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Intel、大幅な組織再編と人事異動を発表
~デジタルヘルス事業部とチャネル製品事業部を新設

17日(現地時間)発表



 Intelは、17日(現地時間)、同社の大幅な組織変更と取締役の大幅な人事異動について発表した。

Intelのポール・オッテリーニ社長兼COO

 Intelの発表した内容によれば、これまで、4つに分けられていた製品事業部が、「モビリティ事業本部」、「デジタルエンタープライズ事業本部」、「デジタルホーム事業本部」へと再編され、さらに新しい事業本部として「デジタルヘルス事業本部」、「チャネル製品事業本部」を設立することなどが柱となっている。

 これに合わせて、各事業部を担当する副社長クラスの移動も発表され、これまで通信関連担当だったショーン・マローニ上級副社長がモビリティ事業本部を、CTO(最高技術責任者)を担当していたパット・ゲルジンガー上級副社長がデジタル エンタープライズ事業部を担当するという。

 今回の大幅な組織変更と人事異動は、5月に予定されているクレイグ・バレットCEO(最高経営責任者)からポール・オッテリーニ社長兼COO(最高執行責任者)への“禅譲”に伴うもので、実質的な“オッテリーニ体制”の始まりになるものだと理解されている。


●Intel コミュニケーションズ事業本部が解体され、各事業本部へ統合

 従来のIntelの製品関連の事業は、

・デスクトップ プラットフォーム事業本部(Desktop Platform Group)
・モバイル プラットフォーム事業本部(Mobile Platform Group)
・エンタープライズ プラットフォーム事業本部(Enterprise Platform Group)
・Intel コミュニケーションズ事業本部(Intel Communications Group)

 という4つの事業本部が、それぞれデスクトップPC、モバイルPC、サーバー/ワークステーション、通信関連の製品を展開するという組織体型を採ってきた。

 今回発表された内容によれば、Intelは、これら4つの事業本部をシャッフルし、以下の3事業本部に再編する。

・モビリティ事業本部(Mobility Group):ノートPC、PDA、携帯電話など
・デジタル エンタープライズ事業本部(Digital Enterprise Group):企業向けコンピューティング、インフラ系など
・デジタルホーム事業本部(Digital Home Group):デジタルホーム向けPCや家電など

 従来のIntel コミュニケーションズ事業本部に相当する通信系の事業本部が無くなるが、通信系の製品は、それぞれの事業本部で扱われることになる。

 例えば、ハンドヘルドや無線LANはモビリティ事業本部で、ソリューション系のビジネスはデジタル エンタープライズ事業本部で扱う、という形だ。Intelはここ数年“コンピューティングと通信の融合”を盛んに訴えてきたが、事業部の体制という形でもコンピューティングと通信の融合を体現することになる。

●新たに2つの事業本部を設立

 また、Intelは2つの新規事業本部を立ち上げる。それが、デジタル ヘルス事業本部(Digital Health Group)、チャネル プロダクト事業本部(Channel Products Group)の2つだ。

 デジタル ヘルス事業本部では、Intelアーキテクチャの製品を利用したヘルスケア関連のリサーチやビジネスの立ち上げなどを担当する。数年前より、IntelはPCを利用したヘルスケアの可能性を盛んにアピールしており、かねてよりビジネス化のチャンスを伺っていた。

 今回のデジタル ヘルス事業本部では、これまでデスクトップ プラットフォーム事業本部の共同ジェネラルマネージャを務めてきたルイス・バーンズ副社長が担当として任命されており、言ってみればエース級の人物が投入されたことになる。こうしたことから、Intelが本気でこの事業にあたるのでは、とみる業界関係者は少なくない。

 もう1つの新しい事業部が、チャネル プロダクト事業本部だ。チャネル プロダクト事業本部では、その名の通り、小規模の販売店によるホワイトボックスやIntelのボックスCPUなどのチャネルビジネスを統括していくこととなる。

 これまでチャネル事業は、デスクトップ プラットフォーム事業本部やモバイル プラットフォーム事業本部の傘下として事業を展開してきたが、事業本部に格上げすることで、拡大するチャネルビジネスに本腰を入れて取り組んでいくこととなる。

 なお、チャネル プロダクト事業本部には、バーンズ氏と共にデスクトップ プラットフォーム事業本部の共同ジェネラルマネージャを務めてきたウィリアム・スー副社長が担当することになるという。スー氏は香港の出身で、チャネルビジネスで最重要市場と言える中国市場における活躍を期待されての任命とみられる。

Intelのルイス・バーンズ副社長 Intelのウィリアム・スー副社長

●マローニ氏がモビリティ担当、ゲルジンガー氏はエンタープライズ担当へ

 これまで、デスクトップ プラットフォーム事業本部を指揮してきた2人のジェネラルマネージャが、新しい事業本部へ転身したことからもわかるように、ほかの事業本部の担当も大幅に替わっている。

・モビリティ事業本部(Mobility Group):ショーン・マローニ上級副社長、ダビ・パルマッター副社長
・デジタル エンタープライズ事業本部(Digital Enterprise Group):パット・ゲルジンガー上級副社長、アビ・タルウォーカー副社長
・デジタルホーム事業本部(Digital Home Group):ドナルド・マクドナルド副社長

 これまで、Intel コミュニケーション事業本部を担当してきた、ショーン・マローニ上級副社長は、モビリティ事業本部の担当へと変更になった。なお、マローニ氏は、Intelで7人いる上級副社長のうち、より上位のExecutive Vice Presidentで、オッテリーニ社長の後継候補の1人と目されている。

 これまでモバイル プラットフォーム事業本部を率いてきたアナンド・チャンドラシーカ氏は、セールス&マーケティング事業本部のディレクターへと転身する。これは、これまでIntelのセールス&マーケティング事業本部を率いてきたジェーソン・チェン副社長が、家族の健康問題を理由に1月末を持ってIntelを退社する後を受けてのこととなる。

 また、従来はCTO(最高技術責任者)としてIntel全体の技術を見てきた、パット・ゲルジンガー上級副社長は、デジタル エンタープライズ事業本部を統括していく。これまでゲルジンガー氏が担当してきた、Intel全体の技術動向を見ていくという役割は、シニアフェロー(取締役待遇のエンジニア)のジャスティン・ラトナー氏が担当することとなる。

 新設されるデジタルホーム事業本部は、これまでコーポレートマーケティングを担当してきたドナルド・マクドナルド氏が担当する。マクドナルド氏は、コーポレートマーケティング担当の副社長に就任する以前は、モバイル プラットフォーム事業本部でマーケティングディレクターを務めており、Centrinoモバイル・テクノロジの立ち上げに大きな貢献を果たした。また、以前は日本のIntelで、マーケティングディレクターを務めており、“日本通”としても知られている。

 しかし、これまではAppointed Vice Presidentと呼ばれる日本語にすれば“平取締役”とでも言うべき役職だっただけに、今回のデジタルホーム事業本部のリーダーへの就任は“抜擢”と受け止められている。

Intel ショーン・マローニ上級副社長 Intel パット・ゲルジンガー上級副社長 Intel ドナルド・マクドナルド副社長

●非常に大がかりな組織変更と人事異動は“オッテリーニ体制”の始まり

 今回のIntelが発表した組織再編と人事異動は、ここ数年のIntelに見られなかった大規模なものだと言える。

 オッテリーニ社長はプレスリリースの中で「今回の人事異動や組織変更は、市場や顧客のニーズを満たすためのプラットフォームを開発する上で非常に役立つであろう」と述べているとのことで、Intelが成長の基礎としてきた企業向けのコンピューティング市場、そして新しい市場の柱に育ちつつあるモバイル市場と、デジタルホーム市場に向けた新しい事業本部構成は理にかなったものだと言える。

 ただ、それ以外の狙いがあることを指摘する関係者も少なくない。例えば、今回の組織変更では、Intel コミュニケーションズ事業本部(ICG)が解体され、新しい3つの事業本部の中に組み込まれていることは注目に値する。

 これまで、ICGは収益の面でも赤字決算が目立ったり、製品リリースの遅れが目立つなど、正直言ってIntelの“お荷物”とも言える面があったことも否定できない。それをうまくほかの事業部に割り振るというのは、今後、不採算事業を終了させる時などに有効に働くとも言える。

 ICGのトップであったショーン・マローニ上級副社長は、オッテリーニ氏の後継の1人と目されており、マローニ氏に傷を付けないための処置という見方もできる。

 また、ゲルジンガー氏のデジタル エンタープライズ事業本部への異動も興味深い。ゲルジンガー氏と言えば、Intel 386、つまりはIA-32の開発者として知られ、その後は486、Pentium、Pentium PRO……といった歴代のIA-32プロセッサの製品企画を担当してきており、まさしく“IA-32の父”と言ってもいいだろう。その彼が、IA-64をどう扱うのか、共同開発をしていたHPがIA-64の開発から手を引いたことなども合わせて、要注目と言えるのではないだろうか。

 いずれにせよ、重要なことは、今回の組織再編、人事異動は、オッテリーニ社長の主導で実施された可能性が高いということだ。実際、Intelに近いソースによれば、Intel社員への説明では、オッテリーニ氏の発言だけが引用されており、オッテリーニ氏の強い意志が感じられるという。

 そうした意味で、今回の組織再編、人事異動は、5月の正式な権限委譲を前にした“オッテリーニ体制”の実質的なスタートである、ということができるだろう。

□Intelのホームページ(英文)
http://www.intel.com/
□ニュースリリース(英文)
http://www.intel.com/pressroom/archive/releases/20050117corp_a.htm
□関連記事
【2004年5月17日】【元麻布】IA-64派のMike Fister氏が辞任
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0517/hot320.htm
【2003年12月18日】Intelの通信事業統合と人事
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/1218/hot294.htm

(2005年1月18日)

[Reported by 笠原一輝]

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