エプソンダイレクトの「Endeavor NA101」は、重さ約1.2kgという、12.1型液晶搭載2スピンドル機としてトップクラスの携帯性を実現したモバイルノートPCだ。最近、各社から重量1.5kgを切るモバイルノートPCが発表されているが、その中でも完成度が高いと思われる製品だ。 そこで今回は、Endeavor NA101の試作機を試用する機会を得たので、早速レビューしていきたい。 ●マグネシウム合金採用により、軽量化と堅牢性を両立 Endeavor NA101(以下NA101)は、重量約1.2kg(1.8インチHDD選択時)という高い携帯性を誇る2スピンドルモバイルノートPCだ。 本体サイズは、281×237×32~35mm(幅×奥行き×高さ)で、ボディには軽くて丈夫なマグネシウム合金が採用されている。 フォームファクタやスペックから考えると、松下電器産業の「Let'snote CF-W5」がライバルとなるだろうが、Let'snote CF-W5の重量は約1.199kg、本体サイズは268×210.4×24.9~44.3mmなので、重量はほぼ同等で、サイズに関してもフットプリントはNA101のほうがやや大きいが、厚みはNA101のほうがスリムだ。Let'snoteシリーズは、ボンネット構造を採用しているため、天板に凹凸があるが、NA101は天板がフラットなので、鞄などへの収まりもよい。 NA101は、マザーボードのサイズを従来のB5モバイルノートPCに比べて約40%小さくしたほか、スーパーマルチドライブの金属部にもマグネシウム合金を採用するなどして、軽量化を図っている。 モバイルノートPCは、持ち運ぶ機会が多いため、軽量性だけでなく堅牢性も重要なポイントだ。NA101は、天板の耐圧150kgfという高い堅牢性を実現している。ちなみに、Let'snote CF-W5の耐圧は100kgfなので、NA101のほうが耐圧性能に関しては優れている。 ボディカラーは、標準のグレー/シルバー以外に、天板や液晶部分、キーボード面をパールホワイトで統一した「NA101 White Edition」も用意されている。
●指紋センサーを搭載し、高いセキュリティを実現 NA101は、BTOでCPUやメモリ、HDDなどのスペックを自由にカスタマイズ可能だ。CPUは、超低電圧版Core Solo U1400(1.2GHz)または超低電圧版Celeron M 423(1.06GHz)から選択できる。チップセットには、グラフィックス統合型のIntel 945GMS Expressを採用。メモリは、PC2-4200 DDR2 SDRAMで、容量は512MB/756MB/1GB/1.5GBから選べる。オンボードで512MBのメモリが実装されているほか、SO-DIMMスロットを1基装備している(512MB以外の構成では出荷時にSO-DIMMが装着されており、空きスロットはない)。 HDD容量は、30GB/40GB/60GB/80GB/100GBから選択可能で、30GBのみ1.8インチHDDとなる(他は2.5インチHDD)。HDDは交換が容易な設計になっており、衝撃が伝わらないようにゴム素材のショックアブソーバーに包まれている。なお、今回の試用機の構成は、CPUがCore Solo U1400、メモリが512MB、HDDが1.8インチ30GB、光学ドライブがDVDスーパーマルチドライブ、無線LAN搭載というものである。
液晶ディスプレイとして、12.1型液晶パネルを採用。解像度は一般的なXGA(1,024×768ドット)で、ノングレアタイプのパネルだ。いわゆる光沢タイプのパネルではないため、外光の写り込みが少なく、モバイル用途には適している。 キーピッチは17.7mm、キーストロークは2mmで、不等キーピッチもない。キー配列も標準的なので、タイピングはしやすい。また、キートップにひらがなが刻印されている通常の日本語キーボード以外に、ひらがなの印刷を省いたローマ字キーボード(キー配列は日本語キーボードと同じなので、いわゆる英字キーボードではない)を選択することもできる(White Editionは日本語キーボードのみ選択可能)。パームレストの表面には、ゴルフボールのようなディンプル加工が施されており、汗によるべとつきを防止している。
ポインティングデバイスとしては、タッチパッドが採用されている。キーボードやポインティングデバイスの操作感も良好である。また、パームレスト右側は、スライド式の指紋センサーが搭載されている。Windowsのログオンなどを指紋認証で行なうことができるので、セキュリティ面でも安心だ。また、暗号化キーを管理するTPMセキュリティチップも搭載している。
NA101は、光学ドライブをDVD-ROMドライブ/コンボドライブ/スーパーマルチドライブ(DVD+R DL対応)から選択できるほか、光学ドライブ無しという構成も可能だ。光学ドライブ無しを選ぶと重量は約84g軽くなり、約1.1kgとなる。なお、光学ドライブは、本体を分解せずに着脱が可能だが、ユーザーの手による交換は認められておらず、出荷時に2スピンドル構成か1スピンドル構成を選ぶことになる。
●長時間バッテリを装着すれば約12.6時間もの長時間駆動が可能 インターフェイスとしては、USB 2.0×3、IEEE 1394(4ピン)、ミニD-Sub15ピン、Ethernet、モデムなどを搭載するほか、Type2 PCカードスロットと3in1スロット(SDメモリーカード/MMC/メモリースティック対応)も装備している。ただし、PCカードスロットと3in1スロットのフタは、両方ともダミーカード方式なので、紛失する恐れがある。また、SDメモリーカードなどは、3in1スロットに最後まで入るのではなく、半分くらいはみ出すようになっている。
ワイヤレス機能として、BTOでIEEE 802.11a/b/g対応無線LANとBluetooth Ver2.0+EDRを選択可能だ。キーボード上部に無線LANスイッチが用意されており、ワンタッチで無線LAN機能の有効/無効を切り替えられるのは便利だ。また、無線LANインジケータも用意されている。
また、オプションとしてPCカード型のワンセグチューナ(ピクセラ製)も提供されている。ワンセグチューナを装着すれば、ワンセグ放送の視聴が可能になる(録画は不可)。 バッテリは、軽量バッテリ(7.4V/5,200mAh)と長時間バッテリ(7.4V/13,000mAh)の2種類が用意されている。約1.2kgというのは軽量バッテリ装着時(1.8インチHDD選択時)の重量であり、Core Solo搭載モデルでは約5.6時間(JEITAバッテリ時間測定法による)、Celeron M搭載モデルでは約5時間の連続駆動が可能だ。 長時間バッテリを装着すると、駆動時間はそれぞれ約12.6時間、約12時間に延びる。長時間バッテリ装着時でも、重量は約1.5kgに収まるので(背面にバッテリが38mm程度出っ張るが)、ACコンセントのない場所で長時間利用するのなら、長時間バッテリを選ぶことをお勧めしたい。
●モバイルノートPCとしての完成度はトップクラス 参考のために、いくつかベンチマークテストを行なってみた。ベンチマークプログラムとしては、PCMark05、3DMark03、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3、FRONT MISSION ONLINEオフィシャルベンチマークソフトを利用した(電源プロパティの設定は「常にオン」で計測)。 結果は下の表にまとめたとおりである。比較用にGateway MX1020jやLet'snote CF-Y5、FMV-BIBLO MG75S、Lenovo 3000 C100の結果もあわせて掲載した。 NA101は、Core Solo U1400を搭載しているため、Core Solo U1300を搭載しているMX1020jに比べて、PCMark05のCPU Scoreは高い。逆に、HDD性能を示すHDD Scoreは低いが、これは1.8インチHDDを採用しているためであろう。3D描画性能も、Intel 945GM搭載機に比べてやや低いが、用途を考えれば問題とはならない。
【表】ベンチマーク結果
NA101は、モバイルノートPCに要求される「携帯性」、「堅牢性」、「バッテリ駆動時間」の3つのポイントを高いレベルで実現しているだけでなく、コストパフォーマンスの高さも魅力だ。今回の試用機の価格は18万円程度であり、Let'snote CF-W5に比べて6万円程度安い。 ちなみに、30GBの1.8インチHDDよりも、40GBや60GB、80GBの2.5インチHDDを選択したほうが価格は安くなる。2.5インチHDDを選ぶと、重量は54g程度増えるが、HDD性能も向上するので、2.5インチHDDを選択したほうが買い得感は高い。 指紋センサーやTPMセキュリティチップを搭載するなど、セキュリティ面も強化されているので、ビジネスユースにも向いている。軽くて丈夫で、コストパフォーマンスの高いモバイルノートPCが欲しいという人にお勧めしたい。
□エプソンダイレクトのホームページ (2006年7月12日) [Reported by 石井英男]
【PC Watchホームページ】
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