●予約注文で、発売当日に到着
新しいW-ZERO3は、ウィルコムの直販サイトで予約した。すでに前の機種を持っており、W-SIMもあるので、本体のみを注文した。 実は、その前に機種変更で1回予約してしまったが、前のW-ZERO3は12月発売であるため、利用期間が6カ月未満となり、機種変更として購入すると約58,000円となってしまう。なので、1回キャンセルして、本体のみを再度注文した。すでにW-SIMを持っている人は、おとなしく単体のみを注文するのがいいようだ。 価格は5万円だったが、ポイントがあったので、これを利用した。といってもW-SIMをPCにつなぐDD(WS002IN)を買ったときのものなので、300円弱安くなっただけだが。なお、予約特典として、5色のカラースタイラスのセットが付いてきた。 色が黒いときにはわからなかったが、本体と先端には違う部品が使ってあるようだ。このあたり、長年Zaurusシリーズを手がけるシャープらしいところ。ちなみに、このW-ZERO3シリーズ、メンテナンス用のメニュー(サービスメニュー)は、Linuxを採用したZaurusシリーズとそっくり、というか、同じである。メニュー中には“Zaurus Test”なんて項目がある。前機種は、設計期間が非常に短かったと聞く、おそらくは、Zaurusの設計をベースに、Windows Mobile 5.0を搭載したということなのであろう。
今回は、前とは大きく違う色としてパールホワイトを選んでみた。前の機種もあるし、区別が簡単についていいだろうと思ったからだ。 ●フラッシュメモリが256MBに WS004SHは、基本的には、前機種であるWS003SHと同一筐体でフラッシュメモリが256MBに強化されている(前モデルは128MB)。また、筐体カラーは、ガンメタリックとパールホワイトの2種となった。白系統の色が用意されているのは、女性ユーザーを意識してとのことだという。そのほかのCPUやRAMなどには変更点はない。 ソフトウェア的には、英語辞書ソフトが追加されている。これは、三省堂の辞書を使ったDicLandというソフトウェアである。 とりあえず、スペックなどについては、ウィルコムのサイトを参照していただきたい。 パッケージや同梱物などもほとんど同じである。ただし、付属のケースは、マジックテープでフタをする形状に変わっている。前の機種では、口をきつめにした袋状のもので、出し入れが少し面倒だったが、今回のものは、フタを開ければスムーズに出し入れが可能だ。なお、素材は、同じようなものが使われているようだ。ケース自体はソフトだが、中に固い板が入っているため、外部からの圧力などから液晶を保護することができる。板は両面にあるため、どちらに向けて入れても大丈夫だ。 また、付属のCDに収録されているActiveSyncは、4.1となった。前機種では、出荷直前にバージョンアップがあったので、間に合わず4.0のままだった。なお、このCDには、新しく追加された辞書ソフト(DicLand)のインストールイメージが収録されている。その他には、ドライバ類などでこれも以前と同じである。できれば、説明書PDFぐらいは、収録しておいて欲しかったところ。
●ハードウェアは違っているか? 外観は、まったく同じようだが、中身はどうだろう。さっそく分解してみた。 ネジ位置などは基本的に同じ。ただ、前機種では、バッテリの下でシールに隠されていた部分のネジは、シールに丸い穴が空き、剥がさなくともネジを外せるようになっていた。まあ、修理することを考えるとこのほうが合理的である。 内部の構造も前回と同じ、液晶部と本体部は、電気的には、フレキシブル基板で接続されている。液晶部と本体をスライドさせる機械的な機構も前と同じようだ。 さて、メイン基板だが、フラッシュメモリの型番が違うほかは、まったく同じだった。 ハードウェア的には、まったくのマイナーチェンジといえる。
●ソフトウェアは違っているか? 次はソフトウェアだ。 搭載されているWindows Mobileのバージョンは、5.1.195(Build 14957.2.3.1)と前機種よりも上がっている。最初のW-ZERO3(WS003SH)は、5.1.70(Build 14406.1.1.1)となっている。WS003SHのバージョンナンバーは、6月22日に公開されたアップデート1.04aを当てても変化しない。
Windows Mobileは、シャープのようなハードウェアメーカーにのみ販売される製品である。しかし、一度マイクロソフトからリリースされたあと、バグフィックスやアップデートなどが行なわれる。 これは、AKU(Adaptation Kit Update)と呼ばれるもので、やはりOEMメーカーにしか公開されない。なぜ、AKUというのかといえば、最初に渡されるものがメーカーのハードウェアにWindows Mobileを移植するためのAdaptation Kitであり、そのアップデートという意味なのである。 AKUにも番号があり、AKU 2.0などと呼ばれる。実際にどのAKUが使われているかは、ビルド番号の小数点以下が表している。だとすると新しいWS004SHには、AKU 2.3.1が搭載されていると考えられる。 AKU 2.0では、Message and Security Future Pack(MSFP)と呼ばれるWindows Mobileのアップデート機能などが追加されていることになっている。これがあると、Exchange Serverに到着したメールを自動的にダウンロードできる「Direct Push機能」が使えるようになる(ただし、常にパケット通信などでの接続が必要)。新しいW-ZERO3でこの機能が使えるようになっているかどうかは不明である。基本的には、OEMメーカーがどの機能をユーザーに使わせるかを決定できるからだ。 ちなみに、AKU 2.0でタイトルバーにあるバッテリアイコンが変わったのだが、WS004SHでは、最初のままになっている。しかし、少なくとも、WS004SHのWindows Mobileは、最新のものになっているようだ。 起動直後に表示されるToday画面の背景も茶色系で比較的落ち着いた感じになっている。また、新規付属の辞書ソフトだが、英和、和英、国語辞典からの辞書検索が行なえる。英文ビジネスレター辞典は、キーワードから例文の検索が可能なほか、電子書籍のように本文を見ることも可能になっている。 ●差分はごくわずか、新規購入なら というわけで、ハードウェア的にはメモリの増量、ソフトウェア的にはわずかなアップデート、というのが結論だった。 初期状態では、WS004SHとWS003SHの間で、体感的な速度差は感じられない。 本体のフラッシュメモリは、ユーザーのファイル領域としても使われるため、これが256MBになると、より多くのプログラムをインストールできるようになる。一部のソフトウェアは、外部のminiSDカードでは動作しないこともあるし、また、カードにアプリケーションをインストールしてしまうと、カードを交換するときに不便。その意味では本体メモリは大きければ大きいほうがいい。 ただ、わざわざWS003SHから買い直すほどの大きな改良点ではない。新規に購入するなら、いいタイミングかもしれない。
□製品情報 (2006年6月23日) [Text by 塩田紳二]
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