各メーカーから800万画素の高倍率ズームデジカメが登場している。このオリンパスCAMEDIA C-8080 Wide Zoomもそのひとつで、Wide Zoomの名称のとおりに28~140mm相当のEDガラス採用5倍ズームを搭載している。800万画素クラスの中でも、ニコンCOOLPIX8700と競合しそうな製品である。 ●独創的なスタイリングと独特の操作系 オリンパスのデジカメはもともと独創的なデザインをしていて、とくに左手側がスパッと切り落とされているようになっているのが特長。このC-8080ではその傾向がさらに強まったようだ。左手はなかば強制的にレンズを支える構えかたちになる。このほうが手ブレに対して強いことは事実なのだが、見た目にはやや違和感がある。各部は6面写真を見ていただきたい(写真A)。
ボディ上面右手側にはモードダイアルがあり、露出モード(P/A/S/M)のほかに、再生、セットアップ、イメージプログラム、動画などを選ぶことができる(写真B)。その右に小さなボタンがあるが、これはワンタッチISO感度ボタン。また、前方に電源スイッチ、右前にズーミング(拡大/縮小再生)スイッチがある。この配置はオリンパス独特のもので、とっさにはわかりづらい。 背面には1.8型の半透過型サンシャインTFT液晶モニタがあり、その右には十字キーがある。その中央にメニューボタンとOKボタンがある(写真C)。この配列もまた独特のものだ。上方にはクイックビューボタン、下方には液晶モニタとEVFの切り替えスイッチとCF/xD Picture Cardの切り替えスイッチがある。わりあいとさっぱりとしたレイアウトである。ここにISO感度ボタンとかホワイトバランスボタンを置いたほうがよかったのではないだろうか。 ホワイトバランスボタンはボディ左側面、つまりすっぱり切り落とされた側面にある。その下に画質モードの切り替えスイッチもある(写真D)。さらに、その後方にはAF/MF/接写の切り替えや、ストロボモード、露出補正、測光切り替えなどのボタンが並ぶ。このあたりはややごちゃごちゃしている。やはり、使用頻度の高いボタンはボディ背面に置いたほうがよかったように思う。
ファインダーは24万画素のEVF(電子ビューファインダー)で、やや黄色みがかっているが、見やすく、また動体追従性もいい。ただ、ピントの山がはっきりわかるまでの高精細ではない。アイピースの周囲を回すと視度補正ができるようになっているのはいい。また、消去ボタンがその左にあるが、この位置もちょっと考えものだ(写真E)。 液晶モニタは、水平にすることもできる。これでローアングル撮影も可能になった(写真F)。
0.7秒の高速起動、レリーズタイムラグ約55ミリ秒とデジタル一眼レフなみの早さも特長だ。 内蔵ストロボは左側面のスイッチを押すとポップアップする。かなり高い位置まで発光部が上がるのと、レンズ鏡胴が短いので、ケラレの心配はない(写真G)。 記録メディアはxD Picture CardとCFカード(タイプ1、2)のダブルスロット(写真H)。同時記録はできないが、片方から片方へコピーができるので、バックアップが可能だ。 電池は専用のリチウムイオン電池である(写真I)。
メニューはやや複雑だ。これもオリンパス独自のものだが、もう少しわかりやすくして欲しい。このメニューのうち代表的なものを掲載する(写真J)。
オリンパスC-8080WZは独特の操作系をどう考えるかで、評価が変わってくると思う。慣れの問題もあるが、機種ごとに操作ボタンの位置が微妙に異なったりするのは、同じメーカーのカメラとしてはあまりいいとは言えない。おそらくオリンパス自身、ベストの操作系を求めて、試行錯誤しているのだろうが。 ●EDガラスのレンズはシャープだったが さてデジタルカメラは実写してみないと本当の実力はわからない。いつもと同じ定点撮影から始めよう。 ビルの撮影では絞り開放(F2.4)で、広角側の描写はかなりいい。AFの合焦精度もよく、いままでテストした800万画素クラスの広角側ではいちばんいい画質である(写真1A)。絞りをF8まで絞り込むと、非常にいい画質になる(写真1B)。 望遠側でもシャープネスは非常にいい(写真2A)。ただし、写真ですぐにわかるように、広角側では約1絞りの露出オーバーとなってしまった(写真2B)。繰り返し撮影しているのだが、結果は同じだった。 この原因はわからないが、このカメラは望遠側で露出オーバー傾向になるのがほかの実写でもたしかめられた。F8まで絞り込むと、すばらしい画質となる。広角側とあわせて、EDガラス使用の実力を見せつけてくれた。
夜景の撮影では、ノイズリダクションオンとオフとを撮りくらべてみた。絞りの関係で8秒までしか撮影できなかったためか、ノイズリダクションをオフにしてもあまりノイズは目立たない(写真3A)。ノイズリダクションオンでも見分けがつかない程度だ(写真3B)。15秒の露出をするときには注意が必要かも知れない。
特急列車の通過を連写する撮影だが、これは何度も失敗をしてしまった。というのは、連写の種類が非常に多く、どれを選んだらいいのかわからない。最終的には通常連写だと毎秒1.1コマ、高速連写でも毎秒1.6コマだとわかった。そこで高速連写してみたら、5コマまでしかバッファが追いつかない。毎秒1.6コマということもあって、もう一歩近づいたコマが撮れなかった(写真4)。もう少し高速連写ができるようにして欲しいところだ。
逆光の人物撮影は、オートホワイトバランスで撮影したら、まずまずの色再現になった。また、AFの合焦精度もまずまずだ(写真5A)。晴天モードで撮影したら、さらにきれいな描写になった(写真5B)。 光の当たり具合を変えて撮影してみたら、オートホワイトバランス(写真6A)のほうが、晴天モード(写真6B)よりもよかった。晴天モードでは少し黄色みがかった。
電球の下でのいつもの撮影では、オートホワイトバランスでもかなり補正されることがわかった(写真7B)。ちがいを見せるために、晴天モードにしてみると、このようにちがう(写真7B)。このオートホワイトバランスはかなり低い色温度まで追尾するようだ。 蛍光灯ではオートホワイトバランスでほぼ正確である(写真8A)。マニュアルの蛍光灯モードでは3種類(白色、昼白色、昼光色)から選べるようになっている。しかし、どれもぴったりとはいかなかった(写真8B)。蛍光灯はオートホワイトまかせのほうがいいようである。
このカメラのISO感度はISO50~400である。そこで、同じ条件で画質をくらべてみた。ISO50ではやや被写体ブレが起きているが、いい画質である(写真9A)。ISO400にゲインアップしても、わずかな縞模様の高感度ノイズが出るぐらいで、目立たない(写真9B)。ただ、もっと暗い場所で手持ち撮影をしなくてはならない場合もあるので、もっと高感度が欲しいところだ。
電球光にかなり追尾しているが、やはり色温度が低い電球では赤く写る(写真10)。逆に、色温度がある程度高い電球だと、自然な色再現となる(写真11)。 シャッターのタイムラグが短いのはいい。エスカレーターに乗りながらシャッターを切ったが、タイミングのズレが少なかった(写真12)。太陽光に照らされた白い被写体と影というきびしい撮影でも、かなりダイナミックレンジの広さを感じさせてくれた(写真13)。
オリンパスCAMEDIA C-8080 Wide Zoomは連続撮影の高速化が達成され、あとは操作系をもう少し改良してくれると理想的なカメラになるだろう。とくに、描写の良さは印象的だった。 □オリンパスのホームページ ■注意■
(2004年4月20日) [Reported by 那和秀峻 / モデル 汐瀬 ナツミ]
【PC Watchホームページ】
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