AMD、Intelに対する訴訟について説明
8月30日 開催 日本AMD株式会社は30日、会見を行ない、Intelに対する訴訟ならびにIntelの独占禁止法に関わる一連の動きについて解説した。
まず、日本AMD取締役マーケティング本部長の吉沢俊介氏が、国内での訴訟について説明。同社は2005年6月に、インテル株式会社に対して、インテルの独占禁止法違反行為による損害賠償を求める訴訟を東京高等裁判所および東京地方裁判所で提起した。 提訴の理由について吉沢氏は、「2005年4月にインテルが公正取引委員会からの独占禁止法違反の勧告を応諾しながらも、請求原因事実を全面的に否定したため」と説明。また、独占禁止法の勧告を応諾しても、同法では制裁金が課されないため、公正取引委員会の算出した額を元に損害賠償を請求するに至ったという。 その後、日本AMDでは数度にわたり、準備書面を地裁に提出し、具体的な証拠としてあげたものの、それらについてもインテルは否認。また、インテルはそれらの証拠が同社の営業秘密に係わる事項が記載されているとして、訴訟記録の開示制限を申し立てた。 これにより裁判が長期化しており、吉沢氏は「インテルの裁判戦略はできるだけ引き延ばしを行ない、できるだけ隠そうとするもの」と非難した。今後同社では、インテルの主張に対し反論を行なっていく予定。なお、高裁での審理は、地裁の争点整理に目処が立つのを待ってから再開される。
続いて米AMD法務部門責任者のトム・マッコイ氏が、各国でのIntelを取り巻く独占禁止法関連の動きについて解説した。 現在のCPU業界ではIntelが8割近いシェアを持っている。これ自体は問題ではないが、PCメーカー各社の利益率が数%という中、Intelだけが4割前後の利益率を出していることに対し、マッコイ氏はIntelの独占による弊害だと指摘。 AMDが、Intelに先駆け3D命令セット、動的な電力管理機能、1GHz超のクロック、x64 CPU、CPU内蔵のメモリコントローラ、ネイティブデュアルコアといった技術/製品を投入してきたにもかかわらず、そのシェアが2割程度に留まっていた背景には、Intelによる市場のコントロールがあったためだという。 Intelは同社のCPUを採用するPCメーカーに対しリベートを提供しており、その際、AMDのCPUを採用しないことを条件とするなど競争を排除する違法行為を繰り返しているとされており、マッコイ氏は、各国でIntelに対する調査が始まったのは当然のことだとした。 実際、公正取引委員会や欧州委員会は、AMDからの情報や申し立てによってではなく、独自に調査を行なった上で、Intelの違法行為により、直接の競争相手であるAMDのみならず、業界および消費者の利益が損なわれ、革新/発展が阻害されたとの判断を下している。 マッコイ氏の示した資料によれば、Intelの独占によって消費者が過去10年間に被った損害額は600億ドルに上るというが、各国当局の調査や勧告の影響で、AMDのシェアは上昇基調に転じており、同氏は公平な競争の重要性を物語る結果だとした。
□日本AMDのホームページ (2007年8月30日) [Reported by wakasugi@impress.co.jp]
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