発売中 価格:オープンプライス(直販価格 59,800円) オンキヨー株式会社のPCブランド、SOTEC初のネットブック「C1」シリーズは10月10日から順次発売されている10.1型ワイド液晶を搭載したモデルだ。ファーストインプレッションでもお伝えした通り、ラッチレス、打鍵感のいいキーボードなど国内メーカーらしい心配りの利いたデザインとなっている。今回はベンチマークやより突っ込んだ使い勝手を中心にレポートしたいと思う。 なお、お伝えするのは「C101W4」。Office搭載モデルやリッチブラックといったバージョンがあるものの、スペック的には同一なので「C1」と省略する。 「C1」の本体サイズは約265×185×31mm(幅×奥行き×高さ)、液晶には10.1型ワイドを採用している。同じ文法で構成されたネットブックを見てみると、MSI「Wind Netbook U100 Extra」、マウスコンピューター「LB-G1000」、ASUS「Eee PC 1000H-X」がライバルとしてすでに存在しており、発表レベルではSamsung「NC10」もあり、今後、激戦区になることは明白だ。 いずれも8.9型ワイドを搭載したモデルに比べ、重量がやや増すものの、液晶とキーボードが大きく作業性に優れていると認知されている。店頭で触り比べてみるとよく体感できるのだが「出先で少しメールの確認」「出先でメールを確認して、たっぷり指示や返信内容を書く。さらにサブノートとしても社内で使う」の2つを比べる場合、前者は8.9型ワイド液晶搭載モデルで問題ないが、後者はとくに作業性が重要で10.1型ワイド液晶搭載モデルを選択肢にいれる人が多いようだ。「C1」もその後者に属しており、ネットブックとうたいながらも使い勝手のいいサブノートを意識した手堅い作りとなっている。 ●ノングレア液晶とアクセスしやすいボディ オンキヨーのPCブランドになってからのSOTECは以前と雰囲気が変わったと思う。それはボディの作りからも伺え、天板の光沢処理で高級感を持たせつつ、開閉が容易なラッチレスを採用し、USB 2.0などのインターフェイスもソツなく押さえ、LANに至ってはGigabit Ethernetと採用して使い勝手を向上させているのだ。個人的に気に入っているところはボディを細く見せるための処理。先端部がやや傾斜を帯びており、スマートに見える。 またすっかりトレンドとなった天板の光沢処理だが、指紋などの汚れはすぐに落ちるのであまり気にする必要はないだろう。むしろ、ピカピカにするのが気持ちいいくらいだ。
液晶は10.1型ワイド液晶、解像度は1,024×600ドットでカンタンな確認にはなんら問題もないし、ブラウジングにも応えてくれる。液晶の発色はやや青色が強く感じられるが、ノングレアで映り込みも少なく視認に困ったことなかった。1つだけ気になったところは輝度。輝度は8段階の調整可能で、初期状態では100%となっている。100%の状態は室内では眩しすぎるので、筆者は輝度を最低まで下げて使用していたが、それでも視認性は十分だった。
●打鍵しやすく長時間も平気なキーボード 横幅約265mmと大きい分、もちろんキーボードも打鍵しやすい作りになっている。他のネットブックと同様に一部のキーが小さくなっているが、「¥」「・」キーなどで、句読点に該当するキーやA~Zなどのキーは大きく、キーピッチは17.5mm、キーストロークは2mmとなっている。そのため、長い文章の作成も比較的やりやすく、作業性がいいと感じている。ちなみにこの記事の作成は「C1」で行なっているが、ここまであまり不便を感じていない。強いていえば「・」キーが小さいため、ときどき打鍵し損ねるかなと思ったくらいで、やはり「、」「。」キーが大きいのはウレシイものだ。なお「¥」「・」などの小さいキーのピッチは実測で12.21mmだった。
さてタッチタイプのしやすさはすでに述べた通りだが、もう1つキーボードを操作をするうえでチェックしておきたいポイントがある。それは熱だ。ノートPCはその作りから長時間使用しているとキーボードや背面が暖かくなってくる。特定の箇所だけがやたらと熱くなるノートもあれば、全体的に暖かくなるノートなどメーカーの腕の見せ所だったりするのだが、「C1」はかなり優秀だと感じた。 キーボードのある面で暖かくなる場所は矢印キー周辺のみ。そこ以外の箇所での温度変化はほとんどなく、とても快適だ。その反面、底面は暖かいというよりは熱めである。また一定の温度になるとセンサーが反応してファンの回転数が上がる作りになっているため、高負荷時はファンの音がやや気になってしまう。静かな部屋ではさすがに気になるが、音源の多いリビングやオフィスなどではまず気にならないレベルだと思う。
パームレストなどの温度は次の通り。ベンチマークを1時間ほど回してからの室温24℃のときに測定した。先述したパームレスト右側周辺は27℃、背面は全体的に暖かく、とくにCPU周辺は温度が高く35℃だった。4時間ほど負荷をかけ続けてみたところ、他の場所も温度が上昇したが、27~28℃と低いものだった。キーボード周辺の温度にあまり変化がない要因は、キーボード下のシートと排気ファンによるものだろう。メモリ増設時などに見てみるとわかると思うが、通気性のよい内部構造になっているのだ。 ●モバイルには不向き カタログスペックにもあるように、バッテリ駆動時間は約2.1時間となっている。想像に難くなく、いろいろ手を尽くしてようやくこの時間に切迫できるレベルで、何もせず放置したところ約2時間でスタンバイモードへと移行した。実際にこの原稿作成や写真の確認、音楽を聴きつつ作業してみたところでは、1時間20分程度でバッテリ残量がほとんどなくなってしまった。出先で少しメールを見る程度ならばなんら問題ないが、移動中に何かしら作業するとなった場合はやはり心許ない。間違いなく出張中の電車のなかでは役に立たないレベルだ。液晶の輝度を下げるなどの対策で1時間35分あたりまで引き延ばせそうな気配だが、それでもモバイル向きとはいえない。 バッテリはリチウムイオンバッテリで、11.1V 2,200mAhと容量が少なめである。重量は実測161gと現行のネットブックのなかでもっとも軽いのではないだろうか。Eee PC 1000H-Xのように6,600mAhにすれば駆動時間を大幅に伸ばせたハズである。しかし、重量が1,209gとちょっと持ち運ぶのなら気にならない重さなので、据え置き前提の2台目を狙っていたのかもしれないし、室内や社内でのサブ的位置を狙ったのかもしれない。実際にバッテリ駆動時間は確かに短いが、社内での打ち合わせに持ち出したり、リビングでTVを見つつ調べ物をしたりする分には不便を感じない。
●メモリは2GBにするべし バッテリ駆動時間から据え置き型の2台目として活用するのがベストだ。そこでメモリの増設が重要になるので手順を紹介しつつ、ベンチマークを行なっていこう。
背面のパネルを開けるとメモリやHDD、無線LANユニット、CPUヒートシンクにアクセスできる。あとはメモリを差し換えるだけと極めてカンタンなのだ。逆に、それ以上のことをやろうとすると、分解が必要となり、ボディが破損する恐れがあるのでオススメしない。ネットブックといえばシンプルな設計で分解も楽々なモデルばかりだが「C1」は異なり、マザーのレイアウトからわかる通り、生産ラインを考えた作りとなっている。その結果から強固な作りが生まれたと思うのだが、背面のネジすべてを外しても中途半端に口が開くわけでもなく、なんら変わりなく扱えてしまうところに、こだわりを強く感じた。
ベンチマークはFuturemarkの「3DMark05(Build 1.3.0)」「PCMark05 (Build 1.2.0)」と、HDBENCH.NETの「HDBENCH Ver3.40beta6」、スクウェア・エニックスの「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」で行なった。またマウスコンピューター「LuvBook U100 メモリ増設+BIOS Ver1.07」(実質「LB-G1000」)、ASUS「Eee PC 1000H-X」のベンチマーク結果も掲載したので参考にしてほしい。なお、「PCMark05 (Build 1.2.0)」の測定は解像度を1,024×768にしても測定できなかったため、外部ディスプレイに出力しての結果だ。 【表】ベンチマーク結果
パーツ構成はネットブックの基本文法通りなので、やはり目立つ差は生まれていない。またメモリを2GBに増設した結果は、1GBのときと差がなかったので掲載していないが、スワップ頻度の現象やVRAMが224MBに増加するなどで体感できる。「C1」を購入するのなら増設用のメモリも合わせて入手するといいだろう。 ●ちょっとおしゃれなサブノートとして SOTEC「C1」はソツなく作られたネットブックで、キレイな天板が目を引く。そのためか打ち合わせの場でよく注目を集めていたので、見た目はおしゃれなほうだと思う。 熱くなりにくいキーボードはとくに作業向きで、ネットブックは安いがどうしても熱さが気になるという人は店頭で確認してもらいたい。ほとんど気にならないと体感できるハズだ。唯一の弱点であるバッテリ駆動時間も、ほとんど持ち歩かない、持ち歩いたとしても自室・社内という用途ならばなんら問題はない。またファーストインプレッションでもお伝えしたが、国内メーカーということもあってマニュアルやサポートも充実している。自宅の2台目として、お子さん用のPCとしても申し分のない内容構成だ。 □オンキヨーのホームページ (2008年10月30日) [Reported by 林 佑樹]
【PC Watchホームページ】
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