ソニーが先月発表した新しいVAIOシリーズは、ソニー自身が“VAIO 第2章”と呼ぶだけあって、気合いの感じられる製品群となっている。 その全体的な方向性については、以前本誌でもソニーの木村取締役のインタビューで紹介したが、今回より特別企画として新VAIOの中からユニークな製品を取り上げ、開発者のインタビューを掲載する。今回は第1回目としてVAIO type Sを取り上げる。 VAIO type Sは、13.3型のワイド液晶を搭載したノートPCで、DVD-RWドライブを採用していながら1.89kgと比較的軽量を実現した2スピンドルノートPCだ。これまで2kgを切るような2スピンドルのノートPCといえば、中心は12.1型サイズを搭載した製品だったが、徐々に13.3型液晶を搭載した製品も見られるようになった。 type Sも13.3型液晶を搭載した製品だが、他社の13.3型液晶搭載製品がXGA(1,024×768ドット)など4:3の標準アスペクトなのに、本製品は同じ13.3型ながらWXGA(1,280×800ドット)という横長の解像度を採用している。横長のスペックと言えば、どうしてもAV向けかと考えてしまいがちだが、どうやらソニーの開発者陣は、そうは考えていないようだ。 ●ビジネスに使えるモバイルを目指したかったVAIO type S
基本的にソニーはVAIO新シリーズが、どのシリーズの後継である、という言い方はしない方針のようだ。だから、プレスリリースなどの公式発表を見ても、そういった記述はない。しかし、例えばデスクトップPCのtype VがバイオVシリーズの後継であることや、type RがバイオRZシリーズの後継であることは明らかにわかる。 今回取り上げるtype Sは、果たしてどのシリーズの後継になるのか、読者も興味があるのではないだろうか? 春モデルまでのモデルで最も近い製品と言えば、12.1型液晶を搭載し、かつ光学ドライブを内蔵していたという点でV505シリーズがあったが、実は14.1型液晶を搭載したバイオノートZの後継モデルといえる“type Z”も存在しないので、バイオノートZがやや小型化したもの、ということもできるだろう。 この点について、type Sの商品企画を担当するソニー IT&モバイルソリューションズネットワークカンパニー インフォメーションテクノロジーカンパニーの番場定道氏は,「ご存じの通り弊社ではどのモデルの後継、という言い方はしていませんが、ご指摘の通りV505、Zを購入していただいたお客様にご購入頂きたい製品であるのは事実です」と説明する。 なるほどと思うと同時に、いくつかの疑問がでてきた。1つにはV505やZというシリーズは、どちらかと言えばビジネスユーザーをターゲットにした製品だった。だが、筆者は冒頭で述べたように13.3型のワイド液晶というほかのモデルに採用されていないような液晶を採用しているということは、もしかするとTRシリーズのようにAV向けなのか? と思っていたからだ。 「type Sのターゲットユーザーはハイエンドのモバイルユーザーです。TRではどちらかと言えばAVを重視していますが、type Sではそうした機能も重視しながらビジネスとして本格的に使えるということに重点を置いています。つまり、VAIOの中では最もビジネス寄りの製品です」(番場氏)との通り、ソニーはtype Sをいわゆる“ビジネスパーソナル”などと呼ばれる、PCをビジネスにも本格的に活用するし、ホビーにも活用するというユーザーを想定しているのだ。 ●ビジネスモデルにもワイド液晶は必要
それでは、なぜ16:10というAVに最適な16:9に近い解像度を持つ液晶を採用したのだろうか? 現在のノートPC市場では、ビジネスユース製品の多くは4:3の標準アスペクトの液晶を採用している。これに対してコンシューマ向けの製品は16:10などワイドアスペクトの液晶が採用される例が増えている。実際、V505やZは標準アスペクトの解像度を採用していた。 また、13.3型のワイド液晶という特殊性も指摘したい。というのは、液晶パネルの価格というのは、大きさに比例していない。実際市場では14.1型や15.1型の液晶パネルが最も安価で、12.1型や10.4型などの液晶パネルの方が価格が高かったりする。これは液晶のパネルの価格が需要と供給の関係で決定されるためで、現在もっとも需要が大きい14.1型や15.1型は液晶メーカーが製造する数も大きく、価格がこなれているからだ。 しかし、13.3型ワイドという液晶は、おそらくPCメーカー(に限らないと思うが)が採用した例はこれまでなかったと思う。つまり、今のところは需要が少ない液晶に相当するはずだ。そのため、決して安価ではないはずだし、それを採用するには、相当の苦労があったはずだ。 そこまでしてビジネス向けノートでは採用例が少ないワイド液晶を採用したのはなぜだろうか? 「1,280×800ドットというワイド液晶を採用したのは、特にAV用途を意識したわけではありません。例えば、マイクロソフトのOfficeを利用するときに左側にタスクバーがでてきますが、4:3の標準解像度だとそれがややうるさく感じてしまうときがあります。しかし、ワイド液晶ならそうは感じないでしょう。あるいは、アプリケーションを2つ開いて文章を作る時などにも、ワイド液晶は便利です。ビジネスでノートPCを使う際にはそうしたメリットが少なくないだろうと考えました」(番場氏)との通り、ビジネスでもワイドの解像度が必要であると考えたのが理由であると説明した。 「現在のノートPC市場を考えると、とにかく薄く、軽くという方向性と、しっかり性能を入れていこうという2つの方向性があると思います。type Sに関しては処理能力を重視しつつ薄くという方向性を当初から打ち出して設計しました」(番場氏)と、ビジネスをする上で必要な処理能力や機能を実現した上で、どれだけ薄くできるかという思想でtype Sを企画したのだと説明してくれた。
13.3型ワイドの液晶が採用には、コスト面だけでなく、技術的にもいくつかのチャレンジがあった。これまで他製品で採用された例がないため、液晶メーカーに新しい液晶を作ってもらう必要があったのだ。
この点に関して、type Sの製品開発責任者でもあるソニー IT&モバイルソリューションズネットワークカンパニー ITカンパニーの木村英二氏は「この製品のコンセプトはきちんと携帯できながらパワフルさを実現していくというものです。その反面、画面を大きくして解像度を広くするというのは、そのままでは重量の増加を意味します。そこで、その両方のバランスをうまく実現するのがワイド液晶なのではないかと、我々は考えました。そこで、液晶メーカーに対して、今後この13.3型ワイドや12.1型ワイドがトレンドになるので一緒にやりましょう、と呼びかけて実現しました」と、type Sの開発陣としては、このサイズが今後パフォーマンスモバイルの1つのトレンドになると考えており、液晶メーカー側もそう考えていると説明する。 また、この製品ではクリアブラックと呼ばれる高輝度の液晶を採用している。いわゆる“ピカピカ液晶”とか“ツルツル液晶”などと呼ばれるタイプの液晶で、高輝度・高コントラスト・高視野角を実現している。 クリアブラック液晶のような液晶は、これまでどちらかと言えば、AVユースを重視したような製品に採用されてきた。なぜかと言えば、ビジネスに利用する場合には、あまり高輝度・高コントラストは必要ないし、通常の液晶に比べると背景の映り込みが激しいという弱点があるからだ。果たして、ビジネスモデルにもクリアブラックは必要なのか、これも論点となる。 筆者個人の考えとしては、ビジネス向けの製品でもクリアブラックのような液晶はあってもいいのではないだろうかと思う。理由は単純だ。ビジネス向けのノートPCとはいえ、実際には出張時の飛行機の中でDVDを見たり、あるいはDivXのビデオを見たりするというシーンが少なくないと考えられるからだ。 '98年頃だったと思うが、筆者はDVDが再生可能なA4サイズのノートPCを購入して、飛行機の中など移動中によくDVDを見ていたのだが、そうしていると珍しいのか声をかけられることが多かった。しかし、現在では移動中の飛行機でDVDを再生している人は非常に多いし、もはや普通の使い方になったといえる。ソニーにとってもこのモデルで液晶をクリアブラック化するのは必然だったのではないだろうか。 「おっしゃるとおり、ビジネスが主用途のPCであるとはいえ、そういう用途に使われるであろうことは十分想定しています。ただ、やはりビジネスに使われるPCであるなら、クリアブラックではない方がよいお客様もいらっしゃるだろうと考え、ソニースタイルモデルでは、従来タイプの液晶を搭載したモデルを用意しています」(番場氏)と、クリアブラックが必要ないという顧客にも対応できるようにしたという。 「クリアブラックを名乗るにはある程度の輝度を確保しなければなりません。今回の液晶はTRと同じように1灯のバックライトを採用していますが、液晶のフィルターを改良することで高輝度を実現しています」(木村氏)と、TRと同様に液晶内部のフィルターの特性を改良することで実現されている。 なお、上位モデルのtype Aなどでは2灯の蛍光灯を採用しているため、400cd/平方mを越えるような液晶テレビに近い輝度が実現されているが、1灯でそこまでの輝度を望むのは難しい。具体的な数値は未公開だが、「少なくとも250cd/平方m程度はクリアしないと高輝度クリアブラックとはい えないと思っている」(木村氏)とのことなので、270~280cd/平方m程度ではないかと思われる(実際、簡易輝度計などで計ってみるとその程度の数字を示している)。 一般的なビジネス向けノートPCでは、150cd/平方m程度であることが多いので、飛行機や新幹線などの移動中にメディアファイルの再生を楽しむ機会が多いユーザーであれば、その違いは体感できるのではないだろうか。 ●外でも中でも颯爽とノートPCを持ち歩くビジネスユーザーを意識したデザイン
今回のtype S、外側の色には今回のVAIO夏モデル共通のイメージカラーである黒を採用し、内側にはシルバー系の色が採用されている。また特徴的なのは開けたときの、液晶からキーボードへのデザインで、液晶パネルの下の部分、ちょうどインバータなどが入っている部分は曲線をイメージしたデザインとなっており、一見すると液晶が曲がっているような印象をうける。このあたりのデザインは本機の特徴といえ、インパクトがあるデザインだ。
開発陣によると、このデザインは、やはり特徴を出すための工夫であるという。「確かにヒンジ付近の湾曲した形状が、今回のデザインポイントです」とソニー ホームエレクトロニクスネットワークカンパニーの横田洋明氏は語る。 最近のVAIOシリーズにはこうしたデザインが少なくない。ハイエンドモデルのtype Aも曲線を多用したデザインだし、バイオノートZも同じようなデザインがみられる。 「液晶の下部が湾曲しているのは、開いた時の本体から液晶への流れも意識していますが、閉じた時の“持つ”という行為を形で表現したかったからという意味もあります。type Sはモバイルマシンですから、持ち歩く時の姿に特徴を持たせたかった。それで、閉じた状態で液晶と本体のヒンジ付近を下に曲げることで、持った時手のひらに当たる部分がやわらかい曲面になり、持ち心地を良くしています」(横田氏)と、湾曲部には閉じたときと開いたときに異なるイメージを持たせる、という狙いもあるという。
確かによく見てみると、単に液晶の部分が湾曲しているだけでなく、本体側はそれとちょうど凹凸になるかのように湾曲している。このため、閉じた時には、その湾曲が目立たず普通のノートPCが閉じている時のように見えるのだ。 よく知られていることだが、VAIOノートの“VAIO”ロゴは、ノートPCを開いたとき、外側から“VAIO”と読めるようにロゴが配置されている。そのため、液晶を閉じているときのロゴは、ユーザー側からは逆さまに見える。多くのノートPCでは、閉じたときにユーザー側からメーカーやPCのロゴが読めるようになっているのに対して、VAIOでは常に“他人に見せること”を意識してきたと言える。type Sのユニークなデザインもその思想の延長線上にあると言えるのではないだろうか。 ところで、ノートPCのデザイナーというのは、ある程度ユーザーモデルを意識してデザインするものなのだろうか? こうした筆者の質問に対して横田氏は「もちろん、ユーザーをイメージしてデザインするというのは大事なことです」と答えてくれた。では、このtype Sではどういうユーザーを意識したのかと聞いてみたところ、「やはりビジネスで使われることが多いだろうと考え、男女を問わず、颯爽と持ち歩いてもらって、会社や外出先などでバリバリ仕事に使っているようなシーンをイメージしました」と語る。つまり、type Sは仕事ができる男、仕事ができる女のためのマシンということだろうか。 ●薄さ、軽さと処理能力の同居のために通常電圧版を選択
VAIO type Sでは、CPUに通常電圧版のPentium Mが採用されている。気になるのは、なぜ低電圧版や超低電圧版にしなかったのかということだろう。type Sの重量は1.89kgだが、仮に低電圧版や超低電圧版のPentium Mにすれば、もっと放熱機構を簡素化し軽量化することが可能になるので、もっと薄く、軽くという方向を目指すことができる。
この点に関してソニー IT&モバイルソリューションズネットワークカンパニー ITカンパニーの松尾隆信氏は、「確かに低電圧版、超低電圧版を採用してより薄く、軽くというのも不可能ではないと思います。しかし、本製品のコンセプトはパフォーマンスを実現しながら、薄く、軽くを実現することでした。低電圧版、超低電圧版を採用した場合には、どうしても処理能力が犠牲になります。type Sでは13.3型ワイドという液晶を採用していることもあり、一番上のモバイルを目指したかったんです」と説明する。 松尾氏によれば、type Sの熱設計はBaniasコアのPentium Mの仕様である熱設計消費電力25Wを前提に設計してあるという。店頭販売用のモデルではBaniasコアのPentium M 1.50GHzとCeleron M 1.30GHzが採用されているからだ。ソニースタイルモデルではDothanコアのPentium M 745(1.80GHz)もラインナップされているが、熱設計消費電力は21Wなので、どちらも問題なく対応できるという。 今回、基板設計上で問題となったのはやはり熱への対応だったという。特に、type SではGPUにATI TechnologiesのMOBILITY RADEON 9200が採用され、ソニースタイルモデルではMOBILITY RADEON 9700を選択することも可能になっている。これらのGPUは、単体でも熱設計消費電力が7W程度に設定されており、搭載には、超低電圧版のCPUを1つ余計に入れるようなものだ。
「通常だと、放熱版を加えたりしてきたんですが、今回はCPUだけでなく、GPUにもセンサーを入れて温度を計測し、細かく制御しています。これら2つにヒートパイプを入れてファンに熱をうまく回せるように注意して設計しました」(ソニー IT&モバイルソリューションズネットワークカンパニー ITカンパニー 小出啓介氏)と説明する。 ほかにも見えない部分でユニークな設計がされている。光学ドライブは外側から見るとベゼル部分が厚く見えるため、12.7mm厚のように見えるが、実は9.5mmの薄型ドライブが採用されている。薄型のドライブを搭載した分、PCカードスロットを搭載してスペースを有効活用しているのだ。設計者の努力の跡が見て取れる。 なお、こうした内部機構に様々な努力を加えた結果、基板はV505に比べてかなり小さくなったという。熱設計もCPUの消費電力が下がったことと、放熱機構を工夫したことで、小さく、軽量化された。このため、V505に比べて液晶ディスプレイは大きくなっているのに、全体としては薄く、軽くが実現できたと木村氏は説明する。 ただ、個人的に気になっているのは、HDDがリムーバブルではなく、簡単に取り出せないことだ。特にビジネスにユーザーでは、HDDが故障した場合などは、自分で換装してなるべく速く復旧しさせ、仕事を再開したいところだ。今回のtype SではHDDはかなり分解しないとHDDを交換することができない。将来的にHDD容量が足りなくなった場合の換装も難しい。 「今回は薄型ということにもこだわりたかったので、特にそういう点は必要ないだろうと判断した」(木村氏)とのことで、HDD容量については、ソニースタイルモデルでより大容量のディスクを選択可能にしたので、必要なユーザーはそちらを選択して欲しいということだ。
type Sでは、すでに述べたようにGPUにはATIのMOBILITY RADEON 9200が採用され、ソニースタイルモデルではMOBILITY RADEON 9700も選択できる。すでにV505でもMOBILITY RADEON 9200が採用されていたこともあり、店頭モデルだけで比べると大きな違いはないが、ソニースタイルでは現時点でATIのハイエンドである「MOBILITY RADEON 9700」が採用されている点は注目したい。 「3DゲームがノートPCで本当に重要かどうかは議論があると思いますが、お客様の声を聞いていると高い描画性能を持つGPUへのニーズがあるのは事実です」(番場氏)と、どちらかと言えばユーザーのニーズで高性能なGPUが搭載されたと説明する。 すでに述べたように、今のノートPCは、単に文章を見たり、作ったりという単機能なものではない。実際にはDVDを見たり、自宅のデスクトップPCで録画したテレビ番組を見たりと様々な形で利用されるケースも多い。 こうした高性能なGPUは、もちろん高い3D能力を持つことはもちろんだが、ビデオ再生性能という点でも従来のものに比べて表示品質が改善されている。また、次世代Windows「Longhorn」の世代まで使い続けようというのであれば、DirectX 9のサポートも気になるところだろう。MOBILITY RADEON 9200はDirectX8.1対応だが、MOBILITY RADEON 9700はDirectX 9対応で、Longhornのビデオ機能も使える可能性が高そうだ。 ただ、異なる2つのGPUを同じシャシーに載せていくというのは大変な作業だ。ATIのモバイルGPUの場合、FLEXFITと呼ばれるピン互換戦略を展開しているため、1枚の基板で2つのGPUに対応することはできるが、当然、熱設計消費電力は異なるため、これにどう対応するかが問題となる。 そこで、「type SではMOBILITY RADEON 9700とMOBILITY RADEON 9200で、2機種分の設計をしており、ソフトウェアを含めそれぞれに別の設計を用意しています」(小出氏)と、それぞれ異なる設計を用意して対処しているという。
なお、type Sには、新しい省電力ツールがバンドルされており、使い勝手の向上が図られている。これまでの、省電力ツールと言えば、Windowsの省電力ツールに代表されるように細かなパラメータをユーザーが指定する形となっており、技術的に詳しいハイエンドユーザであれば問題ないが、初心者ユーザーなどにはあまり優しくはなっていなかった。そこで、type S(に限らずソニーのノートPC)には、簡単に省電力を設定するツールをバンドルしたという。 「今回はレーダーチャートのようなユニークなインターフェイスを採用した省電力ツールを付けています。最初は従来の省電力ツールに近いものから出発して、社内のPCに詳しい人からそうではない人まで様々な人にアンケートを行ない、最終的に多くのユーザーに優しいデザインを採用しました」(ソニー IT&モバイルソリューションズネットワークカンパニー ITカンパニー 戸畑直子氏)と付属のツール類にも配慮がされているという。 実際、このツールは、キーボードと液晶の間に用意されているショートカットボタンに割り当てて呼び出すことも可能で、幅広いユーザーに対応可能であるという。
これまで、“ビジネスパーソナル”などと呼ばれるような、ビジネスとホビー利用の両方のためにノートPCを自分で購入するというユーザーにとって、14.1型液晶を搭載したA4サイズのスリムノートか、12.1型ないしは13.3型の液晶を搭載したB5~A4サイズ程度のサブノートPC、あるいは10.4型級の液晶を搭載したミニノートという選択肢があった。今回紹介したVAIO type Sは、そうしたこれまでのカテゴリーには収まらない製品だと言える。その理由は13.3型ワイド液晶にあるのは言うまでもない。 13.3型ワイドというこれまでにはない液晶を搭載したことは、他社の製品に比べて明確な差別化ができており、この製品を選ぶのであれば、それが決めてとなるのではないだろうか。 確かに14.1型液晶を搭載した2スピンドルノートPCで1.5kgという製品がある現在、13.3型で1.85kgというのは驚くほど軽量という形容詞がつくわけではない。しかし、ソニースタイルモデルならばDothanコアのPentium M 745(1.80GHz)やMOBILITY RADEON 9700という、現時点ではトップクラスのコンポーネントを選択できる。これは重さとのトレードオフになる部分だといえる。強力な処理能力とモバイル性をバランスよく手に入れたいというユーザーなら、type Sは検討する価値がある製品だろう。 □関連記事
(2004年6月15日) [Reported by 笠原一輝]
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