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CeBIT 2008現地レポート【PCMCIAプレスカンファレンス編】

ExpressCard 2.0規格の概要を紹介
~ExpressCardを利用した外付けGPUの展示も

PCMCIA Marketing ChairmanのManny Pitta氏

会期: 3月4日~9日(現地時間)

会場: 独ハノーバー市ハノーバーメッセ(Hannover Messe)



●PCI Express 2.0とUSB 3.0を採用するExpressCard2.0

 ノートPCの拡張スロットとして、採用製品が珍しくなくなったExpressCard。Cebit 2008でPCMCIAが開催したプレスカンファレンスでは、次世代規格となる「ExpressCard 2.0 Standard」の概要が紹介された。新規格の大きなポイントは2つである。

・現行規格から通信速度を2倍/10倍へ引き上げる
・現行規格とは下位互換を持たせる

 現行規格であるExpressCard 1.2では、転送プロトコルとしてPCI ExpressとUSB 2.0を使用することができる。転送速度はそれぞれ2.5GT/sec、USB 2.0は480Mbpsが理論上の最大転送速度だ。

 Express Card 2.0では、転送プロトコルにPCI Express 2.0とUSB 3.0を使用するのが大きな変更点となる。PCI Expressの場合は2.5GT/secから5GT/secへと2倍の速度に。USB 3.0については最終仕様が確定していないものの、USB 2.0の10倍の速度となることが表明されている。

 物理的なデザインについては現行規格と変更はなく、ExpressCard1.2と2.0は下位互換性を持つ。つまり、ホスト側、カード側のどちらか遅いほうの規格に合わせて利用可能ということになるわけだ。

 気になる規格化の時期だが、現在PCMCIAのメンバー企業と最終仕様の開発を進めているところで、2008年後半から2009年前半にリリースされる見込みとなっている。

●Radeon HD 2600シリーズを使用する外付けGPU

 このPCMCIAのカンファレンスにおいて、Village Tronicが興味深いExpressCard機器「ViDock Gfx」を展示していた。ExpressCardを利用した外付けGPUユニットとも呼べる製品で、ノートPCに複数の外付けディスプレイを接続するためのソリューションだ。いずれもRadeonシリーズをPCI Express接続しているのが特徴。

Village Tronicが展示したExpressCard接続の外付けGPUユニット「ViDock Gfx」 背面。DVI×2からHDMI変換ドングルを介して出力。Radeon HD 2000シリーズを採用しているのでオーディオも出力可能だ。ACアダプタを接続して使用し、セルフパワードUSBハブの機能も持たせている MacBook Pro内蔵ディスプレイ、MacBook Proのディスプレイ端子から1ディスプレイ、ViDock Gfxから2ディスプレイの計4ディスプレイ表示を行なっているデモ

 製品は、Windows向けで2製品、Macintosh向けで1製品の計3モデルが用意されている。Windows向けとMac向けでは添付ソフトウェアが異なっているが、製品仕様も大きく差別化されている。

 最廉価モデルとなる「Business Edition」はWindows向け製品で、Radeon X1550と128MBのビデオメモリを搭載。DVI(DualLink対応)とD-Sub15ピンを持つ。ローエンドGPUを使用した製品なので、“オフィスユーザー向け”という位置付けとのこと。ただし、DirectX 9はサポートしているので、Windows VistaのAeroを使用することは可能だ。

 最上位モデルとなる「Pro Edition」もWindows向け製品で、Radeon HD 2600 XTと512MBのメモリを搭載。“HDコンテンツ制作など高いグラフィックパフォーマンスを求めるプロフェッショナル向け”という位置付けの製品となる。基本的な機能はRadeon HD 2600 XTに依存。DirectX 10をサポートするほか、HDコンテンツの再生支援機能であるUniversal Video Decoder(UVD)も利用できる。

 ディスプレイ端子はDVI×2で、いずれもDualLinkをサポート。余談ながら、同社Webサイトなどでは1系統のみDualLinkという仕様が示されているが、最終仕様では2系統ともDualLinkになるとのこと。Radeon HD 2600 XTに内蔵されたサウンド機能も有効にされており、DVItoHDMI変換ドングルを使用することで、音声を含めたHDMI出力も可能になっている。

 Mac向けの「Mac Edition」は、Radeon HD 2600 Proと256MBのビデオメモリを搭載。DualLink対応DVI×2の構成で、やはりHDMI出力もサポートしている。

 共通の仕様としては、全製品、外付けのACアダプタを使用。消費電力は“Pro Editionが70W程度”とのこと。また、USB端子も備えており、セルフパワードUSBハブとしても機能するコンボデバイスでもある。

 似たジャンルの製品としては、ASUSTeKの外付けGPUユニットである「XG Station」が該当するだろう。ViDock GfxはExpressCard経由でGPUをPCI Express x1接続しており、製品の発想はまったく同じものといえる。

 こうしたノートPCのマルチディスプレイ化製品としては、DisplayLinkのチップを用いたUSB接続製品が普及し始めているが、“DisplayLinkの製品は簡単に使える便利さが特徴。こちらはパフォーマンスを求めるユーザー向けの製品”と、まったく別のジャンルの製品であるという考えを示している。

 ViDock Gfxは今年4月の発売を予定。価格帯は500ドル以下。Business Editionが300ドル程度、Pro Editionを400ドル程度で発売したい、としている。また、日本では、まずMac Editionが発売される可能性が高いとのことだ。

□Village Tronicのホームページ(英文)
http://www.villagetronic.com/
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(2008年3月7日)

[Reported by 多和田新也]

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