売り上げを達成できれば、Microsoftではないが、英語版と日本語版、そして韓国後版が同時リリース、なんて時代がやってくるかも知れない。
従来BLIZZARD ENTERTAINMENTの作品の日本国内販売は、ソースネクストが担当していた。しかし、「Diablo II」と「Warcraft III」を含め、今後リリースされるBLIZZARD ENTERTAINMENT製タイトルの日本国内販売元がどこになるのかは、いまのところ未定だという。ちなみに、BLIZZARD ENTERTAINMENTまたはその親会社のHAVASが、日本法人を設立する予定はないとのことだ。
(C)2000 Blizzard Entertainment. All rights reserved.
[Reported by 小笠原誠]
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