米AMDのTerry Makedon氏

12月16日 実施

　日本AMD株式会社は16日、同社のGPUコンピューティングプラットフォーム「ATI Stream」の現状と、今後の展開について解説した。今回の内容はすでに米国で発表済みだが、国内では初めての説明となる。

　ATI Streamとは、AMD製GPUでGPUコンピューティングを行なうためのプラットフォームで、NVIDIAがCUDAで実現しているのと同じように、Radeonシリーズで汎用の演算ができるようになる。

　AMDでは、その開発プラットフォームとなるATI Stream SDKを開発者向けに公開。また、12月に公開されたGPUドライバ「Catalyst」に、ATI Streamへの対応を追加するとともに、ATI Stream上で動作する動画コンバートツール「Avivo Video Converter」を無償で配布開始した。

　米AMDグラフィックプロダクト・グループ ソフトウェア・プロダクトマネジメント プロダクトマーケティング マネージャーのTerry Makedon氏の説明によると、Avivo Video Converterを使うことで、動画のトランスコードにCPUでは3時間かかるところが、GPUでは12分で完了するという。

　NVIDIA(CUDA)向けの同様のソフトとしては「Badaboom」があるが、Makedon氏はこれとも比較し、前者が30ドル、後者は無償であるにも関わらず、前者で114秒かかる作業が、後者では48秒で終了する点をアピールした。

Avivo Video Converter	NVIDIA用Badaboomとの比較

　また、今後もコンシューマ向けソフトにおいて、CyberLink、ArcSoft、Adobe、MicrosoftなどのソフトがATI Streamへの対応を進めていることを紹介した。

　現在のATI Stream SDKのバージョンは1.3。開発言語はBrook+、GPUはRadeon HD 4000シリーズとFireStream 9270に対応する。グラフィックプロダクト・グループ シニアプロダクトマーケティング・マネージャーのEd Buckingham氏によると、2009年第1四半期にはバージョンを1.4に上げ、デュアルGPUカードをサポートさせる。そして2009年上半期中には、OpenCLへの完全対応を果たすという。

　OpenCLは、OpenGLを策定したKhronos Groupが開発したGPUコンピューティング用API。オープンな規格として公開されていることから、IntelやNVIDIAといったAMDの競合を含む各社が対応を表明している。

　Makedon氏は、OpenCL対応の理由として、この業界で最終的に生き残るのはオープンな規格のみという点を指摘。また、OpenCLは、開発者が意識することなくCPUとGPUを同時に扱えるという点でも、CPUとGPUの融合、すなわち「Fusion」戦略/ブランドを掲げるAMDにとって重要な役割を果たすと語った。

CUDAという数少ない例外を除き、独自規格は最終的には標準規格に取って代わられた	米AMDのEd Buckingham氏	現在のATI Stream SDKの概要。言語にはBrook+を使っている
2009年にはOpenCLを完全サポートする	日本にたまたま休暇で来てたという同社CTOオフィス所属のJason Yang氏が急遽、特別参加した	OpenCLについて解説するとともに、実動デモも紹介した。これは流体のシミュレーション

□日本AMDのホームページ
http://www.amd.co.jp/
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(2008年12月16日)

[Reported by wakasugi@impress.co.jp]