7種類のメディアに対応したDVDマルチドライブ「DVR-ABH2」登場!
~書き換え型DVDドライブの本命となるか?



アイ・オー・データ機器
「DVR-ABH2」

 アイ・オー・データ機器から登場した「DVR-ABH2」は、1台で7種類のメディアに対応したDVDマルチドライブである。従来のドライブ数台分の役割を1台で実現しているだけでなく、実売価格が35,000円前後と手頃なこともあり、あっという間に売り切れる店が続出している。

 書き換え型DVDの本命として期待の本製品を入手したので、早速レビューしていきたい。



●DVD-RAM/R/RW/ROMとCD-R/RW/ROMの合計7種類のメディアに対応

 DVR-ABH2は、ドライブとして日立LGデータストレージ製の「GMA-4020B」を採用している。GMA-4020BはOEM向け製品で、NECのデスクトップPC「VALUESTAR G」でも採用されていたが、ドライブが単体で発売されるのはDVR-ABH2が初めてとなる。GMA-4020Bは、DVDフォーラムが規定した書き換え型DVD規格であるDVD-RAM、DVD-R、DVD-RWの全てに対応しているだけでなく、CD-R、CD-RW、CD-ROM、DVD-ROMにも対応していることが最大のウリだ。

 DVDフォーラムが規定した全てのDVD規格に対応するドライブは、DVDマルチドライブ(Writable)と呼ばれているが、まさに「マルチ」の名に恥じない万能ドライブであり、DVDフォーラムの集大成ともいえる製品だ。

 DVR-ABH2の書き込み速度は、DVD-RAMが2倍速、DVD-Rが2倍速、DVD-RWが1倍速、CD-Rが12倍速、CD-RWが8倍速で、最大読み出し速度は、DVD-RAMが2倍速、DVD-R/RWが8倍速、DVD-ROMが10倍速(ただし、2層のDVD-Videoは8倍速)、CD-ROM/Rが32倍速(CD-DAのリッピングは16倍速)、CD-RWが24倍速となっている。CD-RやCD-RWの書き込み速度は、最新のCD-RWドライブに比べれば見劣りするが、実用上は12倍速でもそれほど不満はないレベルだ。

 DVR-ABH2は、ATAPI対応の内蔵型ドライブなので、導入は非常に簡単だ。マザーボードなどのIDEインタフェイスに接続するだけで、ハードウェアの準備は完了する。前述したように、CD-RWドライブとしても利用できるので、5インチベイが1つしかないキューブケースやスリムケースで使うにも最適だ。また、通常のCD-RWドライブなどに比べて、奥行きが短めになっていることも特徴だ。

 DVR-ABH2では前述したように、DVD-RAM、DVD-R、DVD-RW、CD-R、CD-RW、CD-ROM、DVD-ROMの合計7種類のメディアに対応しているが、DVD-RAMメディアに関しては注意が必要だ。

 DVD-RAMメディアには、カートリッジに入ったタイプがあるが、DVR-ABH2では、カートリッジタイプのメディアを利用することはできない。カートリッジから中身を取り出せるタイプのメディア(Type2)を利用するか、最初からカートリッジなしで売られているDVD-RAMメディアを利用することになる(カートリッジから中身を取り出すことができないType1のメディアは利用不可)。また、片面あたりの容量が2.6GBの第1世代のDVD-RAMメディアについては、読み出しのみサポートとなっており、書き込むことができないので気をつけたい。

 DVD-Rも、容量が3.95GBのfor Authoringメディアは、読み出しのみサポートとなっている。基本的には、現在、最も普及している片面容量が4.7GBのメディアのみサポートと考えればよいだろう。

DVR-ABH2の上面。右のCD-RWドライブ(松下寿電子工業製CW-7586)に比べて、奥行きが短い トレイを引き出したところ。トレイの色はベゼルと同じく、アイボリーである

DVR-ABH2の前面。左側に「DVD MULTI RECORDER」のロゴが、右側に「Compact Disc ReWritable High Speed」のロゴが描かれている DVR-ABH2で利用可能な書き換え型DVDメディア。左から、DVD-RAM、DVD-R、DVD-RW。カートリッジから中身を取り出すことができないType1のDVD-RAMメディアは利用できない


●添付アプリケーションも充実

 書き換え型DVDドライブを利用してメディアに書き込むには、CD-RWドライブなどと同様に、ライティングソフトが必要になる(DVD-RAMメディアは、MOなどのリムーバブルメディアと同様に扱えるので、特にソフトを必要としない)。したがって、ドライブ自体のスペックだけでなく、どのようなアプリケーションが付属しているのかということも、重要なポイントとなる。

 DVR-ABH2は、添付アプリケーションが充実していることも魅力だ。DVR-ABH2には、「DVD Proツールズコレクション」と「UleadソフトウェアCD」と呼ばれる2枚のCD-ROMが添付されている。前者には、DVD/CDライティングソフト「B's Recorder GOLD5 BASIC」(BHA製)とDVD/CDパケットライティングソフト「B's CLiP5」(BHA製)、DVD-RAM再生編集ソフト「DVD-MovieAlbum SE」(松下電器産業製)、DVDプレーヤーソフト「Power DVD XP」(サイバーリンク製)が収録されており、後者には、ビデオ編集ソフト「Ulead VideoStudio 6 SE」とDVDビデオオーサリング・ライティングソフト「Ulead DVD MovieWriter 1.5 SE」、フォトレタッチソフト「Ulead PhotoImpact 7 SE」、3Dタイトル作成ソフト「Ulead COOL 3D 3.0 SE」 (全てユーリードシステムズ製)が収録されている。

 添付CD-ROMに収録されていたB's Recorder GOLD5 BASICのバージョンはVer 5.10で、執筆時現在BHAのサイトで公開されている最新アップデータ(Ver 5.08)よりも、新しいバージョンとなっている。また、B's CLiP5のバージョンはVer 5.10であった(こちらは、BHAのサイトでB's CLiP5のVer 5.11へのアップデータが公開されている)。

 なお、DVR-ABH2のパッケージに含まれているのは、ドライブ本体と2枚のCD-ROM、オーディオケーブル、固定用ネジ4本と、簡単なセットアップガイドのみで、記録用のブランクメディアは付属していない。また、アプリケーションのマニュアルは、オンラインマニュアルとして提供されている。


●書き換え型DVDメディアの使い分けのポイント

・DVD-RAM
~データバックアップ用途には最適

 DVD-RAMは、フロッピーディスクやMOのようにリムーバブルメディア感覚で利用できることが特徴である。DVD-RやDVD-RWに書き込む場合と違い、ライティングソフトを利用せずに、エクスプローラなどでファイルをドラッグ&ドロップするだけで、DVD-RAMメディアに書き込むことができる。

 また、書き換え可能回数が約10万回と多いことも特徴だ。書き換え回数を気にせずに、ファイルの消去や追加が自由に行なえるので、作業中のデータをバックアップするといった用途には最適である。また、メディアの欠陥に対する代替処理もドライブ側で行なえるようになっているため、データの信頼性も高い。

 その代わり、DVD-RAMは、他の書き換え型DVDやDVD-ROMと違ってランドグルーブ方式を採用しているため、再生互換性が低く、DVD-RAM読み込みに対応したDVD-ROMドライブでないと読み出すことはできない。また、民生用のDVDプレーヤーも大部分がDVD-RAMに対応していないので、自分で編集したビデオ作品などをDVD-Videoとして配布する用途には向いていない。

 Windows XPでは、標準でDVD-RAMへの書き込み機能がサポートされているのだが、DVR-ABH2では、Windows XP標準のDVD-RAM書き込み機能を利用することはできず(DVD-RAMドライブとして認識はされるが、書き込もうとするとエラーになる)、DVD-RAMメディアに書き込むには、付属の「DVD-RAMドライバー」を組み込む必要がある。

 また、Windows XP標準のCD-R/RWメディアへの書き込み機能が有効になっていると、DVD-RAMメディアへ書き込むことはできない。「DVD-RAMドライバー」の導入後は、Windows XP標準のCD-R/RWメディアへの書き込み機能が有効になっていると、警告ダイアログが表示される。DVD-RAMドライバー導入後、DVD-RAMメディアをドライブに入れ、右クリックでフォーマットを選ぶと、フォーマットユーティリティが起動し、DVD-RAMメディアのフォーマットを行なうことができる。対応フォーマットは、FAT32、UDF1.5、UDF2.0の3種類である。物理フォーマットには約1時間10分(FAT32の場合)かかるが、通常は物理フォーマットではなく、短時間で終了する論理フォーマットのみを行なえばよい。FAT32の論理フォーマットなら、22秒程度で終了する。

 FAT32でフォーマットしたDVD-RAMメディアに、エクスプローラを使ってHDDから合計4.17GBのファイル(フォルダ数1,299、ファイル数15,350)をコピーするのにかかった時間は、約4時間34分である。同様に、701MBのファイルを6つ(合計4.10GB)コピーするのにかかった時間は、約1時間7分である。DVD-RAMメディアへの書き込み速度は、スペック上は2倍速だが、PCで利用する場合、デフォルトでベリファイ機能が有効になっているため、2倍速といっても実際の書き込み速度は1倍速相当になる。DVD-RAMでは、小さいファイルを数多く書き込む場合、実効速度はかなり低下するようだ。

Windows XP標準のCD-R/RWメディアへの書き込み機能が有効になっていると、DVD-RAMメディアへの書き込みができない ドライブにメディアが入っていない状態では、マイコンピュータで「DVD-RAMドライブ」として認識されている

DVD-RAMメディアをドライブに挿入すると、ドライブの表記は「CDドライブ」になるが、アイコンの形が変わって「DVD-RAM」と表示される 付属のDVD-RAMドライバーを組み込むと、DVD-RAMフォーマットユーティリティも組み込まれる。UDF1.5、UDF2.0、FAT32の3種類のフォーマットに対応

・DVD-R
~ほとんどのDVD-ROMドライブで読み出せる再生互換性の高さが特徴

 DVD-Rは、CD-Rと同様にライトワンス(1回しか書き込めず、書き換えは不可)タイプのメディアだが、反射率が再生専用DVDと同等であるため、再生互換性が非常に高いことが利点である。ほぼ全てのPC用DVD-ROMドライブや民生用DVDプレーヤーで再生できると思ってよい。また、DVR-ABH2では、DVD-Rメディアへの2倍速書き込みが可能なので、短時間でデータを書き込めることも利点だ。

 DVD-Rメディアへの書き込みは、DVD/CDライティングソフトが必要となる。基本的には、添付されているDVD/CDライティングソフト「B's Recorder GOLD5 BASIC」を使うことになるだろう。B's Recorder GOLD5 BASICを用いて、DVD-RAMの場合と同様に合計4.17GBのファイル(フォルダ数1,299、ファイル数15,350)をDVD-Rメディアに書き込むのにかかった時間を計測したところ、約30分(オンザフライ方式で書き込み、ベリファイやコンペアは行なわない場合)であった。また、701MBのファイルを6つ(合計4.10GB)書き込むのにかかった時間は、約28分30秒であり、DVD-RAMメディアへ書き込む場合の半分以下の時間で終了している。

DVD-Rメディアをドライブに挿入すると、アイコンが「DVD-R」に変わる 付属のDVD/CDライティングソフト「B's Recorder GOLD5 BASIC」を使って、DVD-Rへ書き込みを行なう

B's Recorder GOLD5 BASICの環境設定プロパティの画面。2種類の読み込みメディアと5種類の書き込みメディアをサポートしていることがわかる DVD-Rメディアに対しては、2倍速書き込みが可能

・DVD-RW
~速度はDVD-Rの半分だが、書き換え可能なことが魅力

 DVD-RWは、DVD-Rに比べると反射率は低いが、再生専用DVDの2層目の反射率と同等の反射率を実現しているので再生互換性はかなり高い。PC用DVD-ROMドライブや民生用DVDプレーヤーの大部分で、DVD-RWメディアの読み出しが可能だが、一部の古いドライブでは読み出せない場合もある。書き換え可能回数は約1,000回である。

 DVD-RWメディアの書き込みにも、DVD-Rメディアと同様に、DVD/CDライティングソフトが必要だ。B's Recorder GOLD5 BASICを用いて、DVD-RAMやDVD-Rの場合と同様に合計4.17GBのファイル(フォルダ数1,299、ファイル数15,350)をDVD-RWメディアに書き込むのにかかった時間を計測したところ、約58分(オンザフライ方式で書き込み、ベリファイやコンペアは行なわない場合)であった。同様に701MBのファイルを6つ(合計4.10GB)コピーするのにかかった時間は、約56分16秒であった。DVD-Rメディアに書き込む場合と比べると、約2倍の時間がかかっている。

 なお、添付のパケットライティングソフト「B's CLiP5」を使えば、DVD-RWメディアをMOなどのようにリムーバブルメディア感覚で利用できるようになるが、パケットライティングによって記録されたメディアは、B's CLiP5あるいは専用リーダーがインストールされていないマシンでは読み出すことができない。

 以上、3種類の書き換え型DVDメディアについて、同じファイルを書き込むのにかかった時間と他のドライブでの読み出し再生互換性テストの結果を下の表にまとめた。予想通り、DVD-RメディアやDVD-RWメディアの再生互換性は高いが、DVD-RAMメディアを読み出せるドライブは少ないことがわかる。なお、Mebius PC-MV1-C1Wに内蔵されている九州松下電器製のDVD-ROM/CD-RWコンボドライブは、DVD-RAM読みだしをサポートしている数少ないドライブの一つである。

【ファイルの書き込みにかかった時間】
書き込み速度合計4.17GBのファイル
フォルダ数1,299、ファイル数15,350)
合計4.1GBのファイル
(ファイル数6)
DVD-RAM2倍速(ベリファイ有効)4時間34分1時間7分
DVD-R2倍速30分28分30秒
DVD-RW1倍速58分56分16秒


【データを記録した書き換え型DVDメディアの読み出し互換性】
DVR-ABH2
(DVDマルチドライブ)
九州松下電器 UJDA720
(Mebius PC-MV1-C1W内蔵コンボドライブ)
リコー RW9120
(コンボドライブ)
東芝 SD-C2302
(ThinkPad i1400内蔵DVD-ROMドライブ)
DVD-RAM××
DVD-R
DVD-RW


【テスト環境】
CPUPentium 4 2.4B GHz
マザーボードGIGABYTE GA-8IEX(Intel 845E)
メモリPC2100 DDR SDRAM 512MB
ビデオカードGeForce3搭載ビデオカード
ハードディスクQuantum Fireball lct 20(30GB)
OSWindows XP Professional


●オリジナルDVD-Videoの作成も簡単にできる

 DVR-ABH2には、DVD-Video作成用のアプリケーションが付属しているため、オリジナルDVD-Videoを作ることも簡単だ。また、古いVHSテープなどに記録されている映像をそれ以上劣化させないように、デジタルで保存しておくといった利用法も考えられる。DVR-ABH2は、DVD-RAMとDVD-R/RWの3種類の書き換え型DVDメディアに対応しているので、用途に応じて使い分けることができる。

・DVD-MovieAlbum SEを使ってDVD-RAMメディアに映像を記録する

 DVD-RAMメディアに映像を記録するには、付属のDVD-RAM再生編集ソフト「DVD-MovieAlbum SE」を利用する。DVD-MovieAlbum SEは、UDF 2.0形式でフォーマットされたDVD-RAMメディアにVR形式(Video Recording Format)で動画を書き込んだり、その動画を再生するためのソフトである。DVD-MovieAlbum SEの起動時に、ドライブにDVD-RAMメディアが入っているか確認されるので、あらかじめUDF 2.0形式でフォーマットしたDVD-RAMメディアをドライブに挿入してからソフトを起動すればよい。

 DVD-MovieAlbum SEでは、大きく分けて2種類の方法で、映像をDVD-RAMメディアに書き込むことができる。1つは、IEEE 1394経由でDVカメラから取り込んだDVフォーマット形式のAVIファイルを内蔵のMPEG-2ソフトウェア圧縮エンジンでMPEG-2形式に変換して、DVD-RAMメディアに記録する方法である。もう1つは、MPEG-2キャプチャボードを利用してHDDに取り込んだMPEG-2形式のファイルを、VR形式に変換してDVD-RAMメディアに記録する方法だ。ただし後者は、MPEG-2形式のファイルならなんでもいいというわけではなく、VR形式でDVD-RAMメディアに書き込むためのインポート情報用ファイル(拡張子MTV)が必要になる。ここでは、前者の方法でDVD-Videoを作成することにした。

DVD-MovieAlbum SEの再生編集画面。複数のプログラムを一つに結合したり、逆にプログラムを分割することなどが可能

 ちなみに、DVD-MovieAlbum SEでは、松下電器産業のDVD-RAM/Rドライブ「LF-D321JD」などに付属しているDVD-MovieAlbumとは違って、MPEG-2ハードウェアキャプチャボードを利用したDVD-RAMメディアへのリアルタイムエンコード機能はサポートしていない。

 DVD-MoVieAlbum SEには、タイトルメニューをデザインしたり、テロップを入れるといったオーサリング機能は用意されていないが、プログラム(一続きの映像)の結合や分割、マーカーの挿入などを行なうことが可能だ。

 今回のテスト環境の場合、9分37秒のDVフォーマット形式のAVIファイルを読み込んでMPEG-2形式に変換して、DVD-RAMメディアにVR形式で書き込むのにかかった時間は約13分55秒であった。より高速なPCを使えば、さらに短い時間で変換・書き込みができるだろうが、実時間の1.4倍程度で書き込みまで完了するのなら、速度的にもそれほど不満はない。

 DVD-MovieAlbum SEを使って、DVD-RAMメディアにVR形式で記録した映像は、DVD-RAMとVR形式に対応した民生用DVDレコーダー/DVDプレーヤーで再生できるほか(ただし、DVD-RAMとVR形式に対応した民生用DVDプレーヤーは数少ない)、DVD-RAM読み込み対応ドライブとVR形式に対応したDVDプレーヤーソフトが導入されているPCでの再生も可能である。VR形式対応DVDプレーヤーソフトとしては、DVR-ABH2にも添付されている「Power DVD XP」や「WinDVD」などがある。

 他人に配布するなら、再生互換性の高いDVD-RメディアにDVD-Video形式で記録するのがベストだが、古いアナログソースを劣化させずに保存しておきたいというのなら、DVD-RAMメディアにVR形式で記録するほうが、はるかに短い時間で作成できる。

・VideoStudioとDVD MovieWriterを使って、DVD-Videoを作成する

 DVD-RAMメディアにVR形式で記録する方法は、ビデオデッキ代わりに利用するには便利だが、再生互換性が低いため、他人に配布するには向いていない。結婚式や運動会のビデオを配布する場合には、DVD-RメディアでDVD-Video形式で記録するのがお勧めだ。

 DVD MovieWriter 1.5 SEは、映像ソースからのキャプチャやトリミング機能も装備しているので、DVD MovieWriter 1.5 SEだけでDVD-Videoを作成することもできる。ただし、テロップやトランジションなどの本格的な編集機能は装備していないので、凝った編集を行ないたいなら、VideoStudio 6 SEを使って映像の編集を行ない、MPEG-2ファイルとして書き出してから、それをDVD MovieWriter 1.5 SEでオーサリングして、DVD-Videoを作成するという手順になる。DVD MovieWriter 1.5 SEは、DVD-Videoのチャプターの登録やメニューの作成などが可能なオーサリングツールで、初心者にも使いやすい。

 VideoStudio 6 SEで、9分37秒間のDVフォーマット形式の映像を、DVD-Video作成用のMPEG-2ファイルに変換して保存するには、約27分55秒かかった。そのMPEG-2ファイルをDVD MovieWriter 1.5 SEでオーサリングして、DVD-RWメディアにDVD-Video形式で出力するのにかかった時間は、約26分3秒だった。また、同様にDVD-RメディアにDVD-Video形式で出力するのにかかった時間は、約19分10秒である。

 なお、この時間にはMPEG-2ファイルをDVD-Video形式に変換する処理にかかる時間やディスクイメージ作成にかかる時間も含まれているため、続けて2枚目以降を書き込む場合は、より短い時間で出力が可能だ(DVD-RWメディアで約14分56秒、DVD-Rメディアで約7分49秒)。

 また、DVD-R/RWメディアにDVD-Video形式で書き込む場合、DVDプレーヤーなどでの再生互換性を高めるために、1GB以下のデータを書き込む際は、1GBまでダミーデータを加えて書き込むことになっている。今回のデータサイズは595MBだが、実際には1GB分のデータが書き込まれていることにも注意してほしい。

 DVD-RWメディアは約1,000回の書き換えが可能なので、最初からDVD-Rメディアに出力するのではなく、まずDVD-RWメディアを使って、DVDプレーヤーなどで実際に再生テストをしてから、DVD-Rメディアに出力するようにすれば、DVD-Rメディアを無駄にしてしまうこともなくなる。

VideoStudio 6 SEを使えば、映像にタイトルなどのテロップを挿入したり、トランジションなどの特殊効果を加えることができる DVD MovieWriter 1.5 SEを起動して、VideoStudio 6 SEで出力したMPEG-2ファイルの読み込みを行なう チャプターを指定して、メニューを作成する。さまざまなメニューのテンプレートが用意されており、背景やBGMの選択も可能

プレビューウィンドウでプレビューして、正しくオーサリングできているか確認する。右側のリモコンで、DVDプレーヤーの操作をシミュレートできる オーサリングした映像をDVD-RメディアまたはDVD-RWメディアに出力すれば、DVD-Videoが完成する

 松下電器産業の民生用DVDプレーヤー「DVD-XP30」で、映像を記録した書き換え型DVDメディアの再生互換性を検証してみたところ、VR形式で記録したDVD-RAMメディアの再生はできなかったが、DVD-Video形式で記録したDVD-RメディアとDVD-RWメディアについては、正しく再生できることを確認した。

【DVD-Video形式での書き込みにかかった時間(9分27秒の映像)】
書き込み速度1枚目2枚目以降
DVD-R2倍速19分10秒7分45秒
DVD-RW1倍速26分3秒14分56秒


【映像を記録した書き換え型DVDメディアの再生互換性】
DVR-ABH2
(DVDマルチドライブ)
九州松下電器 UJDA720
(Mebius PC-MV1-C1W内蔵コンボドライブ)
リコー RW9120
(コンボドライブ)
松下電器 DVD-XP30
(DVDプレーヤー)
DVDプレーヤーソフトPowerDVD XPWinDVDPowerDVD XP-
DVD-RAM
(VR形式)
××
DVD-R
(DVD-Video形式)
DVD-RW
(DVD-Video形式)



●これだけの機能で実売35,000円はお買い得

ソニー「DRU-500A」

 DVR-ABH2は、1台で数台分の役割を果たすだけでなく、添付アプリケーションも充実しているので、コストパフォーマンスは非常に高い。DVD-RAM、DVD-R、DVD-RWの各メディアにはそれぞれ利点と欠点があるが、その全てに対応しているDVR-ABH2なら、用途に応じてメディアを使い分けることができるのでとても便利だ。書き換え型DVDドライブの本命的な製品であり、現在書き換え型DVDドライブの購入を検討しているのなら、有力な選択肢となる。

 しかし、現時点では最強ともいえるDVR-ABH2(GMA-4020B)だが、その天下も長くは続きそうにない。ソニーのDVD-R/RW/+R/+RW対応マルチドライブ「DRU-500A」が10月中旬にも登場するからだ。DRU-500Aは、DVD-RAMメディアには対応しないものの、DVDフォーラムが規定したDVD-R、DVD-RWだけでなく、DVD+RWアライアンスが規定したDVD+R、DVD+RWの各メディアをサポートしていることが特徴である。DVD-ROMやCD-ROM、CD-R、CD-RWもサポートしているので、対応メディアは合計8種類にもなる。

 DRU-500Aは、ドライブ性能も高く、書き込み速度はDVD-Rが4倍速、DVD-RWが2倍速、DVD+Rが2.4倍速、DVD+RWが2.4倍速、CD-Rが24倍速、CD-RWが10倍速となる。つまり、対応メディアの種類、書き込み速度とともに、DRU-500AがDVR-ABH2を上回っているのだ。特に、DVD-Rへの4倍速書き込みをサポートしていることが注目される。

 実売価格が5万円前後と発表されているため、絶対的な価格はDVR-ABH2のほうが安いが、コストパフォーマンス的には、DRU-500Aも決して悪くはない。書き込み性能を重視するのなら、DRU-500Aに軍配が上がる。ただし、DVD-RAM対応の民生用DVDレコーダなどを所有していて、DVD-RAMメディア対応にこだわるのなら、DVR-ABH2が候補となる。どちらにせよ、これらの魅力的な製品が登場したことによって、書き換え型DVDドライブの普及がさらに進むことは間違いない。

【DVR-ABH2(GMA-4020B)とDRU-500Aの機能・性能比較】
DVR-ABH2(GMA-4020B)DRU-500A
対応の有無書き込み速度対応の有無書き込み速度
DVD-RAM2倍速×-
DVD-R2倍速4倍速
DVD-RW1倍速2倍速
DVD+R×-2.4倍速
DVD+RW×-2.4倍速
DVD-ROM--
CD-ROM--
CD-R12倍速24倍速
CD-RW8倍速10倍速


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【9月10日】ソニー、DVD-R/-RW/+R/+RW読み書き対応のDVDドライブ
~DVD-R 4倍速の高速書き込みに対応
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0910/sony.htm
【8月26日】アイ・オー、ATAPI内蔵型のDVDマルチドライブ
~DVD-R 2倍速書き込みに対応し、38,500円
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0826/iodata.htm

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(2002年9月18日)

[Reported by 石井英男@ユービック・コンピューティング]


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