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マウスコンピューター「NEXTGEAR-NOTE M720WXV1」
~国内初のGeForce 8800M GTX搭載機




マウスコンピューター「NEXTGEAR-NOTE M720WXV1」

発売中

直販価格:324,870円



 マウスコンピューターから45nmテクノロジーを採用したCore 2 Duoと国内で初めてGPUにGeForce 8800M GTXを採用したノートPC「NEXTGEAR-NOTE M720WXV1」が発売された。今回はその評価機を入手したので、ベンチマークソフトの結果を交えて紹介していこう。

●45nmテクノロジーを採用した新CPUを搭載

最新CPUであるCore 2 Duo T9500。2.6GHzで動作し、搭載するL2キャッシュは6MB。45nmテクノロジーを採用し、処理能力を高めるだけでなく低消費電力も実現している

 高速なCPUと高性能なGPUを搭載し、ゲーマーたちから支持を受けているマウスコンピューターのG-Tuneシリーズ。拡張性の高いタワー型PCや省スペースのキューブPC、ノートPCを擁するこのシリーズに見て取れるのが、3Dゲームを楽しむためのPCというコンセプトだ。今回紹介するM720WXV1は1月18日に発表されたばかりの新製品。CPUには45nmテクノロジーを採用したCore 2 Duo T9500(2.6GHz)を搭載している。

 モバイル向けの45nmプロセスを採用したCPUは、開発コードネーム「Penryn(ペンリン)」の名で呼ばれていた。Penrynは集積度を高め、処理能力が上がっただけでなく、電力効率が高く熱の発生が抑えられているため、ノートPC向けに登場が待ち望まれていたCPUでもある。

●M720WXV1の構成

 M720WXV1はネットでの購入時にある程度製品の構成を変更することができるBTO方式を採用している。M720WXV1で選択できる主なパーツを、以下の表にまとめてみた。標準構成のスペックは太文字にしている。

【表】BTOのハードウェア構成
OS Windows Vista Ultimate Windows Vista Home Premium 正規版  
CPU Core 2 Duo T9500(2.6GHz) Core 2 Duo T9300(2.5GHz) Core 2 Duo T8300(2.4GHz)
メモリ PC2-5300 DDR2 SDRAM 1GB×2 PC2-5300 DDR2 SDRAM 512MB×2  
GPU NVIDIA GeForce 8800M GTX    
HDD SATA 5,400rpm 250GB SATA 5,400rpm 160GB SATA 5,400rpm 120GB

 CPUはCore 2 Duo T9500/T9300/T8300の3つが選択可能。動作周波数で見るとT9500が一番性能の高いCPUだというのは明らかだが、T9300とT8300は100MHzの違いしかない。しかし、この2つのCPUには、周波数だけでなくL2キャッシュの搭載量の違いもある。45nmテクノロジーを採用したCPUには、T9xxxとT8xxxの2種類があり、T9xxxには6MB、T8xxxには3MBのL2キャッシュが搭載されている。L2キャッシュの搭載量はCPUの性能に大きく影響するので、T9300とT8300の選択で悩んだ場合には、単純にCPUの周波数のみで判断しないように注意したいところだ。

 また、M720WXV1には、強力なGPUであるNVIDIAのGeForce 8800M GTXが搭載されている。GeForce 8800M GTXはNVIDIAのモバイル向けGPUとしては最高の性能を誇る製品だ。

 搭載メモリは容量のみの違いで、Windows Vistaで3Dゲームをしたいと言うのなら2GBは必須と言ってよいだろう。HDDには、5,400rpmのSATAドライブが採用されている。それ自体はそれほど目新しい話では無いのだが、M720WXV1はIntel Turbo Memoryも搭載している。Turbo Memoryに関しては後述する。

 通信機能としては、有線LANに1000BASE-T、無線LANはIEEE 802.11a/b/gに加えIEEE 802.11nのドラフトも対応している。IEEE 802.11nはオフィスなどで導入されているところはまだ少ないが、環境さえ整えれば理論値で300Mbpsという高速な通信が可能だ。

本体底面のパネルを外した状態。ヒートパイプが伸びているのは、左がCPU、右がGPUのユニットだ。大きめのファンが搭載されており、冷却性能も高そうだ GPUはユニット式になっており、ヒートパイプなどを外せばチップを見ることができる。表面にはGeForce 8800シリーズのチップ名であるG92の文字が見える メモリはPC2-5300(DDR2-667) DDR2 SDRAMのモジュールが搭載される。スロットは2つしか無いので、Windows Vistaで3Dゲームを快適にプレイしたいのなら2GBは欲しいところだ
評価機には日立GSTの160GBの2.5インチHDDが内蔵されていた。インターフェイスはSATAで、回転数は5,400rpm 無線LANには、Intel Wireless WiFi Link 4965AGNが採用されており、IEEE 802.11a/b/g/nに対応している

●Intel Turbo Memoryとは?

ReadyBoostとReadyDriveの有効無効を変更できるが、2つの機能を有効にした場合、キャッシュの割り当てなどを自分で変更することはできない

 前述のIntel Turbo Memoryを説明するため、先にWindows VistaのWindows ReadyBoostとWindows ReadyDriveという2つの機能を紹介しておこう。

 まず、ReadyBoostとは、USBメモリなどのランダムアクセスの速度が速いメモリをキャッシュとして使うことにより、メモリスワップを高速に行なう方法だ。また、SuperFetchと呼ばれる機能も、ReadyBoostに含まれている。SuperFetchは、OSやアプリケーションの起動データをあらかじめメモリに読み込んでおくことによって、2回目以降の起動速度を高める仕組みだ。

 ReadyDriveとはHDDの内部にNVキャッシュと呼ばれるフラッシュメモリを搭載しているハイブリットHDDを使った機能だ。読み書きの高速化だけでなく、HDDの回転を抑えることで、消費電力を抑える働きも期待できる。

 通常、ReadyBoostは自分でReadyBoostに対応したUSBメモリなどを買ってきて、PCにさして使用しなくてはならないし、ReadyDriveにはハイブリッドHDDが必要だ。しかし、Turbo Memoryは、この2つを代行できるのだ。

●デザインから見たM720WXV1

 ここまでは内部的なパーツなどの構成を紹介してきたが、今度はデザインなどの外面的な特徴に目を向けていこう。

 M720WXV1は17型のワイド液晶を採用した、かなり大きめのノートPCだ。パネルの解像度は1,920×1,200ドットでフルHDの動画などをドットバイドットで表示できる。表面はグレア処理がされており、光沢のあるツルツルした画面だ。額縁の上部にはWebカメラが搭載されており、マイクも本体のパームレスト右にあるのでビデオチャットやボイスチャットを楽しむことができる。液晶カバーの天板部分は、ヘアライン処理のされた金属製で高級感があり、手前側と奥側が光沢のあるプラスチックでデザインのアクセントとなっている。

 本体の横幅は397mmとかなり幅があるのだが、逆にこの幅を利用して、テンキーを搭載しているというのは特筆すべき点だ。3Dゲームなどではテンキーを使用する場合もあるし、表計算のソフトなどで数字だけを打つシチュエーションでは、テンキーがあるのとないのとでは作業効率が大きく変わる。惜しむらくはテンキーの横が3列しかないために、四則演算用のキーが奥側に設置された変則的な配置になっている。本体のサイズ的にはキーボードの左右に多少スペースがあるので、どうにか通常のテンキーの配置にできなかったものかと思ってしまう。そのほかのキー配置はスタンダードなノートPCと共通点が多く、キーのサイズも大きめでタイピングしやすい。

 スピーカーは本体の左右に配置されており、最大音量にしても音が割れたりすることは無く、ノートPCとしては可もなく不可もなくといったところだ。

 インターフェイスは主に本体の右側と背面に配置されており、左側には光学ドライブが搭載されている。USB 2.0は右側に2つ、背面に2つで、IEEE 1394の4ピンも右側に配置されている。また、右側にはカードリーダーや有線LANの端子、ExpressCardスロットも用意されている。

 サウンド機能は本体の前面に集中しており、マイクやヘッドフォンだけでなく、ライン出力、デジタル出力も搭載されている。画面の出力はDVI端子のほかに、ミニD-Sub15ピン、Sビデオもあり、映像や音声関係のインターフェイスが豊富なのも印象的だ。本体サイズは397×284×22~44mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約4.1kg。

天板部分はヘアライン加工がされており高級感がある。手前側にはオーディオ関係のインターフェイスが用意されている キーピッチは本体のサイズを活かし余裕があり、タッチタイピングもしやすい 変則的な配置だがテンキーも搭載している。表計算などで数字を打ち続けるケースでは重宝するだろう
本体の左側面は非常にシンプルで光学ドライブのみが搭載されている DVI、D-Sub15ピン、Sビデオなどの映像関係の出力端子が集中している。そのほかにUSB 2.0が2つと、ACアダプタ用の電源端子も背面に搭載されている 周辺機器を接続するためのインターフェイスが集中する、本体右側。USB 2.0やIEEE 1394、有線LANの端子のほか、カードスロットやExpressCardスロットが用意されている

●M720WXV1の実力は?

 では、実際にベンチマークソフトを実行した結果を見ていこう。

テスト環境 評価機 比較対象機
製品名 マウスコンピューター「NEXTGEAR-NOTE M720WXV1」 ソニー VAIO type S(SZ) VGN-SZ90PS
CPU Core 2 Duo T9500(2.60GHz) Intel Core Duo T2400(1.83GHz)
メモリ DDR2-667 1GB×2 DDR2-533 1GB×2
HDD シリアルATA 250GB×2 シリアルATA 160GB
GPU GeForce 8800M GTX(512MB)×2 NVIDIA GeForce Go 7400 with NVIDIA TurboCache
液晶 17型 1,920×1,200ドット 13.3型ワイド 1,280×800ドット
※これ以外の解像度は
外部ディスプレイに出力して
スケーリングを行なわずに計測
OS Windows Vista Ultimate Windows Vista Ultimate

ロスト プラネット エクストリーム コンディション 製品版 1,680×1,050ドット 1,280×800ドット 1,024×768ドット
Snow Cave Snow Cave Snow Cave
NEXTGEAR-NOTE M720WXV1(DX10) 24.5 35.3 40.9 48.8 49.6 51.1
NEXTGEAR-NOTE M720WXV1(DX10 モーションブラー/フィルタリング/Fur=DX10/SLI) 18.3 27.8 34.6 46.5 43.3 50.5
NEXTGEAR-NOTE M720WXV1(DX9) 23.7 35.3 40.5 49.5 49.7 50.9
VGN-SZ90PS(DX9) n/a n/a 1.7 2.8 2.0 3.3

FINAL FANTASY XI Official BenchMark High Low
NEXTGEAR-NOTE M720WXV1 6,133 8,143
VGN-SZ90PS 2,994 4,990

真・三國無双BB ベンチマーク 高グラフィック計測 標準計測
NEXTGEAR-NOTE M720WXV1 8,949 9,999
VGN-SZ90PS 323 1,027

フロントミッション オンライン オフィシャルベンチマークソフト 1,600×1,200ドット 1,280×1,024ドット 1,024×768ドット
NEXTGEAR-NOTE M720WXV1 21,832 21,843 21,872
VGN-SZ90PS n/a 6,672 7,213

3DMark06 Build 1.1.0 1,680×1,050ドット 1,280×1,024ドット 1,280×800ドット
NEXTGEAR-NOTE M720WXV1 7,951 9,142 10,539
VGN-SZ90PS n/a 604 694

 3DMark06の結果は、テストした最高解像度の1,600×1,200で7,951、1,024×768では10,539という高い数値が出ている。

 FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3 Version 1.00や真・三國無双BB ベンチマーク、フロントミッション オンライン オフィシャルベンチマークといった、比較的古いベンチマークソフトの結果は言うまでも無く申し分無い値だ。

 ロスト プラネット エクストリーム コンディションは、DirectX 9版の1,600×1,200でプレイすると、多少重さを感じる程度で、それ以下の解像度なら、まったく問題なくプレイが可能だ。DirectX 10版でモーションブラーやフィルタリング、Furの設定をDX10にしても、1,280×800の解像度なら問題なくゲームを楽しむことができる。

 上記のような結果から考えると、総じてゲームをプレイするために必要な性能は問題なく確保できているようだ。あえて問題点を挙げるとするなら、液晶パネルの解像度が1,920×1,200に対応している点かもしれない。液晶パネルは最高解像度以外で表示すると、スムージングによりどことなくぼやけた感じのグラフィックが表示される。そのためゲームをプレイする際にも最高解像度で表示したいというのが人情だろう。

 しかし、最新の3Dゲームの場合、1,920×1,200ドットまで解像度を上げてしまうと、このPCをもってしてもコマ落ちが発生してしまう。解像度の高いディスプレイは、Windowsの通常の操作を行なうにあたっては、作業領域が広く快適だ。しかし、ゲームプレイに特化したモデルならばあえて解像度を一段下げたものを搭載するという選択肢もあるのでは無いのだろうかと思う。

●まとめ

 本製品はゲーマー向けを謳っているだけあり、最新の高速なCPUと処理能力の高いハイエンドGPUを搭載している。実際、ベンチマークの結果から、現行のゲームも十分に楽めることが分かる。

 マウスコンピューターのWeb上での販売価格は標準構成で約33万円(原稿執筆時)となっており、ノートPCとしては非常に高価な部類になるだろう。しかし、移動も可能なハイエンドPCとして捉えるなら、それほど高いとは感じない。据え置きでよいのならデスクトップで同程度の性能のマシンは、もっと安価に手に入れることが可能だが、持ち運びができる点に、このマシンの魅力を感じることができるだろう。

 また、デスクトップPCと違い、省スペースなのもうれしい。大きめで重量があると言っても、家の中でリビングや仕事部屋を移動する程度なら、まったく問題は無いだろうし、何より使わないときには、しまえるのもうれしいところだろう。

 M720WXV1は省スペースで移動可能、なおかつ最新の3Dゲームを楽しみたいユーザーにお勧めしたいハイスペックノートPCだ。

□マウスコンピューターのホームページ
http://www.mouse-jp.co.jp/
□製品情報
http://www.g-tune.jp/note_model/intel/0802/index.html
□関連記事
【1月18日】マウス、Penryn/GeForce 8800M GTX搭載のゲーマー向けノート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0118/mouse.htm
【2007年11月20日】NVIDIA、ノートPC向けハイエンドGPU「GeForce 8800M GTX/GTS」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/1120/nvidia.htm

(2008年2月14日)

[Reported by 山本 倫弘]


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