GIGABYTE「M912X」
~Atom搭載のコンバーチブル型ネットブック




GIGABYTE M912X

発売中

価格:79,800円



 GIGABYTEの「M912X」は、Atomを搭載したコンバーチブル型ネットブックだ。ネットブックは、低価格で携帯性に優れたミニノートであり、ASUSTeKの「EeePC」のヒットにより、Acerやデルなどの大手メーカーが続々と参入。PCの1ジャンルとして確立した。M912Xは、10万円未満のネットブックとしては珍しく、コンバーチブル型筐体を採用し、スタイラス操作にも対応していることが特徴だ。

●160GBの大容量HDDを搭載

 M912Xは、8.9型ワイド液晶を搭載したネットブックであり、CPUにはAtom N270(1.60GHz)を、チップセットにはグラフィックス機能を内蔵したIntel 945GSE Expressを搭載。メモリは1GBだが、GIGABYTEの製品紹介ページによれば、最大2GBまでサポートしているようだ。メモリスロットはSO-DIMMスロットが1基だけなので、メモリを増設する際には、標準で実装されているSO-DIMMとの交換になる。

 160GBという大容量HDDを搭載していることも魅力だ。ネットブックでは、ストレージとして8~16GB程度のSSDを搭載するか、80~120GB程度のHDDを搭載した製品が多い。160GBなら、一般的なノートPCと比べても遜色のない容量であり、ストレージ容量を重視する人には嬉しい。なお、いわゆるULCPCでは、ストレージとして80GB以下のHDDまたは16GB以下のSSDを搭載することが要件とされていたが、この要件が緩和され、160GBまでのHDDの搭載が可能になったようだ。本体底面のマイクロソフトのライセンスシールにも「Windows XP Home Edition ULCPC」と書かれている。

 底面のカバーを開けると、SO-DIMMスロットやHDDなどにアクセスが可能だ。HDDはノートPCで一般的に使われている2.5インチHDDであり、より大容量のものに交換することも可能であろう(もちろん、ユーザーによるHDD交換はメーカーのサポート保証外となるが)。また、mini-PCI Expressカードスロットが2基用意されており、1基には無線LANカードが装着されているが、もう1基は空いている。

 本体のサイズは235×180×42mm、重量は約1.3kgで、同じく8.9型ワイド液晶を搭載したデルの「Inspiron mini 9」(232×172×16.8~31.7mm、1.035kg)に比べると、フットプリントは同程度だが、やや分厚く、重い。ボディカラーはブラックで、天板の表面には光沢があり、四角形のテクスチャパターンも施されている。

M912Xの上面。カラーはブラックで、光沢がある 天板には、さまざまな形状をした四角形のテクスチャパターンが施されている
「DOS/V POWER REPORT」誌とのサイズ比較。M912Xのほうが二回りほど小さい 左がM912X、右がデルのInspiron mini 9。どちらも8.9型ワイド液晶を搭載しており、筐体のサイズはほぼ同じだ
M912Xの底面。「Windows XP Home Edition ULCPC」のライセンス証が貼られている 底面のカバーを外すと、2基のminiPCI ExpressスロットやHDD、SO-DIMMスロットにアクセスが可能 mini-PCI ExpressスロットとSO-DIMMスロット部分のアップ

●タッチパネル付き液晶を搭載し、タブレットスタイルになる

 M912Xは、タッチパネル付き液晶を搭載していることが特徴だ。タッチパネルは感圧式で、付属のスタイラスや指でポインティング操作が可能だ。また、液晶のヒンジは2軸になっており、180度回転させて折りたたむことで、タブレットスタイルになる。ただし、OSは、Windows XP Home Editionなので、いわゆるTablet PCとしての機能を備えているわけではない。また、液晶の表面にタッチパネルが装着されているため、通常の液晶に比べると表示のコントラストがやや低く感じられる。液晶の表面は光沢タイプではないので、外光の映り込みは抑えられている。液晶の解像度は1,280×768ドット(WXGA)で、十分実用的に使える。

付属のスタイラス。伸縮式ではなく、シンプルな形状だ。なお、予備も1本付属する スタイラスは、液晶の左上に収納できる
通常のノートPCスタイル 液晶を回転させているところ 液晶を180度回転させて、折りたたむとタブレットスタイルになる

 キーボードも、このサイズの製品としては頑張っているといえる。キーピッチは約16mmだが、右側の一部のキーのキーピッチが狭くなっているほか、「め」や「ろ」「む」などのキーレイアウトが変則的なので、かな入力の人は戸惑いそうだ。また、右シフトキーは省略されている。ポインティングデバイスとしては、タッチパッドを採用。パッドは小さめだが、操作性は良好だ。

右側の一部のキーのキーピッチが狭くなっているほか、キーレイアウトも一部変則的になっている ポインティングデバイスとして、タッチパッドを搭載

●ネットブックとしてはインターフェイスも充実

 M912Xは、インターフェイスも充実している。USB 2.0ポートを3つ備えているほか、EthernetやアナログRGB(ミニD-Sub15ピン)なども装備している。カードスロットとして、メディアカードスロットとExpressCard/34スロットを搭載。ExpressCardスロットを備えたネットブックは珍しい。USB 2.0ポートも左右側面に配置されているので、使い勝手はよい。ワイヤレス機能は、IEEE 802.11b/g無線LANとBluetooth V2.1+EDRに対応。さらに、液晶上部には130万画素Webカメラが用意されており、ビデオチャットなどに利用できる。

 バッテリは、7.2V/4,500mAhの4セル仕様で、公称約3.5時間の連続駆動が可能だ。Eee PC 901-Xなどに比べると短いが、ネットブックとしては標準的な駆動時間といえるだろう。ACアダプタはコンパクトで軽く、携帯しやすいことも評価できる。

 また、ナイロン製のキャリングケースが付属しており、携帯時に便利だ。

右側面には、USB 2.0×2やヘッドホン出力、マイク入力、アナログRGBが用意されている 左側面には、LANやUSB 2.0、ExpressCard/34スロット、メディアカードスロットが用意されている カードスロット部分のアップ。上側がメディアカードスロットで、下側がExpressCard/34スロット
ExpressCard/34スロットのフタはダミーカード方式になっている 液晶上部に130万画素Webカメラが搭載されている M912Xのバッテリパック。中央に液晶のヒンジがくるため、中央部はへこんでおり、左右に2セルずつのバッテリが内蔵されている
CDケース(左)とバッテリのサイズ比較 バッテリは7.2V/4,500mAhの4セル仕様である ACアダプタはコンパクトで軽い
CDケース(左)とACアダプタのサイズ比較 キャリングケースが付属する ケースに本体を入れたところ

●シングルコアのサブノートに匹敵するパフォーマンス

 参考のために、ベンチマークテストを行なってみた。利用したベンチマークソフトは、「PCMark05(Build 1.2.0)」と「3DMark03(Build 3.6.0)」、「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」の3種類だ。比較対照用に、ASUSTeK「Eee PC 4G-X」とソニー「VAIO type G」、Gateway「MX1020j」の結果もあわせて掲載している。

  M912X Eee PC 4G-X VAIO type G MX1020j
CPU Atom N270(1.6GHz) Celeron M 353(630MHz動作) Core Solo U1300 Core Solo U1300
ビデオチップ Intel 945GSE内蔵コア Intel 910GML内蔵コア Intel 945GMS内蔵コア Intel 945GM内蔵コア
PCMark05
PCMarks 1483 N/A 1340 1523
CPU Score 1472 965 1746 1744
Memory Score 2339 1068 1919 1935
Graphics Score 536 N/A 647 738
HDD Score 4639 2180 2245 3572
3DMark03
1,024×768ドット/32bitカラー(3Dmarks) 684 N/A(800×480ドットでは370) 661 1006
CPU Score 236 N/A(800×480ドットでは149) 328 360
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3
HIGH 998 N/A 1319 1322
LOW 1438 N/A 1955 2036

 PCMark05の総合スコア「PCMarks」は1483と、Core Solo U1300を搭載するVAIO type GやMX1020jと比べても遜色のない値となっている。ここで比較しているVAIO type GとMX1020jは約2年前の製品であり、最新のデュアルコアCPUを搭載したサブノートに比べると性能は低いが、当時のWindows XP搭載サブノートと同程度のパフォーマンスを持っていると考えてよいだろう。M912Xは、2.5インチHDDを搭載しているため、特にHDD Scoreが高い。M912Xは、搭載OSもVistaに比べて軽いWindows XP Home Editionであるため、快適に動作する。Vistaを搭載した高価なUMPCに比べても、使っていてストレスを感じることが少ない。

 ネットブックとしてはやや高価格だが、大容量HDDやタッチパネルを搭載していること、インターフェイスが充実していることを考えれば納得のいく範囲だ(個人的には、タッチパネルを省いて、本体をより薄く軽くし、1万円くらい安いモデルも欲しかったところだが)。本来、ネットブックは、セカンドマシンとして使うためのマシンだが、WXGA液晶と大容量HDDを搭載するM912Xなら、インターネットの利用や文書作成程度の軽い作業なら、問題なくこなせる。日常PCに重い作業をやらせていないのなら、これで間に合ってしまうという人も多いだろう。そういった意味で使う人をあまり選ばず、幅広い層にオススメできる製品だ。

□日本ギガバイトユナイテッドのホームページ
http://www.gigabyte.co.jp/
□製品情報
http://www.gigabyte.co.jp/Products/Notebook/Products_Spec.aspx?ProductID=2832
□関連記事
【9月3日】GIGABYTE、79,800円のAtom搭載コンバーチブルUMPC
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0903/gigabyte.htm
【7月4日】GIGABYTE、コンバーチブルネットブック「M912V」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0704/gigabyte.htm

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(2008年9月19日)

[Reported by 石井英男]


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