FMV-BIBLO LOOX T70M/T(以下LOOX T70M/T)は、10.6型ワイド液晶を搭載した2スピンドルモバイルノートPCだ。 LOOX Tシリーズは従来から人気の製品だが、今回の秋モデルでは筐体デザインが一新され、製品としての魅力がさらに向上している。 ●最薄部24.3mm、最軽量時約1.17kgを実現 今回登場したLOOX Tシリーズは、テレビチューナユニットの有無やCPUの違いによって、3つのモデルが用意されている(店頭モデル以外に、ボディカラーや仕様をカスタマイズできる直販サイト専用モデルもある)。 今回はその中から、Pentium Mを搭載し、テレビチューナユニットが付属する最上位機種「LOOX T70M/T」を試用した。なお、試用したのは試作機であり、ベンチマークテストは行なっていない。また、正式出荷品とは細部が異なる可能性もあるので注意してほしい。 新LOOX Tシリーズは、筐体デザインが一新されており、従来に比べてより薄く、軽くなっていることがウリだ。新LOOX Tシリーズのサイズは271×209.5×24.3~28.3mm(幅×奥行き×高さ)であるのに対し、従来のLOOX Tシリーズのサイズは261×199×32~35mm(同)なので、横幅や奥行きは10mm程度大きくなっているが、厚さは最薄部で7.7mm薄くなっている。 また、重量もオプションのバッテリパック(標準容量)を装着し、光学ドライブを取り外した最軽量時で約1.17kgと、従来の最軽量時に比べて50g軽くなった。ちなみに、付属の内蔵バッテリパック(L)と光学ドライブを装着した場合の重量は約1.37kgで、従来との差は130gになる。同クラスのVAIO type Tに比べると120gほど重いが、携帯性は十分だ。 LOOX T70M/Tのボディカラーは、赤みがかかったマーズレッドで、Celeron Mを搭載したLOOX T50Mは、レザーホワイトとなっている。なお、WEBMART専用のカスタムメイドモデルでは、マーズレット、レザーホワイトのほかに、Web限定色のレザーブラックも選択可能だ。底面と天板には、軽くて丈夫なマグネシウム合金が採用されており、質感も高い。 LOOX T70M/Tは、CPUとして超低電圧版Pentium M 753(1.20GHz)を搭載する。チップセットは、グラフィックス統合型のIntel 915GMSで、標準で512MBのDDR2-400(PC2-3200)メモリが実装されている。MicroDIMMスロットが1基用意されており、最大1.5GBまで増設することができる。HDDとしては、東芝の1.8インチHDD「MK6006GAH」(60GB)が搭載されている。
●光学ドライブなどを脱着可能なモバイル・マルチベイを搭載 LOOX Tシリーズは、このクラスのモバイルノートPCとしては珍しく、光学ドライブなどを脱着可能なモバイル・マルチベイを搭載していることが特徴だ。LOOX T70M/Tでは、DVD+R DL対応のDVDスーパーマルチドライブのほかに、テレビチューナユニットが付属している。 また、DVDスーパーマルチドライブやテレビチューナユニットを外して、代わりに付属のモバイル・マルチベイ用カバーを装着することで、軽量化が行なえる。また、オプションの増設用バッテリユニットを装着することも可能だ。
●指紋センサー搭載で、セキュリティも安心 液晶ディスプレイのサイズは10.6型ワイドで、解像度は1,280×768ドットである。バックライトに高輝度LEDを採用することで、従来よりも高い輝度を実現。液晶表面には低反射コートが施されており、映り込みも少ない。 キーボードのキーピッチは約18mmで、キーストロークは約2mmである。キー配列も標準的で、キーピッチも均等なのでタイピングしやすい。ポインティングデバイスとしては、パッドタイプのフラットポイントが採用されている。また、左右クリックボタンの中央には、指紋センサーが搭載されており、指紋認証に対応しているほか、スクロール操作も行なえる。
LOOX T70M/Tは、インターフェイス類も充実している。USB 2.0×3、IEEE 1394(4ピン)、外部ディスプレイ、Ethernet、モデム、ヘッドホン出力、マイク入力、ビデオ出力(S-Video)を装備するほか、テレビチューナユニット装着時は、ビデオ入力(S-Videoとコンポジット)、アンテナ端子も追加される。 カードスロットとしては、PCカードスロットとダイレクト・メモリースロット(SDメモリーカード/メモリースティック/xD-Picture Card対応)を装備する。さらに、IEEE 802.11a/b/g対応無線LAN機能も搭載している。IEEE 802.11aは、世界標準の新周波数規格に対応したものだ。キーボード左上に、無線LAN機能をオン/オフするためのワイヤレススイッチが用意されているのも便利だ。
●電源オフの状態から素早くテレビ番組の視聴やDVDの再生が可能 LOOX T70M/Tは、モバイル・マルチベイにテレビチューナユニットを装着することで、テレビ番組の視聴や録画が行なえることも特徴だ。 テレビチューナユニットには、ハードウェアエンコーダーも搭載されており、CPUに負担をかけずに、高画質の録画が可能だ。自宅でテレビを見る場合は、付属のRF変換ケーブルを利用して外部アンテナに接続すれば、安定した画質で楽しめる。 また、屋外など外部アンテナが接続できない場所で利用する際は、付属のヘッドホンをアンテナ端子(ヘッドホン端子も兼ねる)に接続すれば、テレビ放送の受信が可能になる。この場合、電波状態によっては、ノイズが映像にのったり、色がうまく出ないこともある。ヘッドホンアンテナ利用時の画質や感度は、一般的なポータブルテレビ程度だと思えばよいだろう。鉄筋コンクリート製の建物の中などでは、ヘッドホンアンテナでテレビを見るのは、かなり厳しいが、電波状況しだいで、そこそこの画質でテレビ番組を楽しめる。 また、電源オフの状態からでも、素早くテレビの視聴や録画、DVD再生などが可能なインスタントMyMedia機能を装備していることも特筆できる。電源オフ時に、キーボード右上のINSTANTボタンを押すことで、インスタントMyMediaが起動する。なお、INSTANTボタンは、省電力ボタンも兼ねており、Windows起動時にINSTANTボタンを押すと、省電力モードに切り替わる。
●バッテリ駆動時間も長く、ヘビーモバイラーにお勧め 標準で付属する内蔵バッテリパック(L)は7.2V、7,800mAhで、最大約8.4時間の駆動が行なえる。また、モバイル・マルチベイにオプションの増設用バッテリユニットを装着することで、最大約11.2時間という長時間駆動が可能になる。バッテリ駆動時間についても、十分満足できる。
LOOX T70M/Tは、コンパクトなボディながら、モバイル・マルチベイの採用によって、目的に応じて最適な構成をとれることが魅力だ。 テレビチューナユニットも付属しているので、自宅でアンテナに接続して録画したテレビ番組を、本体を持ち歩いて移動中に見るといった利用方法も考えられる。 バッテリ駆動時間も長いので、ヘビーモバイラーにもお勧めだ。ただし、最上位モデルの実売価格が275,000円前後と、やや高めなことが残念だ。 □関連記事 (2005年9月26日) [Reported by 石井英男]
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