インテル、WiMAXとCalpellaでモバイルPC市場を牽引
3月3日 開催 インテル株式会社は3月3日、都内でプレス向けミーティングを開催し、2009年後半にかけてのコンシューマ市場向け戦略などを説明した。 冒頭で同社代表取締役社長 吉田和正氏は、「現在、世界は不況に陥っているが、今後は回復基調にあると思う。我々は今後も新しい製品によって新たな市場を創出し、不況を打開していきたい」と挨拶した。 新製品を生み出すために、同社は従来通り、「Tick Tock」の開発モデルに基づいた製品開発をしていく。2009年後半以降の32nmプロセス製品の量産に向け、現在オレゴン州にあるD1Dが稼働しているほか、2009年内にはD1C、2010年にはアリゾナ州にあるFab 32とニューメキシコ州にあるFab 11Xで順次立ち上げを行なう。このために本社は2009年度中に70億ドルの投資を決定している。 また、NehalemアーキテクチャをベースとするモバイルPC向けプラットフォーム「Calpella(カルペラ)」も2009年後半に投入予定で、今のCore 2ベースの製品に置き換えることで、今後ニーズが高まるモバイルPC市場に、新たな付加価値を提供していきたいとした。
2月26日に開始したUQコミュニケーションズのWiMAXサービスについても触れ、「日本国内では2012年末までに90%の人口カバー率をコミットしているが、我々としてもWiMAXをCentrinoに取り入れることで、さらなる普及を目指す。2003年に無線LANがCentrinoに取り入れられ、現在では当たり前となったように、WiMAXも同様の戦略を採る」と話した。 WiMAXの位置づけとしては、3Gネットワークと無線LANのギャップを埋めるためのものとする。今後、3G/WiMAX/無線LANがすべてデバイスに組み込まれたときに、アンテナの技術も重要になるとし、必要に応じてアンテナの周波数帯を切換える技術が今後必要だと指摘した。 WiMAXがユーザーに与えるメリットについてもインテルが訴求していく。「我々は現在社員約200名にWiMAXモジュールを配布済みで、社員が実際にWiMAXを利用することで、ライフスタイルや生産性向上に与える変化を調べ、ユーザーとともに考察していきたい」とした。
●WiMAXでモバイルの利用形態を加速 2009年のマーケティング戦略について、同社 マーケティング本部長 江田麻季子氏は、「2008年はモバイルPCの出荷がデスクトップPCと横並び、もしくは超えた歴史的な1年であった。2009年はこのモバイルPC市場がさらに成長することを見込み、モバイルPCを中心とした訴求を行なっていく」とした。 そのモバイルPCへのニーズは主に3つあると指摘する。1つ目は軽量性や優れたバッテリ駆動時間への「モビリティ」のニーズ、2つ目はどこでもインターネット環境が利用できる「コネクティビティ」のニーズ、そして3つ目はもっとも多くのユーザーが重視する「パフォーマンス」のニーズだという。 いずれのニーズも現状のプラットフォームである程度カバーできているが、同社はモバイルWiMAXによって、モバイルPCへのニーズをさらに促進していき、新たな利用価値を生み出していきたいという。
モバイルWiMAXを活用した一例として、実際にインテル社員が有楽町や秋葉原、六本木などの外出先で、YouTubeでビデオストリーミングやPCコミックのダウンロード、音楽のストリーミング、オンラインゲーム、ビデオチャットを行なう様子をデモし、「どこでも広帯域インターネットが利用できる環境が、モバイルPCの利用形態をさらに広げるきっかけになる」と紹介した。 プロモーションについてはこれまでに引き続き、店頭POPやTV CM(3月7日~29日まで上映)、オンライン広告などで展開していくとした。
●2009年の製品ロードマップ 2009年の製品ロードマップについて、同社 技術部長 土岐英秋氏が解説にあたった。同氏も、2009年はモバイル向け製品がメインになると話す。 2009年前半では、Centrino2のプラットフォームを継続する。高性能なCentrino2プラットフォームは、Pentium Dual-CoreやCeleronと比較して早くタスクを完了できるだけでなく、完了後に素早くアイドルに適したパワーステートに遷移することで、総合的にかかる消費電力をPentiumやCeleronと比較して低くすることができ、バッテリ駆動時間を延長できるとし、メリットを訴求していく。 SSDに関しては、既存の「X25/X18-M Mainstream SSD」、「X25-E Extreme SSD」を継続するが、2009年中に50nmプロセスから34nmプロセスに移行する予定だという。具体的な製品名は明らかにされなかった。
無線LANでは、Centrino2向けに「My WiFiテクノロジー」を今後新たに付加する。これは無線LANアダプタに仮想的に2つのMacアドレスを付加し、無線LANと無線PAN(Personal Area Network)の両立を図るもの。 従来、一部の機器間の接続ではアドホックモードによる接続のみをサポートしており、「機器間の接続はアドホックモード、インターネット接続時はインフラストラクチャモード」といったように切り換える必要があったが、この技術によりこの問題を解消できるという。これにより、最大8台までのデバイスをPANで組むことができ、モバイルPCをHubにするような使い方が生まれるとした。 WiMAXへは、7月以降に出荷予定のモバイルPCに搭載する「WiMAX/Wi-Fi Link 5050」シリーズのモジュールで対応を行なう。提供するモジュールは3種類で、無線LANアンテナ構成が3×3でMini PCI Expressサイズの「5350」、同1×2でMini PCI Expressサイズの「5150」、同1×2でハーフレングスMini PCI Expressサイズの「5150」になるという。
メインストリームおよびモバイル向けのPCプラットフォームは、CPUがPenrynベースの3チップ構成から、Westmere(Nehalemの32nm版)ベースの2チップ構成に推移する。WestmereではCPUにグラフィックス機能とメモリコントローラを内蔵し、コンパニオンチップは1チップのIntel 5シリーズとなる。2チップ構成により高性能を実現するとともに、低消費電力化を図るとした。 CPU内蔵のビデオ機能の信号に関しては、直接出力することも可能だが、Intel 5シリーズと組み合わせる場合で、HDMI出力時などに音声をミックスする必要があるため、チップセットにも出力できるフレキシブルな仕様を採る。 また、パワーマネジメント機能も強化し、各コアごとに電源のON/OFFと、C6ステートに遷移できるようになったという。さらに、これまでこれらのパワーマネジメント機能はモバイル向けCPUでのみ有効にされたが、今後はデスクトップ向けCPUに対しても有効にしていくとした。
□インテルのホームページ (2009年3月3日) [Reported by ryu@impress.co.jp]
【PC Watchホームページ】
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