4月13日に、NECの夏モデルが一斉に発表された。今回はその中から、14.1型液晶を搭載し、性能と携帯性を両立させたモバイルノートPC「LaVie RX LR700/CD」(以下LR700/CD)を取り上げて、レビューしていきたい。 LR700/CDは、ボディデザインだけでなく、チップセットも変更されており、フルモデルチェンジと呼べる製品だ。なお、今回試用したのは試作機であるため、正式出荷品とは細部のデザインなどが異なる可能性がある。 ●グラフィックス統合型チップセット「RADEON XPRESS 200M」を搭載 今回発表されたLaVie RXシリーズは、CPUとしてPentium M 740(実クロック1.73GHz)を搭載した上位モデルの「LR700/CD」とCeleron M 350J(実クロック1.30GHz)を搭載した下位モデル「LR500/CD」の2モデルがあるが、ここでは上位モデルのLR700/CDを試用した。 なお、出荷は4月28日の予定で、店頭予想価格は214,800円の見込み。 今年1月に発表された旧モデルの「LR500/BD」では、チップセットとしてグラフィックス非統合のIntel 855PMを採用しており、ビデオチップとしてMOBILITY RADEON 9700を搭載していたのに対し、新LaVie RXシリーズでは、グラフィックス統合型チップセットであるRADEON XPRESS 200Mを採用していることが特徴だ。 RADEON XPRESS 200Mは、ATI TechnologiesのPCI Expressベースのモバイル向けチップセットで、RADEON X300相当のグラフィックスコアを統合しており、DirectX 9.0に完全対応する。また、メモリコントローラもデュアルチャネルDDR2に対応するなど、高性能なチップセットだ。なお、ビデオメモリは、メインメモリの一部を利用するUMA方式を採用している。 LR700/CDでは、標準で512MBのPC2-4200 DDR2メモリを装備しているが、オンボード256MB+SO-DIMM 256MBという内訳になっており、デュアルチャネルメモリアクセスに対応する。512MBのメモリを実装していれば、標準状態でも快適にWindows XPの利用が可能だ。ただし、SO-DIMMスロットは1基しかないので、メモリをそれ以上増設したい場合は、標準で実装されている256MB SO-DIMMが無駄になってしまう。 新LaVie RXでは、ボディのデザインも一新されている。デザインは従来よりもシンプルで、万人受けしそうだ。また、サイズも旧モデルに比べて幅が5mm、厚さが2mm前後小さくなっている。重量は約2.1kgで旧モデルと変わらないが、光学ドライブが着脱可能になり、光学ドライブの代わりに拡張ベイカバーを装着することで、約1.9kgに軽量化される。
液晶ディスプレイとしては、SXGA+(1,400×1,050ドット)表示対応の14.1型低温ポリシリコン液晶を搭載している。従来のLR500/BDでも、同じサイズ、同じ解像度の液晶パネルが採用されていたが、輝度と視野角が改善されており、より見やすくなっている。バックライトの輝度は、7段階+オフで変更可能だ。表面に光沢のある、いわゆるツルツル液晶ではないが、その分外光が写り込むことが少ないので、モバイル用途にはこちらのほうが適しているといえる。 HDD容量は80GBで、大規模アプリケーションをインストールしても、余裕がある。光学ドライブとしては、DVD+R DL対応のDVDスーパーマルチドライブが採用されている。DVD-R/RW/RAM、DVD+RW/Rの全てのメディアをサポートし、DVD±Rメディアには最大8倍速記録が可能だ。新LaVie RXでは、光学ドライブが拡張ベイに装着されており、着脱可能になっている。光学ドライブの代わりに、付属の拡張ベイカバーを装着して重量軽減を図ったり、オプションのセカンドバッテリパックを装着して、バッテリ駆動時間を延ばすことができる。 キーボードのキーピッチは19mm、キーストロークは3mmと十分で、キー配列も標準的だ。キーボードの右上には、2つのワンタッチスタートボタンが用意されており、アプリケーションをワンタッチで起動できる。ポインティングデバイスとしては、タッチパッドが採用されている。左右のクリックボタンの中央には、スクロール用ボタンも用意されている。
インターフェイス周りについても不満はない。ポート類としては、USB 2.0×4、IEEE 1394(4ピン)、外部ディスプレイ出力、Sビデオ出力などを装備しているほか、Gigabit Ethernetと56kbpsモデムを搭載する。 カードスロットとしては、PCカードスロット(Type2×2)を装備する。ただし、カードスロットのフタがダミーカード方式なのは残念だ。SDメモリーカードスロットなどは装備していないが、メモリースティックやメモリースティックPro、SDメモリーカード、MMC、xD-Picture Cardの5種類のメモリーカードに対応したメモリーカードアダプタが付属しているので、デジカメで撮影したデータをコピーする際などに便利だ。 また、ワイヤレス機能も充実しており、IEEE 802.11a/b/g対応のトリプル無線LAN機能(Super AGもサポート)に加えて、Bluetoothにも対応していることが特徴だ。Bluetoothは、最新のVersion 2.0+EDR仕様に準拠しており、従来の1Mbpsに加えて、2Mbps/3Mbpsでの通信が可能になっている(もちろん、高速通信を行なうには相手側もVersion 2.0+EDRをサポートしている必要がある)。最近は、携帯電話でもBluetooth対応製品が少しずつ増えてきており、Bluetoothがようやく離陸しそうな気配である。いち早く最新のVersion 2.0+EDRをサポートしたことは評価できる。 標準バッテリで公称約3.2時間の駆動が可能である。バッテリ駆動時間はもう一声欲しいところだが、オプションのセカンドバッテリパックを拡張ベイに装着することで、駆動時間は約5.6時間に延びる。
参考のために、いくつかベンチマークテストを行なってみた。ベンチマークプログラムとしては、BAPCoのMobileMark 2002、SYSmark 2002、Futuremarkの3DMark2001 SEおよび3DMark03、id softwareのQuake III Arenaを利用した。 MobileMark 2002は、バッテリ駆動時のパフォーマンスとバッテリ駆動時間を計測するベンチマークであり、SYSmark 2002は、PCのトータルパフォーマンスを計測するベンチマークである。また、3DMark2001 SEやQuake III Arenaは、3D描画性能を計測するベンチマークだ。MobileMark 2002については、電源プロパティの設定を「ポータブル/ラップトップ」にし、それ以外のベンチマークについては、電源プロパティの設定を「常にオン」で計測した。 結果は下の表にまとめたとおりである。比較対照用にVAIO type S VGN-S70BやEndeavor NT9000Pro、VAIO type F VGN-FS70B、Qosmio E10/1KLDEW、VAIO type T VGN-T70Bの結果も掲載してある。 なお、今回の試作機では、MobileMark 2002実行中バッテリ残量が7%程度になったときにシャットダウンされてしまい、正しくスコアが計測できなかった。そのため、ストップウオッチを用いて、Battery life ratingのみ手動計測したが、バッテリ容量を最後まで使い切れなかったこともあり、結果はあくまで参考値としてほしい。 SYSmark 2002のInternet Content Creationのスコアは、同じPentium M 740を搭載したVAIO type F VGN-FS70Bに比べて20も高くなっている。VAIO type Fでは、搭載しているメモリがPC2700 DDRメモリであるのに対し、こちらはPC2-4200 DDR2メモリであり、メモリ帯域幅を比べると、約1.6倍広くなっていることが効いているのであろう。 3Dベンチ系のスコアは、さすがに最近の単体ビデオチップを搭載した製品に比べると見劣りするが、MOBILITY RADEON 9200やGeForce FX Go5200といった1世代前のモバイル向けビデオチップのローエンド製品とほぼ同等の性能は持っているようだ。もちろん、Intelの1世代前のグラフィックス統合型チップセットであるIntel 855GMEに比べれば、はるかに描画性能は高い。 【LaVie RX LR700/CDのベンチマーク結果】
LR700/CDは、最新のグラフィックス統合型チップセットRADEON XPRESS 200Mを搭載していることが特徴だ。しかし、統合されているコアがローエンド製品であり、ビデオメモリとメインメモリをシェアするアーキテクチャになっているので、3D描画性能は期待したほどではなかった。 旧モデルのLR500/BDでは、ノートPC向け単体ビデオチップとしては、ハイエンドに位置するMOBILITY RADEON 9700を搭載していたため、3D描画性能は、旧モデルのほうが高いと思われる。3D性能を重視するホビーユーザーには、やや残念な仕様変更といえるだろう。 しかし、SYSmark 2002の結果からもわかるように、2Dアプリケーションの性能は高いので、ビジネスアプリケーション中心で使うのなら、お勧めできる製品だ。 □関連記事 (2005年4月18日) [Reported by 石井英男]
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