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2000 International CES

プロカメラマン山田久美夫のデジタルカメラレポート その2


会期:1月6日~1月9日(現地時間)
会場:Las Vegas Convention Center
   Sands Expo and Convention Center
   Las Vegas Hilton
   Alexis Park



 今回のCES2000では、開幕初日にキヤノンが「PowerShot S20」を発表。カシオも「QV-3000EX」や「WQV-1」を出品し、人気を博していたわけだが、それ以外にもデジタルカメラ関連の新製品を見ることができた。今回は、それらをまとめてレポートする。


■東芝、330万画素3倍ズーム「PDR-M70」、230万画素2.3倍ズーム「PDR-M60」を公開

 東芝は今回、ディーラーとプレス向けのブースで、「PDR-M70」と「PDR-M60」の2機種を公開した。といっても、現物はなく、外観写真と画素数、レンズスペック、価格などのみ発表された。

PDR-M70

 まず、「PDR-M70」は今年のフラグシップとなる330万画素の光学式3倍ズーム機だ。外観写真には日本国内向けブランドである「Allegretto」という文字が見られるため、日本市場向けを先行させて開発が進められていると思われる。

 デザインは、コンパクトカメラにきわめて近い雰囲気のもので、日本人好みの親しみやすいデザイン。外装も金属素材を使用しているようだ。

 また、スマートメディアの挿入口や液晶モニターのサイズから想像すると、「オリンパス C-2020」級か、それよりも小型に仕上がっているようで、330万画素の3倍ズーム機とは思えないほどのコンパクトさ実現している。操作部は現行の「Allegretto M5」とほぼ同じレイアウトを踏襲しており、なかなか使いやすそうだ。価格は899ドルを予定しており、米国で4月に発売されるという。

PDR-M60

 一方の「PDR-M60」は、230万画素CCDで光学2.3倍ズームを搭載していながらも、わずか499ドルという低価格を実現している点が最大の特徴。M70が日本向けだとすれば、こちらは明らかにアメリカ市場を意識したモデルに仕上がっている。

 なお、ボディには2.1MegaPixelと表記されているが、有効画素数表記となる米国市場に対応したもの。もちろん、説明文では2.3MegaPixelとなっており、1,792×1,200ピクセルという画像サイズから見ても、230万画素CCD搭載機であるのは確実だ。
 デザインは曲面を多用したM5系統で、ボディサイズは先のM70よりもやや大きめなようだ。また、レンズは2.3倍と、わずかながらも2倍ズームを上回っている。
 本機は米国市場で今年の高画素機のメインとなる、価格、デザイン、スペックに適ったものとなっており、価格も499ドルとかなり大胆なものとなっている。この価格であれば、日本でもそこそこ人気になりそうだ。こちらも米国で4月の発売を予定しているという。

 いずれも、日本国内向けの発表はないが、日本で発売される可能性は十分にある。とくに、コンパクトな330万画素3倍ズームモデルの「Allegretto M70」は、なかなか魅力的なモデルだけに、正式発表が待ち遠しい。また「PDR-M60」のような230万画素のズーム機が、499ドルレベルになれば、デジタルカメラの普及に拍車がかかるのも確実。できれば他社も、この価格帯でこのクラスのモデルを投入して欲しいものだ。


 このほか同ブースでは、プロトタイプながらも、実に魅力的なメモリーカード式デジタルビデオカメラが出品されていた。

 このモデルは、200万画素CCDを使った3倍ズーム機で、スタイリングもなかなか個性的。ビデオカメラだが、記録媒体はテープでもDVDでもなく、Type2のPCカードを採用。つまり将来的に広がる可能性のあるメモリカードタイプのデジタルビデオだ。

 動画時の画像サイズはQVGA(1/4VGA)とQQVGA(1/16VGA)と小さめで、前社はテレビ用、後者はWeb用と説明されている。また、説明パネルにはないが、200万画素での静止画撮影もできるようだ。レンズは光学3倍ズーム。ビデオとしてはやや物足りないが、画素数が多いため、デジタルズームでも十分な画質が得られるだろう。

 なお、本機は完全なプロトタイプであり、製品化の予定はないという。だが、コンセプト、機能、デザインともに、なかなか魅力的であり、近い将来、本機をさらに発展させたモデルが登場することを大いに期待したい。


■Polaroid、超低価格モデル3機種を一挙に発表

 Polaroidは今回、きわめて低価格な普及型デジタルカメラを一気に3機種も正式発表した。

 米国では、昨年の後半からデジタルカメラがブレイクし始めており、今年中には台数ベースで日本を越えるといわれている。もちろん、日本と同じような価格帯のモデルも人気があるが、それ以上に100~200ドルといった低価格帯のモデルに人気が集中している。その価格帯での人気ブランドとなっているのが、Polaroidだ。

PhotoMAX PDC1100 PhotoMAX FUN! Flash640 PhotoMAX FUN! Digital 320 Creative kit

 今回発表されたものは、メガピクセルの2倍ズーム機ながらも299ドルを実現した「PhotoMAX PDC1100」、VGAの液晶モニター付き単焦点モデルで149.95ドルの「PhotoMAX FUN! Flash640」、わずか59.95ドルの1/4VGAモデル「PhotoMAX FUN! Digital 320 Creative kit」。いずれも日本では信じられない程の超低価格を実現している。さらに米国では低価格モデルでも、接続キットや画像系のアプリケーションソフトが同梱されていることを考えると、驚異的な価格といえる。

 まず、「PhotoMAX PDC1100」はメガピクセルの2倍ズーム機で、記録媒体にコンパクトフラッシュを採用しており、4MBタイプが同梱されている。液晶モニターは1.8インチで、画像サイズは1,152×846ピクセル。CCDの画素数は明記されていないが、メガピクセルで1/3インチタイプを搭載しているという。

 VGAの「PhotoMAX FUN! Flash640」は1.8インチの液晶モニター付きモデル。もちろん、ストロボ付きだ。メモリーは2MBの内蔵式のみで、撮影枚数は15枚と少ない。しかし、149ドルという価格でも、きちんと接続キットからACアダプターまで同梱されているのは立派だ。

 わずか59.95ドルの1/4VGAモデル「PhotoMAX FUN! Digital 320 Creative kit」は、カメラとしては実にシンプルなもの。だが、この価格帯でも、PhotoMAX SE2.1という画像を加工して楽しめるアプリケーションソフトが同梱されており、このキットだけを購入すれば、とりあえず、デジタルイメージングを楽しめる点をアピールしていた。

 いずれも、モノとしての仕上がりは、さすがに価格相応のものだが、実用性を考えれば十分なレベル。また、画素数も全般に少な目だが、米国ではE-Mailへの添付やちょっとしたグリーティングカードなどに使われるケースが多いため、メガピクセル機でも十分であり、VGAや1/4VGAでもE-Mail用なら問題ない。
 むしろ、米国では実販価格が日本とは比較にならないほど重要視されており、価格によるセグメント分けが実に明確だ。つまり、製品の善し悪しもさることながら、「199ドルでどれだけ魅力的なものが買えるのか」という部分のほうが重要視される。
 とくに、200ドル以下のクラスは、現在やきわめて熾烈な市場となっている。なにしろ、昨年末には、米国の大手量販店で、瞬間的ではあるが、「富士フイルム MX-1200」(日本名「FinePix1200」)が接続キット込みで、199ドルというプライスをつけたほどだ。

 今回のPolaroidの3機種は、まさにこの米国の特殊性をターゲットにした製品といえる。現在のところ、日本国内での販売予定はないようだが、この価格帯であれば、日本でも試しに買ってみようという人がいると思うのだが。


■Vivitar、80ドル以下のソフト付き子ども向けカメラを出展

 Vivitarは「e-Cam」を展示。このモデルは昨年秋から米国で発売されているモデルだが、なかなかユニークなので紹介しておこう。

 この「e-Cam」はわずか80ドル以下の子ども向けモデルで、CMOS素子を採用したコンパクトな固定焦点式VGAモデル。ファインダーは光学式のみ。内蔵メモリ専用で、24枚の撮影ができる。

 流行の半透明ボディーを採用した、子ども向けとは思えないオシャレなモデルだ。しかも、この価格でありながらも、画像処理ソフトのLivePixが付属しており、簡単な画像補正はもちろん、いろいろなバリエーションプリントを作って楽しむことができる。

 最近は米国のPCショップでも、子ども向けソフトの売場で80ドル前後のこのようなソフト付きのデジタルカメラが販売され始めており、日本とはだいぶ違った展開となっている。このような製品が日本でも気軽に買えるようになると、デジタルカメラをもっと気軽に楽しめる時代になりそうだ。


■Samsung、320万画素相当で撮影可能なオートフォーカス式PCカメラを公開

 韓国のSamsungは、高画質で多機能なPCカメラ「Scan Net Camera SNC-320」を出展した。このモデルは、いわゆるテレビ会議用のUSB式PCカメラなのだが、その機能は同種のモデルとは別格といえる。まず、CCDは1/3インチ85万画素タイプを採用。ピントもフルレンジのオートフォーカスと、PCカメラとしては非常に高機能となっている。

 さらに本機の最大の特徴は、静止画専用の「3.2M Pixel Mode 高画質静止画スキャンモード」を使うことで、320万画素相当の高画質データを得ることができるとしている。残念ながら、それ以上の説明はないが、おそらく、画素ずらしにより4回撮影したデータを合成して320万画素相当にするものと思われる。

 日本ではいまひとつパッとしないPCカメラだが、アメリカでは結構普及している。そのため、今後はこの手のモデルにも高画素や多機能化が進むものと思われるが、本機はその先駆け的な存在になりそうだ。

 また、CES2000でも、カラフルなトランスルーセントモデル「SDC-80」も出品されていた。


■Feiya Technology、CF Type2用スマートメディアアダプタ「CF-SMアダプタ」

 台湾のメモリカードメーカーであるFeiya Technologyは、CF Type2スロットでスマートメディアカードが読み書きできる変換アダプタ「CF/SM ADAPTER」を発表した。通常のATA系カードが使える環境であれば、特殊なドライバーソフトを必要とせずに利用できるという。

 もともとこの製品は、CFカードしか対応していないPalmタイプのWindows CEやMP3機器で、スマートメディアカードを使えるようにするために開発されたもの。写真で分かるように、このアダプタにスマートメディアをセットすると、約10mmほど出っ張ってしまう。そのため、デジタルカメラの場合には、ふたを開けた状態で利用できる機種という制限が付くため、ほとんど使えるモデルはないのが残念だ。

 価格は60~70ドルを予定しており、日本国内でも今春に別ブランドで発売される予定としている。


■VideoChip Technologies、携帯型液晶ビュワー「WALLET」

 VideoChip Technologiesは、CFカードに記録した画像データを簡単に再生できる携帯型液晶ビュワー「WALLET」を参考出品した。形状的には厚手の写真立てといった感じのもので、液晶表示は320×240ピクセルで、ほぼサービス判サイズ。画像フォーマットはJPEGとTIFF、BMPに対応しているという。

 この製品は単なるデジタル写真立てではなく、バッテリで動くため、ビジネス用の簡易プレゼンテーション用途にも使えるという。価格は未定だが、液晶モニターのサイズが大きいため、それほど低価格ではないようだ。



□2000 International CESのホームページ(英文)
http://www.cesweb.org/
□関連記事
【1月7日】プロカメラマン山田久美夫のデジタルカメラレポート
キヤノンの米国法人が300万画素機「PowerShot S20」を発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000107/canon.htm

(2000年1月12日)


[Reported by 山田久美夫]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp