塩田紳二のPDAレポート

Cebit America PDAレポート
Treo 600の詳細が判明、US版モバギなども出品



●Treo 600の詳細

GSM版のTreo 600。こちらは明るいグレーだが、金属の質感が出るような塗装になっている。キーボードには数字キーはなく、シフトキーを併用して入力する。その配列は、キーボードとは違って、携帯電話のように矩形に並べられている

 CeBIT Americaに出品されているTreo 600について、詳細なスペックがわかったのでレポートしたい。出荷時期は今年の9月以降とのこと。ただし、これはキャリアに対して提供を開始する時期ということで、実際の発売時期はキャリアによって異なるとのこと。

 物理的な大きさは、4.41×2.26×0.87インチ(112×57.4×22.1mm)で、重さはGSM版が5.9オンス(167.3g)、CDMA版が6.2オンス(175.8g)となっている。

 バッテリ寿命は、現時点では「携帯電話として6時間の通話が可能」という表現になるという。まあ、携帯電話としては普通か。液晶ディスプレイは160×160ドットで、STN方式を採用している。このところのトレンドからいうと、320×320ドットぐらいにはなって欲しいところ。

 内蔵されたデジタルカメラは、解像度がVGA(640×480ピクセル)だ。標準装備のソフトウェアで撮影する。なお、Treo 600の電話帳機能には、登録項目と画像を対応させる機能があり、電話がかかってくるとその人の顔写真などを表示することができるという。

 プロセッサはTIのもの(おそらくOMAP系と思われるが詳細は未公開)で、144MHzで動作している。

 メインメモリは32MB。このあたりは、Palm OS 5.2の機能を取り込んでいるようだ。

 ソフトウェアは、画面に並んだボタンを押すだけでダイアルする「スピードダイヤル」と、「Brazer」と呼ばれるWebブラウザ、メールソフト、静止画撮影ソフトなどが独自部分。なおメールソフトはPOP3をサポートしているが、キャリアなどによってほかの機能が追加される可能性もあるとのこと。

 Webブラウザ「Brazer」は、かつては同名の独立系ソフトハウスの製品だったが、Handspringが買収して同社のPDAやTreoシリーズの標準ブラウザとなった。今回は、JavaScriptとCSS(Cascading Style Sheet)に対応したバージョンになるとのことだ。

 キャリアとしては、米国のSprint(CDMA)、イギリスのOrange(GSM)などでの採用が決まっているようだ。なお、Handspringの社名は、Palmとの合併により消えることになるが、ブランドとしてTreoの名前は残るようである。

カメラで撮影した画像などを表示するアルバムソフト。解像度が160×160ドットなのでちょっと粗い感じがする 通話に関する機能を集約したスピードダイヤル。画面上のボタンにタッチするだけで発信できる。この状態でキーを押していくと電話帳からインクリメンタル検索が開始され、該当のものがない場合、今度は押されたキーをアルファベットではなく数値として解釈し電話番号の直接入力モードに移行する Palm OSのホーム画面。いわゆるラウンチャーとなるソフトウェア。会場にあったのは、まだプロトタイプで、一部のソフトを起動するとそのまま落ちてしまった

●米国ではモバギの新製品が

 展示会場には、NECの“モバギ”ことMobile Gear系のハンドヘルドマシン「MobliePro 900」が展示されていた。これは5月に米国で発表されたばかりの機種で、CPUには最新のXScaleプロセッサであるPXA255 400MHzが採用されている。スペック的には、日本国内で発売されているsigmarion IIIとよく似ている。しかしMobilePro 900は、筐体サイズが246.22×128.18×30.25mmで、大きなキーボードとPCカードスロット、モデムを内蔵しており、いわゆる昔のモバイルギアシリーズと同じになっている。

 よく見ると本体の上部の銘板には、モバギのマークによく似たMobileProのロゴまで入っている(モバイルギアはMとGをアレンジしたものだが、こちらはMとPをアレンジしたもののようである)。筆者もモノクロのMobile Gear IIを使っていたが、携帯機器にしてはキーボードが打ちやすく、メモ入力機として持ち歩いていたこともあった。できれば日本国内でも復活してほしいシリーズである。ただ、米国では、この機種、一般向けではなく業務用のシステム構築などに使われるようだ。

NECが米国で発表したMobilePro 900。PXA255を400MHzで動作させている。メモリは64MBで、別に64MBのフラッシュメモリを装備している

●腕PDAやPocket PC Phone Editionマシンも

 国内でも話題になっているUSBメモリ内蔵腕時計のメーカーであるXONIX(どうもここは、時計製造が本業らしい)からは、腕時計型のオーガナイザーが展示されていた。スケジュールや電話帳機能があり、専用アダプタを使ってシリアル経由でPCと接続。専用ソフトからデータを転送する。残念ながら、Outlookなどとのシンクロはできない(次期製品では対応予定とのこと)。

 CeBITでは、携帯電話のネットワーク会社の出展が目立つ。中でも一番目立つのは日本のNTTドコモだが、日本から来た筆者などにとっては何も見るべきものがない。逆に、米国の携帯電話ネットワークの会社の出展にはいろいろと興味を引かれるものがある。そのうちの1つであるSprintは、前述のようにTreo 600の採用を決めているが、Pocket PC Phone Editionを採用した携帯電話内蔵PDAもいくつか扱っている。

 その1つが日立の「G1000」。デジタルカメラやミニキーボードを内蔵した、かなり「豪華」な製品。CPUにIntel PXA255 400MHzを採用し、32MBのメモリを内蔵している。拡張用にSDカードスロットを装備しているが、SDIO対応ではないようだ。

XONIXのPDA Watch。512KBのメモリを内蔵し、アダプタを接続し、シリアルを介してPCにつなぐことができる。PC側では専用ソフトでデータを管理する Sprintが扱うPocketPC Phone Editionマシン「Hitachi G1000」。カメラやキーボードを装備する。液晶はQVGAで、携帯電話としてはちょっと大きめ

□CeBIT Americaのホームページ(英文)
http://www.cebit-america.com/
□関連記事
【6月18日】【塩田】Cebit America PDAレポート 前日編
Handspring Treo 600が登場
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0618/pda19.htm

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(2003年6月19日)

[Text by 塩田紳二]


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