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愛・地球博・日立グループ館プレス見学会
~絶滅危惧動物のCGと触れあおう

2月22日公開



 2月22日、日立グループは「2005年日本国際博覧会(愛・地球博)」日立グループ館プレス見学会を実施した。

 「mixed Realityを使用したユビキタス・エンターテイメント・ライド」を中核とした日立パビリオンの正式名称は「Nature Contact 日立グループ館ユビキタス・エンターテイメント・ライド」。出展内容は「Nature Contact~日立のITで蘇る希少動物とのふれあい~」と題し、ユビキタス情報技術を使い、希少動物を映像上で蘇らせ、来場者がふれあうことができるパビリオンとしている。

 また、極小RFID「ミューチップ」を組み込んだ万博入場券と連動したトータルサービス提供がねらいの1つ。総事業費用は40億円。

 パビリオンの演出は3部構成だ。まず、情報端末「Nature Viewer」を使って、国際自然保護連合が絶滅のおそれがあるとした「レッドリスト」に該当する希少動物を紹介する20分ほどのプレショー。そしてライドに乗り、Mixed Reality(MR)で蘇った希少動物とのふれあいが体験できるユビキタス体験ツアーからなる20分ほどのメインショー。ライドから降りたあとは、プラズマディスプレイと入場券でメインショーの追体験ができる記念写真コーナーのポストショーとなっている。

 特にライドで、個々人ごとにパーソナライズされた映像や、CGとのインタラクション体験が楽しめる点が特徴だ。

日立グループパビリオン。大きな滝が特徴だ 日立グループパビリオンのアテンダント パビリオンのロゴ

●パビリオン体験見学

 記者見学会では最初の受付から体験することができた。

 受付ではまずミューチップ入りの入場チケットを渡し、名前と顔写真を登録する。ここで登録した名前は、あとでライドに乗ったときやポストショーなどでの呼びかけに使われる。なお、顔写真を撮られることを希望しない入場者の場合は撮影は行なわれない。

記者見学会時に使われた入館カード
受付で顔写真の撮影と登録が行なわれる

 登録後は情報端末「Nature Viewer」を受け取る。Nature Viewerはメタノール燃料電池と小型HDD「iVDR」、ミューチップリーダーを搭載した端末。重量は600g。リチウムイオン電池とのハイブリッド電源で、13時間連続稼動させることができる。モバイル機器向けとしての燃料電池実用化は今回が初めてとしている。

 端末は首から下げることができるようになっている。ボタンは2つだけと単純化されてはいるものの、単純にしすぎたのか若干操作に戸惑う風景も見られた。

「Nature Viewer」受け渡し口 Nature Viewer本体
Nature Viewerの背面 内蔵されているiVD

 日本語のほか、英語、韓国語、中国語の4カ国語に対応していて、最初に言語を選ぶ。日本語の場合は、子供向け表記と大人向け表記を選べる。Nature Viewerにはミューチップリーダーが搭載されており、リーダーを各ゾーンのアクセスポイントに近づけてタグ情報を読みとると、タグにひもづけされた映像や写真、情報が、内蔵されたiVDRから読み出され、再生される仕組み。なお今回のNature Viewerに搭載されたディスクの要領は、「映画なら4本分、音楽は5,000曲分」とのことだ。

 プレショーゾーンは奥に行くほど絶滅危惧度が高い動物が出てくる構成になっている。上下にそれぞれアクセスポイントがあるが、どちらも同じもの。中に動画が出るものと出ないものが混ざっているが、絶滅危惧動物だけあって、動画が存在しない動物も多いのだという。

アクセスポイントにリーダーを近づけると、絶滅が危惧されている動物の情報が提示される プレショーゾーン。実際にオープンされたときには大勢が端末を持って歩き回ることになるのだろう

 プレショーゾーンは基本的にはライドに乗るまでの待ち受けである。ゾーンを最後まで歩くと、いよいよMRライドによるメインショーとなる。

 ライドに乗る前に、また入場チケットで登録が行なわれる。これはライドの座席位置と個人をひも付けするためのもので、記念撮影や、ライドに乗ったときの音声ガイドでの個人名呼びかけに使われる。1度にライドに乗れる人数は16人で、1分ごとに出発する。

ライド乗り込み口 待ち行列の間には、ガイダンスビデオが上映される 足下に書かれた番号の座席に座ることになる
ライド乗り込み口で写真と名前呼びかけのために再受付 ライド背面 ライド。座席に「アドベンチャースコープ」と「ハンドセンサー」がぶらさっている。スピーカーが背面にある

 ライドに乗ったらMRのための機器「アドベンチャースコープ」と「ハンドセンサー」を装着する。

 アドベンチャースコープは双眼鏡のようなデバイスで、基本的には2眼のシースルー型HMDである。ユーザーがのぞきこむ角度や方向を認識し、立体映像を提示する。

 ハンドセンサーは加速度センサーだ。加速度を測ることでユーザーは自分の手でバーチャルキャラクターをいくらか操作したり、仮想空間に登場する希少動物とリアルタイムにインタラクティブなコミュニケーションができる。手のひらの上に乗ったCGキャラクターを反転したりさまざまな方向から眺めたり、CGのバナナをCGのサルに投げたりできるのは、なかなか面白い体験だ。

「アドベンチャースコープ」2眼のシースルー型HMD
ハンドセンサー。加速度を検知する ライドに座ってMRを体験するための機器を装着する
ライドの安全上、3歳以下は入館できないが(膝抱きも不可)、車椅子は対応可能だ。ライドの後ろ側がまるごと開くようになっていて、車いすごと乗り入れる

 さて、ライドに座ってスコープを覗くと、フクロウのようなキャラクターがガイドとして、実空間の上に合成されて出現し、最初に登録した名前で個人個人に呼びかけてくる。いきなり自分の名前を呼ばれるので、子供たちのうけは良いかもしれない。

 安全用のバーが降りたら出発だ。基本的にアドベンチャースコープを覗きっぱなしとなる。ライドがひたすら右へと移動していき、ジオラマがチェンジしていくだけなのだが、間のシーンがわりに通路のようなイメージのCGを提示することで、移動感を演出している。

MR体験中。個々人にはそれぞれ違う映像が提示されている こんな感じの映像が提示される
ジオラマの1つ。アドベンチャースコープを通して見ると、この上にCGキャラクターがオーバーレイされて見える

 ライドで搭乗するシーンはサバンナや海、森など全部で5つ。CGでつくられた画像をジオラマにかぶせて提示する形式でシーンが展開する。スコープのなかでは、それぞれ個別の映像が提示されているので、上を見れば上にあるはずの風景が見えるし、下を見れば下が見える。ハンドセンサーを使ってCGキャラを掌の上にのせた状態では、掌を近づけると、CGキャラがアップになる。

 基本的にはどのシーンでも絶滅危惧種が登場し、自然保護のメッセージとエンターテイメントが組合わさった内容となっている。

 ライド後はポストショーである。入場券をアクセスポイントにかざすと、プラズマディスプレイに自分がライドに乗っていたときの写真が提示される。ただし、3回までしか試せない。チケットをかざすときもパッとかざしてすぐに離さないと、2度目、3度目の読み込みが実行されてしまい、見られなくなってしまうので注意が必要だ。また、映像が提示されるタイミングも一瞬で、出たと思ったら消えてしまった。


ポストショーゾーン ポストショーでもミューチップ入りチケットが活躍 自分がライドに乗っていたときの画像のほか、このようなイメージの左側に自分の顔がはめこまれた画像などが提示される
株式会社日立製作研究所コーポレートコミュニケーション本部 日立グループ館長 柏倉幸夫氏

 今回の記者発表ではチケットは回収されたが、実際の会場では自宅に帰ったあとも入場券番号と日付からポストショーで表示される「自分だけの記念写真」をダウンロードできるそうだ。なお、万博のチケットには有効期間が長いパスもあるが、常に一番新しい記録が呼び出される仕組みになっているという。

 日立グループは、1日1万人の来場者を見込んでいる。柏倉幸夫 日立グループ館長は「ミューチップ活用を体感し、新しいユビキタス体験を実感して頂きたい。楽しみながら環境問題や絶滅危惧動物について考えてもらいたい」と語った。


●ゲーム形式の希少動物育成シミュレーションソフトウェア「Ocean Contact」

 また同日、日立はゲーム形式の希少動物育成シミュレーションソフトウェア「Ocean Contact」の無料配布を開始した。「Ocean Contact」は出展テーマと連動して、レッドリスト該当動物であるコガラネズミイルカ、チチュウカイモンクアザラシ、タイマイ、いずれか一種のキャラクターをパソコン上で育成できる。ソフトから発行される2次元バーコードをパビリオン来館時に持参して入館登録受付で提示することで、メインショーで自分が育成したキャラクターとの再会ができるとしている。

 なお、万博期間中に「万博に行く」というボタンを押すと、キャラクターを大自然の中に返すことになり、キャラクターはユーザーのパソコンからは消えてしまって二度と出現しない。消えたキャラクターには、提示される二次元バーコードを受付で登録することで、日立パビリオンのライドショーのなかで再会することになる。

 また、もう1つのエンディングもあり、万博に行かないまま、2005年9月25日の万博終了日を迎えると、キャラクターが涙を流してこれまで面倒を見てくれたユーザーにお礼を言ってくれるという。そして、次に立ち上げたときにはユーザーあてにお礼の手紙が届くそうだ。

パビリオンの外には「両面受光太陽電池」が80基設置されている。片面受光太陽電池に比べ、約1.3倍の発電量を得ることができるという

□日立グループ館
http://www.hitachi-pavilion.com/
□ニュースリリース(Ocean Contact)
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2005/02/0222.html
□関連記事
【2005年2月1日】NEDO、愛・地球博におけるロボットの安全基準を公開
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0201/nedo.htm
【2004年6月17日】NEDO、愛知万博に100体のロボットを投入
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0617/nedo.htm
【2004年6月4日】NEDO、次世代ロボットの委託・助成先を決定、愛知万博で公開へ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0604/nedo.htm

(2005年2月23日)

[Reported by 森山和道]

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