BTXの採用に積極的なデルは、前回レビューしたスリムデスクトップPC「Dimension 5100C」と同時に、ミドルタワーPC「Dimension 9100」も発表している。 Dimension 9100は、フルBTX対応で、拡張性が高いことが魅力だ。そこで、今回はDimension 9100をレビューしていきたい。 ●ドライバー不要で、メンテナンスが可能 Dimension 9100(以下9100)は、筐体にミドルタワーケースを採用しており、最近のPCとしてはかなり大型の部類に属する。筐体は新しく設計されたもので、ボディカラーはDimension 5100Cと同じく、ホワイトとシルバーを基調としている。 ケース前面には、吸気ファンが2つ装備されているが、上側のファンについては、フロントパネル裏側の両サイドから空気を取り入れる構造だ。下側のファンの空気取り入れ穴は、フロントパネルに開けられているが、それほど目立たないデザインになっている。 9100は、Dimension 5100Cと同様に、メンテナンス性が高い。筐体上部のスライドレバーを引くだけで、ドライバーなどの工具を使わずに、サイドパネルを外すことができ(セキュリティを確保するために、スライドレバーをロックすることも可能)、内部に装着されている拡張カードやHDD、光学ドライブなども、全てドライバーを使わずに着脱が可能である。 ドライブベイは、5インチベイが2基、3.5インチベイが2基、3.5インチシャドウベイが2基という構成であり、2台のHDDを搭載してRAIDを構築することもできる。
●デュアルコアCPUも選択可能 9100は、BTOメニューも充実しており、用途や予算に応じて最適な構成のPCを手に入れられることも魅力だ。CPUは、デュアルコアのPentium D 820/830/840および、シングルコアのPentium 4 630の4種類から選択可能だ。もちろん、これらのCPUは全て64bit拡張の「EM64T」やセキュリティを高めるXD bit(Execution Disable Bit)機能もサポートしている。ただし、今回の試用機では、通常のBTOメニューでは選択できないPentium 4 650(3.40GHz)が搭載されていた。 チップセットは、グラフィックス非統合のIntel 945Pが採用されている。拡張スロットは、PCI Express x16スロットが1本とPCI Express x1スロットが1本、PCI Express x4スロットが1本、従来のPCIスロットが3本で、合計6スロット用意されている。現在登場しているBTX採用PCは、microBTX規格やpicoBTX規格に準拠していることが多く、拡張性の点でやや不満があったが、9100はフルのBTX規格に準拠しており、拡張性も十分だ。ただし、最下部のPCIスロットは、3.5インチシャドウベイの近くにあるため、カード長が最大145mmまでの拡張カードしか利用できない。 メモリスロットは4本搭載されており、最大4GBまでのメモリ(PC2-4200)を装着可能である(試用機のメモリは1GB)。電源ユニットの容量は375Wで、このクラスのPCとしては標準的な容量といえる。PCI Express用の6ピン電源コネクタも用意されているので、6ピン電源コネクタを必要とするハイエンドビデオカードも、電源変換コネクタなしで利用できる。 HDD容量は、160GB/250GB/400GB/500GBから選択できる(試用機は250GB)。3.5インチシャドウベイが2つあるため、HDDを2台搭載することも可能だ。500GB HDDを2台搭載すれば、合計1TBという大容量を実現できる。また、5インチベイも2つ装備しているので、光学ドライブも2台搭載できる。光学ドライブは、DVD-ROMドライブ、CD-R/RW/DVD-ROMコンボドライブ、DVD±R/RWドライブ(DVD+R DL対応)から選べる(DVD-ROMドライブとDVD±R/RWドライブの2台セットという選択肢もある)。 試用機では、ソニー製のDVD-ROMドライブ「DDU1615」と、Philips製のDVD±R/RWドライブ「DVD8631」が搭載されていた。DVD8631は、DVD+Rメディアへは最大16倍速、DVD-Rメディアへは最大8倍速での書き込みが可能だ。 また、2つある3.5インチベイには、FDDや9in1メディアリーダーを装着することができる(試用機にはFDDや9in1メディアリーダーは装着されていない)。 BTXでは、ケース前面ファンからのエアフローで、CPUやチップセット、ビデオカードなどを冷やす構造になっている。9100のCPUクーラーはかなり大型で、熱伝導率の高い銅が使われているほか、ヒートパイプも採用されており、冷却性能は高そうだ。前面ファンは2つ搭載されており、CPUクーラーを冷やすために120mm角ファンが、その下に80mm角ファンが用意されている。80mm角ファンからのエアフローは、ちょうど拡張スロットにあたるようになっており、発熱の大きなハイエンドビデオカードでも安心して利用できる。 ファンの回転数は温度によって自動制御されるが、通常の状態ではファンの騒音は小さく、あまり気にならないレベルだ。
●ダブルチューナ搭載キャプチャカードなどの追加が可能 9100は、ビデオカードやTVチューナ付きキャプチャカード、サウンドカード、IEEE 1394インターフェイスカード、モデムカードなど、豊富なBTOメニューが用意されていることも特徴だ。なお、グラフィックスコア非統合のIntel 945Pが採用されているため、ビデオカードは必須となる。 試用機では、NVIDIAのGeForce 6800搭載ビデオカード(ビデオメモリ256MB)が装着されていたが、ATI TechnologiesのRADEON X850 XT PE搭載ビデオカード(ビデオメモリ256MB)や、同じくATI TechnologiesのRADEON X300 SE搭載ビデオカード(ビデオメモリ128MB)を選択することも可能だ。 GeForce 7800 GTXが発表されたため最新ではなくなってしまったが、GeForce 6800は、ハイエンド向けGPUであり、最新ゲームを快適にプレイできるだけのパフォーマンスを誇る。 BTOで選択可能なTVチューナ付きキャプチャカードは、「Emuzed AngelデュアルTVチューナカード」である(試用機にもこのキャプチャカードが装着されていた)。その名の通り、2系統のチューナと2つのハードウェアMPEG-2エンコーダを搭載しており、2番組同時録画や裏番組録画などを実現できる。 エンコーダとしては、NEC製の「μPD61153」が採用されている。μPD61153は、3次元Y/C分離機能やビデオデコーダなどをワンチップに統合しており、画質的にも優れている。なお、Dimension 5100Cでは、PCI Express x1対応キャプチャカードが利用されているが、9100のEmuzed AngelデュアルTVチューナカードはPCI対応となっている。 Emuzed AngelデュアルTVチューナカードは、Windows XP Media Center Edition 2005に対応しており、Emuzed AngelデュアルTVチューナカードを選択すると、OSもWindows XP MCE 2005を選ぶ必要がある。また、Windows XP MCE対応リモコンも付属する。 9100は、オンボードでサウンド機能を搭載しているが、サウンドにこだわりたいという人のために、クリエイティブメディアの「Sound Blaster Live!」または「Sound Blaster Audigy 2 ZS」を追加できる。Sound Blaster Audigy 2 ZSは、EAX 4.0に対応しており、106dBという高いS/N比を誇るサウンドカードだ(試用機にもSound Blaster Audigy 2 ZSが装着されていた)。また、標準ではIEEE 1394をサポートしていないため、IEEE 1394を利用したいのなら、BTOでIEEE 1394インターフェイスカードを追加する必要がある。
●スペックと拡張性の高さが魅力 ベンチマークテスト結果をいくつか掲載する。ベンチマークの結果は全般的に優秀であるが、今回の試用機には、CPUとしてBTOメニューでは選択できないPentium 4 650が搭載されていたので、スコアはあくまでも参考程度に考えてほしい。
9100は、基本スペックと拡張性の高さが魅力である。BTOメニューも豊富に用意されているので、さまざまな用途に対応できる。例えば、ゲーム用途が中心なら、シングルコアのPentium 4 630にRADEON X850 XT PE搭載ビデオカードを組み合わせれば、最強のゲームPCが実現できるし、エンコード時間を短縮させたいのなら、デュアルコアのPentium Dを選べばよい。また、デュアルチューナ搭載キャプチャカードと大容量HDDを選択すれば、強力なテレビ録画PCを手に入れることができる。もちろん、コストパフォーマンスも優秀だ。2GHzクラスのCPUを搭載したPCを利用していて、もっとパワフルなPCが欲しいと思っている人には、特にお勧めしたい製品だ。 □関連記事 (2005年6月29日) [Reported by 石井英男]
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