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ソニー、「ソニースタイル・ジャパン」を設立
~VAIOの企業向け販売などを加速

ソニースタイル・ジャパンの社長に就任する佐藤一雅社長

3月3日 発表



 ソニーマーケティング株式会社は3日、ネット直販やBtoB事業などを担当する新会社として、ソニースタイル・ジャパン株式会社を設立すると発表した。

 資本金は4億円。ソニー株式会社が全額を出資し、主管会社はソニーマーケティング株式会社となる。また、新会社の社長には、ソニーマーケティングでネット事業などを担当していた執行役員の佐藤一雅氏が就任し、社員は100人体制でスタートする。

 ソニーでは、2000年4月に、ネット直販を行なうソニースタイルドットコム・ジャパン株式会社を設立したものの、2002年3月にこれを、ソニーマーケティングに吸収した経緯がある。

ソニーマーケティングの宮下次衛社長

 ソニーマーケティングの宮下次衛社長は、「ソニーマーケティングとして、カスタマリレーション・オペレーションのためのプラットフォームとしてCLOVERを導入するなどの転換期にあり、当時は統合した方が得策だと考えた。今回は、eコマースに加えて、リアルサイトの運営、TELセールス、法人ダイレクト営業などの事業を加えることで、ソニースタイル・ジャパンとして進化、独立させた。新たなビジネスモデルの創出や、大きな組織のなかではできないような迅速な判断を行なうなど、独自性の追求を実現してもらいたい」と語った。

 ソニースタイル・ジャパンでは、1)eコマースサイトのソニースタイルによる販売、2)VAIOを中心とした法人向けのBtoB営業活動、3)電話による法人および個人向けの電話による販売活動、4)流通とのコラボレーションによる新たな販売手法の開拓、5)ソニースタイルストアによるリアル店舗による販売活動とショールームの運営を行なう。

 ネット直販サイトであるソニースタイルの現在の売り上げ規模は約200億円。これを、新会社とすることで、新たな事業を加え、初年度には300億円の売上高を目標とする。また、5年以内に1,000億円規模の売上高を目指し、早期にソニーマーケティングの売上高の10%を超える規模にまで拡大する考えだ。

ソニースタイル・ジャパンの概要 ソニーマーケティングと、ソニースタイル・ジャパンの位置づけ。ソニーブロードバンドソリューションズは、ITをベースとしたソリューシュンビジネスの会社 ソニースタイル・ジャパンは新たなプロダクツ、コマース、コミュニケーションを創造するという

 さらに、ソニーでは、VAIOの企業向け事業規模を、約2年後には、500億円規模にまで拡充する考えで、この事業拡大においては、ソニースタイル・ジャパンを通じた企業向け販売が大きな鍵を握ることになる。

 「もともとコンシューマ領域にフォーカスをしてきたVAIOだが、我々が考えた以上に企業での利用が促進されており、一部の調査では、オフィスで利用されているPCの25%がVAIOだったという結果が出ている。現在でも、ソニースタイルを通じて約4万種類にのぼる組み合わせが可能であり、ソニースタイル・ジャパンが取り扱う製品のなかで、VAIOが最もネット直販に適した商材といえる」(佐藤執行役員)としたほか、「これまでビジネスユース向けの販売を積極化できなかった背景には、オンサイトのサポートを行なえる体制が整っていなかったことなどが要因だったが、この点の解決も図れるようになってきた」(宮下社長)として、新会社設立を機に、VAIOによる企業向け販売を加速させる方針を示した。

 佐藤執行役員は、今回の新会社設立の背景として、「メーカーとユーザーの関係が大きく変化し、新たな製品、コマース、コミュニケーションの形が求められるようになってきたことが大きい」と語る。

 「例えば、VAIOを例に取れば、VAIOに対する考え方をユーザーにご理解していただき、末永く使っていただくのがメーカーとしてのソニーの立場だった。購入いただいたあとは、修理がなく、メーカーとの連絡がない方がいい製品を提供しているということにつながっていた。だが、ここにきて、購入後にネットにつないで、新たな情報を得る、なにかを購入する、あるいは製品そのものを進化させるサービスを受けるといったことが出てくると、新たな製品づくりの手法を導入したり、お客様とも新たな関係を築く必要が出てきた。それが、ソニースタイル・ジャパンが目指すものであり、それに伴って生産の仕組みや開発の手法までを含めて変革することになる」と話す。

 また、佐藤執行役員は、「ソニースタイルがスタートして5年を迎えたことから、今後5周年記念モデルを投入するのに加えて、ソニースタイル独自の製品ラインアップも増やしていきたい」と話した。

ソニーリージョナルセールスの位置づけ

 一方、ソニーマーケティングでは、一部報道にあったソニーリージョナルセールスの設立および、ソニーマーケティングの一部社員が同社へ転籍することに関しても説明を行なった。

 ソニーリージョナルセールスは2005年2月に、ソニーマーケティングの子会社として設立したもので、4月1日付けで、ソニーマーケティングの営業部門のうち、エリアにおける店舗推進、支援などを行なう支店および営業所の社員を新会社に転籍させることを正式に発表した。

 宮下社長は、「各エリアでの営業活動を強化するとともに、2006年度からは各エリアでの人材採用を行なうなど、エリアごとの体制を強化するのが狙い。また、営業担当者の評価を年功序列から個人の実績をもとにした評価体系へと移行することになる。新会社は、いわば人材の管理と採用を行なう会社であると考えていただければいい」と説明した。

 評価体系の変更に伴って、全体的には人件費の削減効果などが見込まれるほか、本社主導の人員採用では、マーケティング部門に傾注しがちだった中途採用を、エリアごとに移行することで、第一線の即戦力型の営業担当者の獲得が可能になるとの読みがある。

 なお、ソニーマーケティングの前年度の赤字からの脱却については、「まだなんともいえない段階」(宮下社長)として、2004年度の黒字転換については言及を避けた。

【お詫びと訂正】初出時に、一部社名表記に誤りがありました。お詫びして訂正させていただきます。

□ソニーのホームページ
http://www.sony.jp/
□ニュースリリース
http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200503/05-0303/
□関連記事
【2003年10月3日】ソニースタイルに見るインターネット通販のスタイル
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/1003/sonys.htm
【2002年1月30日】ソニーマーケティング、ソニースタイルを統合
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0130/sony.htm

(2005年3月3日)

[Reported by 大河原克行]

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