塩田紳二のPDAレポート

Windows Mobile用SideShowソフトウェア



 今回は、MEDC(Mobile and Embedded DevCon)のコンファレンスの内容などから、Windows Mobile用のSideShowソフトウェアやLive Searchプログラムについてレポートしたい。

●Windows Mobile用SideShowソフトウェア

 Microsoftは、MEDCで、Windows Mobileの上で動作するSideShowソフトウェアのデモを行なった。これは、Windows MobileマシンをSideShowデバイスとして動作させるもの。また同時に、SideShowデバイスは、Windows Embedded CEを組み込み用オペレーティングシステムとして利用しても開発できることになった。

 Windows Mobile用ソフトウェアの配布は2007年の第3四半期を目標としており、対象は、Windows Mobile 5および6だということだ。

 ソフトウェア自体は、通常のWindows Mobileのアプリケーションであり、基本的な操作は、SideShowデバイスと変わりない。デモでは、Windows Mobile搭載の携帯電話をBluetoothを介してWindows Vistaマシンに接続していた。なお、このプログラムは、.NET Micro Frameworkではなく、ネイティブコードと.NET Compact Framework 2.0で作られているという。また、Windows Embedded CE用では、Bluetoothのほかに、無線LANなどのIP経由での接続も可能となっているので、Windows Mobile版SideShowソフトウェアも無線LAN経由でできる可能性がある。

 .NET Micro Frameworkが動くプロセッサに比べると、Windows Mobileの方がかなりCPUが強力になり、動作もスムーズだった。

 VistaのSideShowガジェットと簡単に連携させることができ、特にカレンダー機能は、接続しているだけで最新の予定が入るため、OutlookとActiveSyncさせるよりも簡単。また、SideBarのガジェットからも一部SideShow機能が使えるため、PC側のさまざまな情報をWindows Mobileで見ることができるようになる。今まで、ActiveSyncを介した連携しかできなかったが、このソフトウェアが登場すれば、もう少しPCとWindows Mobileを緊密に連携させることができるようになる。

Windows Mobile用のSideShowプログラムはWindows Mobile 5または6で動作、2007年の第3四半期に配布される予定。配布がマイクロソフトが直接行なう予定だが、Windows Mobile 6.0にバンドルすることも可能なようだ Windows CEがサポートされたことで、.NET Micro Framework、CE、そして独自OSの3種類の環境を使ってSideShowデバイスを開発することができるようになった Windows Mobile用のSideShowは、通常のプログラムになっている
SideShowプログラムの実行画面。上下にガジェットが並ぶあたりは、SideShowデバイスと同じ。なお、Today画面にもガジェットの表示が可能 SideShowのWindows Player Gadgetによる演奏中の音楽表示。SideShowデバイスとまったく同じように表示される SideShowプログラムの設定画面。表示方法のほか、キャッシュ用のメモリなどを指定できる

●Windows Mobile上で動くLive Searchプログラム

 Windows Mobile向けGoogle Mapアプリケーションに対抗してか、マイクロソフトも地図機能を持つ「Windows Live Search for Mobile」をWindows Mobile用に開発、現在プレビューが行なわれている。MEDCでも、その概要についての話があった。なお、このソフトウェアは、すでにダウンロードが可能である。

 これは、地図検索、交通情報、ナビゲーション(ルート検索)、近隣検索機能を持ち、GPSとも連携できるWindows Mobile用アプリケーションである。ただし、対応しているのは、米国、英国のみ。それ以外の地域でも利用可能だが、近隣検索機能や交通情報などの機能は使えない。しかし、地図表示やルート検索は、米国外でも可能だ。

 日本の地名はすべてではないが、一部は、ローマ字で指定できる。たとえば「Kanda,Tokyo,Japan」や「Sinjyuku,Tokyo,Japan」などである。こうした名称、または、地図上の点に対して、ルート検索が可能なのだが、米国式に道路名で右折、左折という表記になってしまう。日本の道路には名前がついていないものがあるため、それらはすべて「Local Road(s)」となり、距離表記もマイルとなる。このため、このままではあまり使えそうにない。しかし、逆に、日本語版が正式にサービスされれば、ちゃんと使えるようになる可能性がある。少なくとも、基本的な仕組みはできているからである。

Live Searchのホーム画面。検索欄と現在位置の欄、そして4つの検索機能に対応したアイコンが表示されている 現在位置は、全米の都市からのメニューによる選択や地図上での指定、連絡先の住所、そしてGPSデバイスで指定が行なえる カテゴリ検索では、現在位置近隣のホテルなどの施設をメニュー形式で検索できる

 米国内であれば、GPSデバイスとWindows Mobileのスマートフォンを組み合わせれば、簡単なナビゲーションが可能となる。もっとも、地図のダウンロードに通信が必要なので、海外などで主流のGPSナビゲーションデバイスとどっちがいいのかは微妙である。

 なお、このWindows Live Searchソフトウェアは、Java版もあり、Nokiaのシリーズ60など、一部の携帯電話でも利用可能である。

 国内では、W-ZERO3向けに「Windows Live for Windows Mobile」が出ているが、これとは違っている。こちらは、Live Messengerと、Live Mail(HotMail)、Live Searchページを組み合わせたものだ。逆に、W-ZERO3でも、このLive Searchプログラムは利用可能。

 Googleは、サービスのモバイル対応を充実させてきており、Windows Mobileもその対象となっている。これに対抗するかのようにMicrosoftもWindows MobileでのLiveサービスの充実に力を入れ始めた。定額でのデータ通信が可能なら、こうした通信サービスを使ったほうが、柔軟性が高く、使い勝手などもどんどん改善されていく可能性が高い。また、いちいちデータなどを同期させる手間も要らなくなる。その意味では、もっと激しく競争してもらいたいところである。

ルート検索の例。2地点を指定すると、ルートを検索してくれる ルート検索を地図上で表示したところ
道路の混雑情報を表示させたところ。米国内の一部都市は、このような形で交通情報を表示できる Live Searchでは、ローマ字でKanda,Tokyo,Japanなどと入力することで、日本の地図も表示が行なえる

□MEDC 2007のホームページ(英文)
https://www.medc2007.com/public/home.aspx
□関連記事
【5月7日】【塩田】組み込み系Windowsの開発者向けイベントMEDC2007レポート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0507/pda58.htm
【4月6日】【塩田】SideShowデバイス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0406/pda57.htm

バックナンバー

(2007年5月16日)

[Text by 塩田紳二]


【PC Watchホームページ】


PC Watch編集部 pc-watch-info@impress.co.jp ご質問に対して、個別にご回答はいたしません

Copyright (c) 2007 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.