0.13μm化されたCeleron 2.0GHz登場
~バリューPC向けとして初の2GHz超え



 Intelは製造プロセスルールを0.13μmに微細化したNorthwoodコアを採用したCeleron 2.0GHzをまもなく発表する。L2キャッシュに関しては従来のCeleronと同じ128KBとなっているが、バリューPC向けCPUとしては初めて2GHzを超えたCPUとして大きな注目を集めている。

 本レポートでは、Intelの発表に先立って筆者が入手したCeleron 2.0GHzを利用し、そのパフォーマンスなどに迫っていきたい。

Celeron 2GHz、CステップのNorthwoodコアを採用しているが、L2キャッシュは128KBに制限されている



●CステップのNorthwoodコアを採用したCeleron 2.0GHz

 これまで、Celeronの最高クロックは、6月12日(現地時間、日本では6月13日)にリリースされたCeleron 1.80GHzだった。Celeron 1.80GHzは、製造プロセスルールが0.18μmのWillametteコアのL2キャッシュを半分の128KBに制限したものだった。今回のCeleron 2.0GHzでは、コアは製造プロセスルールが0.13μmのNorthwoodコアに変更された。NorthwoodコアはL2キャッシュが512KBだが、今回のCeleron 2.0GHzでも128KBのみが有効となっている。

 それ以外の点では従来のCeleronと同等だ。システムバスは400MHz(100MHzのQDR)、L1キャッシュは12K MicroOps(トレースキャッシュ)+8KB(データキャッシュ)などの仕様は、Celeron 1.80GHzないしは1.70GHzと同等となっている。

 なお、以下はWCPUID(H.Oda!氏作)で表示させたCeleron 2.0GHzの画面だが、CPUIDに関してはFamily15、Model2、Stepping ID7となっており、最新のPentium 4 2.80GHzなどと同じようにCステップのNorthwoodコアを採用していると考えることができる。このため、L1キャッシュのTLBエントリ数が32エントリと128エントリになっており、BステップのPentium 4や従来のCeleron 1.80GHzなどに比べて増えている。

CPUIDはFamily15、Model2、Stepping ID7となっており、Pentium 4のCステップと同じであることがわかる。L2キャッシュはなぜか0KBと表示されている キャッシュのTLBエントリ数が128エントリに増えている


●ベンチマークによってはPentium 4 1.80A GHzを上回るパフォーマンス

 それでは、ベンチマークプログラムを利用してCeleron 2.0GHzのパフォーマンスを計測していこう。Pentium 4 2.80GHzのレポートでも紹介したように、ベンチマーク、オフィス文書の生産性、コンテンツ作成、3D、Webの4つの分野それぞれについて調べていく(各ベンチマークの詳細は、リンク先を参照して頂きたい)。

 比較対象として用意したのはPentium 4 2.20GHz、2A GHz、1.80A GHz、1.60A GHz、Celeronの1.70GHz~1.30GHz、Athlon XP 2200+~2000+、Duronの1.3GHz~1GHzまでの各製品だ。環境は表1および表2の通りで、結果はグラフ1~8の通りだ。

【テスト環境1】
CPUPentium 4(DDR266)Celeron 1.7GHz以上Celeron 1.3GHz~1.2GHzAthlon XP 2200+~2100+、Duron
チップセットIntel 845GIntel 845GIntel 815EVIA Apollo KT333
マザーボードIntel D845GBVIntel D845GBVIntel D815EEA2GIGABYTE GA-7VRX
BIOSバージョンRG84510A.86A.0013.P06RG84510A.86A.0013.P06EA81520A.86A.0031.P17F6
チップセットドライバIntel 4.00.1013+Intel IAA V2.20Intel 4.00.1013+Intel IAA V2.20Intel 4.00.1013+Intel IAA V2.20VIA 4in1 V4.42
メモリDDR266DDR266PC133DDR333
メモリモジュールPC2100(2-2-2)PC2100(2-2-2)PC133(2-2-2)PC2700(2-3-3)
容量512MB
ビデオチップNVIDIA GeForce3
ビデオメモリ64MB DDR SDRAM
AGP Apature Size256MB
ビデオドライバNVIDIA Detonator XP V30.82
標準解像度1,024×768ドット/32bitカラー/85Hz
サウンドYMF-754R
EthernetIntel PRO/1000 MT Desktop Adapter
ハードディスクIBM IC35L040AVVN07-0(40GB)
フォーマットNTFS
OSWindows XP Professional

【テスト環境2:WebMark2001(クライアント)】
CPUPentium 4(DDR266)Celeron 1.7GHz以上Pentium 4(PC800)Athlon XP
チップセットIntel 845GIntel 850EIntel 850EVIA Apollo KT400
マザーボードIntel D845GBVIntel D850EMV2Intel D815EEA2GIGABYTE GA-7VRX
BIOSバージョンRG84510A.86A.0013.P06MV850.10A.86A.0038.P15EA81520A.86A.0031.P17F6
チップセットドライバIntel 4.00.1013+Intel IAA V2.20Intel 4.00.1013+Intel IAA V2.20Intel 4.00.1013+Intel IAA V2.20VIA 4in1 V4.42
メモリDDR266Direct RDRAM/800MHzPC133DDR333
メモリモジュールPC2100(2-2-2)PC800-40PC133(2-2-2)PC2700(2-3-3)
容量512MB
ビデオチップNVIDIA GeForce3
ビデオメモリ64MB DDR SDRAM
AGP Apature Size256MB
ビデオドライバNVIDIA Detonator XP V30.82
標準解像度1,024×768ドット/32bitカラー/85Hz
EthernetIntel PRO/100+マネージメントアダプタ
ハードディスクIBM IC35L040AVVN07-0(40GB)
フォーマットNTFS
OSWindows 2000(ServicePack2)

■ベンチマークテスト結果

【グラフ1】SYSmark2002/Office Productivity

 グラフ1はオフィス文書の生産性を指し示すSYSmark2002のOffice Productivity。ここでは、Celeron 1.80GHzは上回ったものの、Pentium 4に対しては1.60A GHzに対しても下回った。この傾向は同じSYSmark2002でコンテンツ作成時のパフォーマンスを指し示すInternet Contents Creation(グラフ2)でも同様で、Celeron 2GHzはPentium 4 1.60A GHzを下回った。


【グラフ2】SYSmark2002/Internet Content Creation


【グラフ3】TMPGEncフレームレート

 クロックがパフォーマンスに及ぼす影響が大きいTMPGEnc(グラフ3)では、Pentium 4 1.60A GHzはおろか、Pentium 4 1.80A GHzも上回った。


【グラフ4】3DMark2001 Second Edition/640×480ドット/32bitカラー(DXTC有効)

 3D環境では、ゲーム環境(グラフ4=3DMark2001 SE、グラフ5=Quake III Arena)でみると、Pentium 4 1.60A GHzを下回っているが、逆にOpenGLのプロフェッショナルユースアプリケーションにおける処理能力を計測するViewperf 7では、Celeron 2.0GHzはPentium 4 1.80A GHzを上回った。これはおそらく、L1キャッシュ周りの改良がきいている可能性が高い。というのも、前モデルである1.80GHzと1.70GHzではほとんど差がないのに、Celeron 2.0GHzだけ大幅に上がっているからだ。


【グラフ5】Quake III Arena/640×480ドット/32bitカラー


【グラフ6】Viewperf 7/DesignReview (drv-08)



【グラフ7】Viewperf 7/Data Explorer (dx-07)



【グラフ8】WebMark2001/B2C

 Webアプリケーションを利用する場合、特にEコマースサイトなどに接続した時のパフォーマンスを計測するWebMark2001のB2Cでは、Celeron 2GHzはPentium 4 1.60A GHzを下回った。




●将来のPentium 4への移行を見据えた選択が可能なCeleron 2.0GHz

 こうした結果から、アプリケーションによってはPentium 4 1.80A GHzを上回ることもあるものの、総合的にはPentium 4 1.60A GHzよりも、やや性能が劣るというのが、Celeron 2.0GHzの持つ処理能力だと言っていいだろう。

 原稿執筆時点では正式な発表がされていないため正式な価格は不明だが、OEMメーカー筋の情報によれば、100ドル強という価格が提示されている模様で、日本円で1万3千円前後という価格になる可能性が高いだろう。だとすれば、現在のPentium 4で最安値となるPentium 4 1.60A GHzの1万円台後半に比べると若干安価となる可能性が高く、そうした意味ではコストパフォーマンスの高いCPUであるということができるだろう。

 mPGA478ソケットに移行したあとのCeleronの強みは、なんといっても将来的にPentium 4にリプレース可能なことだろう。従って、現在は予算的にPentium 4にすることが難しい場合でも、将来的に高クロックのPentium 4が安価になったときに購入すれば、追加投資がなくアップグレードできる(そのためには、システムバス533MHzに設定可能なマザーボードを選んでおく必要があるが)。そうした将来のステップアップをねらうユーザーにとっては非常にねらい目の製品といえるだろう。

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(2002年9月19日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]


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