松下電器産業のLet'snoteシリーズは、携帯性に優れたモバイルノートPCとして、古くから人気のある製品だ。特に昨年1月に発表されたLet'snote Light R1は、重さ960gという10.4型液晶を搭載したB5サイズノートPCとして世界最軽量のボディを実現し、大きな話題となった。その後、12.1型液晶を搭載しながら重さ1kgを切るLet'snote LIGHT T1が登場し、こちらも高い評価を得た。 今回登場したLet'snote W2は、新Let'snoteシリーズの第3弾となり、コンボドライブを搭載した2スピンドルノートPCだ。やはり12.1型液晶とコンボドライブを搭載したノートPCとして世界最軽量を実現している。そこで今回は、Let'snote W2の魅力を紹介していくことにしたい。
Let'snote W2は、12.1型液晶とCD-RW/DVD-ROMコンボドライブを搭載しながら、重さ1.29kgを実現したモバイルノートPCだ。Let'snote W2の最大の魅力は、その高い携帯性にある。1スピンドルノートPCでも、重さ1.5kg前後の製品が多い中で、2スピンドルノートPCで重さ1.29kgという軽さはやはり驚異的である。もちろん、光学ドライブ搭載ノートPCとしては、世界最軽量である。 超低電圧版Pentium Mの登場によって、ソニーの「バイオノートTR」や富士通の「LOOX T 90D」のように、重さ1kg台前半の2スピンドルノートが登場したが、その中でもLet'snote W2の重さ1.29kgという軽さは群を抜いている。 Let'snote W2のサイズは、268×209.2×27.5~41.5mmで、1スピンドルノートPCのLet'snote T2(268×210×26.1~39.1mm)と比べても、わずか2.4mmしか厚くなっていない。また、重さもLet'snote T2の無線LANモデルに比べて、約220gしか重くなっていない。 Let'snote W2でこうした薄型化・軽量化を可能にしたのは、新たに開発されたコンボドライブの恩恵によるところが大きい。通常のノートPCでは、トレイ式光学ドライブが採用されているが、Let'snote W2では、ドライブのカバーがキーボード左手前のパームレストと一体になっており、左側面のオープンスイッチをスライドさせることで、カバー部分が上に持ち上がるという斬新な機構が採用されている。 Let'snote W2に採用された光学ドライブの重量は約99gであり、通常のトレイ式光学ドライブ(約200g程度)に比べて、大幅な軽量化を実現している。光学ドライブをパームレスト部分に内蔵し、パームレスト部分を跳ね上げることで光学ドライブにアクセスするという機構は、'94年10月に松下電器産業から発表されたPRONOTE JET AVでも採用されていたのだが、PRONOTE JET AVではパームレスト全体を跳ね上げていたのに対し、Let'snote W2では左側の部分だけが跳ね上がる構造になっている。 カバーのオープン機構は電気式であり、PCの電源が入っていない状態では、オープンスイッチをスライドしても、カバーが開くことはない。PCの電源が入っている状態で、オープンスイッチをスライドさせると、カバーが1cmほど上に跳ね上がり、その後手でカバーを持ち上げて、光学ドライブにアクセスできる。トレイ式光学ドライブの場合、ノートPCの周りにトレイを引き出すためのスペースが必要なのに対し、Let'snote W2では、そうしたスペースが不要なことも利点の1つだ。 ボディの基本的なデザインコンセプトは、Let'snote LIGHT T1を受け継いでいるが、ボディ上面のデザインは多少変更されている。車のボンネットのように立体的なくぼみをつけることで、高い強度を実現しているのだ。
Let'snote W2は、PCとしての基本性能も充実している。CPUには超低電圧版Pentium M 900MHzを搭載し、チップセットとしてはグラフィック統合型のIntel 855GMを採用している。メモリは標準で256MB実装しており、MicroDIMMによって最大512MBまで増設が可能だ。HDD容量は40GBである。なお、HDDは2.5インチだが、通常の5V駆動品ではなく特注の3.3V駆動品を採用しているため、換装はできない。 USB 2.0×2や外部ディスプレイなど、このクラスのサブノートPCに要求されるインターフェースは一通り装備している。また、PCカードスロットの他に、SDメモリーカードスロット(SDI/Oは非対応)を装備しているので、SDメモリーカードを利用するデジカメなどとの連携に便利だ。100BASE-TX/10BASE-TのLAN機能とモデム機能に加えて、IEEE 802.11b準拠の無線LAN機能を搭載している。無線LANのアンテナは本体部分に内蔵されているが、2つのアンテナを利用するダイバシティ方式となっており、安定した通信を実現する。
新Let'snoteシリーズのデザイン的な特徴ともなっているのが、円形のホイールパッドである。長方形のパッドを見慣れた目には当初やや奇異に見えたが、ホイールの周囲を指でなぞることで、マウスのホイールと同じ機能を実現するホイールパッドユーティリティが登場し、そのデザインが活かされることになった。指でなぞることで、連続的にスクロールできるので、なかなか便利だ。 キーボードは、Let'snote LIGHT T1のものとほぼ同じである。キーピッチは約19mmで、快適にタッチタイプが可能である。ただし、右側の一部のキーのピッチが多少狭くなっているほか、「全角/半角」キーが「ESC」キーの右側に配置されていることなど、やや変則的なところもある。 プリインストールソフトの数はそれほど多くないが、CD-Rライティングソフトの「B's Recorder GOLD5 BASIC」や「B's CLiP」、DVDプレイヤーの「WinDVD4」、独自のネット接続設定切り替えツール「ネットセレクター」など実用的なソフトが中心なので、好感が持てる。
新Let'snoteシリーズは、携帯性が高いだけでなく、徹底した省電力化によって、長時間駆動を実現していることも魅力だ。Let'snote R/Tシリーズのバッテリは4セルで、4,400mAh、7.4Vという仕様だったが、Let'snote W2ではバッテリが6セルになり、容量が1.5倍に増えている(6,600mAh、7.4V)。公称駆動時間は最大7.5時間とされており、DVD-Videoを見る場合でも十分な駆動時間を実現している(テスト結果については後述)。ACアダプタも非常にコンパクトで、重さも約228g(ケーブル込みの実測値)と軽いことも嬉しい。
また、新Let'snoteシリーズは、全てファンレス設計になっており、動作音が非常に小さいことも高く評価したい。ファンの性能劣化によって、冷却性能が低下する心配もない。
参考のために、いくつかベンチマークテストを行なってみた。ベンチマークプログラムとしては、BAPCoのMobileMark2002、SYSmark2002、Futuremarkの3DMark2001 SE、id softwareのQuake III Arenaを利用した。 MobileMark2002は、バッテリ駆動時のパフォーマンスとバッテリ駆動時間を計測するベンチマークであり、SYSmark2002は、PCのトータルパフォーマンスを計測するベンチマークである。また、3DMark2001 SEやQuake III Arenaでは、3D描画性能を計測する。MobileMark2002については、電源プロパティの設定を「ポータブル/ラップトップ」にし、それ以外のベンチマークについては、AC駆動時(電源プロパティの設定は「常にオン」)にして計測した。 結果は下の表にまとめたとおりであり、超低電圧版Pentium M 900MHzを搭載したマシンとしては、性能は良好である。統合チップセットなので、3D描画性能は高いとはいえないが、一般的なビジネスアプリケーションを動かすには、十分なパフォーマンスである。 MobileMark2002のBattery life ratingは341分で、5時間41分もの長時間駆動を実現している。Centrinoマシンの中でも、この駆動時間はトップクラスだ。試しに、DVD-Videoソフトを内蔵コンボドライブに入れて、連続再生させてみたところ、4時間9分の再生が可能であった(バックライトの輝度は中くらい)。映画2本分くらいは再生できるわけで、非常に優秀である。 【Let'snote CF-W2ベンチマーク結果】
Let'snote W2の魅力は、やはりその高い携帯性にある。従来、重さ1.5kg以下のモバイルノートは光学式ドライブを内蔵していないため、セカンドマシン的に利用されることが多かったが、Let'snote W2なら、メインマシン的に使うこともできる。全体的な完成度や質感も高いので、アクティブなモバイル派には特にお勧めしたい。 □関連記事 (2003年7月7日)
[Reported by 石井英男]
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