エプソンダイレクトから登場したEDiCube Sシリーズは、Centrino搭載の2スピンドルノートであり、1,400×1,050ドット表示が可能な14.1型SXGA+液晶を採用しながら、17万円を切る価格を実現していることが魅力だ。 コストパフォーマンスが非常に高いため、発売以来、かなりの人気を集めているようだ。今回は、Windows XP Home Editionを搭載したEDiCube S150Hを試用する機会を得たので、早速レビューしていきたい。
エプソンダイレクトは、国内直販PCメーカーとしては比較的長い歴史を誇り、コストパフォーマンスの高いマシンを販売していることで定評がある。そのエプソンダイレクトから登場したCentrino搭載2スピンドルノートが、EDiCube Sシリーズである。 EDiCube Sシリーズには、搭載OSの違いによって全部で3モデルが用意されているが、ここではWindows XP Home Edition搭載のEDiCube S150Hをテストした(ハードウェアスペックは3モデルとも同じ)。 EDiCube Sシリーズのボディデザインは、すっきりとしたシンプルなものである。ボディカラーは、シルバーとダークブルーを基調にしているが、液晶パネルとキーボード部分の周囲はホワイトになっている。シチュエーションを選ばずに溶け込めるデザインとカラーであり、個人的には好感が持てる。 まずは、ハードウェアスペックから見ていこう。EDiCube Sシリーズでは、CPUとしてPentium M 1.40GHzを搭載し、標準で256MBのメモリを装備している(メモリ容量はBTOによって変更可能)。SO-DIMMスロットは2基用意されており、最大1GBまで増設が可能だ(ただし、ユーザーによる増設が認められているのは本体背面にあるSO-DIMMスロット1基のみ)。HDD容量は40GB(試用機では日立製DK23EA-40が採用されていた)で、このクラスのノートとしては標準的だ。 EDiCube Sシリーズの最大のウリが、1,400×1,050ドット表示(SXGA+)が可能な14.1型液晶を搭載していることだ。最近は、SXGA+液晶を搭載したノートPCも増えてきているが、従来主流だった1,024×768ドット液晶に比べると、一度に画面に表示できる情報量は約1.87倍に達するので、複数のウィンドウを同時に開いて作業を行なう場合などでも非常に快適だ。 液晶の明るさやコントラストも十分であり、表示品位についても不満はない。なお、チップセットとして、グラフィック統合型チップセットIntel 855GMを採用しているため、単体のビデオチップは搭載していない。単体ビデオチップに比べると3D描画性能は低く、ハードウェアT&Lやプログラマブルシェーダなどは搭載していないので、3Dゲームなどをプレイするには向いていないが、2D描画主体のアプリケーションを利用するには、十分な描画性能を持つ。 光学ドライブとしては、着脱式のDVD-ROM/CD-RWコンボドライブを搭載している。コンボドライブの代わりに付属のダミーモジュールを装着することで、約2.37kgから約2.2kgへと軽量化を図れるほか、オプションのセカンドHDDモジュール(40GBまたは60GB)の装着も可能だ。なお、FDDは付属していないが、オプションとしてUSB接続の外付けFDDが用意されている。 Centrinoモデルなので、IEEE 802.11b準拠の無線LAN機能を内蔵している。無線LANの動作状況を示すインジケータがキーボード左上に用意されているが、無線LAN機能をオンオフするためのハードウェアスイッチは特に用意されていない。
A4ノートなので、キーボードにも余裕がある。キーピッチは19mm、キーストロークは3mmで、デスクトップPCのキーボードとほぼ同じ感覚で利用できる。キータッチもしっかりしており、快適にタイピングが可能だ。中央部を押したときのたわみも少ない。配列も標準的だが、右側の一部のキーのキーピッチがやや狭くなっている。 ポインティングデバイスとしては、上下スクロールボタン付きのタッチパッドが採用されている。また、キーボードの右上部分には、4つのインスタントキー(インターネット、メール、Power Gear、タッチパッド)が用意されている。冷却用のファンを装備しているが、ファンの回転数は温度によって自動的に制御されるようになっており、通常の利用では騒音も気にならないレベルだ。 インターフェイス類も一通り揃っている。カードスロットは、PCカードスロット(Type2×1)のみだが、拡張ポートとしてUSB 2.0×4、IEEE 1394(4ピン)、外部ディスプレイ、パラレル、LAN、モデム、IrDA、マイク入力、ヘッドホン出力/光デジタルオーディオ出力を装備しているので十分である。特に、USB 2.0ポートを4基搭載していることは嬉しい。 バッテリは14.8V、4,400mAhの8セル仕様で、JEITAバッテリ動作時間測定法による公称駆動時間は約5.5時間であり、Centrino搭載ノートとしても比較的長い部類に属する。このクラスのノートでは、常に携帯して使うというより、部屋から部屋などへ移動して使うことが中心となるだろうが、バッテリ駆動時間が長ければ、ACアダプタを繋がずに他の部屋に持って行って使うことができるので、やはり駆動時間が長いことは評価できる。 プリインストールソフトは、DVD再生ソフトの「WinDVD 4」やCDライティングソフトの「B's Recorder GOLD5 PE/B's CLiP」、アンチウイルスソフトの「Norton AntiVirus 2003」、エプソンダイレクトオリジナルのDV編集ソフト「Symphomovie」くらいで、プリインストールソフトがてんこ盛りの大手メーカー製ノートに比べると少ないと思われるかもしれないが、使わないソフトがたくさんプリインストールされていても、HDDが無駄になるばかりなので、これくらいのほうがありがたい。「Symphomovie」は、知名度はそれほど高くないが、バージョンも5を数え、歴史のあるDV編集ソフトである。バッチキャプチャが行なえるなど、機能的にも充実しており、付加価値として評価できる。
参考のために、いくつかベンチマークテストを行なってみた。ベンチマークプログラムとしては、BAPCoのMobileMark2002、SYSmark2002、Futuremarkの3DMark2001 SE、id softwareのQuake III Arenaを利用した。 MobileMark2002は、バッテリ駆動時のパフォーマンスとバッテリ駆動時間を計測するベンチマークであり、SYSmark2002は、PCのトータルパフォーマンスを計測するベンチマークである。また、3DMark2001 SEやQuake III Arenaでは、3D描画性能を計測する。MobileMark2002については、電源プロパティの設定を「ポータブル/ラップトップ」にし、それ以外のベンチマークについては、AC駆動時(電源プロパティの設定は「常にオン」)にして計測した。 結果は下の表にまとめたとおりであり、Pentium M 1.40GHzマシンとしては良好なパフォーマンスである。MobileMark2002のBattery life ratingは297分で、約5時間もの長時間駆動を実現している。試しに、バッテリ駆動時にDVD-Videoを連続再生させたところ(液晶の輝度は中)、3時間15分の再生が可能であった(その時点でのバッテリ残量は15%であったが、バッテリ残量が減ったことをWinDVDが感知して自動的に再生を終了する)。統合チップセットなので、3D描画性能はそれほど高いわけではないが、3Dゲーム以外の一般的な用途では十分なパフォーマンスであろう。 【EDiCube S150Hベンチマーク結果】
EDiCube Sシリーズは、SXGA+表示が可能な14.1型液晶や無線LAN機能を搭載し、高い性能を備えたノートであるにもかかわらず、17万円を切る(EDiCube S150Hのオンライン特別価格は164,800円)という低価格を実現している。大手メーカー製のノートPCでは、ほぼ同じ仕様の製品が、25万円以上で販売されていることからも、本製品のコストパフォーマンスの高さが理解できるだろう。 全体的な作りもしっかりしており、初心者から中上級者まで、幅広い層にお勧めできる。筆者も本製品を試用してみて、製品としてのバランスのよさに満足したので、古くなった妻用のマシンをリプレイスするために購入した。 □関連記事 (2003年5月26日)
[Reported by 石井英男]
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