エプソンダイレクトのノートPC、Endeavorシリーズの新モデル「Endeavor NA701」は、モバイル性とマシンスペック双方を高レベルで両立するハイパフォーマンスA4モバイルという位置付けのマシンだ。Endeavor NT550の後継モデルで、ベースとなる仕様を受け継ぎつつ、さらなる進化を遂げている。 ●150kgfの圧力にも耐える高い堅牢性を実現
Endeavor NA701(以下NA701)は、本体重量が約2kg(標準バッテリ/光学ドライブ搭載時)という携帯性を重視した軽量ボディながら、デスクトップ顔負けの高いマシンスペックが実現されている点が特徴だ。 本体デザインは、ブラックとシルバーを交互に配置するというカラーリングがおもしろい。天板部分およびキーボード面はシルバーで、液晶面と本体底面がブラックとなっている。パネルを閉じた状態で本体を見ると、ブラックとシルバーがサンドイッチ状に並び、独特なイメージを作り出している。全体的にはシンプルなデザインではあるが、遊び心があってなかなか好印象だ。 シルバーの天板部分の素材にはマグネシウム合金を採用し、軽量化と堅牢性を両立させている。このところ、本体の耐圧性能を売りにするノートPCが増えているが、このNA701も150kgfという高い耐圧性能が実現されている。液晶部分はそれほど厚みがなく、天板部分に特殊なボンネット加工なども施されていないが、天板全面に均等に150kgの圧力をかけても耐えられるという耐圧性能を実現している。これなら、満員電車で大きな圧力を受けるような環境でも安心して携帯できるだろう。 ●Core Duoおよび外部GPU採用でパワーアップ NA701はエプソンダイレクトの製品なので、BTOによる細かなカスタマイズが可能となっているため、単純なスペック比較は難しいが、次世代WindowsであるWindows Vistaが快適に動作するためのハードウェア要件を満たすPCに対して与えられる「Windows Vista Capable PC」ロゴが付いていることからも、前モデルであるNT550から機能面が進化しているとわかる。そして、その進化の中で中心となるのが、搭載されるCPUとグラフィックチップだ。 CPUは、IntelのデュアルコアCPUであるCore DuoシリーズがBTOラインナップに加わった。価格面の考慮からCeleron M 410も選択可能となっているが、基本となるCPUはやはりCore Duoとなる。Core Duoの中で選択できるのは、T2300E/T2500/T2600の3種類。今回試用したマシンにはT2500が搭載されていた。デュアルコアCPUの採用により、複数の作業を同時に行なった場合でも、もたつくことなくスムーズな作業が可能となっている。 また、グラフィックチップにNVIDIAのGeForce Go 7300が採用され、さらにビデオメモリも128MB搭載されている。DirectX 9/Shader Model 3.0ベースのGPUで、従来モデルでチップセット内蔵のグラフィック機能が利用されていたことを考えると、かなりの進化といえる。この点が、Windows Vista Capable PCロゴが与えられる直接的な要因になっているのは間違いないだろう。 今回試用した構成はCPUにCore Duo T2500、メモリ1GB、HDD 80GB、無線LANあり、OSにWindows XP Professionalを搭載し、受注価格は199,500円(7/24までのキャンペーン特別価格)となっている。 ●基本スペックやインターフェイス類も充実 メインメモリは、オンボードで512MBのPC2-4200 DDR2 SDRAMを搭載しており、最大1.5GBまで搭載可能。また、HDDは40GBから100GBまで4種類の中から選択できる。この内蔵HDDはUltra ATA/100対応のIDEタイプとなる。ネットワーク機能としては、Gigabit Ethernetに加え、IEEE 802.11a/b/g対応の無線LAN機能を搭載(無線LAN機能は非搭載の選択も可能)。また、Bluetooth機能(Bluetooth 2.0+EDR準拠)を標準で搭載しており、モバイル用途はもちろん、ワイヤレスマウスの利用などにも活用できる。 光学ドライブは、DVD-ROMドライブとCD-RW/DVD-ROMコンボドライブ、±R DL対応DVDスーパーマルチドライブの3種類から選択できる。ちなみに、光学ドライブ非搭載でウエイトセーバーを選択することも可能だが、光学ドライブ自体は着脱式ではない。 インターフェイス類も豊富に用意されている。まず、Type2 PCカードスロットにSDメモリーカードやMMC、メモリースティック(PROは非対応)が利用できる3in1スロットを用意。USB 2.0ポートは、本体左側面に1個、右側面に3個と計4個用意され、右側面にはIEEE 1394ポートも標準で用意されている。また、本体左側面には、ミニD-Sub15ピンに加え、Sビデオ出力端子も用意されている。 標準バッテリは、11.1V/4,800mAhという仕様で約4.2時間(Core Duo搭載時、Celeron M搭載時は約3.5時間)と比較的長時間。また、オプションで用意されている長時間バッテリは11.1V/7,800mAhという仕様で約7.3時間(Core Duo搭載時、Celeron M搭載時は約5.5時間)と、かなり長時間の駆動が可能となる。
●1,400×1,050ドット表示対応の液晶ディスプレイも選択肢に追加 搭載される液晶ディスプレイは、前モデル同様に14.1型のTFT液晶だ。ただし、パネル解像度は従来どおりの1,024×768ドット(XGA)のパネルに加え、1,400×1,050ドット(SXGA+)のパネルが新たに選択可能となった。今回試用したマシンには、SXGA+のパネルが搭載されていた。ノングレアタイプの一般的な液晶で、鮮やかさはやや欠ける印象もあるが、かなり明るく視野角も広いようで、非常に見やすい液晶だという印象を受けた。特にSXGA+のパネルでは広大な作業領域を確保できるため、ビジネス用途では大いに活躍してくれるはずだ。 ビジネス用途という意味では、セキュリティ面が充実している点も見逃せないポイントの1つだ。キーボード手前パームレスト部分には指紋認証用のセンサーが搭載され、さらにセキュリティチップ(TPM)も内蔵されている。これらを組み合わせることで、ビジネスシーンで求められる高いセキュリティ性を容易に実現できるよう考慮されている。 キーボードは、キーピッチ19mm、ストローク2.5mmのフルサイズキーボードを搭載する。タッチはやや軽めで、クリック感もそれほど強くないように感じたが、無理な配列もほとんど無く、使い勝手はそれほど悪いものではない。ただ、\キーが他のキーに比べ若干小さくなっていたり、カーソルキーが1段下がって配置されていない点は残念だ。 ポインティングデバイスはタッチパッドを採用。クリックボタン部分が独立した構造となっていないこともあってやや使いづらく感じたが、それ以外は一般的なタッチパッド同様に操作性に不満はない。ちなみに、キーボード上部に用意されているボタンを押すことで、タッチパッドの動作を簡単に切り離せるようになっている点はポイントが高い。デスク上で外部マウスを接続して利用する場合などに重宝することだろう。このタッチパッドのON/OFFボタンの横には、無線LANとBluetoothを独立してON/OFFが行なえるボタンも用意されている。 ところで、キーボード手前のパームレスト部分は、ゴルフボールの表面のようにディンプル加工が施されている。これは、デザイン的なアクセントになっているとともに、操作時の汗によるべたつきを防止する効果も発揮する。ただ、こういった加工を施すというのは、パームレスト部分が熱くなるからということにほかならない。実際、パームレスト部分の右側は、操作時にかなりの熱を持つことを確認した。ディンプル構造があるとはいえ、夏場はやや不快に感じるかもしれない。次期モデルでは、内部パーツの配置を見直すなどして、パームレスト部分の発熱を抑えるように改善されることを期待したい。 ●パフォーマンス・携帯性・価格どれも魅力 パフォーマンスを検証するため、いくつかのベンチマークテストを行なった。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark05」と「3DMark03」、「3DMark05」、「3DMark06」、スクウェア・エニックスが配布している「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」だ。今回は、DirectX 9世代のグラフィックチップを搭載していることもあり、3DMark05および3DMark06も加えている。測定は、電源オプションプロパティの電源設定を「常にオン」に設定して行なっている。 結果を見ると、CPUにCore Duo T2500を搭載しているだけあり、PCMark05の結果はかなり良好となっている。また、3D描画能力は、さすがにチップセット内蔵機能に比べると遙かに良い結果が得られている。とはいえ、GeForce Go 7300は、DirectX 9世代のグラフィックチップの中でもエントリークラスに位置するモデルであり、3D描画能力が飛び抜けて高いというわけではない。最新3Dゲームでは、ややもたつきを感じる可能性も否定できない。しかし、同クラスのノートPCでは、ほとんどがチップセット内蔵のグラフィック機能を利用していることを考えると、十分アドバンテージになるだろう。
【表】ベンチマーク結果
このようにNA701は、デスクトップ代わりにメインマシンとして活用できるだけのパフォーマンスを詰め込みながら、約2kgという軽量ボディで、携帯性に優れる点が大きな魅力のマシンだ。また、今回試用した構成で199,500円(キャンペーン特別価格)、最小構成で119,700円からというコストパフォーマンス性の高さも見逃せない。指紋認証用センサーやTPMの標準搭載によるセキュリティ性の高さ、150kgfという圧力に耐える高い堅牢性などもあり、特にビジネス用途として携帯性に優れた高性能ノートPCを探している人におすすめしたい。
□エプソンダイレクトのホームページ (2006年7月6日) [Reported by 平澤寿康]
【PC Watchホームページ】
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