14.1型液晶搭載モバイルノートPC
「FMV-BIBLO MG75S」



FMV-BIBLO MG75S

 富士通の「FMV-BIBLO MG」シリーズは、14.1型液晶または13.3型液晶を搭載した2スピンドルモバイルノートPCだ。2006年4月に発表された夏モデルでは、筐体デザインが一新され、最上位機種にCore Duoが搭載されるなど、大きく進化している。

 今回は、FMV-BIBLO MGシリーズの中でも最上位となる「FMV-BIBLO MG75S」(以下MG75S)を取り上げたい。

●1GBメモリと120GB HDDを搭載し、高スペックを誇る

 MG75SはCPUとして、Core Duo T2300(1.66GHz)を搭載する。旧モデルの最上位機種「MG70R/T」ではPentium M 740(1.73GHz)が搭載されていたので、動作クロックは66MHz低くなっているが、アーキテクチャの改良とデュアルコア化によって、パフォーマンスは大きく向上している。

 チップセットとして、グラフィックス統合型のIntel 945GM Expressを採用。DDR2対応SO-DIMMスロットを2基搭載しており、標準で1GBのメモリを実装していることも嬉しい。1GBあれば、複数のアプリケーションを同時に起動させても、快適に作業が可能だ。もちろん、デュアルチャネルアクセスにも対応している。ただし、SO-DIMMスロットは2つとも埋まっているので、メモリを増設する場合は、標準で装着されている512MB SO-DIMMを取り外す必要がある(最大2GBまで増設可能)。

 HDD容量は120GBと大きく、大規模なアプリケーションを利用する場合でも余裕がある。基本スペックは高く、大型ノートPCと比べてもひけをとらない(単体GPUを搭載していないので、3D描画性能は高くはないが)。

 筐体も一新され、堅牢性も向上している。200kgfの液晶部全面加圧試験をクリアしており、耐荷重性能に関してもトップクラスだ。

【お詫びと訂正】初出時、「ラッチレスデザインを実現したほか」と記載しておりましたが、FMV-BIBLO MG 14.1型液晶搭載モデルはラッチレスデザインではございません。お詫びして訂正させていただきます。

FMV-BIBLO MG75Sの上面。ダークグレーを基調としたシンプルなデザインだ DOS/V POWER REPORT誌とのサイズ比較。14.1型液晶を搭載しているので、DOS/V POWER REPORTに比べて一周り大きい DDR2対応SO-DIMMスロットを2基装備。標準で512MB SO-DIMMが2枚装着されている

●2種類のポインティングデバイスを装備

 液晶ディスプレイとして、1,024×768ドット(XGA)表示対応14.1型液晶を搭載。スーパーファイン液晶と呼ばれる光沢タイプの液晶で、輝度やコントラストは高い。14.1型でXGAなので、ドットピッチが0.279mmと広く、文字も大きく表示される。ただし、一度に表示可能な情報量という点では、同じ14.1型ならば松下の「Let'snote Y」シリーズのような1,400×1,050ドット(SXGA+)表示対応液晶搭載機に軍配が上がる。

 モバイルノートPCとしては筐体サイズが大きいので、キーボードにも余裕がある。キーピッチは約19mmで、キーストロークは約3mmである。従来までのMGシリーズでは、ポインティングデバイスとしてパッド状のフラットポイントが採用されていたが、今回の14.1型液晶搭載モデルでは、フラットポイントに加えて、新たにスティックポイントを搭載したことが特徴だ。クリックボタンも2組用意されており、好みに応じて、ポインティングデバイスを使い分けることができる。また、指紋センサーも装備しており、指先をスライドさせるだけで、Windowsのログオン操作やWebサイトのID/パスワード入力などの認証が行なえる。

 キーボード上部には、ワンタッチボタンが用意されており、登録したアプリケーションをワンタッチで起動できるほか、プレーヤーモードに切り替えることで、CD/DVDの再生操作も可能だ。

「コンピュータの電源を切る」ダイアログボックスに並ぶアイコンの横の長さは約10mmである キーピッチ約19mm、キーストローク約3mm。配列は標準的で、不等キーピッチなどはない
ポインティングデバイスとして、スティックポイントとフラットポイントを搭載。フラットポイントのクリックボタンの中央には、指紋センサーが搭載されている キーボード上部には、ワンタッチボタンが用意されている。左から5つめのボタンがモードボタンで、ワンタッチボタンの動作モードを変更できる 現在どちらのモードになっているかは、LEDの点灯によって知ることができる。この写真では、アプリケーションモードになっている

●光学ドライブは着脱が可能

 光学ドライブとして、DVD±R DL対応DVDスーパーマルチドライブを搭載する。光学ドライブはモバイル・マルチベイに装着されており、着脱が可能だ。光学ドライブを外して、代わりに付属のモバイル・マルチベイ用カバーを装着することで、重量を約1.82kgに軽減できる(光学ドライブ装着時の重量は約2.02kg)。

右側面のモバイル・マルチベイに光学ドライブが装着されている 光学ドライブは自由に着脱が可能だ 光学ドライブとして、NEC製のDVDスーパーマルチドライブ「ND-7550A」が採用されている
付属のモバイル・マルチベイ用カバー。光学ドライブの代わりに装着することで、約200gの軽量化が可能 HDDはパック式になっており、交換も比較的簡単だ(保証外の行為となるが)

 インターフェイス類も充実しており、USB 2.0×3、IEEE 1394(4ピン)、D-Sub15ピン、ギガビットLAN、モデムなどを搭載するほか、Type 2 PCカードスロット、ExpressCardスロット、ダイレクト・メモリースロット(SDメモリーカード/メモリースティック/xD-Picture Card対応)も装備している。IEEE 802.11a/b/g対応無線LAN機能も搭載しており、前面に無線LANスイッチが用意されているのも便利だ。

左側面には、D-Sub15ピンやビデオ出力、マイク/Line In、ヘッドフォン/Line Out、IEEE 1394(4ピン)、ExpressCardスロット(上側)、Type 2 PCカードスロット(下側)が用意されている 右側面には、モデムや光学ドライブ(モバイル・マルチベイ)、USB 2.0が用意されている
背面には、USB 2.0×2やLANが用意されている 本体前面に、無線LANスイッチとダイレクト・メモリースロットが用意されている

 バッテリは10.8V、5,200mAhの6セル仕様で、公称約5.7時間のバッテリ駆動が可能だ。通常電圧版のCore Duoを搭載していることを考えると、十分優秀な値といえる。また、オプションの増設用バッテリーをモバイル・マルチベイに装着することで、駆動時間は約9.8時間に伸びる。

バッテリは、10.8V、5,200mAhの6セル仕様 VHSビデオテープ(左)とバッテリのサイズ比較 VHSビデオテープ(左)とACアダプタのサイズ比較

 参考のために、いくつかベンチマークテストを行なってみた。ベンチマークプログラムとしては、SYSmark 2002や3DMark03、PCMark05、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3を利用した(電源プロパティの設定は「常にオン」で計測)。

 結果は下の表にまとめたとおりである。比較用にLenovo 3000 C100やThinkPad Z60tの結果もあわせて掲載した。

【表】ベンチマーク結果
 FMV-BIBLO MG75SLenovo 3000 C100ThinkPad Z60t
CPUCore Duo T2300Pentium M 740Pentium M 760
ビデオチップIntel 945GM内蔵Intel 915GM内蔵Intel 915GM内蔵
SYSmark 2002
Internet Content Creation計測不可291319
Office Productivity210210206
PCMark05
PCMarks27831937未計測
CPU Score38512798未計測
Memory Score27222623未計測
Graphics Score1096721未計測
HDD Score31473362未計測
3DMark03
1,024×768ドット
32bitカラー(3DMarks)
1467899875
CPU Score571464479
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3
HIGH21501673未計測
LOW32272839未計測

 MG75Sは、デュアルコアCPUを搭載しているため、シングルコアのPentium M 740を搭載したLenovo 3000 C100に比べて、PCMark05のCPU Scoreの値はかなり高い。また、内蔵グラフィックスコアの性能もIntel 915GMに比べて向上しているため、3DMark03やFINAL FANTASI XI Official Benchmark 3のスコアも向上している。

●メインマシンとしても十分使えるパフォーマンスを実現

 MG75Sは、14.1型液晶を搭載しているため、モバイルノートPCとしてはややサイズが大きく、重量もやや重めだ。しかし、通常電圧版のCore Duoを搭載しており、従来のPentium M搭載機に比べて、パフォーマンスは大きく向上している。液晶の解像度がXGAなのが残念だが、120GBの大容量HDDを搭載するなど、スペック的にはいわゆるフルサイズノートPCにひけをとらない。メインマシンとしても快適に使えるモバイルノートPCを探しているのなら、有力な選択肢の1つとなるだろう。

□富士通のホームページ
http://jp.fujitsu.com/
□FMV-BIBLO MGシリーズの製品情報
http://www.fmworld.net/product/hard/pcpm0604/biblo_loox/mg/
□関連記事
【4月11日】富士通、HD DVD/地デジチューナ搭載ノート「FMV-BIBLO NX95S/D」
~MGシリーズにCore Duoモデル
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0411/fujitsu4.htm

バックナンバー

(2006年4月25日)

[Reported by 石井英男]


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