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モバイルプラットフォーム基調講演レポート
〜CalpellaやLenovo S9が壇上に登場

Intel主席副社長兼モビリティー事業本部長 ダディ・パルムッター氏

会期:8月19日〜21日(現地時間)

会場:米San Francisco Moscone Center West



 IDF初日となる8月19日の午後は、デスクトップ/エンタープライズの基調講演に続いて、主席副社長兼モビリティー事業本部長であるダディ・パルムッター氏によるモバイルプラットフォームに関する基調講演が行なわれた。

 パルムッター氏による基調講演のテーマは「Where will "On-the-Go" Go? 〜 On-the-Goはどこへ行くのか?」というもの。つまり、Centrinoによって普及した、いつでも使えて、いつでもインターネットへ接続できるようなモバイルPCが、この先どうなるのか、というビジョンを示すものとなった。

●モバイル向けクアッドコアCPUとIntel製SSDを正式発表

 Intelのモバイルプラットフォームグループにとって、ノートPCの出荷台数がデスクトップPCを上回り、ノートPCをメインストリームの存在に押し上げることが2010年までに達成すべき1つの大きな目標だった。その目標は来年にも達成できる見込みとなっている。

 そして、次の10年の目標として掲げているのが、IAベースのインターネットデバイスを10億台販売することである。「この実現に関しても自信を持っており、それ以上の野心を持っている」とパルムッター氏は述べた。それは、もっと優れたテクノロジーを開発して、より軽量で、より高性能で、より高機能なものを提供していくことである。パルムッター氏は、そのような次に投入するテクノロジーを「大きいものから小さいものへ」と順を追って紹介していった。

 まず紹介されたのが、ハイパフォーマンスノートPCに投入されるクアッドコア製品である。すでに投入されることは公になっていたが、「Core 2 Extreme QX9300」として投入されることが正式に表明された。Montevinaプラットフォームで利用されるCPUなのでFSBは1,066MHz。動作クロックは2.53GHzとなる。このクアッドコアCPU搭載ノートPCを用い、1080p映像によるビデオカンファレンスを行なった状態でCPU使用率が50〜60%に留まっていることを示し、このヘッドルームを用いてマルチタスク作業も可能であることをアピールした。

 続いて話題はメインストリーム向けノートPCに関するものとなったが、こちらは、今年Montevinaプラットフォームが登場したばかり。Montevinaの主要機能についてのデモを中心に話題が進んだ。

 そして、今年春のIDFで告知されたIntel製SSDの発売を正式発表。9月に出荷が開始され、今年第4四半期までに160GBのモデルを投入することが表明された。もちろん、こちらのデモも行なわれ、1秒間の読み込み処理回数を5,400rpmのHDDと比較。HDDが55回程度であるのに対して、SSDは7,000回を超えるという、桁違いの処理能力を見せつけた。このSSDのメリットについては、バッテリ駆動時間の向上のほか、待ち時間が無くなることになる生産性の向上などを挙げている。

デスクトップPCとノートPCの出荷台数の比較。来年にもノートPCがデスクトップPCを上回る見込み。10億台のインターネットデバイスを出荷することを次の目標に掲げた パルムッター氏が語る話題をまとめたプレゼン。画像は当初7項目だったが、北京五輪におけるマイケル・フェルプス選手の8冠達成にあやかって(?)、急遽、First Notebooksの画像が追加された

モバイル版クアッドコアCPUを使ったデモ。1080p映像によるビデオカンファレンスのデモで、この状態でもCPU使用率が50〜60%程度に留まることをアピールした Montevinaの話題で登場した、VAIO type Zのスイッチャブル・グラフィック機能のデモ。外部GPU使用時と内蔵グラフィック使用時の電力比較で、約9W削減されている。Montevia関連では、このほかに動画エンコードやHD動画再生のデモが実施された

Intel製SSDは9月に出荷が開始される予定。年末までに160GBに達する予定だ 5,400rpm HDDのリード処理回数は1秒間に55回程度 Intel製SSDでは、1秒間に7,000回を超える読み込み処理を実行している

●NehalemベースのCalpellaの実動作デモ

 そして、パルムッター氏は、次のメインストリームノートPC向けプラットフォームとして予定されている「Calpella(カルペラ)」のデモ機を紹介。前回のIDFでは、Calpellaに搭載される無線LANアダプタのデモだけであったが、今回はこのプラットフォーム上でWindows Vistaが動作している状態で紹介が行なわれた。現在は検証段階にあるという。

 このCalpellaは、NehalemベースのCPUが用いられる予定で、4コア/8スレッドのCPUも投入されると表明。「Nehalemに組み込まれるのはパワーマネージメントだけではない」と含みを持たせ、詳しくは次回のIDFで紹介することを約束している。

 次に紹介されたのは、スモールフォームファクターPCだ。IntelはSanta Rosaプラットフォーム世代で、スモールフォームファクター向けに小型チップをリリースした。Montevinaプラットフォームでも、35平方mmから22平方mmへ面積を縮小できる小型チップを投入することを正式に発表。

 ここで、HPのVice PresidentであるKeith LeFebvre氏が大小、2つのノートPCを持参して登壇。ノートPCはすでにコモディティのビジネスになっており、さまざまな人々同士をつなぐものでなくてはならないと主張した。そして、その実現のためにリサーチ部門に多大な投資をしており、そこから生まれたものとして、持参した2つのノートPCを紹介した。

初公開となるCalpellaの実稼働デモ。ユニークな動作デモは実施されなかったが、Windows Vistaが動作する段階に来ていることは確認された Montevina世代においても、スモールフォームファクター向けの小型パッケージがリリースされる 大小2種類の製品を持って登壇したHPのKeith LeFebvre氏

LeFebvre氏が紹介した製品の1つ。非常に頑丈で、従来製品から曲げ強度が80%向上したことや、表面に傷がつきにくい点をアピールした。また、14インチモデルでは12セルバッテリにより、24時間のバッテリ駆動が可能であるという こちらはクアッドコアCPUを搭載するモバイルワークステーション。Dreamcolorと呼ばれる液晶を搭載することで色再現性が高め、液晶と、紙やフィルムと同じイメージで製作できる、デジタルコンテンツクリエイションに向いた製品

●Lenovoの8.9型液晶搭載ネットブックが壇上に

 パルムッター氏の基調講演は、ここで一息つき、セキュリティに関する話題となった。セキュリティに関しては、ノートPCの人気が高まれば当然クローズアップされてくる問題であるとし、ここでは盗難などに対するデータセキュリティに関する機能である、Anti-Theft Technologyが紹介された。

 Anti-Theft Technologyは春に行なわれたIDFで概要が示されたもの。盗難に遭ったPCからのデータを抜き出せないようマネージメントするための機能で、基本的にはデータを暗号化しておき、管理者が許可したクライアントでないと読み出しが行なえないようにしたり、盗難されたPCに内蔵されたGPSを利用して所在地をトラッキングする機能などを含んでいる。

 このAnti-Theft Technologyは、対応端末、ソフトウェアが今年末までに登場する予定となっており、前者はLenovoと富士通シーメンス、後者はAbsolute Software、Phoenix Technologyから提供されることが発表されている。

 その他、パルムッター氏の基調講演ではWiMAX、ネットブック、MIDに関する話題が取り上げられた。WiMAXに関して日本に関係する新しい情報はとくになく、来年からサービスが開始されることが繰り返しアナウンスされた程度。今後、インドで2.5GHz帯の利用許可が下りたことから、そちらへの展開にも希望を示した。

 ネットブックについては、現在の状況を想像以上と捉えている模様。Atomは新興市場を見据えていたが、成熟市場でも使えるものとして普及しているのは嬉しい驚きであるとしている。

 壇上には各社から発表、発売されているネットブック製品が展示されたが、この中には、現時点では未発表のLenovo製8.9型液晶搭載ネットブック「S9」も展示され、講演終了後に写真撮影に臨んだ報道関係者を中心に、高い注目を集めていた。

 MIDに関しても簡単に紹介のみが行なわれ、詳しいことは翌日に行なわれる予定のアナンド・チャンドシーカ氏の基調講演に譲られている。その基調講演では、Menlowに続くMIDプラットフォームであるMoorestownが大きな話題となる見込みだ。

 最後にパルムッター氏は、基調講演のテーマであるOn-the-Goがどこへ行くのかについて、答えは「分からない」であるとしている。というのも、今回方向性は示したものの、基本的にはIntelはテクノロジーを提供するだけであって、イノベーションを起こすのは開発者であると呼びかけた。

 こう述べるとおり、今回のパルムッター氏の基調講演は、大きな夢を語ることもなく、氏の雰囲気そのままに淡々と技術をアピールするに留まった。Montevina登場直後で大きなトピックがないという現実もあるのだろうが、ネットブックが想像以上の成果を上げているように、Intel主導ではない波も起こっている。

 パルムッター氏は開発者への呼びかけのなかで、新しいデバイス、新しい使い方を考えて、新しいビジネスチャンスを運んでほしいと述べた。そして、午前中のクレイグ・バレット会長の基調講演でも、イノベーションにつながるアイデアに賞金をかけている。このような、ユーザーや開発者からのムーブメントを積極的に取り入れていく姿勢を強くアピールしているのが、今回のIDFの大きな傾向の1つになっている点は非常に興味深い。

Anti-Theft Technologyのデモ。盗難にあったPCを無効化。暗号化されたデータが読み出せなくなる ノートPCに内蔵されたGPSを利用して、盗難に遭ったPCの位置をトラッキング 盗難に遭ったPCのWebカメラを遠隔稼働させてみたら、犯人はIntel上級副社長のパット・ゲルシンガー氏でした、というオチ

各社から発売・発表されている、さまざまなネットブック製品 Lenovoの未発表ネットブック「S9」。S10の液晶パネルを、そのまま8.9型に置き換えたような外観になっている Atom搭載製品の存在により、モバイルPCの出荷台数は飛躍的に伸びる見込みであるとした

□Intelのホームページ(英文)
http://www.intel.com/
□IDFのホームページ(英文)
http://www.intel.com/idf/
□IDF Spring 2008 レポートリンク集
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/link/idfs.htm
□関連記事
【8月5日】Lenovo、Atom/10.2型液晶搭載のネットブック「IdeaPad S10」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0805/lenovo.htm

(2008年8月21日)

[Reported by 多和田新也]

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