12月18日 発表

　ソニーは18日、報道向けに2足歩行ロボットの新技術発表会を開催。この中で、従来の2足歩行から“走るロボット”へと進化した新QRIOを披露した。

　QRIOは2000年に発表された2足歩行可能な小型ヒューマノイドロボット。当初は「SDRシリーズ」の名がつけられていたが、その後いくつかの改良が加えられ、2003年9月にQRIOと改称された。

業務執行役員上席常務の土井利忠氏

　今回発表された技術は、歩行・跳躍・走行運動の総合制御を実現したもの。同社業務執行役員上席常務の土井利忠氏は、「現在2足歩行ロボットを走らせることについて、世界中で大変な競争が起きているが、制御系および電源系を搭載した自立型ヒューマノイドとして走行に成功したのはQRIOが世界初」と語った。

　“走行”の定義だが、これは「ロボットの両足が路面から離れた非接地状態を含む脚式移動」とされている。QRIOでは実際、跳躍時は約40ms、走行時は約20ms両足が宙に浮く瞬間が存在する。

　走行は単純な前進以外にも、横方向への走行や、旋回が可能。また、停止状態から、歩行→走行→跳躍といった具合にシームレスに運動を変化させられる。

　開発を担当した、エンタテインメントロボットカンパニーの黒木義博氏によると、走行・跳躍時の姿勢制御を行なうために、状態計測用センサ、路面適応制御、外力適応制御、緩衝制御などの面で高度な制御を行なっているが、機械的な面では従来のQRIOと大きくは違わないという。披露された実物の外見も従来のものと差異は認められなかった。

床にかかる力を計測したグラフ。跳躍時・走行時ともわずかだが、床に全く力がかかっていない時間がある	歩行と走行の両立を可能にする技術	開発担当の黒木義博氏

　会場では各種走行や跳躍のデモンストレーションが行なわれた。“走る”というと、人間のように大きなストライドで駆ける姿を想像するが、実際のQRIOの走る姿は、足を小刻みに素早く上下させながら、ちょっとずつ前進していくといった感じ。とはいえ、歩く様と見比べると、動作はかなり俊敏で、足が接地する際の衝撃音も大きく、確かに走っていると実感させられる。走行速度はおよそ毎分14m程度だという。

　また、走る技術とは別に、今回披露されたQRIOには、ものをつかむ機能(把持機能)も搭載されており、手に持ったボールを投球するデモも行なわれた。

　最後には、おなじみのダンスが披露。今回のダンスは振付も新しくなっているが、扇子を持ったQRIOが、ダンスの途中で扇子から手を離し把持機能をアピールするという見所が追加されている。

走る能力を獲得したQRIO。外観は特に変わっていない	実際の走行シーン。写真では片足が接地しているが、両足が宙に浮く瞬間がある
把持機能のデモとして行なわれたQRIOの投球。きちんと振りかぶってから投げるという本格的? なもの
シメはおなじみのダンス。ロボットだけあって4体の息はぴったり。扇子を持った2体は、途中で扇子を手から離し、把持機能をさりげなくアピール

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200312/03-060/
□QRIOのページ
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/QRIO/
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(2003年12月18日)

[Reported by wakasugi@impress.co.jp]