デルの「XPS M1210」は、12.1型ワイド液晶を搭載した2スピンドルノートPCだ。デルのコンシューマ向けノートPCは、「Inspiron」ブランドで展開してきたが、XPS M1210は、一般的なメーカー製PCでは満足できないというこだわり派向けのプレミアムブランド「XPS」シリーズの製品であり、高いパフォーマンスを実現していることが魅力だ。 ●メモリを最大4GB搭載可能 デルのプレミアムブランド「XPS」ブランドの製品は、現在ノートPC 3機種、デスクトップPC 1機種が発売されているが、今回紹介するXPS M1210は、その中で最も小型軽量な製品であり、6セルバッテリ搭載時に重さ2kgを切る。筐体デザインは比較的シンプルで、ボディカラーはブラックとシルバーを基調にした、シックなものだ。 デルの他の製品と同様に、BTOで構成を自由に選べることも特徴である。CPUはCore Duo T2500/T2300E/T2050/Celeron M 410の4種類から選択可能だ。チップセットは、Intel 945PM(GeForce Go 7400選択時)またはIntel 945GMとなる。メモリ容量は、512MB/1GB/2GB/4GBから選べるが、ノートPCで出荷時に4GB構成を選択できる製品は非常に珍しい。普通は、せいぜい2GBまでだ。このあたりは、プレミアムブランドのXPSシリーズならではといえるだろう。 ただし4GB構成を選ぶと、値段も大きく跳ね上がる。512MBモデルと4GBモデルの差額は362,800円にもなり、合計価格は45万円を超えてしまう。通常のアプリケーションにおいては、4GBのメモリが必要になる場面はそれほど多くはないだろう。2GB構成なら14万円台から購入可能なので、コストパフォーマンス的には2GB構成がお勧めだ。なお、SO-DIMMスロットを2基搭載しているが、全ての構成でSO-DIMMが2枚装着されており、デュアルチャネルアクセスが可能となっているため、空きSO-DIMMスロットはない。
HDD容量は、40GB/60GB/80GB/100GB/120GBから選べ、光学ドライブはDVD-ROM/CD-RWコンボドライブかDVD±RWドライブを選択できる。HDDはパック式になっており、交換も容易だ。 GPUをIntel 945GM内蔵コアまたはGeForce Go 7400 TurboCacheから選択できることもポイントだ。もちろん、3D描画性能は、GeForce Go 7400 TurboCacheのほうが格段に高い。最新ゲームをプレイしたいという人は、GeFoce Go 7400 TurboCacheの選択をお勧めする。 なお、今回の試用機は、CPUがCore Duo T2400、メモリが1GB、HDDが80GB、GPUとしてGeForce Go 7400 TurboCache搭載という構成であった。Core Duo T2400は、本来BTOで選択できないCPUなので、ベンチマーク結果などはあくまで参考程度にしてもらいたい。
●無線LANの電波検出機能を搭載 液晶ディスプレイとして、12.1型ワイド液晶パネルを搭載する。解像度は1,280×800ドットで、いわゆる光沢タイプの液晶だ。発色やコントラストについても不満はない。周囲の明るさを検知して、バックライトの輝度を自動的に調整することも可能だ。 キーボードの配列は標準的であり、主要キーのキーピッチも均等なので、タイピングはしやすい。ポインティングデバイスとしては、タッチパッドを採用。また、本体前面に、CD/DVDなどの再生操作が行えるマルチメディアキーを装備している。
インターフェイスとしては、USB 2.0×4、ミニD-Sub15ピン、Ethernet、IEEE 1394(4ピン)、Sビデオ出力、モデムなどを搭載する。カードスロットとして、ExpressCardスロットと5-in-1スロット(メモリースティック(PRO)/SDカード/MMC/xD-Picture Card対応)を装備する。ただし、ExpressCardスロットのフタはダミーカード方式なので、紛失するおそれがある。 また、BTOによって、液晶ディスプレイ上部に回転式カメラを搭載することが可能だ。内蔵カメラは静止画や動画の撮影が可能で、ビデオチャットなどにも利用できる。ちなみに、デルのノートPCでカメラを内蔵したのは、XPS M1210が初となる。
無線通信機能については、無線LAN(IEEE 802.11a/b/gまたはIEEE 802.11b/g)やBluetoothの追加が可能だ。専用の無線LANスイッチは用意されていないが、無線LANとBluetoothのインジケータは用意されている。「Wi-Fi Catcher」と呼ばれる無線LANの電波検出機能を装備しているのもユニークだ。この機能は、ノートPC本体の電源を入れていない状態でも、左側面のWi-Fi Catcherスイッチをスライドさせるだけで、無線LANが利用できる環境かどうか(無線LANアクセスポイントからの電波が届いているか)がLEDの点灯によって知ることができるというものだ。 なお、miniPCI Expressスロットは2基用意されているが、無線LANカードが装着されていない方のminiPCI Expressスロットは、Wireless WAN(携帯電話ネットワークへの接続機能)のためのスロットで、残念ながら現時点では日本国内では利用できない。
バッテリは、6セルバッテリ(11.1V/53Wh)と9セルバッテリ(11.1V/85Wh)の2種類が用意されている。今回の試用機には9セルバッテリが装着されており、バッテリが一部本体の後ろ側にはみ出しているが、6セルバッテリでははみ出さずに装着できるものと思われる。また、バッテリには残量インジケータLEDも用意されている。なお、バッテリ駆動時間は明らかにされていない。
●モバイルノートPCの中でもトップクラスの性能を実現 参考のために、いくつかベンチマークテストを行なってみた。ベンチマークプログラムとしては、PCMark05、3DMark03、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3、FRONT MISSION ONLINEオフィシャルベンチマークソフトを利用した(電源プロパティの設定は「常にオン」で計測)。 結果は下の表にまとめたとおりである。比較用に「WinBook DN6000」や「Let'snote CF-Y5」、「FMV-BIBLO MG75S」、「Lenovo 3000 C100」の結果もあわせて掲載した。なお、前述したように、試用機のCPUは、BTOメニューに用意されていないCore Duo T2400であったが、おおよそのパフォーマンスを知るには問題ないだろう(Core Duo T2500やCore Duo T2300Eの選択が可能)。 ベンチマーク結果から、XPS M1210は2kg前後のモバイルノートPCとしては非常に高い性能であることがわかる。特に、GeForce Go 7400 TurboCacheの威力は大きく、3D描画性能を計測する3DMark03やFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3、FRONT MISSION ONLINEオフィシャルベンチマークソフトのスコアは、Intel 945GM/Intel 945GMS搭載製品に比べて、数倍にもなっている。最新ゲームでも快適にプレイできるパフォーマンスを持っているといえるだろう。
【表】ベンチマーク結果
●パワフルなモバイルノートPCが欲しい人にお勧め XPS M1210は、サイズ的にはモバイルノートPCだが、スペックはフルサイズノートPCに匹敵する製品である。BTOメニューで選択可能な項目が多く、最小構成では10万円(オンライン価格)を切るが、最高スペックを選択すると60万円近くにもなる。さすがに、4GBメモリの搭載は、一般ユーザーにはオーバースペックだろうが、2GBまでなら比較的リーズナブルな価格で購入できるので、コストパフォーマンス的にも魅力がある。GeForce Go 7400をチョイスすれば、3D描画性能が要求される用途にも対応できる。もちろん、Windows Vistaへの対応も問題はない。プレミアムブランドであるXPSブランドの製品だけあり、全体的な質感も高い。メインマシンとしても使えるパワフルなモバイルノートPCを探している人にお勧めしたい。
□デルのホームページ (2006年8月9日) [Reported by 石井英男]
【PC Watchホームページ】
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