NECは5月11日、川崎市中原区に建設していたNEC玉川ルネッサンスシティの本格稼働にあわせて、報道関係者に内部の様子を公開した。
同地は、NECが玉川事業場として、'36年に無線/真空管の事業部門を東京三田の本社から移転して開設。「NECにとっては第2の創業地ともいえる場所」(金杉明信社長)という。 '97年から玉川事業場内にNECルネッサンスシティの建設をスタート。2000年4月には第1期棟として、地上26階/地下2階のサウスタワーをオープンしており、今回、新たに地上37階/地下1階のノースタワーをオープンしたことで、シティ全体が完成に至った。 先に稼働しているサウスタワーは、延べ床面積8万平方mで、半導体ソリューション事業を担うNECエレクトロニクスや、ソフトウェア事業を担うNECシステムテクノロジー、ディスプレイソリューション事業を担うNEC液晶テクノロジーなどのグループ会社が入居しており、約3,000人が就業している。 新たに稼働するノースタワーには、10万平方mの延べ床面積に、携帯電話事業の開発拠点として7,000人が入居する。従来、本社、横浜事業場、我孫子事業場に分散していた携帯電話部隊が一カ所に集結する格好だ。地上37階建て/156mという高さは、川崎市でもっとも高い建物となる。 隣接する既存の玉川事業場で従事する4,000人の社員を含めて、14,000人が勤務する一大拠点となり、金杉社長は「かつての玉川事業場のピーク時の社員数にまで戻った」とした。 さらに、南武線向河原駅前側には、地上2階建て、延べ床面積2,000平方mの多目的ホールを新設。社内の行事やイベントなどに利用する。ルネッサンスシティのオープンを記念して、5月12日~13日の2日間には、「NEC e-Trend Conference 2005」を開催。「ユビキタス社会の到来を見据えた新たなビジネス価値の創出~NECユビキタス・ルネサンスはここから発進~」をテーマに、最新ユビキタスソリューションの展示とともに、カンファレンスが行なわれる。
●NECの成長を牽引していく拠点に 金杉社長は、「玉川ルネッサンスシティを、NECの成長や、日本の技術開発を牽引していく拠点と位置づけたい」と話す。 「NECには、IT/ネットワーク/半導体という3つの事業ドメインにおいて、世界でもトップレベルの技術がある。これらの強みを活かしてユビキタス社会を具現化し、新たな成長を目指す拠点としたい。また、世界に向けて新たなソリューション/技術を発信したい」と続ける。 会見に駆けつけた川崎市 阿部孝夫市長も、「川崎市にとっても、戦後の発展を担い、先端技術企業の先駆けとしてNECとの関係は深い。70年の長きに渡って多くの人々が力を尽くした場所が、ルネッサンスシティとして第1歩を踏み出すことをお祝いしたい。ルネッサンスシティは、小杉地区の再開発のリーディングプロジェクトでもあり、川崎市の誇りともいえる施設。重厚長大な物づくりから、研究開発拠点へのシフトを象徴するものといえる。この地域は、JR東日本が横須賀線武蔵小杉駅の開業を決定するなど広域的な交通拠点としても利便性が高まる。また、1万人という就業人口が働く場所でもある。活気があり、魅力ある街づくりが行なわれることになるだろう」と期待を述べた。
●最先端のITインテリジェントビルに 金杉社長が、「日本の技術開発を牽引していく拠点」というように、玉川ルネッサンスシティでは、最先端のIT環境を整備している。 基幹LANには、10Gigabit LANを採用。CAD/CAMの大容量データの高速転送を可能としたほか、バーチャルLAN機能により、オフィスレイアウトの変更にも柔軟に対応できるようにしている。また、会議室をはじめ、全館に無線LAN環境を整備。シティ内のあらゆるところからイントラネットへアクセスすることが可能となっている。無線LANへのアクセスには、社内の認証システムとの連携によって、シングルサインオンを実現し、高セキュリティ環境とユーザーの利便性の両立を実現したとしている。 また、NECが開発したFOMA/無線LANデュアル端末の「N900iL」によって、無線LANやiモードを活用して、社内外のどこからでも、社内業務システムへアクセスすることを可能としたのに加え、社員がどこでなにをしているのかといったプレゼンスが確認できる機能も提供し、相手の外出や会議中などに不用意な連絡をしないで済むといった仕組みを実現した。 そのほか、全館でIP電話を採用。6,500台のソフトフォンと1,500台のハードフォンを導入し、イントラネットに接続していれば、ルネッサンスシティ内はもとより、本社、支店などの移動先でも個人の内線番号での通話が可能となるほか、Web会議などもPCとの連動によって実現している。 「いわば、NECが提唱するユビキタス社会を具現化している拠点」(NEC岡田裕行支配人)というわけだ。
●環境にも最大限の配慮をした建設/運用 また、玉川ルネッサンスシティは、ビル建設/運用にあたって、環境に配慮しているのも大きな特徴だ。 昼光活用自動調光システム、コジェネレーションシステムなどを活用することで、同等規模のビルに比べて、ビル運用エネルギーを約41%削減。建設資材のユニット化によって、建設時の廃棄物を約50%削減。さらに、エコマテリアルの積極採用によって、約100年後と見られるビルの寿命が来た際の解体時のリサイクル可能率はノースタワーで98.4%、サウスタワーでは96.7%にまで高めているという。 これらの取り組みによって、設計/建設/運用/解体に至るまでのライフサイクルCO2は、約38%削減が可能になるという。 さらに、耐震対策としては、Y型ブレースダンパーをフレームに採用し、エネルギー吸収力に富む架構形式を採用することで、耐震性を高めている。 そのほか、敷地内の約65%を公開空地として、「緑と水のランドスケープ」の演出を図り、「水文化都市『かわさき』に相応しい空間ができ、近隣の方々にも憩いの場を提供できる」(金杉社長)とした。 NECの技術、開発部門の一大集積拠点に相応しい先進性を備えたインテリジェントビルが誕生としたといえるだろう。
(2005年5月11日) [Text by 大河原克行]
【PC Watchホームページ】
|
|