一ヶ谷兼乃の

最近購入した携帯グッズの数々 (その2)
~東芝「GENIO e550G」購入記


 筆者は、気軽に持ち歩ける携帯グッズなどを購入することが多い。たとえば、携帯電話を最新機種に変更したり、常用しているPDAを変えたり、などだ。今回は最近購入した東芝のPDA「GENIO e550G」を紹介しよう。



■400MHzのCPU「Intel PXA250」に惹かれて購入したGENIO e550G

東芝「GENIO e550G」。購入価格は67,800円

 筆者は最近までカシオのラジェンダを主なPDAとして使ってきた。結果的には乗り換えてしまったが、いまでも良くできたPDAだと評価している。ラジェンダから乗り換えたPDAは、東芝の「GENIO e550G」だ。

 ラジェンダを使っていても大きな不満点はなかったのだが、あえて不満点を挙げるとすると、屋外では見辛い画面と、多少動作が緩慢に感じられることだった。しかし、これらが原因で買い替えを思い立ったわけではない。今ではほとんど使うことはなくなったが、iPAQも所有しているため、Pocket PCに切り替えたいというわけでもなかった。

 では、何が原因かというと、GENIO e550Gに搭載されたCPUに惹かれたからである。

 GENIO e550GのCPUは「Intel PXA250」で、最高400MHz動作するものである。手のひらに乗るPDAの中に400MHzものクロックで動作するCPUが入ってると思うと、何やらワクワクしてしまう。もし、このCPUを搭載したPDAが、GENIOより先に他社から出ていたら、そちらを選択していたかもしれない。

 店頭で予約すると、もれなくサッカーゲームが貰えるというキャンペーンを実施していたこともあって、早速予約を入れてみた。

 GENIO e550Gを予約してから、ラジェンダやiPAQと比べ、どのような点が改善されるのか考えてみた。まず思いつくのは、小型であることだ。CF TYPE2スロットとSDカードスロットを双方備えながらも、約16mmと、薄い点には非常に魅力を感じた。

 片方のスロットにストレージとなるメモリカードを常時入れておき、もう1つのスロットで無線LANやBluetoothといった通信系のデバイスが利用できるにもかかわらず、薄い本体というのは、携帯性を重視するPDAとして非常に魅力を感じる。

 次に、なんとなく画面が大きく感じられることだ。実際には4.0型のポリシリコンTFT液晶なのだが、本体の大きさや画面の枠の細さによって、仕様以上の印象を受ける。

 ほかにも、400MHz動作のCPUは爆速で、極めて快適な操作性が得られるかもしれない、などと、手にするまで色々なことを予想していた。



■256MBのSDメモリカードも購入。アプリのインストールは予想外に時間がかかる

 発売日当日の6月6日に早速受け取りにいくと、レジではGENIO e550Gを購入する人々が列をなしており、筆者が会計を済ませる間だけでも5、6台は売れていた。

 本体の購入価格は67,800円。当日売り出されたのは本体のみで、アクセサリー類は後日発売ということだった。

 次に購入したのは、ストレージ用のメモリカードだ。GENIO e550G本体にはCFスロットとSDカードスロットがあるが、筆者は既に所有してるCFカードタイプの無線LANカードを利用するつもりだったので、ストレージはSDメモリカードに決めていた。

 本体を購入した店舗で在庫があるSDメモリカードを確認したところ、最も容量の大きいのが128MBであった。とりあえず128MBもあれば十分ではないかと思い、最も価格の安いSanDisk製の128MB SDメモリカードを9,800円で購入した。

 帰宅してから、早速GENIO e550Gを使ってみた。自宅のパソコンにクレードルを接続し、ActiveSyncの用意をして、まずはパソコンのOutlookのデータをGENIO e550Gに転送した。

 その後、購入したSDメモリカードをGENIO e550Gに挿し、本体付属のCD-ROMから次々とアプリケーションをインストールしていく。GENIO e550Gには地図ソフトもバンドルされており、その地図ソフトに用意されていた地図データも全てインストールしてみた。

 つまり、ほとんどのアプリケーションをSDメモリカードにインストールしたのだが、これには想像以上に時間がかかり、あっというまにSDメモリカードの容量も食いつぶした。

 容量を食いつぶした原因はもちろん地図データであり、このデータ以外のアプリケーションはたいした容量ではない。どちらにしろ、128MB SDメモリカードでは容量が足りなくなってしまうのはインストールする前に予想できたが、インストールにかかる時間については、まったくの予想外だった。インストールを始めてから気付いたのだが、100MBものデータを書き込むのであれば、無線LAN経由でActiveSyncを行なうのが賢い方法だったかもしれない。

 また、地図データをインストールしたとはいえ、128MBのSDメモリカードでは、やはり容量不足と言わざるを得ない。そこで、今度はより容量の大きな256MBもしくは、512MBのSDメモリカードを購入することにした。

 当時、どちらの容量も流通量が少なく、近所のショップでは在庫がないということだった。そのため、インターネット通販を利用して256MBのSDメモリカードを19,800円で購入し、再度インストールを行なった。

 前回と同じようにUSB接続のクレードル経由か、無線LANカードを挿し、無線LAN経由で行なうのか悩んだが、インストール時間の変化に興味があったため、あえて前回と同じ方法を選択した。

 インストール時間が変化するのではないかと思った理由は、SDメモリカードでは128MBのものと256/512MBのもので、スペック上のデータ転送速度が異なるからだ。128MBまでの容量だとデータ転送レートが2MB/secだが、256/512MBは10MB/secに向上している。

 この数値だけでみると、SDメモリカードへインストールしたアプリケーションの起動やファイル操作も極めて快適になるのではないかという期待もあった。

 ところが、実際にインストールしてみると、インストールにかかった時間は前回とほとんど変わらないものだった。USB接続のクレードルがボトルネックになっているのかもしれないと思い、ベンチマークソフトでチェックしてみたが、128MBのSDメモリカードも、256MBのSDメモリカードもそれほど速度には変化は見られなかった。

 つまり、GENIO e550Gで使うかぎりは、SDメモリカードを選択するときに転送速度などは気にせず、単純に容量で検討すればいいだろう。ちなみに、最初に購入した128MBのSDメモリカードは、そのままカシオのEXILIMに挿さる運命となった。

256MB SDRAMを挿入しているところ SDカードスロットとCFカードスロットが並んで配置されているが、本体の厚さは最小限に抑えられている



■使い勝手は良好だがスケジューラの仕様に不満も

 本体付属のCD-ROMからいくつかのソフトをインストールした後に、以前購入したCFタイプの無線LANカード「メルコ WLI-CF-S11G」のドライバをインストールし、無線LANによるWebアクセス、ActiveSyncなども利用できるようにした。

 つい最近までカシオ ラジェンダをPDAとして使っていたことから、メインで使っているパソコン上にインストールしてあるOutlook 2002でスケジュールや住所録を管理し、ラジェンダ上のデータとシンクロさせるという使い方をしていた。

 そのため、PDAをラジェンダからGENIO e550Gに変更したときも、別に、データを移行する作業をするわけでもなく、現在使っているOutlook 2002のデータとActiveSyncするだけで、すぐに利用できた。

 ただ、筆者にとってはPocketPC 2002付属のスケジューラよりはラジェンダのスケジューラのほうが使い心地が良かった。

 PocketPC 2002の「予定表」で気になるのが、起動して最初に表示される画面である。GENIO e550GをはじめとするPocket PCの場合、前回終了時に表示していた画面が自動的に表示されてしまうのだが、どの画面のレイアウトも、今ひとつといった感じなのだ。

 ラジェンダの場合、起動時の画面は、上半分が1カ月分のカレンダーで、予定が入ってる日はボールドで表示される。画面の下半分にはカレンダーでフォーカスされている日の予定が表示されるようになっている。そのため、一画面で1カ月の予定の有無や内容を確認できたため、非常に便利だったのだ。

 だが、PocketPC 2002ではそういった画面は用意されていない。初期表示される予定表の画面レイアウトを簡単にカスタマイズできるか、画面のバリエーションそのものがもっと多いとうれしいのだが、今のところかなえられない願いである。



■周辺グッズも一通り購入

 GENIO e550G発売後に購入した関連商品は、液晶保護シート、ケース、スタイラス、USBシンクケーブルである。ケースは東芝純正のオリジナルカジュアルケースを利用している。手帳型のケースが好みであることと、シリコンシートで固定するため、GENIO e550G本体裏にベルクロシールなどを貼らなくていいという点も気に入っている。

 このケース、非常にいいケースであるのだが、1点だけ使いにくい部分がある。それはスタイラスの出し入れがしにくいということだ。スタイラスを取り出すには、本体の裏側のツメに指をかけて取り出すのだが、ケースに本体を取り付けた状態だと本体裏のスタイラスに指をかけにくいのだ。ケースの中に別途、スタイラス用のループでもあれば、もっと使いやすかったのではないだろうか。

純正のカジュアルケース。2つのシリコンシートでGENIO e550Gを固定する。ベルクロよりもしっかりと固定される 純正カジュルアルケースにGENIO e550Gを固定したところ。スタイラスを取り出し難いのが欠点だが、シンプルで使いやすい。右開きでも左開きでも使うことができる 純正カジュアルケースを閉じたところ

 USBシンクケーブルは、外出先のPCでのActiveSyncや、USB経由でのバッテリ充電を行なう目的で購入した。これも東芝の純正オプションである。

 液晶保護シートとスタイラスは、サードパーティのものだ。GENIO e550Gは発売されて間もないことから、サードパーティ製の関連商品はまだまだ少ない。現在、GENIO e550G用の液晶保護シートはいくつかの会社から発売されており、筆者はサンワサプライ製のものを購入した。

 スタイラスに関しては、サードパーティ製品は未発売である。そのため、本体に収まりそうなものをいくつか購入してみたが、うまく収まったのがパイロットのPalm III用スタイラスペン「ぺんとぴあライト」だった。

 同じくPalm III用のぺんとぴあも存在するが、ちょっとだけ太く、本体への収まりが悪い。ぺんとぴあライトは、ペン先の部分がライトで光り、暗いところでもPDA操作ができるというものだが、GENIO e550Gの画面自体が十分明るいために、スタイラスのライトは使ったことがない。純正のスタイラスは樹脂製のもので、使い難くはないのだが、筆者は多少重さがあったほうが使いやすく感じるので、このぺんとぴあライトを愛用している。

「ぺんとぴあライト」をGENIO e550Gに入れたところ(写真左)。GENIO e550G専用と思えるくらい収まりがいい



■概ね良好な使い勝手だが400MHzのCPUはそれほどでもない?

 さて、このGENIO e550Gを使ってみての感想だが、とりたてて不満な点もなく、まずまずの満足度だ。400MHz動作のPDAを所有するという点、画面が大きいという点に関しての満足度は高い。CF Type2スロット、SDカードスロットを搭載しながら、筐体がコンパクトなところも、ありがたい仕様だといえる。

 屋内、屋外関係なく、さまざまな環境下でも画面の文字が見やすい点も、ラジェンダから乗り換えて良くなった点だ。また、標準添付である辞書ソフト「辞スパ」、経路検索ソフト「JRトラベルナビゲータ」、地図ソフト「モバイルアトラス for TOSHIBA」といったアプリケーション類も、筆者にとってはうれしいものばかりだ。

 ただ、気になる点も無くは無い。最も気になるのが画面の下にあるボタン類の操作がしにくいことだ。カーソルボタンは標準装備されているものとは別に、もう1個別な形状のものが付属しており、筆者はそちらを使っている。交換したカーソルボタンはすこぶる操作しやすい。

 カーソルボタンの左右に配置されているボタン類に関しては、サイズが小さい上に、横に長い形状、本体表面よりも若干埋め込まれた取り付け位置によって、押しにくいものになってしまっている。デザイン性や誤操作防止のためなのはわからなくもないが、もう少し大きく、縦方向にも余裕のある形状にならなかったものだろうか。

 ゲーム目的でGENIO e550Gを選択しようと考えている方がいれば、購入前に実機で操作性を確認しておくといいだろう。

付属してきたカーソルボタン。操作性が良い。純正のカーソルボタンに不満がある場合には、取り替えてみるといいだろう 画面下のボタン類。カーソルボタンの両脇にあるボタンは押し難い。一段奥まっているところが、押し難さの原因ではないだろうか

 筆者が購入する大きな動機となった400MHz動作の「Intel PXA250」に関しては、確かに処理能力は高いCPUだ。

 ただ、206MHzの「Intel StrongARM」を搭載しているiPAQ Pocket PC H3600シリーズと比べると、CPU動作クロックの差ほどは速度差を感じない。操作感は、色々な要因が含まれるので、CPUだけの性能では決められないとはいえ、倍近い動作周波数でもあまり動作速度が向上しているとは感じられないのだ。

 400MHz動作ということで、StrongARMを採用したPocketPCよりも格段に操作感が向上しているのではないかと期待しているのであれば、その期待はかなえられない可能性もあるので注意してほしい。

 広い画面や2種類の拡張スロットを持ったコンパクトな筐体に魅力を感じるなら、GENIO e550Gの購入を検討してみてもいいだろう。

 余談であるが、PocketPCの動作速度に関しては、フォントキャッシュの設定に大きく依存することがある。GENIO e550Gも購入したままでは、画面表示が遅く、本来の性能を発揮できない。

 GENIO e550Gの場合には、オンラインソフトのPocket Tweakやレジストリエディタを利用して、フォントキャッシュのサイズを1MB~4MB程度に増やしておくと、キビキビとした動作になる。なぜ、出荷時に十分なフォントキャッシュサイズが設定されてないのだろうか。GENIO e550Gユーザーで、フォントキャッシュサイズを変更していないまま使っているユーザーは、必ず変更しておくことをお勧めしたい。



■ユーザーへのサービスも重要

 製品そのものではないが、今回GENIO e550Gを購入してうれしかったことがある。それは顧客に対してのサービスである。

 予約購入をすればもれなくサッカーゲームがプレゼントされることや、期間内に購入したりアンケートに答えると抽選でプレゼントが当たる、などといったキャンペーンが次々と行なわれた。

 現在もGENIO e550Gユーザーからの紹介でGENIO e550Gを購入するとプレゼントがもらえるといったキャンペーンが行なわれている。プレゼントに興味のないかたは魅力を感じないサービスかもしれないが、少なくとも筆者にとってはうれしいサービスだった。

 製品の不具合修正のために、ファームウェアが素早く公開される点も評価できる。GENIO e550Gに対しては、既にファームウェアが2度公開された。不具合を直すのだから、公開して当然だと感じるかもしれないが、不具合が発覚し、それに対応するファームウェアなりドライバなりが開発されているにも関わらず、それを公開しないメーカーが意外と多いのである。

 何か問題が出てきたら、対策を施したファームウェアをきっと提供してくれるだろうと思わせてくれるだけでも、ユーザにとっては安心して製品を利用していけるのではないだろうか。GENIO e550Gのホームページから申し込みすれば、無料でファームウェアを更新するためのデータやプログラムを入れたCD-ROMを受け取ることができる仕組みが出来上がっている。特に今回は、そのCD-ROMを登録ユーザ全員に無料配布しており、ユーザに対して手厚いサポートが行われている点は、高く評価したい。今後もユーザに対しての充実サービスを継続してくれることを期待したい。


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(2002年8月6日)

[Text by 一ヶ谷兼乃]


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