元麻布春男の週刊PCホットライン

MCE 2005のサポートは2009年まで?




 前回のこのコラムにおいて、Windows XP Media Center Edition 2005のメインストリームサポート終了日を、2006年12月31日としたが、これが正しくないとの指摘をマイクロソフトから受けたので、ここで修正すると同時にお詫びしたい。と同時に、Windows XPのサポートについて、もう一度、整理してみることにする。

●MCE 2005は特別な製品

 まず最初にWindows XP Media Center Edition 2005(MCE 2005)のサポート期間の終了日(メインストリームサポート終了日)だが、現時点において2009年12月31日である。これは、MCE 2005の発売日が2004年12月30日(四半期単位でまとめたサポート上の)であり、コンシューマー向け製品に対し5年間のメインストリームサポートを提供するという、マイクロソフトのプロダクトライフサイクルポリシーに基づいたものだ。

 筆者が前回、MCE 2005のメインストリームサポート終了日を2006年12月31日と誤った理由は、Media Center Edition 2002、Media Edition 2004のメインストリームサポート終了日がいずれも2006年12月31日に設定されていたこと、その理由がこの2つのOSがWindows XP Home Editionの派生物であり、発売時期が異なっていてもサポート期間はHome Editionに準じるという説明であったこと、さらにWindowsのプロダクトライフサイクルのページにMCE 2005に関する記述がなかったこと、の3つが重なったことが原因であった。MCE 2005も、これまでのMCE同様、Home Editionの派生物と思い込んだ筆者の早とちりであり、ここにお詫びする。

 マイクロソフトによるとMCE 2005は、Windows XPの派生物ではなく、独立した製品という扱いになるため、MCE 2005のメインストリームサポート終了日は5年後の2009年12月31日になる、ということである。なぜ、MCE 2005だけが独立した製品という扱いになるのかはわからない。また、将来のサポート、パッチのリリースがWindows XPと独立したものになるのかどうかも不明。

 結局、MCE 2005を購入した方がより長期なサポートが受けられるわけで、この点に関していえばXP Homeなどよりもより良い選択ということになる。そのためだけにMCE 2005を選択するのもどうかとは思うが。

 ただし、Windows XP、MCEにかかわらず、無条件でメインストリーム終了日までサポートを受けられるわけではない。マイクロソフトの製品サポートは、常に最新のサービスパック(SP)を適用していることが、サポートの条件であり、製品のサポートは次のSPのリリース後12カ月後まで、というのが原則になる。話がややこしくなってきたので、具体的な製品と発売日を元に説明しよう。

●もっとシンプルなルールを

 2001年11月にリリースされたWindows XP Home Editionは、サポート的には2001年12月31日のリリースという扱いになり、メインストリーム終了日がその5年後の2006年12月31日に設定された。その後、2002年8月30日にSP1がリリースされたが、この時点で最初のリリースのWindows XP Home Edition(SP0)のサポート終了日は、SP1リリースの1年後である2003年8月30日になった。つまり、最初のリリースであるSP0のサポートは、1年9カ月続けられた後、すでに終了している。つまりSP0のユーザーは、SP1を適用しないと、マイクロソフトのサポートは現時点で、すでに受けられない。

 Windows XPについては、先日(2004年9月17日)SP2がリリースされた。これによりSP1のサポート期間はその1年後である2005年9月17日に設定されるのが本来の姿だが、SP2が新機能を多数含む(通常のSPに比べ移行に時間がかかる)ことを配慮し、特例としてSP2のリリース後24カ月のサポートが提供されることになった。したがって、SP1のサポート終了日は2006年9月17日となる。

 リリースされたばかりのWindows XP SP2のサポート期間だが、基本的には2006年12月31日と、次のSP(SP3)がリリースされてから12カ月後の、どちらか早いほうとなる(万が一、2005年の早い段階にSP3がリリースされるとSP2のサポート期間がSP1のサポート期間より早く終了するという矛盾が生じるが、今のところその予定はないようだ)。SP3のリリースが現時点で予定されていないということは、今のところSP2のサポート終了日はメインストリーム終了日である2006年12月31日ということであり、Windows XP Home Editionのサポートはあと2年2カ月残っている、ということになる。ビジネス向け製品であるWindows XP Professionalは、さらに5年間の延長サポートがあるため、2011年12月31日が最終サポート終了日となる。

 というわけで、Windows XP関連製品ならびにMCE 2005のサポート期間について、理解いただけただろうか。サービスパック別のサポート終了日については、サポート対象サービスパックのページにまとめられているので、ここで確認して欲しい。

 これまで説明してきた内容は、率直にいって、ずいぶんややこしい規定であり、一般ユーザーにとって分かりやすいものだとはとても言えない。このサポート対象サービスパックのページにしても、なぜ同じ発売日なのに初期出荷版のHome EditionとProfessional Editionでサービスパックサポート終了日が1年1カ月違うのか、ということは分からない。おそらく何らかの特例や例外措置があるのだろうが、それも分からない。そういうものだと思うしかないようだ。

 果たして、量販店の店頭で、販売されているWindows XPのパッケージや、プリインストールPCのOSのサポートがいつまでか、正確に答えられる販売員はどれくらいいるのだろう。少なくとも、量販店でPCを購入しようとしている消費者で、プリインストールされたWindows XP Home Edition SP2のサポート終了日が2年2カ月後に迫っていることを理解している人はほとんどいないのではないか。

 結局、このような状況になっているのは、サポートポリシーというものが、一つの会社の私的な規定でしかないからだ。しかも、個々の決定はそのときの周辺状況や自社の都合に左右されてしまいがちで、第三者からは、どうしてそうなるのかという理由は見えにくい。

 少なくとも、一般のユーザーが使用するコンシューマ向け製品のサポート期間は、できれば購入後何年のように使用期間が特定されるべきだと思うし、せめて発売日を起点とせずに生産終了を起点とするなど、わかりやすい一律のルールの元で管理されるべきではないだろうか。

□関連記事
マイクロソフトのプロダクトライフサイクルのページ
http://support.microsoft.com/gp/lifesupsps
【11月1日】PCとデジタル家電の境界線
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/1101/hot344.htm
【2003年6月10日】マイクロソフト、Windows 98などサポート期限に関する説明会を開催
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0610/ms2.htm

バックナンバー

(2004年11月2日)

[Reported by 元麻布春男]


【PC Watchホームページ】


PC Watch編集部 pc-watch-info@impress.co.jp 個別にご回答することはいたしかねます。

Copyright c2004 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.