モバイルノートPCにはリファレンスデータが欠かせない。インターネットにさえつながれば、たいていの情報が手に入る昨今だが、辞書、参考書、地図といったデータだけは、ローカルHDDに入っていないと不安だ。辞書や参考書類はPC内で閉じるが、地図はGPSのような周辺機器と組み合わせることで、紙の地図では考えられなかった用途をいとも簡単にかなえてくれる。 ●GPSと地図ソフト アルプス社の地図ソフト「プロアトラス」がバージョンアップし、「プロアトラスSV3」として発売される(7月6日発売予定)。このバージョンからは、クレオが販売元となって各ショップに流通することになるという。 新たな機能としては、GPSのトラックログを参照し、デジカメ写真の撮影時刻と照らし合わせて地図上に写真をマッピングする機能や、CSVファイルのインポート、白地図表示などがある。また、SV2では、Vistaへの対応のためにアップデート用のモジュールをダウンロードする必要があったが、SV3はVista完全対応だ。 旅行に行くにしても、仕事で出張に行くにしても、常にノートPCを携帯するので、その中にいつでも参照できる地図が入っているというのはすごく安心だ。いつでもどこでもインターネットが使えるとは限らないのでローカルのHDDに入っていないと困るのだ。 手元にはいろいろなタイプのGPSがあるが、単体で移動した軌跡を記録できるものは2種類ある。両方ともガーミンの製品で、1つは「Geko201」、もう1つは、腕時計形状の「Forerunner 305」だ。後者には心拍モニタが付属するが、本体とはワイヤレスで通信するため、国内ではモニタを使わず単体GPSとして使っている。立ち止まると自動的に計測が中断し、信号などの交通事情が平均時速などに影響を与えないデータが得られる。 単4電池2本で気軽に長時間のログをとれるGeko201は旅行やハイキングに便利だし、日頃のウォーキングトレーニングにはForerunner 305が便利だ。内蔵バッテリはUSB充電で10時間しか持たないが、そんなに長時間歩いたり走ったりしないので十分だ。 さて、この手のGPSには、基本的に3つの機能がある。1つは数秒おきに位置情報を取得し、時刻データとともに記録するトラックログ。もう1つは、現在位置を明示的に記録するウェイポイント。ただし、ガーミン機ではウェイポイントデータに日時情報は記録されない。そして、最後はあらかじめ経路を覚えさせておくルート機能だ。手持ちのGPSには地図が付属していないが、ルートを覚えさせておけば、ルートからはずれたかどうかはわかるので、とりあえずのナビゲーション用途には使える。 ●トラックログで歩いた軌跡を知る ぼくのGPS用途は、ほとんどの場合、トラックログ機能だけで十分だ。ウォーキングから自宅に戻ってきて、GPSをPCにつなぎ、その日のトラックログを読み込ませれば、地図上に軌跡が表示されるのだ。各種のフリーソフトを使えば、トラックログをGoogle Map上に軌跡表示させたり、Google Earthで確認したりといったこともできるし、多くのパワーユーザーは、この手の地図ソフトの定番フリーソフトである「カシミール3D」の強力なGPSログ編集機能を活用していることと思う。 「プロアトラスSV3」は、ローカルのHDDにベクトル地図データを置けること、デフォルトでGPSに対応しているという点で愛用しているが、それに加えてトラックログとデジカメデータのマッピングができるようになったことで、まさに、ぼくの用途としては最強の地図ソフトとなりそうだ。 近所とはいえ、迷路のように入り組んだ路地に入り込んでしまうと、どこを歩いているのか、方向さえわからなくなってしまうこともある。適当に歩きながら、知っている道に出てホッとすることも多く、あとで、歩いた軌跡を地図上で確認できるのは、とても楽しく便利だ。 ただ、ユーザーインターフェイスとしては、もうちょっとなんとかならなかったものかと思う。GPSからトラックログをダウンロードするか、あらかじめ図形ファイルとして保存しておいたログを指定し、写真を置いたフォルダを指定するだけのことなのだが、特定フォルダ内の写真全部を登録しようとするなど、使い勝手の点で、もう少しがんばってほしかったところだ。任意の写真を地図にドロップすれば、その位置に吸い付くように配置されるくらいのことはできてもいいんじゃないかと思う。 ちなみに、写真の日時とトラックログの日時にズレがある場合は、その差分を指定することで日時データが修正される。正確な位置を知るためにも、デジカメで正確な時刻の写真を撮っておくといい。 【お詫びと訂正】初出時に、GPS端末側で秒単位の表示ができない旨の記述がありましたが、Forerunner 305、GEKO201とも設定可能でした。お詫びして訂正させていただきます。 ●ハイテク化を進めてほしいスポーツクラブ 近所にスポーツクラブができたので、オープン記念特価ということもあり入会した。今までは、近所をグルグルとウォーキングしていたのだが、ここのところは、ウォーキングマシンで歩いている。 最初の5分間を時速4Kmで足慣らしし、速度を時速7kmにあげて20分間、さらに時速7.5kmで10分間、時速7kmに戻して10分間、速度を時速5kmに下げ勾配を15%にして5分間、そしてクールダウンを5分間。これで約60分で6km強を歩いたことになる。実際に道路を歩いていたときと、だいたい同じ感じだ。ただ、やっぱり、本当に歩く方が楽しい。季節の変化も目に入る。ウォーキングマシンを使えば、後ろからクルマが来ることもないし、信号で止められることもない。ヘッドフォンをつけて音楽を聴いて周りの音が聞こえなくなっていても安全だ。それどころか、TVドラマを1本見ることができる。ウォーキングのような有酸素運動はどうしてもトレーニングに時間がかかるので、その時間を有効に使えるのはうれしいが、何か物足りないような気もする。実際の道路を歩いていたときには、戻ってきたらGPSをPCにつなぎ、歩いたコースや速度や距離といったデータを取り込み、地図ソフトで表示させるなどしていたのだが、そういう楽しみもない。 そもそも、この時代のトレーニングマシンなのだから、トレーニングデータを保存し、有効に分析活用できるようになっていればなと思う。ぼくが行っているスポーツクラブが遅れているだけかもしれないが、メモリカードやUSBメモリにデータを記録できるとか、FeliCaなどで認証してトレーニングを始めれば、あとで、データをWebで参照できるといったサービスがあればいい。小銭を身につけていないと飲み物も買えないローテククラブでは、それは無理というものか。調べてみると、そういう機能を持ったマシンを備えたスポーツクラブもあるようなのだが、行くのに時間がかかって足が遠のくのでは意味がない。 Forerunner 305にはトレーニングセンターと呼ばれるソフトが添付され、USBケーブルで接続するだけで、トレーニングの履歴がデータとして取り込まれ、今月はさぼり気味だとか、いろいろなことがわかり励みにもなっていた。フィットネスセンターを使うようになってからは、そういうことがなく、自分でメモでもとっておかない限りは、今月、どのくらい利用したかもわからないのだ。当然、そんなにマメではないので、今月の成果は闇の中だ。 □関連記事
(2007年6月29日)
[Reported by 山田祥平]
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