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IDF Japan 2005レポート

2005年はスモールフォームファクタBTXを促進
~ハイエンドはファンレスSLIも視野に

BTXプログラム・マネージャのクレイグ・ランドルマン氏

会期:4月7日~8日
会場:ホテル日航東京



 BTXフォームファクタは、一部のメーカー製PCで採用が始まったものの、まだマイナーな存在だ。自作市場ではその傾向はさらに顕著で、IntelはBTX向けのCPUを単体で発売しているが、市販されているBTXマザーボードはごくわずかしかない。

 だが、IDF Japan 2005で行なわれたセミナーでは、BTXの普及は順調に進んでおり、2006年には採用率が50%を超えるとの見込みが示された。また、これまでの3種類に加え、4番目のフォームファクタが追加されることが明らかになった。

●2006年には普及率50%超

BTX普及率。青い部分は確定値、黄色い部分は予想される最大値

 BTXはATXに代わる新たなフォームファクタで、マザーボードからケースまで、トータルでエアフローを考慮することで、今後より一層“熱く”なるチップを効率的に冷却しながらも、ファンによる騒音を低減することなどを目的に開発され、2004年11月から対応製品の出荷が開始された。

 BTXプログラム・マネージャのクレイグ・ランドルマン氏によれば、2005年初頭は10%を切っていたBTXの採用率は、Intel 945チップセットが登場する2005年半ばには15%を超え、その次のプラットフォームが登場する2006年半ばには約36~48%にまで伸びる見込みだという。

 この2006年半ばの36%という数字は、大手メーカーからのBTXサーマルモジュール(ヒートシンクファン)の発注状況などから確定している最低限の数字で、自作市場を含めると48%程度まで期待できるのだという。

●スモールフォームファクタを促進

 この見込みを達成するため、Intelは今後、10リットル以下のスモールフォームファクタに特化した製品戦略を採る。ランドルマン氏によれば、容積12.9リットルのスリムケースでも、130WのCPU、100WのGPU、300Wの電源を収容可能で、騒音レベルは32dBA程度といい、従来のATXでは困難だった小型で高性能かつ低騒音という点でBTXのメリットを訴求していく考えだ。

 価格面においても、ATXのスモールフォームファクタ製品は、独自の冷却機構を採用するため、高価になりがちだったものが、BTXではサーマルモジュールが規格化されているため、特殊な部品が不要で、価格を抑えられるとしている。

2005年はスモールフォームファクタを促進 BTXの放熱設計

 Intelは、ケースメーカーやマザーボードメーカーにスモールフォームファクタ製品のラインナップを増やすよう協力を仰ぐと同時に、自身も2005年後半に、picoBTXマザーボードや、現在のType Iより一回り小さいType IIという小型サーマルモジュールを提供開始する。

 また、同社は顧客の要望に応じたフォームファクタの改良や追加する姿勢を見せている。BTXの立ち上げ当初にIntelが公開したリファレンスデザインでは、筐体前部に大きな風穴が設けられており、日本のOEMメーカーには不評だったという。

 そこで同社は、側面に風穴を入れたフロントパネルを開発。これにより、デザインやフロントベイのレイアウトの自由度が増した。

 また、拡張スロットを2本装備する新しいフォームファクタも規格中であることが発表された。従来、拡張スロットの数はBTXが7本、microBTXが4本、picoBTXが1本と決められていたが、microBTXとpicoBTXの中間の拡張性が欲しいという顧客の要望に応え、2本のスロットを装備した「nanoBTX」フォームファクタを7月を目処に発表する予定という。

拡張スロットを2本搭載した新フォームファクタを規格策定中 当初Intelがデザインした設計では、左の筐体のように前面に大きな風穴が設けられていたが、日本のOEMメーカーの要望に応じて、フロントパネルの側面に風穴を移したデザイン(右)も用意した
IntelがデザインしたBTX仕様のエンターテイメントPC 内部の様子。サーマルモジュールと電源ファンだけで、CPU、チップセット、GPU、TVチューナ2枚などの冷却をまかなえる

●ハイエンドGPUやSLIにも対応

 スモールフォームファクタの促進を図る一方で、150WクラスのハイエンドGPUに向けた対応も進行中という。

 現在のBTXのデザインでは100WクラスのGPUまでなら、ファンのないパッシブヒートシンクのみで対応できるが、これ以上のものとなるとファンが必要になってくる。そのため、IntelはNVIDIAやATIと共同でBTXへの対応に向けた作業を行なっており、2005年後半には、150WクラスのGPUを搭載したBTX対応製品が出てくる見込みという。

 また、NVIDIAの「SLI」のようなデュアルビデオカードも視野に入っており、2006年初頭に向けて、デザインを進めているという。

□IDF Japan 2005のホームページ
http://www.intel.co.jp/jp/idf/index.htm
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(2005年4月8日)

[Reported by wakasugi@impress.co.jp]

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