もうフツーのマウスは愛せない 癒し系マウス「マウスグルーミー」

	品名	エレコム マウスグルーミー
	購入価格	3,780円(税別)
	購入日	2003年8月8日
	使用期間	約1日

3年使ったIntelliMouse Opticalの裏側。向かって左の黒い部分の樹脂が取れてしまった。右のほうもホコリが溜まってるうえに、ちょっとズレている

　筆者はここ3年ほど、マイクロソフトの「IntelliMouse Optical」を愛用してきた。大きさ、形状、感触、ボタンのクリック感、ホイールの操作感など、どれをとっても筆者の好みにぴったりで、ボタン類がごてごてと付いていないところも気に入っている。

　が、ある朝マウスを握ってみると、マウスとパッドがなんだかヌルヌルしている。ティッシュやハンカチで拭いとれないところを見ると、どうやら汗のせいではないらしい。不愉快なのをがまんして数時間使っているうちに、ふと底面(光学センサーがある面)を見てヌルヌルの原因がわかった。

　IntelliMouse Opticalの底面の四隅には、マウスの滑りをよくするための黒い樹脂が貼り付けてあるのだが、このうちの1つが酷使に耐えかねてズレてしまっていた。ヌルヌルは、この樹脂を留めていた接着剤が溶け出したもののようだ。というわけで水やOAクリーナーで丁寧にヌルヌルを拭い去り、ついでに外れかけていた樹脂も取り除くと、またもとの快適なIntelliMouseに戻ってくれた。

　とはいうものの、樹脂が1つなくなったのは、なんとなく気分が悪い。それに、残りの3つの樹脂が外れて、また不愉快な事態になるやもしれない。これを寿命とあきらめて、あたらしい愛機を探す必要がありそうだ。

男ばかりでむさくるしい弊誌編集部でも、グルーミーは大人気だ

　次も使い慣れたIntelliMouse Opticalにしたいと思う反面、それではつまらないとも思う。なにか面白いマウスはないものかとPC Watchで「マウス」という文字を検索しているうちにふと思い当たった。そうだ、こういうときこそマウスグルーミーを使ってみよう。

　そんなわけで渋谷のカメラ量販店でマウスグルーミーの「パグ」を手に入れた。パグを選んだのは、筆者の好みというよりも、編集部になぜかすでにパグのぬいぐるみクリーナーがあるので、2つ並べたら絵になるかもしれない、というさもしい編集者根性からだ。実売価格は3,780円で、10%のポイントが還元された。

　マウスグルーミーは要するに、光学式マウスにクリーナーグルーミー様のぬいぐるみをかぶせたものだ。クリーナーグルーミーのかわいらしい造詣や、地面にぺたっとへたりこんだようなポーズはしっかり継承されている。おまけにパッケージは犬小屋を模したもので、凝り具合はクリーナー以上だ。

犬小屋付きでやってくるマウスグルーミー	USB接続が基本だが、PS/2変換コネクタが付属する	お腹から、光学センサーの付いたマウス本体が覗く

というわけでクリーナーと並べてみました。マウスの小ささが際立つ。後姿はサービスショット

　というわけで成り立ちはまるっきりファンシー商品だが、ぬいぐるみを洗濯可能というところが革新的だ、と筆者は思っている。マウスは四六時中手で触れているものだから、よく汚れる。とくに筆者のような、肥満で脂性の汗かきにおいてはなおさら。マウスにかぶせることができて、感触がよく、洗濯可能なカバーがあったらどうだろう、とよく思う。とくに夏は。秋葉原のどこかでそんなものを見かけたような気もするが、買わなかった、あるいは今使っていないということは、見た目だか感触だかが気に入らなかったということなのだろう。

　では、マウスグルーミーはどうか。見た目がかわいいのは周知の事実。オフィスには似つかわしくないといもいえるし、むくつけき中年男であるところの筆者がマウスグルーミーを握る姿は、仕事というよりも虐待と言うべきだろうが、己の姿は己には見えないのでよしとしておく。というわけで見た目は合格。

　ぬいぐるみの材質はクリーナーのグルーミーよりもやや毛足が短いようで、夏でも比較的暑苦しさを感じない。長時間持っていると、樹脂製のものより暑く感じるが、それで耐えられないということはない。むしろ、汗をよく吸収してくれそうだし、樹脂製のように汗でツルツルすべるということもない。感触はなかなかいい。

　ぬいぐるみを洗濯すべくはずすには、ちょっとしたコツがいる。マウスグルーミーの箱にはぬいぐるみのつけ方しか書かれていないのだが、不器用な筆者でも3分くらいでなんとかなる。無理をすると破いてしまいそうなので、少し慎重に作業する必要があるだろう。

マウスを抜き出されんとするマウスグルーミー。ちょっとキツいので慎重を要するが、このくらいキツくないとマウスとしての使用感が悪くなるだろう	マウス本体。なんの変哲もない小さなマウス。ガワを洗濯中でも、これ単体で使えそうだ	抜け殻になったマウスグルーミー

　再装着も説明書に従って慎重に行なえば問題ない。最後に、マウス本体の底面とぬいぐるみをきっちり整えておくのを忘れないように。でないとマウスが浮いて、光学センサーがうまく機能せず、思ったとおりにマウスカーソルが動いてくれなくなる。

　洗濯はまだしていないが、箱の注意書きによれば、形くずれをふせぐために、弱い水流で洗うように、とのことだ。たしかに頑丈そうには見えない。

　なお、Windows XPではドライバのインストールは不要で、USBポートに挿すだけですぐに使えるようになる。説明書によると、Windows Me/2000でもドライバは不要だそうだ。

　マウスグルーミーの(筆者にとっての)最大の問題は、「小さすぎる」ことだ。ぬいぐるみ装着時の全長は約135mm(ケーブルを除く)。IntelliMouse Opticalは約120mmだから、マウスグルーミーのほうが大きそうだが、グルーミーは全長のうち55mm程度をぬいぐるみの頭や足が占めている。手を載せるところがIntelliMouseの半分くらいしかないのだ。

　このことは、ぬいぐるみをはずした状態で比較するとはっきりする。マウスグルーミーのマウスは、まるでモバイルマウスだ。IntelliMouseで掌全体をマウスに乗せる使い方が染み付いている筆者には、掌のやり場がなくて使いづらく感じられる。

　もっともこれは、慣れの問題だろう。掌は机やマウスパッドの上において、指先でグルーミーを操作する習慣がつけば、今ほどは疲れないだろう。

IntelliMouse Opticalよりデカく見えるが	ガワをはずすとこんなんです。ついでに大きさの比較のために左に名刺入れを置いてみた	背中に埋もれるホイール

　ボタンのクリック感やホイールの回転感も問題ない。ホイールの回転に適度がクリック感が感じられるところは、むしろIntelliMouseよりも好みにあう。が、ホイールがちょっとまわしにくい。ぬいぐるみの布にホイールがうもれているので、慣れないうちはどこにホイールがあるのか迷う。また、前方に回すと指がぬいぐるみの首にあたるので、IntelliMouseのホイールのように、大きなストロークで一気に回転させるような使い方はできなさそうだ。

　ユーザーインターフェイスは文字通り人間に直面する部分だから、好みや習慣に左右される部分が大きい。すこしでも好みに合わないものは、すぐに放り出したくなるものだ。だが実は、ユーザーインターフェイスほど人間が“モノにしやすい”ところもない、と筆者は思う。

　たとえば自動車では、アクセルペダルやブレーキペダルなどの位置関係がよく話題になる。左ハンドル車として設計された車を右ハンドルにアレンジした車では、ペダルが極端に右や左に寄ったレイアウトになることがあり、ひどいときには体をひねったような体勢でなければ運転できないことさえある。が、これも、乗り続けていればいつの間にか慣れてしまう。慣れるか、慣れる前に捨てるか、の分かれ目は、その車の魅力次第だ。車が魅力的なら、どうやったって慣れてしまうし、どうでもいい車なら乗り換えてしまう。これは車に限ったことでなく、どんな製品にも言えることだ。

　というわけで、いまだかつてモバイルマウスのような小さなマウスを使い続けたことがない筆者だが、マウスグルーミーには慣れることができそうだ。ボタンやホイール、センサーの作りの素性のよさ、ガワを洗濯できる便利さは大いに魅力的だ。マウスの基本性能の紹介をすっかり忘れているような気がするが、紹介しなければならないような瑕疵はなにもない。

　それに、仕事がひと段落したときに、マウスパッド(筆者は光学マウスでもなぜかマウスパッドを愛用している)にへたりこんでいる姿を見るのはなかなか癒されるものだ。

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【7月4日】エレコム、ぬいぐるみ型マウス「マウスグルーミー」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0704/elecom.htm

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(2003年8月11日)

[Text by tanak-sh@impress.co.jp]