●はじめて洗濯機を「欲しい」と思った
おそらく普通の家庭では、生活家電を購入するときに、何らかの切実な理由があるはずだ。今使っている洗濯機が壊れた、新生活を始めるのに冷蔵庫がいる、など必要に迫られて生活家電を購入するのが一般的だろう。しかし、今回、筆者宅では、まだ現役バリバリだった既存の洗濯機をリサイクルに出してまで、新しい洗濯機を購入してしまった。それが、三洋電機の洗濯機「AQUA(AWD-AQ1)」だ。 このAQUA、何がそんなにイイのかというと、空気で洗う「エアウォッシュ」という機能が搭載されている。この機能の詳細については「そこが知りたい家電の新技術」を参照していただきたいが、要するにオゾンを利用することで、水を使って洗濯しなくても、衣類の消臭、除菌ができるようになっている。 TV CMで製品をはじめて見たときは、「ホントかぁ?」と疑い半分だったが、ニュース番組の特集でタバコのニオイが消える実験などを何度か見かけ、どうやら、かなりの消臭効果があることがわかってきた。さらに調べてみると、ホテルなどで部屋の消臭にもオゾンが使われているらしい。こうなると、個人的にはもう、自分で試してみないと気が済まない。というわけでカミさんと相談して、購入してしまったというわけだ。 ●ニオイは確かに消える
では、そのエアウォッシュの実力のほどはどうかというと、これが確かにすばらしい。我が家では犬を飼っており、数週間に1度くらいの割合で自宅でシャンプーをするのだが、このシャンプー後に犬の体を拭き取った専用のタオルは、表現が難しいが「獣のニオイ」がする。 そこで、はじめてのエアウォッシュを、このタオルで試してみることにした。いつものように犬のシャンプー後、タオルで拭き取り、濡れたままAQUAでエアウォッシュしてみた。30分後、エアウォッシュ完了後にタオルを取り出してみると、どうだろう、ウソのようにタオルから独特のニオイがなくなっている。その後、タバコのニオイがしみついた上着なども試してみたが、やはり、まったくと言っていいほどニオイが気にならなくなっている。 オゾンの酸素原子でほかの物質を化学変化させるという理屈を聞かされても、どうにもピンと来なかったのだが、実際にニオイが消えるのを体験すると、驚くほかないというのが正直な感想だ。毎日洗うわけにはいかないが、ニオイは気になるという衣類、たとえば学生服とか、スーツなどを日常的に扱う家庭では、これほど便利な機能はないのではないだろうか。 ちなみに、エアウォッシュは、ほかの洗濯と組み合わせて利用することも可能だ。たとえば、洗濯+乾燥+エアウォッシュ、乾燥+エアウォッシュといったコースを選択することができる。エアウォッシュだけの場合、所要時間は30分程度だが、乾燥との組み合わせでは3時間前後(乾燥だけでも3時間前後)、洗濯+乾燥+エアウォッシュのフルコースの場合、洗濯物の容量にもよるが、筆者宅で実際にテストしてみたところ4時間30分前後の時間がかった(本体表示の時間は最後の1分がやけに長いのであまり参考にならない)。これから梅雨のシーズンになると乾燥までフルコースで利用する機会が増えると思われるが、乾燥では普通の乾燥機と同程度、縮みが発生するので、普段は洗濯のみで、ニオイが気になる衣類がある場合にスポット的にエアウォッシュをするという使い方が一般的だろう。 なお、AQUAではすすぎに使った水をオゾンで浄化して、再利用するようになっている。節水効果もかなり高いようだが、このあたりは水道料金の請求がまだ届いていないので、まだ節約できているという実感はあまりない。 ●設置場所のチェックは入念に AQUAのエアウォッシュ機能は非常にすばらしいと言えるが、実際に購入するときに、ぜひチェックしてほしいのは設置場所の広さと、本体のサイズだ。AQUAは、一般的なドラム式洗濯機と比べても一回りほどサイズが大きい。このため、物理的に設置できるだけのスペースがあるかどうか、さらにドアなど搬入するための経路がきちんと確保できるかを確認しておく必要がある。 特に注意したいのは、給排水の場所だ。AQUAの高さは突起部などを含めると、1,209mm(約1m20cm)もある。このため、給水用の水道の蛇口がこの高さにある場合(たいていの場合、この高さにある)、干渉してしまう可能性がある。また、排水溝が真下にあるような設置場所の場合は、別売の真下排水パイプなども必要になる。 筆者宅の場合、給水用の蛇口が左側の側面にあり、この蛇口の高さで干渉していまった。かといって蛇口を避けて左側に余裕を持たせて設置しようとすると、今度は左側の排水口と干渉してしまう。このため、ホームセンターで横方向に口があるタイプの蛇口を購入(2,000円前後)し、変更することでギリギリまで左側に寄せて設置。なんとか収めることができた。 なお、これは販売店で聞いた話だが、購入したはいいものの、搬入できなかったという場合も多く、しかたなく返品した購入者も少なくないということだ。実際、筆者も購入時に、設置場所は大丈夫かとしつこく聞かれた。ホームページなどで本体のサイズを確認することができるので、あらかじめ設置場所の寸法、および蛇口の高さや出っ張り具合などを計り、設置できることを確認してから購入することをおすすめしたい。
●乾燥時のニオイは1週間前後で収まる 実際に利用して気になったのは、乾燥機能を利用したときのニオイだ。ニオイと言っても洗濯物からのニオイではなく、乾燥中に本体からただよってくるゴムがコゲたようなニオイだ。これは、取扱説明書にも記載されているが、出荷直後の製品は内部のゴムなどがなじんでいないことから、乾燥などで熱が加わると、このようなコゲたニオイがする場合があるとのことだ。筆者宅の場合、最初は故障かと思われるほどのニオイがしたが、1週間ほども利用するとニオイは消え、今では全くニオイはしなくなっている。 一方、動作音に関してだが、これは静かな方だろう。以前、我が家で利用していた7年前の洗濯機や乾燥機と比べると、ほとんど音は聞こえてこない。洗面所のトビラを閉めてしまえば、かすかに音が聞こえてくるくらいだ。 このように三洋電機のAQUAは、普通のドラム式洗濯乾燥機として見た場合に、必要十分な機能の上に、エアウォッシュという特徴を備え、さらには節水もできるというお買い得な製品と言える。個人的にはもちろんのこと、普段、利用しているカミさんに聞いても、コレといった欠点は見つからないので、設置場所と購入費用の折り合いさえつけば、ぜひおすすめできる製品と言えるだろう。 □三洋電機株式会社のホームページ (2006年6月12日) [Reported by 清水理史]
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