メルコ、DRAMの乱高下で増収減益
4月27日 実施 株式会社メルコホールディングスは27日、2007年3月期(2006年4月~2007年3月)の通期決算発表会を開催した。 2007年3月期通期の売上高は1,345億4,700万円、営業利益は51億4,800万円、経常利益は54億4,600万円、純利益は27億2,800万円だった。売上高は前年比16.2%増と好調だったものの、純利益は過去最高だった前年から25.8%減と不振だった。 減益の原因は、主に第3四半期に起きたDRAM単価の高騰による。同社は8月1日付けでDRAM製品の17%~40%値下げを断行したが、8月中にDRAMのスポット価格が30%高騰してしまい、DRAM事業が大幅に利益を減らした。 このためメルコ全体の四半期利益率も、第1四半期の3.6%、第2四半期の2.8%から、第3四半期には0.5%に転落した。第4四半期はDRAMの原価と売価のバランスが良かったため1.6%に回復している。
これについて、同社専務取締役 斉木邦明氏は、「DRAMは4月現在、適正な原価/売価に落ちついているが、これはWindows Vistaの効果であり、メモリ需要が高かった12年前のWindows 95の時とまったく同じ現象が起きている。今回もこれに倣い、今後夏頃からはやや緩やかに上昇するのではないかと分析している」と説明した。 一方USBフラッシュメモリ製品は、販売価格の低下に先んじて原価を低減することで利益を確保。このためメモリ事業全体の売上高は前年比5.7%増の407億9,500万円となった。 HDDなどのストレージ製品の売上高は前年比21.3%増の494億6,100万円。SOHOや大企業向けのNAS製品「TeraStation」が好調でシェアも伸びた。また、欧州や北米などでもシェアが伸び、売上高の半分以上を占めるようになった。 ネットワーク製品の売上高は、前年比9.1%増の230億900万円。2006年後半に出荷された「PLAYSTATION 3」や「Wii」の影響で、より遠くまで電波が届く「ハイパワー」製品が売り上げの30%以上を占めるようになり、高い利益率を得ることができた。 そのほかの分野の売上高は、前期比38.3%増の212億8,000万円を達成。特に、2006年10月に出荷した「ちょいテレ」が絶好調で、単体で25億円の売り上げに達した。このほかのサプライ製品も順調にシェアを伸ばし好調だという。
2008年3月期の通期業績見通しは、売上高1,580億円、営業/経常利益55億円、純利益32億円を見込んでいる。なお、売上高にはアーベル買収による連結売上高45億円と、アーベル製品の倉庫整理にかかる費用9億円を含んでいる。
今後のメルコグループの方針について、同社代表取締役社長 牧誠氏は、「法人市場の拡大、海外市場の拡大、デジタルホーム市場への進出の3つを目指す」と説明する。 具体的には、法人では、今後展開すると予測されるFMC(Fixed Mobile Convergence)サービスによる無線LAN機器の普及、およびコクヨのチャネルを通した法人向けNAS市場の形成を目指す。 海外進出に関しては、ドイツ語圏やラテン語圏など欧州への積極的な戦略展開を目指す。特に広告などに力を入れ、「利益を確保する以前に、シェア拡大に注力し、各分野において40%以上のシェアを目指す」という。 デジタルホーム市場に関しては、セットトップボックスのOEM供給のほか、地上デジタルTVチューナのOEM供給も目指す。この地上デジタルTVチューナのOEMを通じてノウハウを蓄積し、今後デジタルTV放送の法案が改正されれば、個人向け小売市場にも出していくとした。
□メルコホールディングスのホームページ (2007年4月27日) [Reported by ryu@impress.co.jp]
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