エプソン「Endeavor MR6000」
~バランスの良いマイクロタワーPC




エプソン
「Endeavor MR6000」
(ディスプレイは別売)

発売中

価格:60,900円~




 エプソンのデスクトップPCは、最上位で大型タワーの「Pro」シリーズから省スペースの「AT」や「ST」まで、幅広い機種をそろえている。

 MRシリーズは、ちょうど中間に位置する製品で、Proシリーズに近い性能をマイクロタワーケースに詰め込んだ製品だ。とくに、新機種のMR6000は、少し余裕のある大きさのケースにIntel G45チップセットベースのシステムを組み込んでおり、個人の主力PCにも向いたモデルとなっている。

●幅広いBTO対応

 MR6000は、BTOにより、幅の広い構成が可能だ。今回は10万円プラスαで、程の良いシステムを組んでテストしてみた。

 今回、試用した「Endeavor MR6000」の仕様は以下の通りだ。

今回試用したEndeavor MR6000
OSWindows Vista Home Premium SP1
CPUIntel Core 2 Quad Q9400(2.66GHz)
チップセットIntel G45 Express + ICH10R
グラフィックス機能Intel G45内蔵(GMA X4500HD)
メモリPC3-8500 DDR3 SDRAM 2GB
HDDSerial ATA 250GB 7,200rpm
光学ドライブスーパーマルチドライブ
ネットワークGigabit Ethernet
掲載時の直販価格113,925円(送料込み)

 なお、BTOでは、CPUはCeleron 430(1.8GHz)やCore 2 Duo E8500(3.16GHz)、Core 2 Quad Q9550(2.83GHz)などが選択可能。メモリは512MB~4GBまで、グラフィックはATI Radeon HD 4850やNVIDIA GeForce 9500 GTなどが選べる。そのほかHDDは3基まで選択可能でRAID 0/1/5に対応。OSはWindows Vistaが中心だが、Windows Vista Businessを選択すれば、Windows XP Professionalへのダウングレードも可能だ。

●使いやすく拡張性のあるケース

本体背面。電源がトップにあるスタンダードな作り

 MR6000の本体サイズは、179×396×368mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約10.2kgとなっている。机の上、ディスプレイの脇に置いて邪魔にならないぎりぎりの大きさだ。

 最近は、スリムタワーやキューブなどの小型ケースが人気で、このサイズの通称マイクロタワーは、注目されることが少ない。しかし、本体内の冷却や拡張性を考えると、実はバランスの良い存在なのだ。

 たとえば、冷却ファンの大きさも、スリムタイプよりも大きな口径のものが使える。また、拡張する場合も、内部に余裕があるので、カード類を増設する場合も手が入りやすく、無駄な分解作業もいらない。拡張スロットへ入れるカードの制限も緩いので、デスクトップPCらしい増設を楽しむことができる。

 では、ケース内部を見ていこう。マザーボードの規格はmicro ATXだ。

サイドパネルを外した状態からでも各部への見通しがいい PCIレーン回りには障害物がない。上からPCI Express x16、PCI×2、PCI Express x1となっている サイドダクトは少しだけ出っ張っている。またグラフィック増設時に効果を発揮するサイドスリットもある
PCI部分も標準的な形状でネジ止め式 サイドパネルはヘッドが太く、手で回せるネジで固定されている。

 ストレージベイは、5インチ×2、3.5インチ×3が用意されている。ストレージベイは、「HDDスウィングアクセス」と名付けられているように、ネジを2つ手回しではずし、ストッパーを上げると90度回頭できる仕組みになっている。さらにストッパーを下ろせば、そのまましっかりと固定できるため、この状態でHDDを固定するネジを外すことができるし、HDDの取り付けができる。ストッパーによる固定はなかなか強固で、HDDケースを手で支える必要がない。

「HDDスウィングアクセス」は90度までHDDケースを回頭可能 初期状態と90度状態の固定は同じストッパーを使用する 90度回頭させて固定したところ。がっちり固定されるため、HDDの取り付けや取り外しがとても楽
テスト機にはSeagate 250GB 7,200rpm(ST3250310AS)が搭載されていた メモリにアクセスするときも「HDDスウィングアクセス」を利用する。写真の通り、楽にメモリを確認できるのだ

 PCI ExpressやPCIのスロット周辺も障害となるものがない。ボード長はPCI Express x16とx1が230mm、PCIはスロット1が230mm、スロット2は312mmまで対応している。高さも余裕があり、ビデオカードはミドルクラス、PCIはフルサイズまでセットできる。

 メモリへのアクセスも楽である。メモリ上部の空間が広く空いているし、HDDケースをスウィングさせてしまえば両手で作業することができる。ケースを立てたままでも、作業できるぐらいだ。

 フロント下部の吸気口も、床面よりもやや高い位置にあるため、ホコリを吸い込みにくくなっている。

 本体左側面にはCPUクーラーの吸気用のダクトがある。またPCI Express x16の直上にはスリットもあり、増設時の冷却性能もしっかりと考えられた作りだ。なお吸気ファンはないが、通常使用の範囲であれば、冷却面ではなんら問題はない。

●カードリーダーとHDMI端子を装備

 本体前面は化粧パネル付きのDVDドライブ、マルチカードリーダ(CF/SD/SDHC/MMC/メモリースティック/スマートメディア)、USB 2.0×3、マイク・ヘッドフォン端子が用意されている。マルチカードリーダは標準搭載となっており、アクセスしやすい位置にある。

 USB端子は3基用意されている。多くのケースはUSB端子が複数接した形で配置されているが、「Endeavor MR6000」の場合は端子間の間隔が広く、幅を取るUSB機器も楽に取り付けることができる。このあたりは国内メーカーらしい心配りだ。

 本体背面はごく普通の作りだが、ディスプレイ端子にちょっと特徴がある。今回の構成では、DVI端子の代わりにHDMI端子が用意されている。大型TVなどへの接続を考慮してのことと思うが、手持ちのディスプレイにDVI接続をする際は、付属のHDMI→DVI-D変換ケーブルを利用しよう。もちろん、ビデオカードを増設するという手もある。

フロントには、マルチカードリーダ、USB端子×3、マイク・ヘッドフォン端子、電源がある 背部のI/OはPS/2やUSB、IEEE 1394など標準的な構成。DVI端子の代わりにHDMI端子になっている

 「Endeavor MR6000」の電源ケーブルは、ちょっと変わっていて、先端が二股となっている。これは大型タワーケースに用意されていたディスプレイ用のサービス電源に代わるもので、コンセントが足りなくなりがちなオフィスでは液晶ディスプレイの電源を取ることができる。

 キーボードは普通の品質だが、打鍵音が抑えられたオフィス向きの製品だ。側面にUSB端子が用意されていて、マウス接続以外にも、カードリーダやUSB経由の充電などに使えそうだ。

電源ケーブルの形状は特殊だが他のケーブルと干渉しにくいだけでなく、サービス電源機能も有している キーボード。打鍵音が発生しにくく静かなタイプ。また任意登録可能なホットキー、サイドにUSB端子を備える 付属のマウスは、標準的な光学マウス

●基礎体力の高いベンチマーク結果

 ベンチマークは以下の通りで、「PCMark Vantage 1.0.0.0」と「PCMark05(Build 1.2.0)」、「3DMark06(Build 1.1.0)」、「フロントミッションオンラインオフィシャルベンチマーク」、「モンスターハンターフロンティアオンラインベンチマーク」を使用した。また、Windowsエクスペリエンスインデックスも計測している。

Endeavor MR6000 ベンチマーク結果
PCMark Vantage 1.0.0.0F
PCMark Score4776
Memory Score2942
TV and Movie Score3787
Gaming Score2581
Music Score4349
Communications Score4492
Productivity Score4460
HDD Score3542
PCMark05 Build 1.2.0
PCMarks5700
CPU Score8479
Memory Score5447
Graphics Score2226
HDD Score6184
3DMark06 Build 1.1.0
1,024×768ドット32ビットカラー(3Dmarks)1336
SM2.0 Score382
HDR/SM3.0 Score547
CPU Score3576
Windowsエクスペリエンスインデックス
プロセッサ5.9
メモリ(RAM)5.9
グラフィックス4.7
ゲーム用グラフィックス4.2
プライマリハードディスク5.9
フロントミッションオンラインオフィシャルベンチマーク
1,024×768ドット5749
モンスターハンターフロンティアオンラインベンチマーク
1,024×768ドット859

電源はDELTA製DPS-300AB。スペックは300W、+5V/19A、+3.3V/16A、+12Vcpu/11.5A、+12V/11Aとなっている

 結果は、CPUがクアッドコアのQ9400ということもあり、十分なスコアとなっている。ベンチマーク以外で30MBのExcelファイルや、画像の多いパワーポイントファイルを開いてみたが、まったくストレスを感じなかった。どんな用途にも向いた、基礎体力の高さだ。

 またGMA X4500HDのスコアもオンボードとしては上々で、軽いゲームならプレイできそうだ。もちろん、ゲーミング用にするならビデオカードの増設は必須だ。搭載されている電源はDELTA DPS-300AB(300W)で、BTOで選択可能なRadeon HD 4850やGeForce 9500 GTならば十分に対応できる。

 また動画をよく見る場合でもGMA X4500HDはH.264、MPEG-2、VC-1の動画支援をサポートしているため、ビデオカードの増設をしなくてもそれほどCPU負荷がかからない。試用したモデルでもCPU使用率はまったく上がらず快適だった。


●高負荷時でも静か

ファンもDELTA製のEFB0912ME。92mm×92mm×38mm(縦×横×厚み)と分厚い分、流量を得やすい CPUクーラーはクーラーマスター製

 今回選んだベンチマークの中で、もっとも時間がかかり、かつPCへの負荷が大きいものは「PCMark Vantage 1.0.0.0」で、ベンチマーク開始から10分程度経過するとファンの回転数が上昇していくことが多い。しかし、「Endeavor MR6000」の場合は回転数に変化がなかった。「PCMark Vantage 1.0.0.0」以外でもCPUとGPUを100%まで使い切る状況で30分ほど放置してみても同様で、CPU温度は45℃と負荷の割りに低い結果となった。

 もちろん、CPUが低発熱ということもあるが、排気ファンとして採用されているDELTA製EFB0912MEの存在も静音性に寄与している。DELTA製 EFB0912MEは92mm角38mm厚ファンは、定格回転数3,200rpm、65.40CFM、40dBと比較的大きな音がするファンだ。しかし、MR6000では、カタログスペックで約31dBと謳っているように、ファンの回転数が低く設定されているようで、音が気にならない。SpeedFanなどには非対応なので正確な回転数は不明だが、回転数を落としても冷却する分に問題ない流量を確保しやすいというDELTA製ファンの特徴が生かされているのだろう。

 なおCPUクーラーはクーラーマスター製だがカタログ上で同形状のものを発見できなかった。デザインとしてはIntelのリファレンスクーラーに近い。ベンチマークのところで触れたように、冷却性能は高い。


●仕事をさせるためのPC

 MR6000は、フルタワーよりも場所を取らず、かつ拡張性があるため、用途の広い製品だ。このクラスでは、自作やホワイトボックスがライバルになるが、メーカー品ならではの信頼性の高さやサポート窓口の充実、動作保証されたBTOオプションの豊富さは、それらにはないものだ。

 企業内や個人を問わず、何かの用途があって、間違いなく動くデスクトップPCが欲しいというときには、候補に挙げるべき製品だと思う。

□エプソンダイレクトのホームページ
http://epsondirect.jp/
□製品情報
http://shop.epson.jp/mr6000/
□関連記事
【11月19日】エプソン、Intel G45搭載のミニタワー「Endeavor MR6000」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/1119/epson3.htm

バックナンバー

(2008年12月26日)

[Reported by 林 佑樹]


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