買い物山脈

C3 1GHzとコンパクトベアボーンで作る自宅サーバー


品名C3 1.0A GHz / AssistBook Leader-CN
購入価格6,170円 / 15,800円 (税別)
購入日1月31日 / 2月1日
使用期間約2カ月間

「買い物山脈」は、編集部員やライター氏などが実際に購入したもの、使ってみたものについて、語るコーナーです。


●アルミボディのコンパクトベアボーン「AssistBook Leader-CN」

 筆者は自宅にサーバーを立てているのだが、突然IISが起動しないという不具合が発生した。そのマシンはブック型のベアボーンにCeleron 333MHzを入れて使っていたのだが、パフォーマンスに不満を感じていたため、VIA C3 1.0A GHzを購入し、OSの再インストールとともにパワーアップを試みた。ところが、CPUがまったく認識されず、挙げ句の果て、CPUを戻しても起動しなくなるという事態に陥ってしまった。
C3 1.0A GHz。FSBは100MHz。いつの間にかC3には表面右上にロゴが貼られるようになっていた

 というわけでアシストコンピュータシステムズのベアボーン「AssitBook Leader-CM」(以下Book Leader)を購入した。購入にあたって考慮したのは、小さいこと、せっかく買ったC3 1A GHzが動くことの2点。ほとんど単一の目的(小規模Webサーバー)で使用するため、それ以外の点はさほど留意しなかった。購入価格は15,800円(税・送料別)。

 本製品の特徴の1つはそのサイズ。78×260×295mm(幅×奥行き×高さ)と非常にコンパクト。それまで使用していたベアボーンもスリムタイプだったが、それより一回り以上小さい。

 シャーシはアルミ製で、ブルーを基調としたデザインとなっている。多少フロントパネルのかみ合わせに“あそび”があり、よく見ると接合部分にずれがあるものの、同じ色合いのUSBキーボードとUSBマウスが付属しているなど、ぱっと見はメーカー製PCのような雰囲気を醸し出している。

 コンパクトさにこだわった分、FDD用のベイが省かれているが、最近のOSはほぼCD-ROMブートインストールができるし、Book LeaderはUSB FDD/USB ZIP/USB HDD/USB CD-ROMからもブートできるので、最悪それらをつなげばなんとかなる。

本体正面。プラスチックだが割と高級感のある仕上がり 本体背面。電源ユニットは独自タイプで、電源ケーブルは直づけ 本体左側面。丸い部分がロックで、コインで回して開けられる
本体右側面。「ASSIST」のロゴがエンボス加工されている。右下の部分がHDDケース。ゴムパッドが付いており、この面を下にして横置きにもできる 本体正面下部には、電源ボタン、マイク端子、ヘッドフォン端子、USB 1.1×1がある。LEDは電源、HDD、ネットワーク用の3つ 本体背面下部はD-Sub15ピンが出ている。
付属のキーボードとマウスは本体と同系色で統一されている。インターフェイスはUSB 1.1 キーボードにはマウス用のUSBポートが1つある(写真左)。キーボードからはUSB端子が2つ出ている(写真右)ので、Hubではなく、マウスのコネクタの延長用として利用する

 コンパクトさに寄与しているもう1つのポイントが独自形状のFlexATXマザーボード。「AS-8605D」という型番がプリントされたこのマザーボードは、サイズが一般的MicroATXの半分程度しかない。

 それでいて、ビデオ機能(チップセット内蔵)、IEEE 1394などに加え、Ethernetコントローラが2つ搭載されている。DIMMスロットは1つで、PCIなど拡張スロットがないため、拡張性は高くないが、Webサーバー、ファイルサーバー、ルータなどの目的で利用する分には、必要な機能が全て備わっている。

 チップセットはVIA ProSavage PM133。CPUソケットはFC-PGA2対応Socket 370、FSBは100/133MHz(マニュアルには66MHzにも対応と記載されている)、PC100/133 SDRAMに対応し、最大メモリ容量は512MBとなっている。なお、FDDは内蔵できないと書いたが、FDDポート自体はマザーボード上に存在している。試してはいないが、電源分岐ケーブルさえ買ってくれば、緊急時などにFDDを利用できる可能性はある。

 もう1つの大きな特徴が、CF/SDメモリーカード/MMC/スマートメディア用スロットを備える点だ。前面上部のカバーを開けるとカードスロットが現れる。USB接続なのでI/O系デバイスは利用できないが、デジカメユーザーなどは重宝するはずだ。なお、SDメモリーカードと、MMC、スマートメディアはスロットが兼用になっている。

 小さいながらも、5インチベイと3.5インチHDDベイが1つずつあるので、それまでのマシンで使っていたCD-ROMドライブとHDDを流用できるというのも、購入する上でのポイントとなった。

本体正面上部は上に開くようになっており、中にフラッシュメモリスロットがある ビデオ以外のインターフェイスは本体左側面下部に集まる。左からシリアル、IEEE 1394 (6ピン)、IEEE 1394 (4ピン)、USB 1.1×2、Ethernet×2、台座用の専用オーディオ出力兼電源端子 本体正面の下側のカバーを開けると5インチベイが現れる。ドライブは別売


●小型ながらも組み立ては容易

 組み立ては、この手の小型ベアボーンとしては容易な部類に入るだろう。本体両横のパネルはコインなどでロックを回すだけで外せる。左横のパネルを開けるとマザーボードが、右横を開けるとHDDベイが現れる。

 光学ドライブを固定するマウンタはネジを必要としない専用のもの。本体右横のパネルはそのままHDD用マウンタとなっており、HDDをネジで固定する。組み立てに使うネジはこの4本だけだ。

 HDDベイ部分はかなり狭いため、HDDを取り付ける(というより、押し込める)のに多少難儀するが、CPUソケットやDIMMスロット周りは広く空いているため作業しやすい。また、全てのパーツを取り付けても、熱源部分の周りは十分なスペースがあるので、廃熱はほとんど心配無用だろう。

 CD-ROMドライブは専用の留め具でケースに固定する。2つのL字形のパーツはねじの役割を果たしており、これらでCD-ROMドライブを覆って、3つ目の棒状のパーツで筐体の外枠に固定する。

 組み立てが終わったら、最後に台座に本体を取り付けるのだが、台座に内蔵されたスピーカ用に、本体と台座を電源ケーブルで接続する必要がある。ところが、台座には全く同じに見える電源コネクタが2つあるのだ。とりあえずヤマ勘で右側につないでみたら一応鳴ったのでそのまま使用しているが、どちらが本来のコネクタなのかマニュアルにも記載されていない。

本体左側面のカバーを開けたところ。右下の黒いのは電源用のブロワーで、その下に電源ユニットがある 光学ドライブ用のマウンタは手で簡単に外せる。この写真で分かるとおりマザーボードは本体底面積の半分しかない マウンタをCD-ROMドライブにつけたところ。ネジを使わずに固定できる
マザーボードの型番は「AS-8065D」と書かれている 本製品ではIDE 1系統しか使わない仕様となっているが、マザーボード上にはスレーブIDEとFDDのコネクタが実装されている。利用できるかは不明 本体左側面のカバーはHDD用マウンタとなっており、HDDをネジ止めして元に戻す
CPU、メモリ、ドライブなど全てのパーツを取り付けたところ。といっても、ぱっと見はつける前とほとんど変わらない 付属の縦置き用台座にはスピーカが内蔵されている。 スピーカの電源は本体から専用ケーブルで供給されるが、その端子がなぜか2個ある。果たしてどっちが本来の端子なのかは不明だが、とりあえず右につないだら動いた


●OSのインストールには注意が必要

C3 1GHzがなぜか225MHz(75×3.0)と認識される……

 組み立てが完了し、電源を起動すると第一の問題に直面した。C3 1.0A GHzを使っているのに、BIOSはC3 225MHz(75MHz×3)と認識するのだ。FSBも倍率も合っていない。それでも、動くには動くので、ひとまずこの問題の解決は先送りにしてOSをインストールすることにした。

 Windows XPの場合、このベアボーンで使用しているコンポーネントの全てのドライバを持っているので、インストールは非常にスムーズに終了する。が、インストールを終了し、非常に大きな問題に気がついた。

 ブートHDDがGドライブとして認識されているのである。どういうわけか、CF/SDメモリーカード/メモリースティックスロットがそれぞれCドライブ/Dドライブ/Eドライブになっており、CD-ROMドライブがFドライブになっているのだ。

 この問題についてネット上で情報収集してみたところ、これは本機でわりとよく発生している問題らしいことが分かった。ただ、その解決方法は記されていなかったので、筆者はメモリスロットを物理的に無効にしてOSを再インストールすることで解決した。

取り外したメモリスロット

 メモリスロットはUSB接続になっているのだが、BIOSでこれだけを無効にすることはできず、USBデバイスをまるごと無効にする必要がある。しかし、そうすると、キーボードとマウスがUSB専用の本機ではそれらまで使えなくなってしまう。

 メモリスロットだけを無効にするには、筐体からメモリスロットの部分を丸ごと取り外し、コネクタを外すという荒技を使うほかない。なお、このメモリスロット部はツメで筐体に固定されており、外すのは難しい。無理するとツメを折りかねないので、外す時は注意されたい。

 そして気になるCPUの認識だが、システムのプロパティではきちんと1GHzと認識されていることが分かった。CPUチェックソフトで調べても、周波数やL2キャッシュなどすべて正常に認識されているので、この問題はBIOSでの表示の問題だけのようだ。特にベンチマークを測定してはいないが、「C3 1.0A GHzならこれくらいかなぁ」というくらいのパフォーマンスは出ている。


●安定性は非常に良好

 さて、サーバーにとって最も重要な安定性だが、これは非常に良好だといえる。約2カ月の使用期間の中で再起動したのはWindows Updateを行なった後の数回程度で、それ以外、再起動も終了もせずに1日24時間フル稼働させている。アプリケーションはたいして入れていないので、素のOSに近い状態だが、一度もエラーやハングアップなどには遭遇していない。CPU誤認識の不安はどこ吹く風といった具合で、順調に稼働している。

 だが、問題がないわけではない。それは騒音だ。本機の電源ユニット上部には廃熱用のブロワーがついているのだが、この音がかなり大きい。ファンの回転数も高いようだが、風が本体上部に吹き出るというのも、手伝って結構気になるレベルの音がする。寝室には設置しない方がいいだろう(筆者は寝室に設置しているのだが……)。

 いくつかの問題に遭遇したものの、1万5千円台でこの機能はかなりお買い得と言える。本体内部の拡張性はかなり低いが、IEEE 1394やUSBである程度の拡張はできる。また、(個人的にはあまり考えたくないのだが)C3 1.0A GHzと同価格で高クロック/高パフォーマンスのFC-PGA2 Celeronにも対応しているので、内蔵ビデオを除けばそれなりに高性能なPCを組むこともできる。

 だが価格のことを考えると、このマシンの本命用途は、激安ファイルサーバーやルータマシンなどになるだろう。PC自作派の人なら余りCPUやメモリの1つや2つはその辺に転がっているだろうから、それらを活用すればこのベアボーンだけでマシンが組める。サブマシン購入を検討している人は、本機を選択肢の1つに入れてみてはいかがだろう。

□アシストコンピュータシステムズのホームページ
http://www.assistjp.biz/
□製品情報(AssistBook Leader-CN)
http://www.assistjp.biz/productInfo_bookreader.htm
□関連記事
【2002年5月18日】ケース側面にコネクタ類を配置したスタイリッシュな縦型自作PCキット発売(AKIBA)
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20020518/etc_assist.html

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(2003年3月31日)

[Text by wakasugi@impress.co.jp]


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