多和田新也のニューアイテム診断室

2005年のハイエンドビデオカード二強を試す
~Radeon X1800 CrossFire vs GeForce 7800 GTX 512




 PCパーツの分野において、今年の中盤~後半を盛り上げたのがビデオカードの新製品だ。ATIはRadeon X1800シリーズ、NVIDIAはGeForce 7800 GTXをリリース。いずれもデュアルビデオカード機能に対応し、さらに上の性能を目指すことができる。ここでは、2005年の二強といって差し支えないであろう、Radeon X1800 CrossFire EditionとGeForce 7800 GTX 512MBをテストしてみたい。

●X1800のCrossFire Editionは動作クロックに注意

 ATIが今年6月のCOMPUTEX TAIPEI 2005で発表したマルチGPU技術「CrossFire」。これまで、Radeon X850/X800シリーズ向けは対応ビデオカードがリリースされていたが、ついにRadeon X1800シリーズ向けのCrossFire Edition(以下、Radeon X1800 CFE)も登場した(写真1)。

 Radeon X1800 CFEはRadeon X1800 XT(写真2)をベースにしており、クーラーやブラケット部などの外観に大きな違いは見られないが、Radeon X1800 CFEではクーラーの脇からSiliconImageのTMDSレシーバが顔を覗かせているのが特徴だ(写真3)。Radeon X1800の発表会のとき、Radeon X1800 CFEで2,048×1,536ドット/70MHzの出力をサポートすると表明していたが、このためにDual LinkでQXGAに対応するTMDSレシーバを搭載しているのだろう。破損を防ぐためクーラーの取り外しは行なっていないが、おそらくクーラーの下には、同じくQXGA出力をサポートするTMDSトランスミッタが装着されていると思われる。

【写真1】Radeon X1800 CrossFire Editionのリファレンスボード 【写真2】Radeon X1800 XTのリファレンスボード 【写真3】Radeon X1800 CFEはクーラーの下にSiliconImageのTMDSレシーバが装着されている

 外観の違いとしては、当然ながらスレーブのビデオカードと接続する専用コネクタが設けられている点もCFEの特徴となる(写真4)。ただ、このコネクタはRadeon X850/X800のCrossFire Editionとは形状が異なる。2つのD型コネクタが完全に対象に配置されており、固定用のネジのオス/メスによって正確な向きに取り付けられるようになっている(写真5)。

【写真4】ブラケット部。向かって左側がスレーブ側ビデオカードと接続するCrossFire専用コネクタ 【写真5】上下対象の形状になっているが、ネジ穴のオス-メスで正しい向きに固定できる

 Radeon X1800 CFEの動作クロックについてだが、コアクロック600MHz、メモリクロック1,400MHz(700MHz DDR)とされており、実際に、この数値に近い値で動作していることをCatalyst Control Centerからも確認できる(画面1)。

 ただ不思議なのは、Catalyst 5.12を利用した場合にRadeon X1800 XTも600MHz/1,400MHzで動作しているよう表示されるのである(画面2)。Radeon X1800 XTの定格クロックは625MHz/1,500MHz(750MHz DDR)であり、以前にCatalyst 5.9でテストした際には、コアクロックは定格に近い値が表示されていたので、ちょっと腑に落ちない。

 この点をATIテクノロジーズに問い合わせたところ、ATI Overdriveを利用することで、ピーク時に定格クロックで動作するとの回答を得た。つまり、前回のテストのドライバではATI Overdriveが実装されていなかったため常に定格動作が行われたが、今回利用した正式版のCatalyst 5.12ではATI Overdriveが実装されているので、2D描画時と3D描画のピーク時にクロックが変化するというわけだ(画面3)。

【画面1】Catalyst Control CenterからRadeon X1800 CFEの動作クロックを確認すると、コアクロック594MHz(定格600MHz)、メモリクロック693MHz(定格700MHz)と表示される。ほぼ、定格どおり動作していることになる 【画面2】同じくRadeon X1800 XTの動作クロックだが、定格のコアクロック625MHz、メモリクロック1,500MHz(750MHz DDR)とは大きな開きがある 【画面3】Radeon X1800 XTを定格動作させるためには、ATI Overdriveを利用して、3D描画時にクロックを上昇させる設定が必要になった。有効にすると3D描画時には画面中の「Requested」欄に設定した値へクロックが上昇する

 ただ、デフォルト状態ではATI Overdriveは有効になっておらず、設定画面の南京錠アイコンをクリックして解錠することで有効になる。詳しくは後ほどベンチマークを紹介するが、実際にRadeon X1800 XTを使って、ATI Overdriveを有効(625MHz/750MHz)にしてテストしてみたところ、表1のとおりスコアに変化が表れている。つまり、Catalyst導入直後の状態ではフルスペックで動作しないことになるので注意が必要といえる。

【表1】RADEON X1800 XTにおけるOverdriveの効果(3DMark05)
  Overdrive無効 Overdrive有効
1,024×768ドット(NoAA/NoAniso) 8547 8648
1,600×1,200ドット(NoAA/NoAniso) 6183 6271
1,024×768ドット(4xAA/8xAniso) 7845 7937
1,600×1,200ドット(4xAA/8xAniso) 5505 5585

 ちなみに、CrossFireを有効にした後も、このATI Overdriveを有効にすることができるのだが、この場合のデフォルト時/有効時のスコアは大きく変わらず、むしろ遅いスコアも散見されるほどである(表2)。これはおそらく、CrossFire構成のプライマリ側ビデオカードのみにATI Overdriveが適用され、スレーブ側となるXTはデフォルト状態で動作してしまっているのだろう。CrossFireでは動作クロックなどが異なるビデオカードの組み合わせでは、低いクロックに合わせて動作する仕組みになっているので、こういった動作になる。

【表2】RADEON X1800 CrossFireにおけるOverdriveの効果(3DMark05)
  Overdrive無効 Overdrive有効
1,024×768ドット(NoAA/NoAniso) 11479 11487
1,600×1,200ドット(NoAA/NoAniso) 10222 10214
1,024×768ドット(4xAA/8xAniso) 11194 11148
1,600×1,200ドット(4xAA/8xAniso) 9499 9478
1,024×768ドット(14/16xAA/8xAniso) 7274 7268
1,600×1,200ドット(14/16xAA/8xAniso) 5060 5050

●動作クロックも引き上げられたGeForce 7800 GTX 512

 一方のNVIDIAは11月に、GeForce 7800シリーズの最上位モデルとなる、「GeForce 7800 GTX 512」を発表した(写真6)。製品名からも分かるとおり、GeForce 7800 GTXをベースに、メモリ容量を512MBに増量したモデルだ。

 それだけに留まらず、コアクロックは550MHz(256MB版は430MHz)、メモリクロックは1.7GHz(同1.2GHz)へと大幅に引き上げている(画面4、5)。各チップのクロックを上昇させたことで発熱が上がったのか、リファレンスカードのクーラーも8cm角相当のファンと、4本のヒートパイプを使った大型ヒートシンクを組み合わせたものに変更された。騒音はそれほどでもなく、むしろ256MB版よりも小さいという印象を受けたが、2スロットを占有する仕組みに変更された点に注意が必要となる(写真7)。

 ちなみに512MB版でも、裏面にメモリチップは実装されていない(写真8)。つまり、表面に512Mbitのチップを8枚搭載していることになる。メモリクロックを考えれば、1.1ns品が使われていると想像される。

【写真6】GeForce 7800 GTX 512のリファレンスボード。8cm角相当のファンとヒートパイプを利用した大型クーラーにより、2スロットを占有する形状になった 【写真7】ブラケット部はDVI×2+ビデオ出力の構成。2つ目のブラケットは排気口となる 【写真8】ボードの裏面にメモリチップの実装はなく、表面に512Mbit×8枚のチップが載っていることになる
【画面4】GeForce 7800 GTX 512の動作クロック 【画面5】GeForce 7800 GTX(256MB)の動作クロック

●最新ハイエンドビデオカードにおけるCrossFireとSLIの性能

 ここからは、実際にベンチマークを利用して性能を見てみたい。環境は表3に示したとおりで、CrossFireとNVIDIA SLIが実現可能な環境を、それぞれ別に用意している。

 また、前述したとおり、Catalyst 5.12とRadeon X1800 XTの組み合わせでは、ATI Overdrive有効/無効時でスコアが変化する傾向が見られたので、今回の主題からは外れるものの参考までに有効/無効の双方のスコアを掲載した。グラフ中に“OD”と表記しているのが、それだ。なお、クロックは定格クロックに合わせて、コア625MHz、メモリ750MHzに設定した。

 実施するベンチマークやテスト条件は過去の本連載と同様だが、AquaMark3がRadeon X1800シリーズで、また、Unreal Tournament 2003がNVIDIA SLI構成時にテストが実施できなかったため、グラフには掲載していない。

【表3】テスト環境
  ATI RADEON X1800 XT(512MB)
ATI RADEON X1800 CFE(512MB)
GeForce 7800 GTX 512MB
GeForce 7800 GTX(256MB)
VGA Driver CATALYST 5.12(6.14.0010.6587) ForceWare 81.95(6.14.0010.8195)
CPU Athlon 64 FX-57
マザーボード ATIリファレンス(Radeon Xpress 200P CrossFire Edition AMD) ASUSTeK A8N-SLI Deluxe(nForce4 SLI)
メモリ PC3200 DDR SDRAM 512MB×2
HDD HGST Deskstar T7K250(HDT722525DLA380)
OS Windows XP Professional(ServicePack 2/DirectX 9.0c)

 それでは、まずは「3DMark05」(グラフ1)の結果を見てみたい。ここの結果を見ると、単体動作、CrossFire/SLIを問わず、GeForce 7800 GTX 512のパフォーマンスの良さが目に留まるだろう。メモリ増量だけでは処理テクスチャ数が少ない場合にあまり効果がないので、この結果はコアクロック、メモリクロックを上昇させたことが全解像度に渡って効果が表れている格好だ。

 興味深いのは、単体動作させた場合に、解像度やフィルタなどによって負荷が増すとGeForce 7800 GTX(256MB)がRadeon X1800 XTに迫るのに対し、分散処理させる8xサンプル以上のAA処理を行なわせると、Radeon X1800のCrossFire環境が優位に立つ。このAA分散処理については、ATIのアーキテクチャが優れているということだろう。

【グラフ1】3DMark05 Build 1.2.0

 続いては「3DMark03」(グラフ2)の結果であるが、こちらで驚かされるのは、GeForce 7800 GTX 512のSLI構成時の3万超えというスコアである。同製品は単体でも2万近いスコアを出しており、その性能に圧倒される。

 一方で、やはりAAを分散処理させたときの性能はRadeon X1800のCrossFire構成時が非常に優れており、3DMark03ではGeForce 7800 GTX 512にSLI環境よりもスコアが良い結果になった。また、本テストにおいて、Radeon X1800のCrossFireは、ほかの項目でもGeForce 7800 GTX(256MB)のSLI環境と同等のスコアを残しているのも特徴だ。

【グラフ2】3DMark03 Build 3.6.0

 次は「AquaMark3」(グラフ3)の結果だが、先述のとおりCatalyst 5.12が影響したと思われるトラブルのため、ここはGeForce 7800 GTX 2製品のみのテストになっている。低負荷ではCPUがボトルネックになった結果が出たが、ちょっとでも負荷が高くなった条件ではスペックに準じたとおりの結果が出ている。ただ、256MBと512MBの単体性能では、512MBがやや突き放した感もある。

【グラフ3】AquaMark3

 次の「DOOM3」(グラフ4)は、ちょっと不思議な傾向を見せている。GeForce 7800 GTX(単体)2製品(とくに256MB版)はAAや異方性フィルタリングを適用しない限りは、Radeon 1800 XTに対して大幅に優秀なスコアを出すものの、フィルタ類を適用した途端に差が詰まる、もしくは逆転する現象が出ている。今回テストした範囲で、こうした極端な傾向を見せたのは本テストだけであり、特徴的な結果といえる。

【グラフ4】DOOM3

 最後に「Unreal Tournament 2003」(グラフ5、6)の結果だが、このクラスのビデオカードになるとBotmatchはいずれもCPU側の処理がボトルネックになったようで、解像度などの負荷の変化に伴うスコア差は生じていない。GeForce 7800 GTXが優秀なスコアを出しているのはドライバの影響だろう。

 Flybyも、それほど大きくスコアが動くことはなく、Radeon X1800のCrossFireは全テストにおいて、おおむね安定したスコアを出している。ビデオカード単体の性能では、おおよそ1,600×1,200ドット/4xAA適用時にスコアの低下が見られるが、GeForce 7800 GTX 512だけは1,600×1,200ドット/4xAAまでスコアを維持する傾向が見られる。この粘りを見せられるのが本製品の良さといえるだろう。

【グラフ5】Unreal Tournament 2003 ~ Flyby 【グラフ6】Unreal Tournament 2003 ~ Botmatch

●GeForce 7800 GTX 512MBの良さが光るが……

 以上のとおりベンチマークのスコアを見てくると、GeForce 7800 GTX 512の性能が飛び抜けている印象を受ける。価格を問わずにパフォーマンスを追及するユーザーにとっては魅力的な製品に映るだろう。

 ただ、本製品は致命的なほどに流通量が少なく、秋葉原でも入手するのは極めて困難な状況になっている。そもそもGeForce 7800 GTXの中から高クロック動作が可能なチップを選別して作られているであろう本製品の流通量が少ないのは当然ともいえる。今後歩留まりが上がれば、もう少し流通量が増える可能性もあるが、現時点ではそれも分からない。

 一方、Radeon X1800 CFEについては、現時点で販売すら開始されていないが、Radeon X1800 XTをベースに低クロック動作をさせることになるので、流通が始まればGeForce 7800 GTX 512MBほど入手困難な状況は生まれないと想像される。分散AAの処理性能は一目置ける存在であり、高クオリティな描写を求めるユーザーに向いた製品となりそうだ。

 いずれにしても、2005年に登場した両製品の本当のマーケット争いは来年になるだろう。すでにATIからは次期製品の話題も聞こえてくるが、2006年もATIとNVIDIAの二強の争いは継続しそうである。

□関連記事
【11月15日】NVIDIA、GeForce 7800の最上位「GeForce 7800 GTX 512」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/1115/nvidia.htm
【10月6日】RADEON X1000シリーズ国内発表会
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/1006/ati.htm
【10月6日】【多和田】新世代アーキテクチャを採用したATI「RADEON X1800」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/1006/tawada62.htm

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(2005年12月27日)

[Text by 多和田新也]


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