元麻布春男の週刊PCホットライン

ついに仕事用環境をVistaに移行




●お盆休みをVistaと過ごす

 当初の平年並みとの予想はどこへやら、すっかり酷暑が続く2007年の夏。こんな時はウチにこもるに限る、というわけでもないのだが、お盆は移行作業に勤しんだ。そう、ついにWindows Vistaを使うことにしたのである。

 もちろんVistaについては、ベータ版の頃から触っていたし、少なくともテストマシン1台にはVistaがインストールしてある。一時期はノートPCで運用していたこともあった。しかし、メインのデスクトップPCはというと、つい最近までWindows XPのままだった。といっても、Vistaへの移行を考えなかったわけではない。リリース直後の11月末、年が明けての正月休み、ゴールデンウィークと計3回、移行を計画しては断念してきた。

 これまで筆者はWindows 3.0以降、Microsoftの新しいWindowsのリリースとほぼ同時に、自分の利用環境を更新してきた。Windows 2.xについては、さすがに同時とはいかなかったが、それでもリリースからさほど時間をおかずに英語版のWindowsをAT互換機(この言葉も死語だ)にインストールした。今回のように、Microsoftが正式リリースをした後、何カ月も古いWindowsを使い続けるなんてのは、今回が初めてだったのである。

 移行の障害となっていた理由は山ほどあるが、特に互換性と使い勝手の2つが厄介であった。ただ、互換性といってもハードウェアの問題はほとんどない。Vistaのハードウェア互換性問題というと、ハードウェアオーバーレイを利用するTVチューナカードが良く知られるところだが、これについては最初からわかっていたので、Media Centerで利用可能なカードを用意していた。

 移行といっても、基本的には現行マシンとは別の新しいPCに新規インストールして、そこに新しく環境を作るのが常だから、ハードウェアの仕様はVistaに合わせてあげられる。互換性問題は主にアプリケーションソフトの側にあった。何というか、つまらないような単純なソフトウェアが動かなかったり、動いたと思ったら反応しなくなったりしていたのである。特にリリース直後の11月は、この問題でめげて、すぐにあきらめてしまった。

 使い勝手の点では、新しいエクスプローラーがどうも好きになれない。加えてユーザーアカウント制御(UAC)の鬱陶しさが、どうしても我慢ならなかったのである。何度マウスを壁に投げつけようと思ったか分からないほどだ。

 ただ1つ断っておくが、筆者はWindows VistaがWindows XPと100%の互換性を持っていないからダメだと言っているわけではない。中身に手を加えた以上、Vistaが100%の互換性を持たないのは、むしろ必然である。問題は、互換性問題を乗り越えるだけの魅力をVistaが備えているか、ということであり、これまで筆者はそれを感じられないできた点にある。

●UACを使わないという決断

 今回性懲りもなく移行するにあたって、これらの問題がすべて解決したわけではない。リリースから半年以上が経過し、多くのアプリケーションがVista対応のアップデートやバージョンアップを行ない、かなりの改善を見せているとはいえ、Windows XPで動いていたソフトウェアが100%動くようにはなっていない(特にIEのアドオン関係等)。本質的な部分でOSの使い勝手が、半年で変わるハズもない。大きく変わったのは、筆者のポリシーだ。それはUACを断念する、という決断である。

 Windows Vistaについてはいろいろと言われているが、筆者はそのもっとも根本的な改良はセキュリティの強化を含めた堅牢性の向上にあると思っている。UACを無効にすることは、最大のウリを大きく損なうわけで、Windows Vistaを利用する意味を失ってしまう。これまではそう考え、何とかUACを有効にしたままVistaとつきあおうとしてきた。

 それが心変わりしてしまった最大の理由は、せっぱ詰まってしまったからだ。これまで使ってきた仕事マシンの調子がいよいよ悪く、新しいマシンを用意せざるを得なくなってしまった。しばらく前から、コントロールパネルのシステムや、デバイスマネージャーを開くことができなくなっていたのだが、今度はマウスのクリックまでおかしい。マウスボタンをゆっくりと押してやらないと、クリックできなくなってしまった。

 正直に言うと、ここまで我慢したのだから、10月に予定されている新しいMac OS X(Leopard)のリリースまで引っ張ろう(調子が良さそうならシステムごと新規購入になるが)と思っていたのだが、どうもそれまで旧仕事マシンが持ちそうにない。かといって、Windows Vistaのために用意したシステムに、もう1回Windows XPをインストールするのも考えもの。Windows XPを新規インストールする前に、UACのないWindows Vistaを1度試してみようと思ったわけだ。

新しい仕事マシンのWindowsエクスペリエンスインデックス。ゲーム用グラフィックスがボトルネックになっているのは、GPUの世代を考えればやむを得ないところ。 IntelマザーボードにバンドルされているIntel Desktop Utility。Windows上から温度やファンの回転数等をモニタできるほか、マザーボードのリビジョン番号やシリアル番号まで確認できる。

●お古のハードだがCPUだけはCore 2 Duoに

 基本的に筆者の仕事マシンは、テストマシンのお下がりのパーツで構成される。今回のシステムも、プロセッサがCore 2 Extreme X6800、メモリが3GB DDR2-533、グラフィックスがRADEON X800 XTで、主要なパーツは1世代前、グラフィックスは2世代前という感じだ。最初はプロセッサをPentium 4 HT 3.6GHzにしていたのだが、ちょっと負荷をかけるとCPUの温度が72度くらいまで跳ね上がってしまう。すぐにどうということはなくても、信頼性の点で不安だ。

 プロセッサを交換せずとも、もうちょっとケースに余裕を持たせ、冷却を強化すれば良いのだが、設置スペースの都合もある。ケースのようにかさばるものを、そうホイホイと買い換えるわけにもいかない。CPUもGPU同様に2世代遅れだった予定が、1世代新しくなってしまった。Core 2 Extreme X6800だと、動画のエンコードや3Dグラフィックスのベンチマークを実行しても、ギリギリ70度を超えないですむ。

 このCPU交換でおもしろかったのは、Windowsエクスペリエンスインデックスのスコアだ。Pentium 4 HT 3.6GHzでは、プロセッサのサブスコアが5.1、グラフィックスが2.9、ゲーム用グラフィックスが4.9だった。これがCPUだけCore 2 Extreme X6800に差し替えると、プロセッサのサブスコアは0.5しか上がらず5.6どまりなのに、グラフィックスのスコアは2倍の5.9に向上した。グラフィックスカードは替えていないからゲーム用グラフィックスのサブスコアは変わっていない。確かに、ウィンドウやメニューを開く動作も軽くなるし全般にキビキビと動くようになるのだが、GUIだけでリソース食い過ぎだろうという気もする。

 この新しいシステムには、500GBのHDD 2台を入れた。旧仕事マシンでは、320GBのドライブ1台にブートパーティションと、仕事用のパーティションを設定し、250GBのドライブ2台のRAID 0ボリュームに動画等のデータを置いていた。この構成で、最初はなかなか調子が良かったのだが、いつの頃からか、RAIDボリュームが時々猛烈にCPUを占有するようになってしまった(アクセスとは関係なく)。これにこりて、今回はRAID等は設定せず、普通に2台のHDDとして使うことにしている。

 実はこの2台はメーカーも、購入時期も異なるドライブである。特に意図したわけではなく、単にその時に一番安いドライブを購入しただけなのだが、どうも結構な違いがあるようだ。特に気になっているのが代替セクタの使用状況で、片方が5セクタで済んでいるのに、もう片方は140セクタも使っている(こちらの方が新しい)。どうも後者のドライブはハズレを引いてしまったのではないかという気がしている。代替セクタが5セクタのドライブを起動用に、140セクタのドライブを動画置き場にすることにした。140セクタあっても、これが増えなければ問題はない。しばらくは、この数字も気にかけつつ、新しい仕事マシンを使っていくことになりそうだ。

新しい仕事マシンのHDD1。Intel Desktop Utilityは、HDDのS.M.A.R.T.情報を表示することができる。 こちらはHDD2(2台目のドライブ)。S.M.A.R.T.で上がってくる情報の項目が違うことからも、異なる種類のドライブであることが分かる(実際にはメーカーも異なっている)。05に示された代替セクタ数が多いのが気になる。

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【2006年12月4日】【元麻布】VistaでMCE対応TVチューナカードを試す
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/1204/hot458.htm

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(2007年8月20日)

[Reported by 元麻布春男]


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