発売中 価格:169,800円~ BTO PCの老舗であるKOUZIROから、ミドルタワーPCの「G-BREAK Type-G FRGB830」(以下FRGB830)が発売された。CPUにクアッドコアのCore 2 Quad Q6600を、ビデオカードにNVIDIA GeForce 8600 GTSを搭載したモデルだ。構成的にはゲーマー向けになるこのPCだが、はたして実力はいかなるものなのか。実際にベンチマークなどを行ない検証してみた。 ●BTO PCのフロンティア BTO PCの老舗として長い歴史を持つのがフロンティアのブランドで知られるKOUZIROだ。BTOとは、ビジネスモデルの1つで、Build to Orderの略になる。簡単に言うと顧客が製品を購入する際に、細かいカスタマイズを行なうことのできるサービスのことだ。PCの場合には、CPUやメモリ、HDDなどを自由に選択することができる。またパーツを追加したり、交換してアップグレードしたりすることも可能だ。さらに、価格を下げるためにあまり必要でないものをカット、もしくはグレードダウンすることによって、余分なコストを省く効果がある。 ●ゲーマー向けの高いスペック 今回紹介するFRGB830は先にも紹介したとおりBTOによるカスタマイズが可能な製品だが、まずは基本構成を紹介しよう。 CPUはCore 2 Quad Q6600だ。Q6600は名前の通りコアが4つ搭載されているCPUで、動作周波数が2.4GHzとなる。メモリは512MBのPC2-5300 DDR2 SDRAMを2枚搭載し合計1GBだ。ビデオカードにはHDCP対応のGeForce 8600 GTS(256MB)が搭載されており、HDDは250GBになる。基本構成時の価格は169,800円となる。 また19型ワイド液晶ディスプレイが付属するモデルもあり、そちらは基本構成で209,700円だ。今回お借りした製品にはアイ・オー・データ機器の22型ワイド液晶ディスプレイ「LCD-AD221XB」が付属していた。 KOUZIROでは、このPCをゲーマー向けと銘打って販売しているわけではないが、スペック的にはゲーマー向けと言えるものがあり、CPUやビデオカードにハイスペックを求めるゲーマーが、この製品に購入意欲をそそられることは間違いないだろう。CPUにクアッドコアを採用したQ6600が搭載されているが、同価格帯のデュアルコアCPUに、Core 2 Duo E6850がある。E6850の動作周波数は3.0GHzでQ6600の2.4GHzと比べかなりの差があることは否めない。 実際、現行のゲームはマルチCPUに対応していない製品がほとんどで、クアッドコアが力を発揮するのは「ロスト プラネット エクストリーム コンディション」など、数えるほどしかないのが現状だ。そう考えると、BTOで選択できるCPUにE6850などのコストパフォーマンスの高いデュアルコアCPUが含まれていないのは少々残念なところである。しかし、これからはマルチコアに対応したゲームが多数登場することが予想されるため、1、2年先を考えた場合にはよいチョイスだといえるだろう。 ビデオカードに採用されているGeForce 8600 GTSは、一世代前のハイエンドカードと同程度の処理能力を持っている上、DirectX 10に対応している。またHDCPにも対応しておりHD DVDやBlu-ray DiscなどHDコンテンツをデジタル出力することも可能だ。対応ドライブやディスプレイを購入すれば、高画質なHDコンテンツを楽しむこともできる。
【基本構成】
●実際の性能をテスト それでは実際にベンチマークを走らせて、このPCの実力をチェックしてみる。
ロスト プラネット エクストリーム コンディションや「World in conflict」の高解像度の結果などを見ると、最新の3Dゲームをプレイするためにはスペックが足りないようだ。経験上ロスト プラネットのベンチマークでは、Snowがビデオカード、CaveがCPUに依存する傾向があるように思える。高解像度ではビデオカードがボトルネックになって数値が芳しくないが、低解像度ではCaveの値が上がっていくのをみると、クアッドコアの効果がうかがえる結果になっている。 また、ほかのベンチマークでは軒並み高い結果が出ている。最新3Dゲームを楽しむのにはスペック的に厳しいところだが、現行のほとんどのゲームを楽しむ分に問題はないだろう。 ●拡張性に重きを置いた構造 ここまでは、FRGB830のゲームPCとしての実力を見てきたが、そのほかのPCとしてのデザインや性能を見ていこう。 デザインの部分を見ると、スタンダードな黒のミドルタワーケースを採用したシンプルな見た目だ。電源を入れると青色のイルミネーションが点灯し、G-BREAKのロゴが浮かび上がる。付属するキーボードやマウスもマイクロソフト製のものが付属しており、黒を基調としたものを採用しているので全体的な統一感がある。派手に存在感を主張するタイプではないが、落ち着いた雰囲気で長く飽きないデザインといえるだろう。 また、冷却と静音性に関してもかなり気を使っている部分が見受けられる。フロント下部にあるシャドウベイの部分とケース後ろには、大口径のファンが取り付けられている。前から後ろに空気が流れるようにエアーフローが考えられているわけだ。また、サイドカバーにはCPUの上部とビデオカードなどがある拡張スロットの部分にメッシュとスリットの加工がされている。CPUには冷たい外気を取り込み、ビデオカードなどの冷却を助ける構造だ。また大口径のファンを採用しているので、回転数が遅くても十分な風量を確保でき、PCから出る騒音も抑えられている。
さらに、このPCを触ってみて感じた高い特徴が拡張性だ。ミドルタワーケースを採用した本機だが、見た目とは違い、大きな拡張性を持っている。光学ドライブとメモリカードリーダを搭載しているのでドライブベイは2つ利用済みだが、5インチが4つ、3.5インチが2つ利用可能だ。すべてのドライブベイがスライド式のロック機構のついたスクリューレス構造になっている。ネジやドライバーを使うことなく簡単にドライブベイにパーツを追加することが可能だ。このタイプのケースでは、ガイドレールを使うものが多いが、この製品ではガイドレールも必要ない構造なので、手軽にカスタマイズを行なうことができるだろう。 内部にアクセスする際にはケースのサイドパネルを外すことになるが、開閉を頻繁に行なう左サイドのパネルは手回しネジで外せるようになっている。HDDなどを内蔵するためのシャドウベイは4つ用意されており、固定用の手回しネジをはずせばシャドウベイを取り外して作業ができるので、増設なども楽にできる。また、このシャドウベイにはファンも搭載されており、高熱を持つHDDの冷却も考慮した構造になっている。 ケース内はマザーボード上が広く、作業もしやすい。拡張カードもビデオカードの搭載されたPCI Express x16以外にPCI Express x1が3つ、PCIが2つ用意されている。また、拡張カードの取り付けはネジを使わなくても固定できる仕組みになっているので、実質ドライバーを使わなければならないのはHDDのみだ。 フロントパネルに用意されているインターフェイスはUSB 2.0が2つとオーディオのマイクとヘッドフォン端子。IEEE 1394の端子も用意されているが、これはIEEE 1394を搭載していないマザーボードを採用しているため、使用できない。BTOでIEEE 1394ボードを選択することもできるのでビデオ編集などを行なう場合には、追加するのも手だろう。 このように、FRGB830は非常に高い拡張性を持ったミドルタワーPCで、単に拡張端子が多いだけでなく、作業の行ないやすさを念頭に置いた作りになっている、優秀な製品だ。 ●安心のサポート体制
KOUZIROのPCには1年間の保証は当然として、別途3年や5年の長期サービスを有料で追加することもできる。また、盗難や水害などに対応できる保険や、プリインストールされたソフトウェアの操作に関する電話サポート、PCの設置サポートなどが用意されている。いずれも有料だが入っておくと安心なものが多いので、場合によってはいずれかのサポートを申し込んでおくもの有効だろう。 また、通常のマニュアルだけではなくスタートアップマニュアルやリカバリーディスクも付属している。PC初心者が意外ととまどいやすいのが、購入後最初の起動時に行なわなければならない初回設定だ。スタートアップマニュアルには設置から初回起動時にやらなくてはならないことが細かく書かれているので参考になるだろう。また、OSの調子が悪くなってしまった時にPCの状態を初期状態にするためのリカバリディスクが付属しているのも、PCの初心者にはありがたいところだ。製品の性能だけでなく、サポート体制が整っていることも製品選びの重要なファクターだ。PCを購入する時には、ぜひ購入後も安心できる製品を選んでほしい。 □KOUZIROのホームページ (2007年10月2日) [Reported by 山本 倫弘]
【PC Watchホームページ】
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