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NECエレ、2006年度は2年連続の営業赤字

代表取締役社長の中島俊雄氏

5月14日 発表



 NECエレクトロニクス株式会社は14日、記者会見を開催し、2006年度(2006年4月~2007年3月)の業績(連結)と2007年度(2007年4月~2008年3月)の事業展開を発表した。同社代表取締役社長の中島俊雄氏が説明にあたった。

 2006年度の売上高は前年比7.2%増の6,923億円。そのほとんどを占める半導体の売上高は同6.6%増の6,597億円だった。主要製品別ではSoC(system on a chip)、MCU(マイコン)、個別半導体とも前年比で6~8%増と堅調に売上高を伸ばした。

 なおNECエレクトロニクスの製品分類では、SoCは0.15μmプロセスや90nmプロセスによる高集積LSI(カスタム品や特定用途向け標準品など)、個別半導体は成熟したプロセスによるIC(ディスプレイドライバICやミクスドシグナルICなど)とディスクリート(パワーMOS FETや化合物半導体デバイスなど)を意味する。

 応用分野別では、民生用電子機器向けが前年比18%増、多目的/多用途IC(汎用マイコン、ゲートアレイ、多用途SRAM)が同28%増と好調だった。一方、通信機器向けは同8%減と振るわなかった。記者会見では明言を避けたが、任天堂の据置き型TVゲーム機「Wii」向けのDRAM混載LSIがSoCおよび民生用電子機器向けの売り上げ増に貢献したとみられる。

 地域別の売上高比率は日本が54%、日本を除くアジアが23%、欧州が13%、米国が10%である。日本は前年比6.9%増、日本を除くアジアは同10.7%増、欧州は同21.9%増と売上高を伸ばした。米国は同12.2%減と不調だった。

 営業損益は286億円の赤字(営業損失)である。前年度に続き、2年連続の営業赤字となった。なお2004年度(2005年3月期)は営業利益322億円、2005年度(2006年3月期)は営業損失357億円を計上していた。

2005年度(2006年3月期)と2006年度(2007年3月期)の製品別半導体売上高 2005年度(2006年3月期)と2006年度(2007年3月期)の応用分野別半導体売上高 営業損益の推移。売上高の増加と稼働率の向上によって300億円程度の利益増となったものの、固定費や販売管理費、研究開発費のコスト増分が200億円を超え、全体としては赤字で推移した

 2007年度(2008年3月期)の展望ではまず、半導体市場全体の見通しを説明。同社の推定によると、事業対象となる半導体の市場(DRAMとフラッシュメモリ、マイクロプロセッサを除いた市場)は2~8%の成長率となる。これに対して同社の売上高は、前年と同じ6,900億円程度となる見込み。半導体の売上高は前年比1.5%増の6,700億円とわずかに増やすほか、営業損益は収支トントンにし、売り上げ増よりも、利益の出る体質への転換を優先する。

 製品別の事業収支を中島社長に質問したところ、MCUと個別半導体はすでに黒字を出しており、SoCが大幅赤字になっているという。SoCは先端プロセスの開発費負担が重く、黒字を出しにくい。「今後2年くらいでSoCの収支をイーブンに持っていきたい」(中島氏)。

2007年度(2008年3月期)の半導体市場。NECエレクトロニクスの事業対象市場(DRAMとフラッシュメモリ、マイクロプロセッサを除いた半導体市場)は2~8%の成長率を予測した 2007年度(2008年3月期)の業績予想。事業対象市場の成長率が見通しの範囲内で最も低い2%となった場合の予想である。営業損益は収支均衡だが、純損益は赤字が続く 営業黒字化への考え方。固定費を200億円削減することが柱となっている
製品別の売上高見込み。SoCは横ばい、MCUと半導体は一桁の成長率と予測した 設備投資額と減価償却費の推移。2007年度は設備投資額を700億円に抑える

□NECエレクトロニクスのホームページ
http://www.necel.com/index_j.html
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【2006年12月14日】東芝/ソニー/NECエレ、45nmプロセスLSIの量産技術を開発
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/1214/45nm.htm
【2006年5月10日】NECエレ、任天堂「Wii」のビデオチップを製造
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0510/necel.htm

(2007年5月16日)

[Reported by 福田昭]

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